昨日(9月29日)の午後は、キャンパスプラザ京都で、大川小学校研究会に出ていました。
遠く石巻から来られて、遺族としてのご自身の思いを語られた今野ひとみさん、佐藤和隆さん。ほんとうにおつかれさまでした。
また、今日の研究会を準備された方、そして当日の運営をお手伝いされたみなさん、ありがとうございました。
さて、原告側弁護士の吉岡和弘さん、齋藤雅弘さんのお話を伺っていて、「ああ、災害なのか、事故なのか、いじめや自殺なのかは別として、構造的に学校事故・事件や災害の事後対応って、ほんとうによく似たプロセスをたどっているなあ」と、あらためて思いました。
ご遺族が「ほんとうのことを知りたい」と願ったときに、訴訟という方法をとらざるをえなくなるプロセス。また、実際に訴訟がはじまれば、ますます誹謗中傷にさらされる。我が子を亡くし、事後対応で傷つき、訴訟でさらに傷つく…弁護士のおふたりは「三度被害にあった」と、配布資料で書いておられました。
他方で、たとえばマスメディアと良好な関係をつくって遺族から情報を発信したり、関係者から情報を集めたり、何度も石巻市教委に働きかけて説明会を開催させたり…という、そんなご遺族の取り組みについても、弁護士のおふたりから語られました。
こういうところが、他の事故やいじめ、自殺の遺族や被害者家族とも共通することだな…と思ったので、ひとこと、研究会でコメントをさせていただきました。
あと、学校保健安全法の規定が大川小訴訟控訴審でひとつ意味をもったそうですが…。学校保健安全法そのものや、その学校保健安全法をふまえるかたちでつくった文科省「学校事故対応に関する指針」について、どれだけ学校や教育行政、積極的に周知をはかっているのか。そういうことも、今日は現職教員や教育行政関係者も多く出席していたので、ひとことコメントしました。
まあ、この2つのことをコメントするときに自分の本の宣伝もして、チラシも配りました。おかげさまで10冊、今日も本が売れました。そのことも感謝いたします。
そうそう、もうひとつ書いておきたいことがあります。
昨日、あらためて大川小訴訟の原告側弁護士さん2人の話を聴いて思ったのは…。
「いま、3つの(教育)法学が、この訴訟や事後対応等々をめぐってせめぎあっている」
ということですね。
具体的に言うと、訴えられている石巻市側が主張する(教育)法学的な議論と、訴えている原告側が主張する(教育)法学的な議論。まずは、この2つがあります。
これに加えて、長い間、日本の(教育)法学のなかでは「軸」になってきた議論として、「無過失(賠償)責任」論というものがありますよね。
ちょうど、今年4月に河北新報のインタビュー記事がでたときに、前川喜平・元文部科学事務次官が語っていたのが、この「無過失(賠償)責任」論。
これに対して、同じインタビュー記事のなかで、前川氏の発言のとなりで私が語ったのが、原告側が主張する(教育)法学的な議論に近い線の内容です。
まあ、こんな次第で、大川小訴訟もそういう典型的な場面のひとつですが、いま、被害者家族や遺族の暮らしている「現場」から、いままでの(教育)法学的な議論を一から問い直し、組み直していく新たな視点が作られているのではないか。
どうもこのところ、私はそんな気がしています。