先ほどやっと11月17日分のプリキュアを、録画で見ることができました。さっそく、コメントします。
今回の放送分ですが、いや~びっくりしました。これ、きっとプリキュアの歴史上に残したいくらいのいい仕上がりです。前々から今年のプリキュアのテーマは「異文化理解」だと言ってきましたが、そのテーマがどんぴしゃりとはまったような回。しかも、そこに「いじめ」や「差別・偏見」を子どもたちなりにどう乗り越えるかというテーマが重なっていますね。また、その「いじめ」のきっかけをつくったり、誰かへの「差別・偏見」を色濃く残しているのが自分たちの親だとしたら、子どもはその親をも乗り越えて、自立していく必要があるのだ…というメッセージも込められていましたね。そこで以下、今回の物語を順を追って説明していきましょう。今年の過去の放送分とも密接にストーリーが重なっているので、ちょっと説明が込み入ってますが。
○今回の物語の主役は、ララ(キュアミルキー)です。ララは地球人ではなく、惑星サマーンからやってきた異星人。ですが、ひかる(キュアスター)たちとともに、地球の観星(みほし)中学校に通っています。まずは、その登校前に身支度をしている様子から描かれます。惑星サマーンの慣習で、幼い頃からララにかかわっているパーソナルAIが、今回も「そろそろ登校時間です」みたいなことを声かけてました。
○でも、ララが異星人であるのではないかという疑いを持って、まどか(キュアセレーネ)の父が学校にやってきます。まどかの父は、宇宙人対策(=実態は追放)を担当している政府高官です。また、プリキュアたちのロケット(=ララが惑星サマーンから乗ってきたロケットです)のところにも、まどかの父が現れます。ですが、映画監督のアブラハムさん(=宇宙星空連合の監視員です)が「撮影用のセットだ」と言い訳をして、その場をおさめます。
○まどかの父が学校に来たあとから、ララとひかるのいる2年3組の生徒たちが、ララを避けはじめます。いたたまれなくなったララは、掃除のゴミ捨てをするといって、教室を離れます。
○まどかの父は、どうやら2年3組の生徒たちに「学校で起きている変な事件にララがかかわっている疑いがある。何か変わったことはないか?」と声をかけます。すると生徒間に「そういえば、私たちが気を失ったときにララがいた」「宇宙人が地球人の記憶を消しているのでは?」等々のうわさが流れます。「ララはそんなことしない!」と、ひかるは一生懸命、ララをかばいます。
○教室にもどってこないララを探すと、図書館に居ました。ララは「ひかるに教えてもらって、本を読むことを覚えた。本は想像の力で、どんなところへも行ける」「でも自分はサマーン人、異星人。みんなのことを分かったつもりでいた」と語ります。そんなときに、「今に裏切られるぞ」と言い残して去った敵・カッパードの姿が思い浮かびます。ただその話を聴いたひかるは「そんなこと関係ない、ララはララだ」といって、後ろからそっと抱きしめます。「ありがとう」とこのとき、ララは一言いいます。
○一方、2年3組の生徒たちのあいだでも、「ララは本当に宇宙人なのか? 信じたくない」という気持ちが湧き上がってきます。そこへカッパードが手下のノットレイたちをつれて、UFOで現れます。ララを信じられない生徒たちの歪んだイマジネーションを吸い取って、カッパードは学校を攻撃しようとします。
○そこへひかるとララが現れて、他の生徒たちの前で変身しようとします。異星人であるというよりも、プリキュアである自分たちの姿を見せて、信じてもらおうとするわけですね。そこへ、他のプリキュアたちもかけつけて、変身しようとします。当然ですが、2年3組の生徒たちも見ています。また、遠くからその様子をまどかの父も見ていました。
○カッパードは変身しようとするララに、「サマーン星人のことなど、地球人は理解できない。異星人どうしはわかりあえない」と言います。でも、ララは「みんなやさしい。たとえわかってくれなくても、みんなは私にとっての友達」と言って、その場で変身してしまいます。これで、ララがサマーン星人であることも、プリキュアであることも、2年3組の生徒たちにはわかってしまいました。当然ですが、生徒たちは戸惑います。
○その生徒たちの戸惑いから歪んだイマジネーションを引き出して、カッパードは学校を攻撃しようとするのですが…。そこに変身後のキュアミルキー(ララ)が立ちはだかります。そんなキュアミルキーに、2年3組の生徒たちは「ララ、負けるな」と声援を送ります。すると歪んだイマジネーションは消えます。
○しかしカッパードは、次にまどかの父から歪んだイマジネーションをとり出して、学校を攻撃します。子どもたちはすぐに異星人のララ(キュアミルキー)への偏見が解けたのですが、どうも異星人対策の政府高官であるまどかの父は、その偏見がなかなか解けないようです。
○でも、キュアミルキーは再びカッパードの前に立ち、「惑星サマーンでは、自分はおとなだと言い聞かせてきた。でも、地球に来て、みんな、ありのままの私を認めてくれた。私は私のままでいいって思えた。私はみんなを守りたい、いっしょにいたい。私は私らしく居たい!」と言い切ります。そんなときに、キュアミルキーの心のなかから新しい力、トゥインクル・イマジネーションが生まれます。あとは、この新しい力をつかって、プリキュアみんなでカッパードを追い払います。
○カッパードが去ったあと、まどかの父が目を覚まします。2年3組の生徒たちはまどかの父に、「ララは異星人ではない。自分たちの仲間だ。みんなの友達だ」ときっぱり言います。また、エンディングでは、ララと2年3組の生徒たちは、惑星サマーンのあいさつをします。
○ラストの場面ですが、「ララは友達だ」という生徒たちのなかに、まどか自身も居ました。何かと父の前で「いい子」に過ごしてきたまどかが、ここできっぱり、父に異議を唱えたわけですね。ただ、次回の予告編を見る限り、今度はまどかと父との関係がぎくしゃくするようです。異星人の友達のことを守ろうとするまどかは、どこかで父と対決しなければならない。そのことは今年の初め、まどかがララとともにプリキュアになったときから「いつか、訪れる」と思われていたことですが。
○あと、いま、プリキュアたちが探っている「トゥインクル・イマジネーション」ですが。これってどうも思春期あたりの「第二の自分の誕生」みたいなものと深くかかわっているのかもしれません。いままで中学生まで生きてきた自分の心のなかから、さらに「こうなりたい」という「本当の自分」の思いに気付き、それが一気に目覚めたときに、「トゥインクル・イマジネーション」の力が現れるのかもしれません。だとすれば、今回はララが目覚めましたが、次回は父親への反発のなかで、まどかに「トゥインクル・イマジネーション」が芽生えるのかもしれません。
・・・ということで、たった30分(CMを省くと25分程度)の物語のなかに、今年のプリキュアのテーマである「異文化理解」がぎゅ~っと濃縮されていたような、そんな放送回でした。