京都・奈良旅行記の続きです。
今回、奈良では奈良公園から南に車で1時間ほどの辺りにある「奥大和」とよばれるエリアを訪れました。2年前に日本美術ライターの橋本麻里さんの講演を聞いて以来、時間をかけて奥大和を少しずつ旅してみたいと思っていたのです。今回は2つの寺院を訪れました。
2つの寺院を効率よく回るために、この日はレンタカーを借りました。奈良の街の中心部から南東へと向かいましたが、高速道路を降りてからは、深い山道を分け入るように進み、車もほとんど通らないので、ほんとうにこんな山奥にお寺があるの?と心配になるほど。
そうこうするうちに、ようやくこの日の最初の目的地である、室生寺に着きました。
太鼓橋を渡った先が、広大な室生寺の境内です。正面は本坊で、実際の仏事を執り行っている場所のようです。山門の前ではお正月の飾りつけの真っ最中でした。
仁王門。赤鬼、青鬼のような二体の仁王に出迎えられ、その先、鎧坂とよばれる石段を登っていくと、金堂の屋根が見えてきます。
室生寺は奈良時代末、興福寺の高僧が創建したお寺です。江戸時代に、同じ真言宗で女人禁制だった高野山金剛峰寺に対して、室生寺が女性の参詣を許可したことから、女人高野と呼ばれるようになったそうです。
金堂(国宝・平安時代初期)
朽ちた石や柱に、悠久の時の重みを感じます。国宝の釈迦如来立像をはじめ、薬師如来立像、文殊菩薩立像、十二神将立像 (いずれも重要文化財) が安置されています。
弥勒堂(重要文化財・鎌倉時代)
本堂 (灌頂堂)(国宝・鎌倉時代)
真言密教の最も大切な法儀である灌頂 (かんじょう) を行うためのお堂で、1308年に建立。室生寺の本尊、如意輪観音菩薩像 (重要文化財・平安時代) が安置されています。神秘的なポーズにどきっとしました。
五重塔(国宝・平安時代初期)
屋外に建つ五重塔としては国内最小で、法隆寺に次ぐ古い塔です。
五重塔の先に続く長い石段を上り、奥之院まで足を延ばしてみました。
杉木立の中、ちょっとした登山のようです。
やがて舞台造りの位牌堂が見えてきました。
上り切ったところに、弘法大師像を安置する御影堂(重要文化財・鎌倉時代)があります。
ずいぶん山奥に来たと思っていましたが、眼下に集落が見えて驚きました。
もと来た石段を下りてもどりました。思いがけずハイキングまで楽しめて、心に残る古寺となりました。