2222冊目はこの本。
西日本新聞社会部『ルポ罪と更生』(法律文化社、2014年)
少年事件に限らずおとなの事件も含め、およそ昨今、重大事件については犯罪被害者の立場にたって「厳罰化」を求める世論が強い。
だが、その「厳罰」に処せられた受刑者たちの「出所後」の生活や、再犯防止に向けての刑務所での取り組みはいま、どのような状態になっているのか。
この本は西日本新聞社会部の連載記事をもとに、その後の取材などをふまえて、罪を犯して刑務所に服役した人々の「その後」をていねいに追っている。
結局のところいくら「厳罰化による抑止」を主張したところで、私たちの社会が「罪を犯した人々」を適切に受け止め、包摂する力を持たなければ、再犯・累犯は防げない、ということか。そのことを、ていねいな取材を通じてこの本が明らかにしていると思う。