大阪市立校:「問題行動に即罰則」検討 暴力急増背景に(毎日新聞 2014年05月18日 12時30分)
http://mainichi.jp/select/news/20140518k0000m040105000c.html
※大阪市教委が子どもたちの「問題」行動に対して、ゼロ・トレランスを導入するとか。
下記の内容はその「ゼロ・トレランス」に関して、フェイスブックにも書いたことですが、こちらにも書いておきます。
「ゼロ・トレランス」導入の前に、それを導入しなければならなくなるほど、子どもたちを荒れさせている背景には何があるのか。そこをまずはしっかりと、大阪市の教育行政や学校が考えること。
また、その「荒れ」の背景要因に一連の大阪市の教育改革があるのならば、それを一刻も早く停止すること。
そのことのほうが「ゼロ・トレランス」の前にやるべきことではないか、と思います。
だいたい、そもそも大阪市の中学校給食(弁当給食)導入で、いま、子どもたちの不満が相当高まっていると聴いています。
<以下、フェイスブックに書いたこと>
ちなみに船木正文「ゼロ・トレランス批判と代替施策の模索」(『季刊教育法』第153号、2007年6月)では、「ゼロ・トレランス」がもたらす問題として、次のことを指摘しています。
(1)マイノリティ生徒への差別的効果
「ゼロ・トレランスでは、圧倒的にアフリカ系とラティーノ系の生徒がターゲットになっているが、低学力の生徒、学習障害児、家庭環境に恵まれない生徒も多数対象になっている。」(p.30)
「ゼロ・トレランスは、差別と格差を生む社会構造を反映し、学校内の不平等を維持ないしは悪化させ、排除される生徒にとっては生涯にわたるダメージを与えると避難され、とくに社会的に恵まれない環境の都市部の学校では人種・階層と暴力・犯罪との関連性がより追及されるべき本質問題である。」(p.30)
「今日ではゼロ・トレランスが十把一絡げあるいは紋切型に適用され、暴力を伴わない喫煙や無断欠席等の軽微な違反行為を理由に、あるいはキーチェーン、ホッチキス、図形コンパス、レモン飴、喘息吸入器等が凶器や薬物とみなされて処分され、しかも重大とは言えない違反行為に対し学校が過剰に反応し警察機関による介入に依存するケースもきわめて多い。少数の重大な暴力事件のために多数の軽微な「違反」行為を包摂する結果になっているのである。」(p.30)
(2)排除生徒の犯罪再生産効果
※この論文では、全米各州でゼロ・トレランスが定められているが、26州だけが学区に代替教育の保障を命じていること。また、その代替教育の保障については学区の裁量権があり、多くが代替プログラムを制度化していないこと。その結果、懲戒処分で学校から排除された生徒の44%が代替教育が保障されない状態にある(1996~99年)ことが紹介されている。また、この論文では、代替プログラムの多くが「問題」生徒を収容するだけで、十分な教育が保障されず、疎外感や敵対心がさらに生徒の学力低下を招いているともいう。
「結局、排除される生徒は留年しあるいは学校復帰が困難となってドロップ・アウトし、非行・犯罪の原因が散在する路上に放置され、その後刑務所に収容されるケースも多い。」(p.31)
(3)ゼロ・トレランスの正当性
「生徒の個別の事情や行為の意図等に関し教育的裁量ないし考慮の余地のない権威的で杓子定規に適用されるゼロ・トレランスから、生徒は法の不公正と不合理を学び、あるいは大人からの不適正な処遇に疎外感と反抗心を強め、したがって生徒の更生と学校秩序の改善に効果を期待することはできない。」(p.31)
http://mainichi.jp/select/news/20140518k0000m040105000c.html
※大阪市教委が子どもたちの「問題」行動に対して、ゼロ・トレランスを導入するとか。
下記の内容はその「ゼロ・トレランス」に関して、フェイスブックにも書いたことですが、こちらにも書いておきます。
「ゼロ・トレランス」導入の前に、それを導入しなければならなくなるほど、子どもたちを荒れさせている背景には何があるのか。そこをまずはしっかりと、大阪市の教育行政や学校が考えること。
また、その「荒れ」の背景要因に一連の大阪市の教育改革があるのならば、それを一刻も早く停止すること。
そのことのほうが「ゼロ・トレランス」の前にやるべきことではないか、と思います。
だいたい、そもそも大阪市の中学校給食(弁当給食)導入で、いま、子どもたちの不満が相当高まっていると聴いています。
<以下、フェイスブックに書いたこと>
ちなみに船木正文「ゼロ・トレランス批判と代替施策の模索」(『季刊教育法』第153号、2007年6月)では、「ゼロ・トレランス」がもたらす問題として、次のことを指摘しています。
(1)マイノリティ生徒への差別的効果
「ゼロ・トレランスでは、圧倒的にアフリカ系とラティーノ系の生徒がターゲットになっているが、低学力の生徒、学習障害児、家庭環境に恵まれない生徒も多数対象になっている。」(p.30)
「ゼロ・トレランスは、差別と格差を生む社会構造を反映し、学校内の不平等を維持ないしは悪化させ、排除される生徒にとっては生涯にわたるダメージを与えると避難され、とくに社会的に恵まれない環境の都市部の学校では人種・階層と暴力・犯罪との関連性がより追及されるべき本質問題である。」(p.30)
「今日ではゼロ・トレランスが十把一絡げあるいは紋切型に適用され、暴力を伴わない喫煙や無断欠席等の軽微な違反行為を理由に、あるいはキーチェーン、ホッチキス、図形コンパス、レモン飴、喘息吸入器等が凶器や薬物とみなされて処分され、しかも重大とは言えない違反行為に対し学校が過剰に反応し警察機関による介入に依存するケースもきわめて多い。少数の重大な暴力事件のために多数の軽微な「違反」行為を包摂する結果になっているのである。」(p.30)
(2)排除生徒の犯罪再生産効果
※この論文では、全米各州でゼロ・トレランスが定められているが、26州だけが学区に代替教育の保障を命じていること。また、その代替教育の保障については学区の裁量権があり、多くが代替プログラムを制度化していないこと。その結果、懲戒処分で学校から排除された生徒の44%が代替教育が保障されない状態にある(1996~99年)ことが紹介されている。また、この論文では、代替プログラムの多くが「問題」生徒を収容するだけで、十分な教育が保障されず、疎外感や敵対心がさらに生徒の学力低下を招いているともいう。
「結局、排除される生徒は留年しあるいは学校復帰が困難となってドロップ・アウトし、非行・犯罪の原因が散在する路上に放置され、その後刑務所に収容されるケースも多い。」(p.31)
(3)ゼロ・トレランスの正当性
「生徒の個別の事情や行為の意図等に関し教育的裁量ないし考慮の余地のない権威的で杓子定規に適用されるゼロ・トレランスから、生徒は法の不公正と不合理を学び、あるいは大人からの不適正な処遇に疎外感と反抗心を強め、したがって生徒の更生と学校秩序の改善に効果を期待することはできない。」(p.31)