セレンディピティ ダイアリー

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王様と私

2019年08月09日 | 舞台・音楽会

先週末、渡辺謙さんの来日ミュージカル「王様と私」(The King and I) を見に行きました。場所は東急シアターオーブです。

1951年にユル・ブリンナー&デボラ・カーが初演した名作を、2015年にケリー・オハラさん&渡辺謙さん主演でニューヨークのリンカーンセンターでリバイバル上演しました。今回はその来日公演で、謙さんの凱旋公演ともいうべきものです。

2015年に謙さんがミュージカルに初出演すると聞いた時には、驚きと感激で、こんな記事を書き残しています。いつか見たいと思っていた作品なので、今回の来日公演を楽しみにしていました。

謙さんが、ケリー・オハラさんの歌声を是非日本の観客に聴かせたいと願ったことから実現したという夢の競演。ケリー・オハラさんはブロードウェイの大女優で、「王様と私」で2度目のトニー賞を受賞しました。

今回の舞台でも他を圧倒するほどのすばらしい歌声で、感動して何度も涙ぐんでしまいました。謙さんとの息もぴったりで、やりとりがとても自然に感じられたのがよかったです。クライマックスともいうべき Shall We Dance? では、舞台が狭く感じるほどの躍動感あふれるポルカを堪能しました。

1860年代のシャム(現代のタイ)を舞台に、イギリスから王子たちの家庭教師として招かれたアンナと、何人もの妻を持ち、少々暴君なところもある王様とが、文化の違いを超えて互いを理解し、尊重するようになるという、クラシックミュージカルながら、今の時代にふさわしいストーリー。

列強から国を守るために、アンナの助言を受け入れて、民主化の道を模索していく王様。それと並行して描かれる、王の側室として隣国ビルマから贈られたタプティムと、恋人ルンタとの悲恋が物語に緊張感を与えています。子どもたちによる劇が「アンクルトムの小屋」というのも象徴的でした。

アンナの教育を受けた王子が、新しい時代を切り開こうとするラストに胸が熱くなりました。鳴りやまない拍手の中、3回もカーテンコールに応えてくださったお二人。いつまでも感動の余韻が残る、すばらしい舞台でした。

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饂飩くろさわ

2019年08月04日 | グルメ

6月のことですが、六本木のうどん屋さん「饂飩くろさわ」にお昼を食べに行きました。場所は麻布十番商店街の六本木寄りの入り口付近です。

こちらは以前訪れた、黒澤明監督ゆかりのお蕎麦屋さん「欅くろさわ」の姉妹店にあたります。欅くろさわと同様、古民家風の味わいのあるお店で、うどんのほか、おでんも人気があるようです。私たちはカウンターに案内していただき、軽くうどんをいただきました。

お店の看板メニューの、黒豚カレーの南蛮うどんです。豚の三枚肉がのっていますが、さらりとした味わいのカレーうどん。野菜のカレーうどんというのもあって、こちらもおいしそうでした。

私は季節限定の「糖度9%スーパーフルーツトマトのごまかけうどん」をいただきました。 濃厚なフルーツトマトのおいしいこと。コシのある讃岐うどんも好きですが、こちらのうどんは、関西風というのでしょうか。讃岐より若干細めで断面が楕円形、つるつるとしたほどよい弾力が口当たりよく、後を引くおいしさでした。ごまだれもよく合います。

シンプルゆえに、うどんそのもののおいしさがじっくりと味わえて、大満足でした。

食後に甘いものが欲しくなり「昔ながらのプリン」をいただきました。優しい甘さがとろけるようにおいしかったです。

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神代植物公園で5月に買った「ピンクフレンチレース」というバラの苗。花が終わった後に植え替えをし、剪定もしましたが、7月になって小ぶりながらまた2週間ほど花を咲かせてくれました。秋になったらもう一度咲いてくれるかな? 今から楽しみです。

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世界報道写真展2019

2019年08月02日 | アート

東京都写真美術館で開催中の「世界報道写真展2019」を見に行きました。東京では8月4日まで、のち大阪、滋賀。京都、大分に巡回します。

「世界報道写真コンテスト」の今年の入賞作品、8部門48点(組)が展示されています。今年は「世界報道写真大賞」に加え、新たに組写真を対象にした「世界報道写真ストーリー大賞」が設けられました。

ポスターの写真は、今年大賞を受賞したアメリカのジョアン・ムーア氏の作品です。トランプ政権が掲げた不寛容な移民政策によって、アメリカ・メキシコ国境で引き裂かれた母子をとらえた作品で、私もSNSで何度も目にしました。この写真がきっかけで抗議運動が高まり、政策が見直しとなったことも記憶に残っています。

スポットニュースの部・単写真3位を受賞した、メキシコのペドロ・パルド氏の作品です。メキシコ・アメリカ国境のティファナで、フェンスをよじ登る中米の親子をとらえています。昨年は中米から7000人もの難民がキャラバンを組織し、アメリカを目指して歩きました。

このキャラバンの過酷な旅は、オランダのピーター・テン・ホーペン氏が10点の組写真にし、今年の世界報道写真ストーリー大賞を受賞しています。

環境の部・単写真1位を受賞した、南アフリカのブレント・スタートン氏の作品です。ジンバブエの野生動物公園で活動する、女性だけの反密猟武装組織「アカシンガ」(勇気ある者たち)の擬態訓練に参加している女性の姿をとらえています。

シリアスな写真に不謹慎ですが、長期的な環境保護の視点に立って真摯に戦う女性の姿が神々しく、「マッド・マックス」のシャーリーズ・セロンを思い出しました。

長期取材の部・1位を受賞した、アメリカのサラ・ブレセナー氏の組写真。30点からなる大作です。ロシアとアメリカの両国において、軍事的な意味合いを持つ愛国教育が、子どもたちの活動にさりげなく組み込まれていることを知り、複雑な思いを抱きました。愛国心とは何かと考えさせられ、私にとって一番強烈だった作品です。

スポーツの部・組写真1位を受賞した、イランのフォルーグ・アラエイ氏の作品です。イランでは、女性がサッカー観戦するのに大きな制約があるそうです。この日は特別に、女性たちがスタジアムの区切られたエリアへの入場が認められたそうで、応援する女性たちの生き生きとした表情が心に残りました。

異国の文化に触れられることもこの写真展の魅力です。これはポートレートの部・組写真3位を受賞した、ブラジルのルイーザ・ドール氏の作品です。スペインのバレンシアの火祭りで女性たちが身に着ける、ファジェラという民族衣装を紹介しています。繊細なレースの装飾を施したアンティークなドレスはどれもすてきでした!

自然の部・単写真2位を受賞した、オランダのブレント・ドゥースト氏の作品です。カリブのオランダ領キュラソー島にて、脚に傷を負って、治療用の靴下を履いている、ベニイロフラミンゴの姿をとらえています。見慣れない靴下が気になるのかな? かわいい姿にきゅんとしました。

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日本の写真家の受賞はありませんでしたが、テニスの大坂なおみ選手がプレイする姿をとらえたオーストラリアの写真家の作品がありました。

今年の受賞作品は、こちらのサイトで見ることができます。
WORLD PRESS PHOTO 2019

また過去の感想はこちら。
世界報道写真展2018
世界報道写真展2017
世界報道写真展2011-2016

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