昨夜(2015年6月12日)、なんばのある居酒屋に私を含む10人が集まり、「大阪(市)の学校、これからどうする?」をテーマにして「住友ぶた会社おとな部」第2回を開きました。
ちなみに「住友ぶた会社」というのは、うちの娘が私に「りっぱなおぶたひょうしょうじょう」をくれたときに、「住友ぶた会社」とその表彰状に書いてあったことから、それを知ったうちのゼミ生が研究室を「住友ぶた会社」と呼ぶようになったので使っています。要するに「それだけ食っていたら太るぞ」と思うくらい「飲み食いの多い研究室」という意味ですね。そして、その「飲み食いの多い研究室」を街の中に開き、市民のみなさんといっしょに子どもや学校、教育の諸課題について話し合ってみようという発想で始めたのが、この「住友ぶた会社おとな部」です。(「住友ぶた会社学生部」は通常のゼミ、研究室のコンパですね、はい)
それから、第1回目は3月末に映画「みんなの学校」を見た感想を話し合うということで開いたのですが・・・。肝心の私自身が途中、身内の不幸で退席せざるをえず、残ったみなさんで話し合いを続けていただきました。ですから、私自身にとってはこれが実質、第1回目です。
さて、集まったメンバーは大阪市内の小中学生・高校生の保護者、NPO活動を続けている方、府内の現職教員、退職教員で元・市議の方、先の5.17住民投票(大阪市解体・特別区設置の例の投票です)で反対の立場から市民運動をされていた方等々、たった10人なんですが多様なメンバーでした。
このメンバーで居酒屋のコースメニュー&2時間飲み放題で議論をした結果(実際は約3時間近く居酒屋にいて、早く出てくれといわれるくらい盛り上がった)、次のように今の大阪(市)の学校が抱えている課題が整理できました。以下の内容を今後、各地で大阪(市)の学校のあり方について議論をする際の参考にしていただければ幸いです。
また、この最大でも10名程度の人数でじっくりと、大阪市内の飲食店を活用しながら、子どもや学校、教育を含む大阪の市政の諸課題について話し合うスタイルを広げていってくだされば・・・。市内の商店街や飲食業などの活性化とともに、公共的な議論の空間が広がるという二重の効果が見込めますので、ぜひともみなさん、やってみてください。
それでは、以下、今回の話し合いの結果を整理しておきます。
(1)高校受験のシステムと、中学・高校の接続関係の問題。
これは公立・私立の両方に影響が及んでいる。
定員割れが続くと募集停止になる公立高校があることから、募集人員を絞り込む高校が出ているように思う。教育基本諸条例の弊害がでているのではないか?
この間の公立高校の入試改革の影響で、遠距離の通学を余儀なくされている子どももいる。その子たちの生活面が心配。市内の繁華街を通っての通学が増えることで、生活指導上の課題もいろいろ出てくるのでは?
私立高校の側も生徒数急増でプレハブ校舎を建てたところもあると聴く。私学への補助金も生徒数に応じて出るとなると、小規模でいい取組みしている学校ほど運営がしんどいのでは? 総じて、公立・私立ともに高校教育の条件が悪くなっているのでは?
その一方で、中学3年生の全国学力テストの結果を入試に反映する方向で動くと、今まで中学校でやってきた進路指導や、これと連動した日々の教育活動が全部変わらざるを得なくなる。そこはどうなんだ?
(2)大阪市内の学校統廃合、小中一貫校の設置、学校選択制の問題。
実際には西成区内にある少人数校のように、統廃合もしかたがないかな・・・という学校もあるが、しかし、跡地はどうするのか?
大都市・大阪のなかの学校の存続すら危うい「限界集落」化した地域と、逆に学校が過密化している地域との差をどう考えればいいのか?
学校統廃合の結果、小学校区というコミュニティの単位が変わると、地域福祉や防災などいろんな取り組みまで変わらざるを得なくなる。そこまで視野に入れての統廃合なのか?
小中一貫校の学年の区切り(4-3-2など)はいったい、どのような意味でやっているのか? 小学校1年生と中学校3年生が同じ敷地で活動時間を共有していくのは、小規模校ならできるかもしれないが、大規模校ならしんどいのではないか?
(3)公募校長が入っている学校の抱えている課題
公募校長の人選の問題。具体的に本当に学校をマネジメントする力量やセンスのある人が選ばれているのか?
公募校長が入ってくる学校の側の問題。そういう校長が来るという前提で、教職員側が動ける準備ができているのか?
本来は一部のモデル校などで準備を整えて行わなければいけない公募校長導入を、全市的に展開することに無理があるのでは?
(4)中学校給食の問題
一方でさまざまな課題が指摘されてきたが、他方で小規模校などを中心に、改善されてきている学校もあると聴く。
でも、何がどのように改善されているのか、よくなっている面はどこかなど、積極的に中学校給食に関する情報が発信されていない。
「食育」という観点から見た場合、地元・大阪独自の料理や食材にこだわるなどの道もあって、外部委託する場合の業者もそういうことに長けたところを選ぶ方法もあるのでは?
(5)子どもの学校生活に関する問題、その改善のための条件整備面での課題。
保護者として見たとき、「そこまでこだわる必要がどこにあるの?」と思うような点にこだわる生活指導が時々、学校で見られる。
パソコンを使っての調べものなど、「家でこういうことは出来て当たり前」と教員側は思っているのかもしれないが、それが「ない」家はどうしたらいいのだろう?
何か子どもどうしでトラブルが起きた場合に、学校としてどのように解決していきたいのかという方針が見えない学校がある。
子どもどうしのトラブルが保護者間の問題にまで発展していって、学校だけで対応しきれないときに、第三者的に入れる人はいるのだろうか?
学校にさまざまな課題が現れて、教員が持ちこたえられなくなって休んだ場合、そのあとに補充する教員が今は見つからない状態。
本来はそれぞれの学校の実情に合わせて柔軟な運営形態を考えればいいはずの部活動が、全国大会のスケジュール等に合わせて動くことで窮屈になっていたりする。
「個別指導教室」が開設されたようだが、どのような子どもが大阪市内で集められて、どのように指導されているのか? そこに落ち着いて通えるような子どもならば、もとの学校でも面倒を見ることができたのでは?
(6)大阪の学校を運営する基本理念の問題
大阪の公教育は今後いったい、何を大事にしていくのか?
今の教育基本諸条例ではたして、ほんとうに子どもたちを大事に育てていくことはできるのか?
もう、この諸条例にもとづく体制にはいろんな無理、弊害がでているのではないか?
それに代わる新たな理念に何をもってくる必要があるのか?
※このほかにも「大学の授業料が高い。年子の子どもがいると出費がつらい」等々、他の話題もた~くさん出ました。また、個別具体的な保護者からのご相談もありました・・・。
<以上、整理終了>
※追記:この記事に限っては、出典がこのブログで、この記事のURLを明記する形であれば、転載をしていただくのは「可」とします。