できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

10月12日(土)「大阪の教育改革」をテーマにした学習会で話します。

2024-09-23 16:34:05 | 受験・学校

ようやく告知の準備が整ったそうなので、案内を始めます。

画像(もともとは案内チラシ)のとおり、10月12日(土)午後、大阪・梅田の「総合生涯学習センター」にて、この15年くらいの「大阪の教育改革」をテーマとした学習会で私が話をします。

ご都合のつく方、ぜひご参加ください。


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授業料不徴収は「教育費無償化」の「重要だけど一部分」にしかすぎない。なぜ大阪では、誰もそれを言わないのか?

2023-08-05 08:56:17 | 受験・学校

例の大阪の私立高校の授業料無償化に関して、最近、いろんな動きがでてきたようです。少なくとも昨日だけで、次のようなネット配信の記事がでました。

大阪府支出増で私学合意へ 高校無償化、反発受け譲歩(2023年8月4日、産経新聞配信記事)

https://www.iza.ne.jp/article/20230804-ANOSAXL45BODBGQMNBNLCOQ7OM/

生徒1人当たりの補助金最大5万円引き上げ 吉村知事が「授業料無償化」修正案を発表 私立高校の負担軽減 (2023年8月4日、朝日放送=ABC配信ニュース)

https://www.asahi.co.jp/webnews/pages/abc_21160.html

しかし、これらのニュース配信記事を読んでも、「あかんなー。議論の前提がそもそもまちがっているんじゃないか?」と思っています。それは、これまでの議論において、「授業料無償化」は「教育費無償化」のなかの「重要だけど一部分にすぎない」ということが、全然理解されていないということ。そのことを強く感じます。「こういう教育費無償化に関する原則論的な部分の確認がおろそかになっていて、選挙対策的な<高校授業料無償化完全実施>パフォーマンスが優先されている感が強い」ところに、大阪のこの議論の「いかがわしさ」を感じてしまいます。

それこそ義務教育段階においても今日、教材費や修学旅行費、給食費等々、保護者の費用負担が授業料以外の部分でいろいろと発生しています。憲法に定める義務教育の無償という理念を、教育基本法の方で「授業料不徴収」原則に狭めているので、このような費用負担が生じる。ただ、義務教育段階では経済的な困難に直面する子どもと保護者に対しては、就学援助制度を適用することもできる。また、かつては教科書無償配布制度をつくり、最近では各自治体で給食費無償化に取り組むなど、「教育費無償」の範囲を義務教育段階では拡大してきた歴史的経過もあります。

そう考えると、本来、高校段階での「教育費無償化」についても義務教育段階を参照しつつ、たとえば「授業料不徴収」原則の適用だけでなく、たとえば通学定期代の補助、教科書代やワークブック・参考書、さらにはひとり一台のパソコン・タブレット使用を含めた教材費の負担軽減、学校での昼食代の補助等々、その無償化を適用する範囲を広げていく議論をしていかなければいけない。

ところが、いま大阪で「私学を含めた高校無償化」と称してやっている議論は、まだまだ「授業料不徴収」原則をどう適用するかという話にしかすぎない。また、その「授業料不徴収」原則が公立・私立に関係なく、所得制限なしに適用されても、他の子どもと保護者の費用負担は残り続ける。

なおかつ、昨日あたりに大阪府側・私学側の妥協案みたいなものが出されて、授業料不徴収の範囲を当初案のひとり年額60万円から63万円に拡大(3万円増)した上で、ひとりあたりの学校運営費の補助を2万円増(両方合わせて5万円増)にしたところで、上記の記事によると、授業料不徴収を完全に実施できる私学は7割程度。逆にいうと残り3割は、「それでは足りない」ってことですよね。そう考えると、この妥協案、「教育費無償化の重要な一部分である授業料不徴収原則すら、不十分な適用しかできない制度設計だ」ということになります。

ちなみに、下記はツイッター上で見つけた画像ですが(@japasiaearthさんのアカウントより)、いままで大阪府知事で日本維新の会共同代表の吉村さんは、大阪で「私立高校無償で行ける」と、あちこちで言ってきたようですね。「今後も3割の私立高校で、授業料を徴収せざるをえない制度設計していて、ほんと、<私立高校無償でいける>なんて、よく言うよ」と私などは思います。

そして、「なぜマスコミ報道も含めて、<教育費無償化は授業料不徴収だけにとどまらない。授業料不徴収は教育費無償化の重要だけど一部分にしかすぎない>という話を、大阪では誰もしないのか?」と、私などは言いたくなってしまいます。

※以下、@japasiaearthさんのアカウントで見つけた画像。

画像


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大阪の「高校授業料完全無償化」論議で出てくる「教育の質」ということばへの違和感―もう一度、関係者は根本的なところから考え直すべきでは?―

2023-07-01 19:44:16 | 受験・学校

大阪維新の提案する「高校無償化」はいったん止めたほうがいいのでは?―「識者」もそのくらい言おうよ― (2023年6月20日に私が書いたこのブログの記事)

以前もこのブログで、上記の記事を配信しましたが、あらたに思うところがありましたので、下記のとおり書いておきます。なお、下記の内容はフェイスブックに今日書いたことに加筆修正を加えて転載したものです。

<以下、あらためて考えていること=転載部分を含む>

この高校授業料完全無償化をめぐる「教育の質」談義にも、私はずっとひっかかってます。

それは維新や大阪府側にも、私学経営陣や私学に我が子通わす保護者の側にも、そして「自称・高校無償化問題の第一人者」なる研究者たちの側にも。

たとえば国公私立に関係なく、「18歳で若者を<いっぱしのおとな>にするための教養形成」を大阪の高校教育では徹底的にやる。

その内容は、たとえば18歳選挙権と主権者教育、消費者教育や労働者の権利教育、社会保障の権利や手続きに関する理解、外国から来た人や障害のある人など多様な人々とともに生きる社会をどうつくるかとか、差別やヘイトスピーチの問題をどう考えるか、自らの性や健康に関することや多様な家族の在り方、「ウイルスとはなにか?」「核エネルギーをどう考えるか?」「自然環境と災害」といった科学的な学び等々。

内容的にはいろいろ考えられるけど、でも「18歳で若者を<いっぱしのおとな>にするための教養形成」を、大阪の高校では「国公私立」に関係なくやるのなら、「高校教育のその部分は無償化すべきでしょう」と私なら言いたくなりますね。

そういう点では、私のうがった見方かもしれませんが…。

一部の大阪の高校関係者(国公私立に関係なく)のがんばりで、相対的にこういう「18歳で若者を<いっぱしのおとな>にするための教養形成」って、どちらかというと「進学を目指してない生徒の多い高校」のほうが「質の高い」ことやっていて、むしろ「進学実績上げろ」なんてこというてる高校のほうが「低レベル」だったのではないか。私としては、そう言いたくなります。

他方で、たとえば今の大阪の高校授業料完全無償化談義で出ているように…。

「進学実績上げろ」とか「偏差値高い」とか、「グローバル人材養成」とか。そういうことを「教育の質」談義で問題にするなら、「そんなもん保護者負担で、一千万負担しようが二千万出そうが、勝手にやれ」です。また、もしも「そういう進路選びたいけど経済的困難のある家庭」があるのなら、大阪府として責任もって「奨学金だせ」「学費減免してやれ」ですわ。

なにしろ高校生はすべて「グローバル人材」にならなきゃいけないんですか? 「進学校」に通わないといけないんですか? そんなことないですよね。

でも、どの子どももいずれ18歳になって、<いっぱしのおとな>としての教養がないと、この社会でご本人が生きていく上でも困る場合がある。社会全体としても、そういう教養ある<いっぱしのおとな>が増えたほうが、土台がしっかりしたものになる。

だからこそ、大阪府では高校授業料完全無償化で、国公私立に関係なく、高校生を「18歳を<いっぱしのおとな>に育てるための教養形成」をやるというのなら、私は賛成。

でも「グローバル人材要請」とか「進学実績上げろ」とかいう話でこの議論やるなら、「完全無償化はこれ以上、どーでもええわ」「自分らで勝手に一千万でも二千万でも、保護者が負担しろ」「負担できない家庭には、大阪府が奨学金だせ」というしかないですわ。

ただ…。こういう教育内容の問題もからめて、いま、維新や大阪府側も、私学経営陣も私学に我が子通わす保護者の側も、そして「自称・高校無償化問題の第一人者」なる研究者も、十分な議論やれてないですよね?

あたかも「高校教育の質=進学実績や偏差値の高さ」を前提にした議論とか、「グローバル人材育成やるような私学に、経済的困難な世帯の子どもも行けたら、それでいい」とか。そういうレベルで議論しているようにしか、脇から見ていると「見えない」んですよ。「こんな議論の内実で、ほんまにええの?」と、脇から見ていると議論のレベルの低さに「唖然」とします。

ついでにいうと、下記の関西テレビの報道を記事化したものを見ると、はじめて吉村大阪府知事は、私学関係者とテレビの場で対話したとか。大阪維新の「目玉」施策として「高校授業料完全無償化」を実現しようとしているわりには、かなり対応が遅すぎる。

本来、高校授業料完全無償化を早急にやりたかったのであれば、今年春の地方選挙の前から何度も、大阪維新の会及び大阪府として、私学関係者と議論をつめておかないといけなかったのではないですか? そこを「手抜き」しているからこそ、今、いろんな問題が起きているのでは? 

「議会多数派と首長をおさえていたら好き勝手にできる」という思い上がりが大阪維新の会関係者にあるのなら、この私学を含めた高校授業料完全無償化問題が「大きなつまづきのきっかけ」になると思います。

なおかつ、そもそも大阪維新の会や日本維新の会関係者が、全国各地で「大阪の実績を日本全体に」といって「高校授業料無償化」を提案してきた経過があるなら…。「今頃、完全無償化とかいってるのは、いままで言ってきたこととどのように整合性があるのか?」と、私なら問いたくなります。

こういうことを、吉村大阪府知事がテレビ番組に出演したときに「ツッコミ」ひとつ入れられない。そんな大阪のテレビ各局を含む報道各社の在り方にも、私としては疑問を抱きます。

吉村知事 関西テレビ番組で“初めて”私学校長と直接対話 「教育の質は大切、良い制度作りたい」(関西テレビ2023年6月30日配信、ヤフーニュース)

以上でひとまず、あまりにも「唖然」とする議論のレベルなので、私の意見として、大阪の高校授業料完全無償化問題に対して思ったことを、今日も書き記しておきます。


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大阪維新の提案する「高校無償化」はいったん止めたほうがいいのでは?―「識者」もそのくらい言おうよ―

2023-06-20 23:06:54 | 受験・学校

大阪府の高校授業料「完全無償化」、近畿の私学は「断固反対」…学校負担17億円に膨らむ(2023年6月20日ヤフーニュース=もとは読売新聞の記事)

https://news.yahoo.co.jp/articles/a5496504ab87dde9c4f596fe37b657f5b4ae4dfd

「大阪だけ無償は不公平」近畿の私学団体が難色 大阪府の高校無償化策がピンチ

(2023年6月19日ヤフーニュース=もとは産経新聞の記事)

https://news.yahoo.co.jp/articles/9ae3a5f750a1f45a9a56ee9b0981897b5b250b86

※この産経新聞=ヤフーニュースに対する末冨芳さんの「オーサーコメント」

https://news.yahoo.co.jp/articles/9ae3a5f750a1f45a9a56ee9b0981897b5b250b86

この大阪府の高校授業料「完全無償化」関連の記事と、自称「高校無償化に最も詳しい研究者」のコメントに対していいたいことは、以下のとおり。(フェイスブックにもほぼ同内容のことを書いていますが、ブログ転載にあたって若干の手を加えています)

(1)そもそも、大阪維新&知事がやろうとしている「高校完全無償化」そのものに、無理がある。

この間の大阪の教育改革を見てきた私としては、たとえばこの「高校完全無償化」実施によって、ますます公立高校は定員割れ統廃合が推進され、私学は私学で、ある金額以上に費用負担が制約され、経営が圧迫される。むしろ、私学経営が圧迫され、金銭的な持ち出しがでて、かえって私学の教育条件や勤務する教職員の労働環境も悪くなりかねない。このままでは大阪の公立高校・私学、どっちにとっても、いいことのない「高校完全無償化」になりかねない。何のために<高校教育の無償化>を推進するのか? そこから議論をやりなおさないといけない。だからこそ、私学の経営陣から、いまの大阪維新&知事の提案に反対意見がでる。「こんな不十分で、無理のある案のまま、大阪で高校完全無償化をすすめていいのか? 一回立ち止まって、大阪維新&知事の提案する内容自体、それこそ<高校無償化>の研究者たちを中心に、きちんと検証して<一から議論しなおせ><制度設計しなおせ>というべきでは? ほんとうは<国政レベルで高校完全無償化をどう実施するか?>を議論すべきでは?」と私は思いますけどね。それこそ「高校無償化問題」に詳しい研究者のいうべきことって、こういうことでしょう?

(2)にもかかわらず、こういう私学経営陣を「抵抗勢力」と描いて、「それに対抗して無償化を推進する大阪維新&知事」という構図。

大阪の維新推しマスコミが何も考えず、こういう構図を描いてしまうことで、維新&知事は、選挙対策として効果的に支持層を固めることができる。そういう維新のメディア戦略に加担する報道関係者や、そういう記事で「抵抗勢力とみたいな維新」みたいな思い込みを形成されてしまう有権者住民も、<そろそろ、考え直さないといかんよ>と言いたいですけどね、私。「そもそもの高校完全無償化プラン自体に無理があるんとちがうの?」って一回疑えよ…って言いたいです。

「抵抗している側にも、一理あり(いや、そっちの方が全面的に正しい)」ということも、多々あるんじゃないですかね? 「改革=善」で、それに抵抗する勢力は「悪」みたいな、2000年代の小泉政権時代から繰り広げられた「勧善懲悪」の物語で、私たち、どれだけの自分たちの生活にとって必要な「公共的なもの」を失ってきたのか?」を、そろそろ問い直す時期だと思いますよ。それこそ「高校無償化」問題の研究者なら、そのくらいのこと、言えなきゃ。

(3)そして、こういう「高校完全無償化に抵抗勢力とたたかう大阪維新&知事」を描き出すことで…。「ほかの大阪維新&知事」にとって不都合な問題が、すべて「隠される」。
 大阪関西万博の準備の遅れ、例のパワハラ府議の議員辞職や除名問題などの一連の不祥事対応の遅れ、等々。こういう問題は、いま、どうなっているんですかね? マスコミも、識者も、そして有権者住民も、大阪維新&知事が次々に繰り出す「話題作り」にふりまわされて、これまでにあった問題を忘れているのでは? 隠されてしまっていても、気づかなくなっているのでは? 

次々にマスコミをにぎわす話題を提供することで、「がんばっている感」「やっている感」を演出して、過去の不祥事や政策の問題点を隠すという政治手法。もうそろそろ、そういう「政治手法」それ自体に疑いをはさまないといけないし、それで記事を売り上げて、なんとか日々、稼いでいるマスコミ自体を問わなければいけない時期だと思いますけど。でもそういう視点は「高校無償化問題」に詳しい研究者には、弱いですね。それでほんまにええんですか? 

(4)他方で「高校無償化問題に最も詳しい研究者」という方(=子ども家庭庁の審議会の委員のようですが)のコメントには、上記(1)~(3)のような視点が「全くない」。

だから、「私学と知事・大阪府はよく話し合って」程度の、私から見たら「寝ぼけたコメント」しかできない。「そりゃ、こんな寝ぼけたコメントしかできない自称<第一人者>なら、政府も使いやすいよなー。全然、政府にとって無害だもん」って、まあ、そういいたくなりますねえ。そして、「ほんまにこの高校無償化問題に対して自称<最も詳しい研究者>なら、このブログに書いた程度のことくらい、大阪維新&維新にきついこと、言うてみろ?」と思いますけどね、私。「みんな大阪維新&知事も、この研究者も、両方ともチヤホヤしすぎとちがいますか?」と思います。ついでに、これからはほかの研究者も私、チヤホヤしません。特に「人畜無害」とみなされて、政府に呼ばれるような人たちは。

以上、とりいそぎの「まとめ」でした。


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「現状把握からやり直すべき」「支離滅裂」と思う文科省の教員施策

2023-03-26 21:15:00 | 受験・学校

https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20230325-OYT1T50207/

「教育学部の教授に小中高教員経験者、起用を義務化」というこの読売新聞の記事に対して、いま本学で教職課程運営に責任を負ってる立場から、いくつか連続でツイートしました。そのまとめをブログにつくりました。ただし、ツイート部分も含め、言葉づかいをていねいに直しています。

正直なところ最近の文科省の教員関連の施策は、いい意味でも悪い意味でも一貫性も、節操もない。実に「くだらない思い付き」レベルで何か打ち上げる。それで大学の教員養成の現場も、各教委も、学校現場も迷惑被っている。「たいがいにしてほしい」と文科省の役人(ベテランも、若手も)には言いたい。「一年間くらい、私の<かばんもち>でもして、現場で何がおきているのか、実際に見て修行してほしい」とかいいたいですね。

ついでに、退職して今はすっかりリベラルな雰囲気ただよわせて、あちこちで好き勝手なこと言うてる元文部官僚のおふたり。あえて名前出しませんが。あちこちでチヤホヤされてるようですけど(ついでに、チヤホヤしてる人々も「たいがいにしたら?」と思いますけど)、「おふたりの後輩がしでかしてること、きっちり批判しろよ」「こんな後輩たちを育てたの、おふたりでは?」といいたいです。

※以下、〇印1個がツイート1個です。ことばづかいもていねいに直しています。

〇実際に使えない現職経験者はいらない。ちゃんと研究業績や実務経験の経歴、やってきた仕事の内容とかを、採用する大学として審査させていただきます。

〇ついでにいうと、いまも多くの大学の教職課程担当教員に現職経験者が就いているのですが。その人たちが実際にどんなことを各大学で担っているのか、その結果どんな教員志望者が送り出されているのか。その前に現職時代に何をしてきた人なのか? 文科省はきちんと検証してるのかな?

〇もう一つ。今は教職課程設置申請に際して、教職科目担当予定の現職経験者にも活字業績求めてますが。あれは研究熱心な現職経験者を採用するのに、大学としてもとってもいいことです。でも、今後は現職経験ありなら活字業績なくてもいいことにしますか? それをすると、かえって大学教員の質落ちますけど。

〇このことを含めてもそうですが…。大学の教職課程運営の実務をあまりよく知らない人々が、文科省あたりで「教員が足りない、どうしよう」と大騒ぎして、あまり役に立たないような改革提案をするのは、ほんとうにやめてほしい。今でも現職経験者でよく動いてくださる方、各大学に居るのに。それでこの現状なんですよ。

〇それこそ…。いま小中高の現場で教員として仕事しながら、自分のテーマもって研究論文書いたり実践報告まとめたりする。そういう余裕ある職場環境のなかで育った人が、教職課程科目の担当教員として各大学に行く。そういう風にしないと、この文科省のプランは「絵に描いた餅」でしかないでしょう。(そんな勤務環境、小中高の教員に文科省は用意できているのかしら?)

〇あ、そうそう。現職経験者が自分の経験ふまえて、たとえば「〇〇だけは勤務条件悪いから行くのはやめましょう。他府県で採用試験受けたらどうですか?」とかいう可能性(危険性)は、文科省は想定していないなあ。実際、そういうケースが多々あるんだけどなあ。これ、教員志望者増やしたいのと逆になる恐れあるけど。

<以上で連続ツイートおわり>

※追記:実際にたとえば「大阪の教育改革はひどいし、教員が現場でしんどい思いをしそうやから、大阪で採用試験受けるのはやめとけ」みたいなことを教職の学生に言うてるような人、関西圏の大学の教職課程担当教員の一部にはいるようです。そういう話を、私は聞いたことがあります。

でも、こんな人は、私とは逆の道ですね。

「劣悪かもしれない大阪の現場に入って、そこでもう一度学校の再生の道を模索するような教員育てなくて、どうするの? そういう若い子といっしょにしんどいことを教員養成系大学や教職課程担当の教員が引き受けなかったら、誰がこの大阪の公教育の再生という難題、引き受けるの? そろそろ覚悟決めて仕事しようよ、各大学教職課程の担当教員。いまのままじゃだめだよ!」としか思ってないから。

そういうことも含めて、文科省はこの小中高の現場経験のある教員の教員養成系大学への採用を考えてるのか? 真剣にもの考えてるのか? そういう風にしか思えません。


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新しい共著本『足元からの 学校の安全保障』(明石書店)が刊行されました。

2023-03-11 21:26:47 | 受験・学校

先ほど出版社(明石書店)から、画像の本、『足元からの 学校の安全保障』が届きました。中村文夫さん編著のこの本で、第1章の部分を私が書きました。

今回は、学校における子どもの安全保障と平和構築、難民支援なんて言葉をつかいながら、いじめの重大事態の未然防止と発生時の対応について論じさせていただいてます。

なにしろこの本の企画段階で、アマルティア・センなどの「人間の安全保障」という発想を参考に何か書いてみよう…ということだったので。まあ、そんなわけで、国際的な人権保障とか紛争地帯での国連の難民支援、平和維持活動みたいな観点から文章を書いているような次第です。

その分、私としては、いままで『新しい学校事故・事件学』や『「いじめ防止対策」と子どもの権利』で論じたことを、さらにバーションアップさせて、「学校における子どもの安全保障」という観点から論じたといえばいいでしょうか。

他の章も、たとえばインクルーシブ教育や学校給食、学校統廃合、情報機器の活用のあり方等々、いまの学校の諸課題を扱っています。これらは全部、これからの地方自治体レベルの子ども施策や教育施策に深くかかわることばかりです。

ということで、学校の教職員や教育委員会の職員、教育学や関連領域の研究者・専門職はもちろんのこと、近々行われる地方自治体の選挙に向けて、各陣営の出馬予定者のみなさんにも読んでいただきたいです。

すでにAmazonでは予約注文可能になってるようですし、私の手元にも50冊届きました。これからこつこつ本を販売していきますので、よろしくお願いします。


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いったい誰が「いじめの重大事態」の現場に「助言」可能なのか?そんな研究者・専門職・官僚は育っているのか?-NHKニュースで紹介された文科省の方針への違和感-

2023-03-10 21:08:04 | 受験・学校

“重大ないじめ”調査に課題 4月から国が助言など新たな仕組み(NHKニュース、2023年3月10日配信)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230310/k10014004771000.html

この際、文科省とNHKにはっきり言いたいのですが…。

それこそ、いままでの研究職・専門職にいじめの重大事態の調査・検証作業を任せたり、地方教育行政の対応では調査委の事務局運営がうまいこといかなかったわけですよね?

では、その状態で、いったい国からだれがアドバイスできるのか?

そもそも文科省の担当官自体、地方教育行政や調査委員会に適切なアドバイスができるのでしょうか?(これは「いじめの重大事態」だけじゃなく、ほかの学校事故・事件もすべて同様)

それこそ、私を文科省に呼んで、私が大学の仕事と文科省の担当官を兼任するかたちで、各地の教委や調査委員会をまわるようなしくみを試してみたらいかがですか?

そのしくみを私と一緒に試しているうちに、文科省の担当官が私の取り組みからいろんなこと学んで、それを全国各地に広げる。そのくらいのこと、やってほしいなと思ったりもします。

たとえば、これまで私がかかわった学校事故・事件の調査・検証作業の事例や、文科省の学校事故対応に関する有識者会議の経験をふまえて『新しい学校事故・事件学』(子どもの風出版会)を書きました。

あるいは、私のかかわったいじめの重大事態の調査委員会へのアドバイスの事例をふまえて、『「いじめ防止対策」と子どもの権利』(かもがわ出版)を書きました。

そして、数多くの被害者家族や遺族(いじめの重大事態を含む)と、調査委員会の委員さんたち(教育学などの研究者・医師・弁護士・カウンセラー・ソーシャルワーカー等)、そして学校・教育行政関係者のあいだで、いろんな話を聞いて、相互交流がうまくいくように関係調整を続けてきました(いまなお、関係調整を続けているケースがあります)。

そのうえで、たとえば加古川市教委のいじめ防止対策検証委員会を通じて、調査委員会がつくった再発防止策の提言と、それをふまえた加古川市教委のいじめ対策の検証・助言を行っています。あるいは今年度から、兵庫県猪名川町のいじめ防止に関する審議会の委員も務めています。

そういうここ最近の私の取り組み。文科省の学校安全や生徒指導の担当官、どこまで把握しているのでしょうか? 

ちなみに、過去の私の取り組みに注目して、これまで文科省の担当官が話を聞きに来たのは、2014~2015年度の学校事故対応の有識者会議が始まる前(2013年ごろ)に2回くらいあった程度です。

まだ学校安全、特に事故対応についてはこんなかたちで、はるか10年くらい前に私に話を聞きに来たことがありましたが…。いじめの重大事態対応では、これまで一度だって、文科省の生徒指導の部局、私の話、聞きに来たことがありません。

そんな現状で、よくもまあ、文科省の生徒指導担当の部署、重大事態の起きた現場に「助言する」とかいえるなあって、私なら思います。それこそ「誰が助言しにいくの? できる官僚いるの? 研究者や専門職いるの?」と折ったりもします。

もしも、その文科省から派遣された担当者が、現場で見当違いのこと助言したら、重大事態対応でまとまる話もまとまらなくなります。また、現場をかえって混乱させるくらいなら、行かないほうがましです。だから「そもそも、私がやってきたことくらい、勉強してほしい、文科省の担当官」と思ったりもします。これは生徒指導だけでなく、学校安全の部署も同じです。

そして、これまで私が書いた本を読んだりしたうえで、文科省への取材をして、こういう記事(ニュース)配信してほしいです。。マスコミの学校事故・事件関連の報道の質も、このNHKのニュース見てる限り、かなり落ちているように思います。それこそ、大津中2いじめ自殺事件のころは、しょっちゅうNHKの担当記者、取材に来ていましたね。いまはちっとも、取材に来ませんが…。


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子ども情報研究センターの「おとなと子どもの市民宣言」への賛同・支持の表明

2023-03-08 08:42:50 | 受験・学校

子ども情報研究センター・大阪の子ども施策を考える市民研究部会

「これからの学校と社会を変えていこう
おとなと子どもの市民宣言
ー大阪府知事・市長ダブル選挙、統一地方選挙を前にー」

(一応、リンクをはっていますが、もしも読めなかった場合は、「子ども情報研究センター」のホームページにアクセスしてください。https://kojoken.jp/index.html

この宣言文を、大阪の地方選挙にかかわるすべての人々(首長選・地方議員選の両方)に、ぜひ読んでいただきたいです。そのうえで、有権者のみなさんは、どの会派のどの候補に投票するのかを考えていただきたい。

また、本当に子どもにとってプラスになる施策を、首長候補も議員候補も考えてほしい。

特に「次世代のために」といいながら、次世代にとってマイナスの遺産しか残さないような施策を考えている会派の候補は、この宣言文読んで、今すぐ主張をあらためていただきたい。

私も長い間、この子ども情報研究センターの活動にかかわってきた研究者のひとりとして、この宣言に賛同し、強く支持します。

 

 


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もう一度「学校安全の理念やこれを支える教育思想」の部分から議論をやりなおしてほしい~12月23日(金)文科省の「学校安全」に関する有識者会議をネット傍聴して思ったこと

2022-12-29 21:19:41 | 受験・学校

下記の内容は、すでに12月23日(金)~24日(土)にフェイスブックに投稿した内容をふまえて、それに加筆修正を施したものです。

まず、文部科学省が12月23日(金)16時から「学校安全」に関する有識者会議を行ったので、それをネット傍聴しながら、ツイッターで気付いたことをつぶやいたもの。そのつぶやいた内容を23日中にいったん、フェイスブックに転載しました。

その上で、有識者会議の議論全体をとおして思ったことを、ちょうど娘の誕生日でもあった24日(土)に、「ひとりの親としての思い」もこめて、あらためてツイッターでつぶやきました。その上で、こちらもフェイスブックに転載しました。

したがって、下記の内容は、2つの日にツイッターやフェイスブックに書きこんだことを、さらに手を加えてこちらにまとめたものです。

ちなみに…。この文科省の有識者会議では、2014~15年に議論して、2016年3月に仕上がった「学校事故対応に関する指針」の改訂をどうするかがテーマになっています。ただ、もとの「学校事故対応に関する指針」をつくる2014~2015年の有識者会議には、私、呼ばれていました。でも、今回は私、呼ばれていません。そして「学校事故対応に関する指針」をつくる作業のなかで気付いたことをまとめた本が、拙著『新しい学校事故・事件学』(子どもの風出版会、2017年)です。

「私が今回の有識者会議に入っていたら、こんなレベルの議論している有識者委員と文科省、許さない」とか、「もっと根本的な学校安全に関する理念や教育思想の部分から議論やりなおせといいたい」という思いが、ふつふつといま、沸いています。

<以下、まずは12月23日(金)にフェイスブックに書き込んだ内容に手を加えたもの>

今日の文科省の「学校安全」に関する有識者会議をネットで傍聴しながら、すぐにその場で思ったことをツイッターでつぶやきました。○印1個分が、ツイートの内容です。しかしまあ、「これじゃダメ」「私ひとりで委員全員+文科省相手に徹底的にバトルしたほうが、まだまし」というしかありません。

※以下、ツイッターで12月23日中につぶやいた内容

○4限授業終わって、文科省の学校安全の有識者会議の傍聴をネットでしていますが…。しかしこの有識者たち、第3次学校安全計画の話にしても、ほかの学テ対策とかICT推進とかに埋もれている面を全く考慮してない。それじゃあだめだわ。子どもの安全対策を優先するように政策の優先順位を変える必要があります。

○唯一学校現場の代表ででてきた委員が「学校でいろんなことをやらなければいけないので、安全の話が後回しになりがち」という話をしている程度。それすら、私は「もうちょっとつっこまないと」と言いたい。

○安全教育のメリット? エビデンス? そんなことを大阪教育大学の安全教育のセンターの人が言っている。でもメリットやエビデンスなんて、「子どもがまずは落ち着いて学校に通える」こと以外に何があるですか? それこそ「数値かグラフでも示さないとわからないのか?」といいたい。

○膨大な数のスポーツ振興センターの災害共済給付データの活用? あれはそもそも、共済給付用の書類だから、事故防止に有効活用できるようになっているのですか? また、すべての事故データが振興センターにあがっているんですか? でも、そういうことをいう専門家委員もいますね。

○有識者会議では「学校安全に関する研究センターをつくる」とかいう話でています。でも、いまも附属池田小事件の経過をふまえて、そのセンターは大阪教育大学にあります。そのことを、有識者会議の委員たちはどう考えてるのかな? いまも、有効活用できてるんでしょうか…? なんか、ほんと思い付きばの意見ばかりだなあ、有識者会議。

○結局、小児科医の委員がが話せるのは「チャイルド・デス・レビュー」(CDR)のことだけ。これ、前の有識者会議のときと同じ。CDR自体は悪いシステムではないけど、それをどう学校制度に位置付けるかを考えないと。そこが、この有識者会議の課題でしょう?

○いま有識者会議でスクールロイヤー系の委員が「事故調査委の常設化」という話をしているけど、文科省や地方教委、研究者・専門職の「誰がそれを担えるの?」ですよ。そういう条件整備面について、何を文科省がやっているのかを問わないと。いままでそれができていないから、この調査・検証作業の現状ですよ。

○校長会の代表みたいな委員が、学校安全を推進する教職員の養成みたいなこと訴えていますが…。いまでも安全主任とか各校にいるのとちがいますか?

○やっと「学校事故対応に関する指針」の改訂の話か、ネット傍聴している文科省の有識者会議。前々からずっと言ってきたし、文科省にも直接言ったけど、「指針」そのものがどこまで文科省から地方教委・学校へ周知されているのか? そこを、文科省として調べたのか? 本気で改訂を考える有識者会議なら、まずは、そこを検証する必要があります。

○だいたい、重大事故起きても調査・検証作業自体をしない学校現場や教委がある。また、管理職に「指針」をメール配布しただけで読ませてない教委がある。そういうところを改善しないと、そもそも検証作業自体が行われません。また、文科省自体が指針が学校現場に「周知されてるのか?」とかいうてるけど、周知そのものが「文科省の仕事」ではないのですか?

○「内容よりも周知徹底」「公立よりも私学への周知ができてない」「教職員もよく指針しらない」と、やっと元政令市教育長の委員が「指針」の課題を指摘しました。前の有識者会議でも私といっしょに強く「指針」策定に向けて意見言った委員で、やっとまともな意見。でもその方も、ただ現職研修や教員養成の段階で「指針」を教えるという意見を言ってますが、それができる教育学系教員何人いるんでしょうか? ちなみに私は自分の勤務校で、「学校安全論」という授業で「指針」の解説やっていますけどね。ついでに各教委の「教員育成指標」に「学校安全」に関する項目ありますよ。その教員育成指標にもとづいて、各教委はそれぞれの教員の経験年数に応じて「指針」の解説しないのでしょうか?

○委員のなかには「逃げ腰」だとしか思えない人もいるなあ。文科省に報告をあげる事例・あげない事例を精査するよう求めていますね。それじゃだめ。「重大事例は全件報告」くらいにしないと。

○「学校が行う基礎調査の手法」がわからないとかいう委員。「それ、あなたのような安全対策の専門家が考えて提案すべき内容」といいたい。しかも「あなた自身、調査委の事務局の経験者でしょう。そのときにどのような調査委員会運営したのですか?(遺族側から相当批判されたのでは?)」です。

○「指針」の調査委の構成に専門性を具体的に書いていないのは、その事故の事案に応じて研究者・専門職を入れ替えられるようにしているのですよ。そんなこともわからないんですかね、この有識者会議に初参加の委員?

○スクールロイヤー系のこの委員、大丈夫? たとえ警察が動いても、教育は教育で重大事故・事件について調べるべきことがあるでしょう。刑事上の責任と教育上の責任はちがうでしょう。「警察が動いたから」といって「学校や教委は調査・検証作業をしない」というわけにはいきません。なぜそれがいえないのでしょうか? ロイヤーとしての資質を疑います。

○それこそ、調査委員たちの能力も案件をこなしたり、事前の研修をこなさないと、ある程度力量つかない。「国でなんでもやれ」ではうまくいきません。各自の研究者・専門職の業界団体で鍛えないといけない部分もあります。そこを各業界団体、やってきたのでしょうか?

○しかしまあ、マクロデータ好きやねえ、交通安全対策の専門家。「学校事故対応に関する指針」は事例検討が大事なミクロの話をしている指針ですよ。そもそも教育の話だし、教職員の専門性の話ですよ。

○おいおいおいおい…。この有識者会議のなかで、委員自身が「学校安全の専門家はいない」と言っていいのか? なんのためにあなたたちは集まったのか? あなたがた自身が「専門家ではない」と言っているようなものですよ、この発言。

○「被害にあった子どもの家族(遺族)と学校とのコーディネート」が実際どうなのか…。そんなことを有識者会議の座長が終わりになっていう。だったらこの有識者会議、なぜ私を会議に呼ばないの? そのコーディネート役、いじめの重大事態を含めて、何例かやってるんですけど、私。

○え? これで今日の文科省の有識者会議おわり?? なんか好き勝手なことを各委員が言っただけ。これでほんとうにいいの? この議論のレベルで今年度あと2回会議して、どんな提言だすの、この有識者会議? この有識者会議を常設のアドバイザリーボード化するなら、メンバーを全部、入れ替えたほうがよくないですか? だって自分たちで自分たちを「専門家ではない」と言ってしまったわけですからね。

○それにしても…。レベルの低い有識者会議の議論だなあ。これではダメだ。文科省に苦言をいうしかない。でも、年末年始に仕事ふえたな…。

<以下、ここからは12月24日(土)にツイッターやフェイスブックに書きこんだ内容に手をくわえたもの。娘の誕生日だったので、親としての私の思いも全面展開しています>

○生まれたばかりの我が子を見て「この子の命だけは、なんとしてでも守りたい」そして「この子のとなりで生きる子どもたちも、どんな子どもたちも、共に平和な社会で生きてほしい」と思った18年前。今も、その思いは変わらない。そしてきっとこういう思いは、保護者や教職員等々いろんな人に通じるはず。

○昨日文科省の学校安全の有識者会議に出ていたメンバーへ。あなた方は自分の専門的知見をひけらかすことばかりに熱心で、一番大事な保護者や教職員らのこの願いにどう対応して、命を大事にする学校をどうつくるかを論じることを忘れている。そこが根本的なみなさんの問題点。哲学や思想、理念がない。

○なんとしてでも子どもたちの命を守る。そのために分野を越えて、いまの私たちおとなが持っている知見やスキルの総力を挙げて、学校と教育行政(文科省や私学の法人を含む)を変えていく。そういう理念も矜持も、哲学も思想もないような専門家は、有識者会議をさっさと去れ。私が代わるといいたい。

○今から約20年前、川西の子どもオンブズで仕事をしていたときに私が大事にしていたのは「すべてのおとなが敵にまわって、世の中で私たったひとりしか、この子の願いを守ろうするおとながいなくても、いまの自分に全力でできることをやる」ということ。子どものアドボカシーってその覚悟がいる。

<以上で、有識者会議の議論に対する私の意見・批判、終了です>


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自分たち自身の「みっともない姿」をさらけだした大阪市教委・特別顧問・市長―久保校長への「文書訓告」問題に関しての私の意見―

2021-08-21 16:22:41 | 受験・学校

以下の内容は、昨日からすでにツイッターやフェイスブックに書きこんでいる内容に、若干手を加えて書きなおしたものです。

内容は、この春の臨時休校時の大阪市内の公立学校で、ICT活用による学習をめぐって混乱が生じたことに関して、市内のある小学校長・久保さんが市長あてに「提言」を出したこと。この行為に対して、大阪市教委側が「文書訓告」なる対応をしたことについてです。詳しいことは、次の朝日新聞デジタルの記事を参照してください。

松井市長に提言書、小学校長を文書訓告 大阪市教委(朝日新聞デジタル2021年8月20日)

https://digital.asahi.com/articles/ASP8N5F2YP8NPTIL00K.html

なお、以下の内容については、文責は私にあります。どこの団体とか、勤務先とか一切関係ないので。

1:まず、この話を聴いた直後にツイッター・フェイスブックに書きこんだこと

久保校長に「文書訓告」出した大阪市教委上層部と、市教委の特別顧問、そしてそういう人々を任命した市長(以下「あなたたち」と言います)は、ほんとみっともない。こんなことやっていたら、学校現場の教職員も、市教委の末端職員も、ほんま、やる気なくしますわ(もうすでにかなりやる気なくしてると思いますが・・・)。
 
ほんと、<この「文書訓告」は誰に忖度してだしたのか? 議会で維新に市教委幹部が追及されたくないだけ。市長から教育長が文句言われたくないだけ。それだけのための「文書訓告」じゃないのか? 久保さんがええ迷惑や>と思います。
 
それこそ、自分らが施策推進にあたって「ニアイズベター」というなら、まずは校長の話聞きなさい。あなたたち、教育振興基本計画にも確か「ニアイズベター」とか書いていたのでは?
 
こういう対応は、「ニアイズベター」を言ってきたあなたたちの(教育)思想的な「敗北」ですよ。そのこと、わかっていますか? まあ、そこがわからなくて「現場から文句言われて、けったくそ悪い」という気分だけで、こういう「文書訓告」出しているんだと思いますが。
 
こういうみっともないことするなら、私から市長・市教委上層部・特別顧問に「文書訓告」出したいです。
いや、川西オンブズ時代にもどって「勧告および意見表明」でしょうか。
 
2:「ニアイズベター」と市教委が本気でいうなら、「校長の意見」こそ大事にされるべき。
 
なんで久保さんが「文書訓告」なのか? あなたたちに、こっちが文書訓告出したいくらいです。
 
ええ加減にしなさい! 市教委が施策運営にあたってニアイズベターとかいうなら、学校現場の校長の意見をもっと聞きなさいよ。
 
大阪市教育振興計画(令和3年版)の「用語解説」に、
「【ニア・イズ・ベター(補完性・近接性の原理)】住民に近いところで行われる決定ほど望ましい、という地方分権の基本的な考え方」
とあります。
だったらあなたたちより、校長の意見の方が「住民に近い」のではないですか?
 
ただ大阪市教育振興計画(令和3年版)では、この「二アイズベター」で住民に近いところで決定するのは「区長兼市教委教育次長」みたいな位置づけにしてる人です。でも、それがそもそも間違ってるんとちがいますか? 区長がいくら市教委の次長兼務しても、子どもという住民からは遠いと思うのですが。
 
おまけに大阪市学校活性化条例(=それこそ橋下改革でつくった条例)で、校長が法令等にもとづいて学校運営の最終決定を行うって規定しています。だとしたら大阪市の子どもの教育についての「二アイズベター」は、区長(兼教育次長)でなくて、校長が判断するのでないとおかしいでしょう。

そして、その学校現場の校長・久保さんから、「この教育振興基本計画のとおりに現場で動いてみたけど、うまくいきません。なんか根本的に方向性がおかしいのとちがいますか?」的な意見が出されたのが、このたびの一件。だとしたら、本当に変わらなあかんのは、市教委上層部・特別顧問・市長。それが二アイズベターの発想でしょう。
 
でも、そういう指摘した校長に対して、説得力ある教育論を提示できず、逆に文書訓告だしてくる。あなたたちは結局、教育論ではなくて、自分らのもってる権力で黙らせるしか方法がなかった。これは結局、教育思想的にはあなたたちの「敗北」「負け」です。
 
3:大阪市の教育振興計画の策定過程や総合教育会議の議論の内実自体から疑う必要性
 
ただ、これを機会に、ちょっとどこかでまとまった時間とって「大阪市教育振興基本計画(令和3年度)」それ自体と、この計画を審議した総合教育会議(去年秋)の議論の問題点を整理して、きっちり批判しようと思います。私から見たら、いろいろ「問題あり」だなと思うので。
 
新聞記事などによりますと、市教委は「処分理由について、『他校の状況を把握せず、独自の意見に基づいて市全体の学校現場が混乱していると断言したことで市教委の対応に懸念を生じさせたと説明。』さらにSNSで拡散されたことが信用失墜行為に当たるとした」そうです。
 
でも、ちょっと考えてみてください。大阪市内の一校長に批判されたくらいで大混乱するような市教委の対応と、その前提になっている大阪市の教育振興基本計画。それ自体に大きな問題があったり、その「決め方」に問題があったりするんじゃないでしょうか? そもそも「そこに問題があります」という提言が、久保校長の提言ではないのですか? 
 
市教委上層部や特別顧問、そして市長にとっては、「一校長に自分らがつくった計画が批判された。それがけったくそ悪い!」というだけの「文書訓告」ではないのですかね、この対応?
 
あるいは市長の恫喝に便乗するかのような一部大阪維新の市議の「処分」に関する質問が、大阪市の議会であったと聴いています。そういう質問への対応が「めんどくさい」から「文書訓告出してしまえ」みたいな対応をしているんではないですかね? それでいいんですか、大阪市教委の上層部?
 
なにしろ私から見ますと…。去年秋の総合教育会議のICT教育関連の議論も、感染症対策の話も、ほんとうにいいかげんですしね。その分野では実務能力も研究業績もあまりない特別顧問の意見が変に大事にされすぎていて、「これじゃあかんわ」という感じです。
 
たとえば、私よりもはるかにその分野(=後で述べるいじめの重大事態対応のこと)では研究業績も現場実践の経験もなさそうな特別顧問が、この間の総合教育会議や教育振興基本計画づくりのプロセスで、市教委にいじめの重大事態対応、特に調査委員会運営について提案していたりしてますからね。「この特別顧問、なにがわかってるの?」です。
 
それこそ総合教育会議での議論や、教育振興計画づくりの検討において必要があれば、たとえば感染症対策の専門家や、いじめの重大事態対応の先進的な事例の経験者を、特別顧問に加えて呼んで来ればいいのです。なぜ大阪市長や大阪市教委は、そういうことを去年の秋、やらなかったのでしょうか? ちょっと調べれば、誰を呼んで来ればいいかわかったのではなりかせんか?
 
なお、こんなこと言うとすぐ「お前が特別顧問やれ」とかいう批判・非難する人いるから先に言っておきます。
 
私は同じ大阪市の子ども青少年局で保育事故防止マニュアルづくりの仕事もしたし、今も西成区内の中学校に生徒指導の助言で定期的に通っています。かつては大阪市の青少年社会教育の施策づくりの仕事もしました。

だから、大阪市教委の大好きな「ニアイズベター」ってことばの意味からしたら、私のほうが大森特別顧問より、大阪市の公立学校や市教委に「近い(=ニア)」存在かと。だから「お前が特別顧問やれ」とか言う人いたら「もうすでに大阪市教委等々の仕事手伝ってるわ。いつでも交代可能」と、先に言うておきます。
 
4:久保校長をはじめとする大阪市内の教職員・管理職、そして子どもや保護者を応援したい人々へ
 
先ほど、このたびの「文書訓告」のことで、久保校長をあらためて応援するコメントをツイッターで見ました。
 
こんな感じで、久保さんを含む大阪市の教職員・校長と子どもや保護者への励ましの声を。同じくらい「文書訓告」しかできなかった市教委と市長、特別顧問らに批判の声を。それぞれネット経由でもいいので、どんどん強めてください。それが「みっともない姿」をさらけだした教育行政を、鍛えて、しっかりさせる道のひとつです。
 
「みっともない」教育行政は、たとえば形だけのパブリックコメントやるとか、自分たち好みの市民の意見を聴いて「はい、聴きました」とアリバイづくりして、教育振興計画などをつくってきます。でも、それはしょせん「自分たち好みの声」でしかありません。要は「みっともない」教育行政は、見たいものだけ見てるわけです。

「自分たち好みの声」にならされた「みっともない」教育行政は、自分たち好みでない意見や、自分たちの見たくない現実に直面したときに、パニックになりがち。そのくらい打たれ弱くて、それではまともな教育行政の運営できません。なので誰かが日常的に文句言い、見たくないものみせて「訓練」しておかないと。
 
以上が、この2日間ほどの間にツイッターとフェイスブックに書きこんだことに、あらためて手を加えてブログ記事用に直したものです。転送やシェア等はご自由に使ってください。

 


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「あの頃の大騒ぎはなんだったのか?」という検証作業が必要(久々に神戸の教員間いじめ問題関連)

2021-08-12 18:55:53 | 受験・学校

忘れないうちに、今日は続けてブログ記事を書いておきます。今度は2年前(2019年)の秋に「大騒ぎ」になった神戸の教員間いじめ問題関連のことです。

このブログでも、2年前の10~11月頃の記事を見てもらえれば、何度もこの問題を取り上げて論じていたことがわかると思います。

また、2020年に入って「新型コロナ禍」がはじまるまで、私はくり返しこのブログで、この件での「激辛カレー」を食べさせられている映像を流して「大騒ぎ」をつくったマスメディアのあり方や、その「大騒ぎ」を鎮めるための神戸市長や市教委の事務方がとってきた対応に問題があることも書いてきました。

その上で、私は2019年10月のこの事件がマスメディアで取り上げられた当時から、ほんとうにこの学校で暮らし続ける子どもや、そこに子どもを預ける保護者、今後もそこで働き続ける教職員の意見などを聴きながら、学校の再建策と加害教員への対応、被害にあった教員へのケア等々をバランスよく考えていくような調査・検証作業を行って、再発防止策を着実に実施していくことが必要であること。また、そのためには、加害教員の処分問題に特化しているような弁護士ら法律の専門家だけの調査・検証作業ではダメで(=だから神戸市長や市教委事務方の対応ではダメということ)、いじめの重大事態の対応を参考例として、教育学や心理学・精神医学等の研究者・専門職なども交えたチームで検証すべきだということ。そういうことも、このブログで書いてきました。

さて、あれから2年近くたちましたが、先週、こんな記事がでていたこと、ご存知でしょうか?

神戸教員間暴行、加害側2人の「給与差し止め違法」 神戸市人事委(神戸新聞、2021年8月5日付け)

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202108/0014565439.shtml

元教諭2人の休職取り消し 教員間いじめで神戸市人事委(時事通信、2021年8月4日付け)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021080401292&g=soc

「えっ、なんのこと????」と思われる方もいるかもしれませんが…。

2019年10月はじめに、この教員間いじめ問題がマスメディアで報道され「大騒ぎ」になったとき、当初、神戸市教委は加害教員とされた教員4人を「自宅待機」にしました。その対応に際して、「こんな教員らに給与払うな!」等々の世論のバッシングが起こり、慌てて神戸市長・市教委らが加害教員らの休職処分と給与支給停止等に関する条例制定(実際は既存の条例の改正手続き)を行い、当時開会中の市議会にかけました。

でも、この条例制定については、市長がいろんな言い訳をするものの…。その時点でも市議会でも異論がでましたし、労働法の専門家などからも批判がありました。それでも市議会でこの休職処分と給与支給停止等に関する条例は、その月末に可決。さっそく加害教員とされた4人の教員にこの休職処分、給与支給停止が行われました。

ところが、その時点で加害教員とされた4人のうち、2人から人事委員会に対して異議申立てが行われました。その異議申し立てが2年かかりでやっと、このとき、神戸市教委が行った休職処分や給与支給停止等に手続き上の問題があったと、人事委員会によって認められたわけです。

ということは・・・。「あのとき、マスメディアでの大騒ぎに便乗して、『早くこの教員らを処分しろ!』だの『給料払うな!』だの言ってきた人々は、いったい、何を考えていたのか? 本当にそこまでする必要があったのか? あらためて検証が必要なのでは?」ということですね。なにしろ神戸市教委の行った2019年10月末時点での4人の教員への休職処分等のうち、少なくとも2人に対しては手続き上の「問題があった」と、人事委員会が認めたわけですから。

いかかですか? 今、冷静にふりかえれば、この人事委員会の判断のとおり、私がこのブログでいろいろ書いてきたことのほうが、当時の「早くこの教員らを処分しろ!」みたいな「大騒ぎ」「熱狂」の方よりも、「妥当なこと」だったと思いませんか?

どれだけ加害教員の行為に問題があったとしても、マスメディアで大騒ぎをして「早く処分しろ」などという論調を煽って、結果的に市長や市教委、そして市議会などに法的に誤った対応をさせた人々がいたのであれば…。やはり、そういう点は神戸の教育世論のあり方の問題として、批判的に議論すべきではないかと思います。

ただし、この人事委員会の判断についても、私は「ほんとうにあのときの市長・市教委らが行った、泥縄式の条例制定自体「問題なし」といえるのか?」という点で、疑義が残るものではあるのですが。

というような次第で、私はあらためて2年前、2019年10月の時点に立ち返って、もう一度この「教員間いじめ問題」での神戸市長・市教委事務方などの対応の問題などを冷静に検証すべきではないか・・・と考えています。


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金メダルかじる暇があれば、いじめの重大事態の再発防止をまじめにやってください、名古屋市長

2021-08-12 18:06:21 | 受験・学校

河村市長がかじった金メダルを交換へ 費用はIOC負担(YAHOO!ニュース 2021年8月12日付け)

https://news.yahoo.co.jp/articles/a86cf29cbaaff3be4b0c61bb4a5afd3467c0ad5c

こちらの記事、もとは朝日新聞配信記事のようですが、YAHOO!ニュースから紹介しておきます。

多くの方がご存知のとおり、先日終了した東京オリンピックで金メダルをとった選手が名古屋市長を表敬訪問したとき、あの河村名古屋市長がその金メダルをかじったのだとか。「いったい、いいおとなが、なにやってるんだ・・・」としか思えないような、ほんと「お下劣」な行為でしかないのですが。

さて、その名古屋市長あてに、7月30日付けで、いじめの重大事態の再調査委員会報告書が提出されました。その報告書は、下記の名古屋市ホームページで読むことができます。

https://www.city.nagoya.jp/kodomoseishonen/page/0000129720.html

この再調査委員会の報告書の5ページ目に、私の名前がでてきます。再調査委員会が立ち上がるときに、調査のすすめ方や遺族と再調査委員会の関係のつくり方等々、これまでの自分の経験などをふまえて、再調査委員会のメンバーや事務局スタッフなどに講義(レクチャー)をしました。

いつも私は、拙著『新しい学校事故・事件学』(子どもの風出版会、2017年)などをふまえて、例の「ハの字図」や「AB図」モデルをつかいながら、遺族と学校、教委、調査委員会(再調査委員会)などの関係が険悪なものになっていくプロセスを、調査委員会(再調査委員会)レクチャーでは説明しています。この再調査委員会のみなさんも、そのレクチャーを受けて調査に臨み、報告書をとりまとめたものです。

また、再調査委員会が立ち上がる前に、「どうすれば当初の名古屋市教委や学校の調査の問題点を指摘して、再調査にもっていくことができるか?」について、遺族の方と面談をしたこともあります。

だから、この再調査委員会の報告書については、遺族の方及び再調査委員会関係者との関係の両方から、私は名古屋市長及び市教委の両方に対して、「調査結果及び提言の内容をふまえて、きちんと市長・市教委で総合教育会議を開いて協議して、今後の再発防止策を数年かけて実施してください」と思っています。「それが市長及び市教委の責務でしょう?」とも思います。

「ほんとに、金メダルかじってふざけている場合か! 市長としてまじめに職務に専念しろ!」

そう、名古屋市長には言いたくなりますね。

ちなみにいまの地方教育行政の制度上、教育長と教育委員は市長が任命する(ただし議会の同意が必要)かたちをとっています(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)。

したがって、教育委員会のトップとしての教育長が再調査委員会報告書提出後、遺族に対して不適切な発言をするということは、市長には「教育長たるべき人を見る目がない。教育長にその程度の人物しか選べないような市長だ」ということでもあります。したがって、あらためていま、教育長及び教育委員の選任をした市長の見識が問われているということでもあります。そのこともお忘れなく。

もうひとつついでにいうなら・・・。こういう「金メダルかじる市長」を「おもしろいおじさんだ」などといって、これまでの市長選挙で投票した名古屋市民。あるいは、事あるごとに話題として取り上げてきたマスコミなども、「ほんとうにこんな市長を選び続けていていいんですか?」と、併せてお伝えしておきます。

そして、名古屋近辺の同業者たる教育学の研究者及び近接領域の研究者・専門職(弁護士、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、心理学や精神医学の研究者等々)たちへ。

「いま、ここであなた方が発言して、名古屋市長と市教委に対して『きっちり再発防止策の実施をしろ!』と言ったり、あるいは、その再発防止策の実施に積極的に協力しようとしなくて、いつするんですか? あなた方が日頃『子どもの人権守れ』とかいろいろ言うてきたのは、なんのためですか?」

このことも、最後にあらためて伝えておきます。日頃、SNSなどで威勢のいいこと言っておきながら、肝心のこういう場面ではさっぱりダメ、まともに市長や市教委に苦言ひとつも言えないような教育社会学者なども、名古屋あたりにはいますからね。


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大阪市の小学校長から松井市長への「提言」に関して(その4)―教職員への「いじめ」と首長の「無責任」を生む「首長主導の教育改革」を問題にすべき時期―

2021-06-03 19:46:56 | 受験・学校

松井大阪市長 法曹関係者らの声明に不快感「処分すると一言も言ってない」オンライン授業巡り(ヤフーニュース(東スポWEB) 2021年6月2日)

https://news.yahoo.co.jp/articles/6e368cc55789c534e80da592cdefa72775455092

松井大阪市長が「職務専念義務違反」と現職校長の「提言」に対して発言している。

なおかつ、その首長発言を受けて、首長の出身会派の議員が大阪市教委に対して市議会(市会)で、「処分」に関する質問をしている。

その市教委が市議会で質問した議員に「調査する」といって、実際に調査に動いている。

にもかかわらず、市長は「自分は処分するとはいってない」という。

・・・これって、学校のいじめの大ボスが、「パシリ」みたいな連中に悪事をさせて、自分は「そんなこと、やれというてない」ととぼけているのと、構造的には酷似していますね(生徒指導担当の教員なら、こんな大ボスをどうやって「指導」するか、腕の見せ所って感じですね)。

「首長主導の教育改革」は、自分に異議を申し立てる校長以下の教教職員に恫喝をかけるために、市教委と市議を「パシリ」にして、市長を「大ボス」にする。

そういう「いじめ」の構図を生み出しているように思いますね。

なおかつ、「都合のいいことは市長である自分の手柄。都合の悪いことは市教委の問題」と、責任を市教委になすりつける構図もつくっている。

「市長の無責任体質」を助長するのも、この「首長主導の教育改革」のように思えてなりません。

ちなみに大阪市の「教育振興基本計画」そのものの内容に問題があって、オンライン学習を緊急事態宣言がでたときにやったら、学校現場で矛盾が噴出。

その矛盾の是正を校長の立場から「提言」することは、大阪市の教職員の「職務」ではないんですね、松井市長。

大阪市の教職員は、この「いじめ」の大ボスのいうことをなんでも真に受けて、「パシリ」のように使われている市教委の言うことを「ただきくだけ」なのですね。

で、いう事聴かなかったら、あなた自身は手を汚さずに、もうひとつの「パシリ」である維新の市議が、同じように「パシリ」である市教委に、市会で恫喝をかける。

なおかつ、「パシリ」である市教委に手を汚させて、市長自身は手を汚さず、きれいなままでいる。

常に自分は手を汚さず、汚い仕事は「パシリ」である市教委と、維新の市議任せ。

あなたの言っていることは、そういうことなんですよ。わかりますか、松井市長?

ご自分の主張されていることがなにを意味しているのか、もう少し、よく考えたらいかがでしょうか?

ほんとうに「無責任」きわまりない「首長主導の教育改革」の構図だと思うのですが、松井市長、いかがですか?

あなたが判断して決めた「教育振興基本計画」だとおっしゃるなら、それで大阪市の学校が大混乱しているなら、松井市長、あなたが責任とって辞任されてはいかがですか?

校長の「職務専念義務」以上に、あなたの市長としての道義的・政治的な責任、そして教育振興基本計画を決めた者としての責任はどうなるんですかね?

ちなみに、このような「首長主導の教育改革」の構図をつくったのは、最終的には国政レベルの教育改革ですよね。

なおかつ、いじめ問題とかで「首長主導の教育改革」容認の流れをつくった教育評論家、教育学研究者は、そういう構図の形成に加担した人々だと私は思います。そういう教育評論家、教育学研究者にも、この件、責任とっていただきたいですね。自分らの考えてきた「首長主導の教育改革」とはなんだったのか、ぜひとも反省と総括をしていただきたいところです。「ええ加減なこと言ってきたあなたたちも問題です」と、この際、伝えておきます。


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大阪市の小学校長から松井市長への「提言」に関して(その3)―「総合教育会議」の去年の議論自体が検証されるべきでは?―

2021-06-01 18:21:13 | 受験・学校

NHKの今朝のニュースで、「大阪市のオンライン学習 約半数で通信トラブル」が流れたとか。

大阪市のオンライン学習 約半数で通信トラブル

(NHK関西NEWSWEB 2021年6月1日7時8分)

ただ「システム改修」でどうにかなる問題ではなくて、「これって根本的に、大阪市の教育施策の方針自体がおかしいのでは?」というのが、私の見解。

なにしろ、私の調べたところでは、もともと去年秋(9月)の総合教育会議で・・・。

「惨事便乗型」教育改革として、新型コロナ禍下での学力向上策だとかいって・・・。

「中国でもやってる」とかいう特別顧問の主張とか。

大阪市内の先進的な取組みの学校の議論とか。

そういう「ええ話」とか「うまくいっていること」だけ見て導入したのが、このオンライン学習。

その時点で問題点とかデメリット、別の方策の検討とか、総合教育会議ではきちんと議論できてない。

そして、その浮かれ気分のまま今年の教育振興基本計画にオンライン学習を組み入れ・・・。

この4月、松井市長の思いつきで、緊急事態宣言が出たときに「オンライン学習やる」ということになり・・・。

見事に1カ月程度で、その破たんが見えた。

ということは、もともと「その程度のプラン」でしかなかった、ということですわ、このオンライン学習実施の計画自体が。

そもそも去年9月の総合教育会議の時点で・・・。

「いま、これが急いでやらないといけない施策なのか?」

「学校の新型コロナ対応には、もっと他にやることあるんじゃないか」

「だいたい、学力向上やICT教育を捨ててでも、今は子どもの命を守る取組みの方がいるんじゃないのか?」

「感染症専門医の意見も聴いて、学校での新型コロナ対応について議論すべきではないのか?」

という風に思うんですけど、私。

でも、そういう別の切り口からの議論、総合教育会議で去年9月、やっていないですからね。

もう「学校でのオンライ学習導入」という結論ありきみたいな、そんな感じだったのでは?

だから、このオンライン学習のを決めた総合教育会議それ自体が、根本的につくり変えられなければいけない。

「もう一度、総合教育会議のメンバーを入れ替えて、大阪市の教育振興計画を一から議論し直せ」

そういいたいですわ、私。

要するに市長と教育長、教育委員、特別顧問の「総入れ替え」ですけどね。


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大阪市の小学校長から松井市長への「提言」に関して(その2) 先週(5月23日)時点でわかった経過に即して考える

2021-05-30 14:39:09 | 受験・学校

今度は「その2」です。かなりの長文になりますが、先週日曜日(5月23日)時点までにわかった事実経過に即して、大阪市の小学校長から松井市長への「提言」に関する動きについてのコメントをしておきます。

なお、以下に書く内容のうち、事実経過の部分は、次のブログの内容を参考にしています。

「大阪で、いま起こっていること/事実経過のまとめ」
http://www.labornetjp.org/news/2021/1621915486160staff01
(2021年5月21日付け)

また、ここで私が星印をつけてコメントしている内容は、上記の「事実経過のまとめ」のもとになった部分に対して、フェイスブック上で5月23日時点でコメントをした内容を手直しして掲載しています。したがって、その後わかってきたことは、まだ反映されていません。その前提で読んでいただければ幸いです。

また、下記の文中の黒字部分が、上記ブログの文章。星印をつけ、色を変えている部分(紫色)が、私のコメントです。

〈1発端〉
 ことの発端は、4月19日記者会見で松井市長が、何の権限もないにもかかわらず“緊急事態宣言が発令された場合、大阪市立の小学校と中学校を原則オンライン授業に切り替える”意向を示したことです。マスコミは一斉に報じ、学校現場は不安に陥りました。

https://youtu.be/KQ9BfK51dqk

※ 大阪市立小中学校、宣言発令なら原則オンライン授業に(日経)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1944K0Z10C21A4000000/

★この段階で、なぜマスコミは市教委(教育長・教育委員の合議体及び事務局の双方)に「裏づけ」を取らず、一斉に報道したのか? もしもここで最初にマスコミが「裏づけ」をとって、「市教委としてはなんの連絡もない」という話を確認できていれば、松井市長の「暴走」ということが明らかになったかと思います。したがって、マスコミは松井市長の動きを「追認・加担」したのではありませんか。マスコミの責任が問われます。もしこの時、マスコミが松井市長のいうことをすぐに報道するのではなく、「もうちょっと慎重に市教委などに裏とってから、発言の問題点を含めて情報を流しておこう」と最初から動いていれば、もっと状況は違った展開になったでしょう。

〈2大阪市教委の奇妙な方針〉
 4月22日大阪市教育委員会が小中学校に通知した方針は何とも奇妙なものでした。“小学校は、2限目までオンラインやプリントで自宅学習を行い、登校後4限目のみ教室での「指導」、給食を食べたあと帰宅させる。中学校は、午前中は自宅でオンラインやプリント学習、登校して給食を食べたあと、教室での「指導」を行う”というものでした。大阪府内の他の小中学校は、“通常通り授業を行う”ことが通知されるなか、大阪市の小中学校だけが「通常授業」ができないことになったわけです。
★この件が事実としたら、市教委事務局はなぜ松井市長の暴走に対して「まだ総合教育会議を開いて正式な市長からの要請も出てないのだから、そこまで動きを待とう」と言えなかったのか。なぜここで市教委事務局の「忖度」が働いて、マスコミ報道された松井市長の動きを「後追い」するかのような方向性で学校現場に方針を出す形で動いてしまったのか。その「検証」が必要です。

〈3現場は大混乱〉
 4月25日緊急事態宣言が発出され、翌26日から、この奇妙な方針を実行することが求められた大阪市の小中学校では大混乱が起こります。
 一部ですが生の声を紹介します。中学生からは、「緊急事態やのに給食を食べる意味がわからん。不正会食?じゃないのか」「去年の分散登校でいいんじゃないのか」。保護者からは、「オンラインも、通信テストして以来全く進んでいません」「保護者、子どもでさえも中途半端な事してるなーってわかってるのに上の人達は何故それがわからない?って疑問です。しかも大阪市だけこのスタイル…この大阪スタイル、ほかの自治体から馬鹿にされてる事気付いてないの?って言ってほしいです」「小学4年生男子の保護者です。オンラインテストではログインすら出来ていない子がたくさんいたように思います。すぐにログイン出来た子は持て余し、ログイン出来ない子は苦戦してるのか諦めモードなのか…とても授業が成り立つには程遠い感じでした」。
 そして教員からは、「3時間目から登校して給食を食べて5時間目までの3時間授業です。国語や算数などの授業をしていても時数計算は全て特別活動の時数で計算せよと、わけのわからん指示が教育委員会から出されました」「うちで(タブレットが)配布されたのは今年の4月で、子どもたちは、ほとんど触れることなく、緊急事態宣言に入りました。低学年の子どもは、IDとパスワードの入力だけで、たくさんの時間がかかり、操作どころではありませんでした」「teamsの接続テスト、ネット環境がない生徒への対応、予備の接続テストなどに追われ、教育に充てる時間がない。学校がお客様サポートセンターのようになり、明らかに教員の業務の枠を越えている。もちろん、去年から準備はしていたが、それでもこの状況」。
 つまり、大阪市の小中学校ではハード面でもソフト面でも「オンライン授業」の基盤は整っていないにもかかわらず、その実施が求められたわけです。小中学校の中には、子どもの現状や保護者の希望から、子どもの登校を朝から受け入れるところも出てきました。

※ブログ「子どもを追いつめるな!市民の会」
緊急事態宣言下の大阪市の学校は?!
http://no-testhyouka.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-b6f01b.html

★この1年ちょっとの間に、松井市長と大阪市教委は、もしも本気でオンライン授業を全面的に大阪市内の小中学校に実施するなら、それが可能になるための条件整備を「すべての子どもと家庭」を対象にやるべきでした。それは、国連子どもの権利委員会の「新型コロナ感染症に関する声明」(2020年4月)の趣旨に沿う取組みです。それができていない以上、学校現場で混乱が生じるのは「当たり前」のこと。とすれば、やはり松井市長と大阪市教委は「教育の条件整備、特にオンライン授業実施に関する条件整備を怠ってきた」「子どもの権利保障の観点から言えば、市長と市教委には、オンライン授業実施に関する条件整備をこの1年ちょっとの間にきっちりやるべきだった」という話になります。

〈4教育委員会会議で出た驚くべき内容〉
 5月11日開催の大阪市教育委員会では、事務局の報告に約40分の質疑応答が行われました。委員から、“4月中教育委員会議が開かれなかったため、大阪市の方針(オンライン授業や給食)をテレビニュースで初めて知った”という事実にも驚きました。また、ここで文科省の見解では、“オンライン授業”は、授業時数としてはカウントできないこともわかりました。

※2021.5.11大阪市教育委員会会議動画 https://youtu.be/_wb0vFaDvog

★いったい大阪市の教育長及び教育委員の合議体は、今年4月から5月11日までのあいだ、いったい何をしていたのでしょうか? 市長の「暴走」した要請をテレビニュースで初めて知ったとして、その時点で教育長及び教育委員が全員臨時に集まって、対応を協議することもできたはず。また、そこで「正式に総合教育会議を開いて、市長としてあらためて要請を」と記者発表するなどの対応もできたはずです。あるいは、市教委事務局からも、そういう「意見具申」を、教育長及び教育委員に対してできたのではありませんか? 「市教委(合議体部分と事務局の双方)は、ただ市長の意向を<後追いして尻拭いする>だけの機関ですか? ただ市長の意向を学校現場に伝えるだけのメッセンジャーですか?」と、この際、言っておきます。

〈5知らなかった松井市長〉
 5月13日松井市長は記者からの質問に“なんのためにオンライン授業をしてきたか、授業時数としてカウントされないのはおかしい。今日にでも萩生田文科相に電話する”と回答しましたが、文科省が、現時点で教員の立ち会いのないオンライン授業を「授業」として認めるとは思えません。このニュースに学校現場はますます疲弊していきます。
※2021.5.13松井市長記者会見書き起こし
https://news.yahoo.co.jp/articles/4b0b028129672b2b33305ca560d7e4f112de94b4?page=3
※同上文字起こし
https://news.yahoo.co.jp/articles/f411d4dbd5a840c9a3005437e022582c8aed9bf9?page=2

★要するに上記の経過からすると、4月の時点で、これが「授業時数にカウントされないことすら知らない」のに、松井市長は「オンライン授業をやれ」と要請したということになりますね。「だから首長主導の教育改革って危ない! 首長が教育の細かいことわからずに、好き勝手な提案して暴走する恐れが高いからだ」と、この場で言っておきます。でも、松井市長の要請を「既定方針」であるかのように「裏づけ」を取らず報道したマスコミと、市長「要請」を「忖度」した方針をおろしてしまった市教委のあり方も、この経過のなかでは併せて問われます。

〈6現職校長の提言〉
 その最中に大阪市立木川南小学校久保敬校長が松井市長に「提言」を出したことがわかりました。私が知ったのは5月17日でしたが、正直感動しました。大阪の学校現場で長年携わってこられた方ならではの視点からやむに止まれず書かれたことが伝わってきました。翌18日には共同通信がこのニュースを取り上げ、ヤフーニュースでも掲載され多くの人が知ることになりました。

※2021.5.18yahooニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/0a02728a512af57721ab28ab434595528a82e515

★久保校長が「提言」というかたちで、きわめて穏やかに、この間の松井市長や大阪市教委の対応に対して意見を述べているのは、とても「まっとうな行為」です。また、久保校長が「提言」を出す前から、今回の緊急事態宣言が出たあと、一部の教育ジャーナリスト(下記参照)などが大阪市の学校の混乱ぶりを伝えていました。なので、久保校長が伝えていることは、すでにある程度「公に知られている事実」も混じっていることです。

※前屋毅「そもそも実施は無理だった大阪市のオンライン授業、学校現場は大混乱」

https://news.yahoo.co.jp/byline/maeyatsuyoshi/20210514-00237736/ (2021年5月14日)

〈7弾圧のはじまり〉
 すると、何が起こったか?!5月19日大阪市教育委員会は久保校長を呼び出し事情聴取を行いました。それがわかったのは、5月20日大阪市会教育こども委員会で、大阪維新の会杉村幸太郎委員がこの件について質問したことによります。事務局は、事実関係の調査中であると断りながらも、大阪市職員基本条例4条、地方公務員法33条を持ち出し、一般論として懲戒処分の可能性もあると示唆しました。
※ブロググループZAZA
現職校長から大阪市長への提言ー大阪市会教育こども委員会における質疑応答

★そもそも、松井市長のオンライン授業実施に対する要請内容自体に問題があるとともに、たとえば「総合教育会議の開催」等の首長としての手続き面でも怪しい点があります。また、そういう問題含みの学校現場への要請を「追認」するかのように動いた市教委事務局や、5月になるまで会議を開かずなにもしてこなかった教育長及び教育委員の「不作為」も、責任を問われてしかるべきです。そう考えると、本来、学校現場の混乱を引き起こしたことを「陳謝」すべきなのは、松井市長です。また、市教委の教育長、教育委員や、市長の「暴走」を忖度したような指示を学校現場におろした市教委幹部級職員もまた、「陳謝」すべきです。その上で、もしも大阪市の市会議員が「追及」すべき問題があるとしたら、久保校長への処分ではなく、これまでの松井市長の一連の市教委に対する「要請」のあり方と、そういう松井市長の動きを「追認」するばかりの「合議体」部分の教育委員会(教育長・教育委員)のあり方です。そう考えれば、久保校長の「処分」を市議会で言う維新の議員の対応は、「市議としてやることが見当違い、一から考えなおすべし。たとえ自分の出身会派から出た市長でも、ダメなものはダメというしかない」と思います。

〈8弾圧は許さないーー支援の声広がる〉
 久保校長に「処分」?!ーー絶対に許せないという声が次第に広がり大きくなっていきました。また、久保校長とともに人権教育を担われてきた方からは、携帯ショートメールによる「提言」賛同署名も始まっていました。

★ネット署名自体は大事な取組みなので、続けてください。その上で大事なことは、身近なところに居る人にクチコミでいいので、「これは松井市長や維新の教育施策が間違っているのだ」ということを伝えてください。ネット経由だけでは、情報が伝わらない方が多々いますので。あと、できれば、たとえば署名活動のように「首長や市教委がまちがっている」と直接物申す市民の活動を拡げてください。

〈9松井市長の反論〉
 5月20日記者会見で、松井市長は自らの教育観を述べ、久保校長については「社会人として外に出たことがあるのか」「ルールに従えないなら、組織を出るべきだと思う」と批判しました。
※2021.5.20 松井一郎大阪市長 囲み会見
https://youtu.be/aNa2EN7osnU
※上記より抜粋(23秒)
https://twitter.com/senseiwakame/status/1395990755957633026?s=21

★先ほども述べたとおり、「オンライン授業が授業時数にカウントされるかどうか」も市教委に確認しないまま、先走った要請をマスコミで流す松井市長の動き方こそが問題でしょう。また、そういうことも市教委に確認しないまま要請を出す首長に、教育行政への介入権限を持たせていることも問題です。併せて、久保校長に「組織を出ろ」と言う前に、「市長もまずは臨時の総合教育会議の開催を要請して、その場でオンライン授業を要請すべきだったのでは? また、そのための条件整備のために臨時予算を組むなどすべきだったのでは?」と、松井市長には言っておきます。もうひとつついでに、「では市長は、学校で20年、30年と子どもと向き合って仕事をしてこられたのですか? そういう学校を支える教育行政の実務を、市教委で20年、30年とやってこられたのですか?」と、こちらからも逆に質問しておきます。

〈10朝日新聞、大きく報道〉
 5月21日朝日新聞朝刊は、この件を大きく取り上げました。また「提言」全文も掲載しました。全国から久保校長の提言に賛同し、支援の声が集まっています。
※ 「学校は混乱極めた」 現職校長、実名で大阪市長を批判
https://news.yahoo.co.jp/articles/fb11429d3463b5af3cf97ca88ae613e16f775b4ffbclid=IwAR1RyyjQMsFAuqB6VwfT1C8YAKQuVdbx17VLA41hu29CVu5_nEGr7bjKq7s
※ 大阪市立木川南小学校・久保校長の「提言」全文
https://digital.asahi.com/articles/ASP5N6KWMP5NPTIL00R.html?fbclid=IwAR2gor1f3QWHkbX4rfsREQCwEI6iYMXLJTVlsqS_4P929KzYEOuy3BDR1IM

★朝日新聞が大きく取り上げ、全国から支援の声が寄せられている点は大事です。もっと大きく「大阪の首長はおかしい」「維新の教育施策はまちがっている」ということが広く知れ渡ってほしいです。そのためには、久保校長と松井市長の主張の「両論併記」的記述ではなく、私がいま、星印をつけながらコメントしているようなことを、マスコミがはっきりと言えなければいけないでしょう。その点では、まだ朝日新聞のこの書き手では「ものたりない」というところでしょうか。

〈11萩生田文部科学大臣も発言〉
ついには、萩生田文科相も、21日の閣議後会見で、この件について聞かれ、「(校長から)不具合があったという報告であれば、耳を傾けて改善したらどうか」と市側に促すことになりました。
※ 文科相が大阪市側に「耳を傾けて」校長らの『学校現場は混乱を極めた』提言に対し
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20210521/GE00038405.shtml

★ここでつい文科大臣がこのような発言をすると、何かいいことやっているように誤解してしまうのですが…。本来、この件では文科省(大臣及びそのもとにいる官僚層)も責任の一端を負うべきです。というのも、2012~13年ごろに大津中2いじめ自殺事件や、大阪市の桜宮高校事件などに「便乗」するかのように、「首長主導の教育改革」ができるように、たとえば「総合教育会議」設置とか、首長が任命する「新・教育長」を教育委員会の責任者とするような諸改革をしてきたのが、時の文科省であり、政権与党です。また、そのような「首長主導の教育改革」路線の導入は、当時の橋下大阪市政の教育改革をアシストするようなもの。その結果が、今の大阪市教委(合議体部分も、事務局も)の市長への「忖度」体質をつくりだしてしまったのではありませんか。だから、文科省や文科大臣には、ご自身たちがこの数年やってきた「首長主導の教育改革」路線自体を、「教育に見識のない首長が<暴走>する場合がでてきた場合どうするのか?」を考えなかったという点を含めて、あらためて反省・総括していただきたいと思います。
 なお、この点は文科省をやめて以後、今頃になってからくり返し「ええことをいう」前川元文部科学事務次官に対しても、「あなたが高級官僚として在職した時代の施策の問題点を反省し、それを指摘する作業をぜひ、お願いしたい」と言いたいです。今回も松井市長に対する苦言をマスコミで前川氏は言っていますが、「首長主導の教育改革」路線を導入した当時、前川氏は文科省の官房長や初等中等教育局長、そして事務次官を歴任した人ですからね。

〈12賛同・支援の声大きく広がる〉
 そして、大阪では、久保校長の「提言」に賛同し、大阪市立中学校校長が自らのフェイスブック(公開設定)で、賛同者の声を松井市長に届けると呼びかけておられます。すでにTwitterにおいて「#木川南小学校校長を支持します」は6万件を超えています。
★もっともっと、幅広い市民層から、松井市長に対する疑義等を出していただければと思います。同時に、松井市長が何か言ったときに「それ、おかしい」と言えない教育長・教育委員ら大阪市教委の合議体部分、市教委事務局の幹部級職員に対しても、あわせて疑義を示していただければ幸いです。さらに維新の大阪市議団に対しても、「久保校長の処分をちらつかせるような質問をするのは、許さない」という意見を表明して、そちらもけん制していく必要があると思います。

〈13「提言」に応えるために〉
 今回の件は、オンライン授業の強制をきっかけとして起こったことですが、提言をお読みいただければおわかりいただけると思いますが、現在の大阪の公教育が果たして子どもの学びを保障し、未来につながるものであるのか、という現場からのまさに私たちへの「提言」であると考えます。この問題は今後も続きますが、今、私たちがしなければならないことは、久保校長を「弾圧」から守り「処分」をさせないことだと思います。そして、大阪の子にとってどのような公教育が必要なのか、私もこの提言を真摯に受け止め考えていきたいと思います。

★この問題は今、大阪市の小学校長が市長に投げかけた「提言」をめぐって起きていますが…。本質的には「首長主導の教育改革」を是認する2010年代の教育改革動向の問題でもあります。また、「首長主導の教育改革」を可能にする教育行政のシステムを、一定の法令上の歯止めをかけつつも、文科省(国)は是認しています。だから、日本各地どこの自治体でも、「首長が積極的に提案し、教委にやらせた改革が根本的に的外れだったり、かえって学校現場を混乱させることについて、どのような想定がなされているのか?」という問題として考える必要があります。いま、大阪市で起きているこの問題は、理論上は大阪市だけでなく、他の自治体(都道府県・政令市及びそれ以外の市区町村)においても「起こりうる」問題でもあります。そのつもりで、他の自治体に暮らすみなさんも、「わが街はどうなんだ?」とぜひ、考えていただければと思います。

<追記> なお、先ほども書きましたが、この内容は5月23日(先週日曜日)時点でわかったことを前提にして、なおかつ、他の方がまとめられた事実経過にコメントするかたちで書いたものです。また、すでにほぼ同趣旨のものをフェイスブックに書いていて、それを修正しながら今回、文章をまとめ直しました。

ただその後の1週間で、たとえば「大阪市総合教育会議」の去年9月の議論や、学校の新型コロナ対応に関するオンライン学習以外の対策等について、私なりに調べてわかってきたこともあります。そういったことを今後、同じタイトルの記事の「その3」「その4」などのかたちで、次々に出していく予定です。そのこともここでお断りしておきます。

 


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