横浜焼売(シウマイ)物語2025

ハマっ子のソウルフードは崎陽軒のシウマイ。漫画書き柴犬溺愛落語らぶ晴れ時々ランニング、更新随時

柳家小三治・三三(さんざ)親子会

2014-12-21 | 落語ラブ
お久しぶりの柳家小三治師匠の高座。

噺家さんとしては3人目の人間国宝になれらてからは、初めての関内寄席です。

前売りも,早々に完売という盛況でした。

前回の関内寄席ではしっとりとした江戸の古典「芝浜」を聞かせていただきました
さて今回は。

元気いっぱいの前座さんの噺から、

小三治師匠の愛弟子、三三(さんざ)師匠の登壇。
この後に続く師匠の高座との橋渡しを
二番煎じという古典で彩りました。
火の用心の番回りの旦那衆の番小屋で暖をとりながらのやり取りが飲み食いを交えて語られます。
掛け合いの絶妙さと、酒を飲む,汁をすする、熱々のネギをほおばるといった所作が扇子一本を小道具に
リアルに再現されます。
客席が一瞬にして江戸の番小屋にタイムスリップしたかのようでした。

そして、トリは小三治師匠。

前回は病後でちょっとやせられていたように感じられましたが、今回は足取りもしっかりと登場。

実はこの日(14日)は選挙の当日でした。
さっそく、師匠の枕(前振り)はこの話題で炸裂。
永年の投票所である中学校がなくなってしまった(建物は残っていて、某NPO団体が使用中)ことに投票に行き、はじめて気がついたといいます。
師匠は東京都新宿の出身です。今の少子化人口減少の影響がリアルに伝わりました。
そこからまあ、ちょっとした選挙談義。
会場はうなずく人、拍手する人、どんどん師匠のペースに巻き込まれます。
そして語られたのは
知らないことやわからないことも知っていると言い張って話をこじつけて行く滑稽なやりとりが絶妙な
「千早振る」
江戸の発音が小気味好く、緩急をつけておおらかに流れます。
世相をぴりっと風刺して
小三治ワールド炸裂。
満場の拍手で、幕が下りました。

三三師匠の噺は旦那衆が見回りの同心をごまかそうと,燗した酒を薬だと言い張ります。
小三治師匠の噺は知ったかぶりの大家があくまでも時節の解釈を言葉でこじつけていきます。
どちらの噺も相対する側がわかっていながらとぼけて応酬する言葉の妙が面白い古典落語。
みごとに息のあった親子会でした。

良い噺を聞いた後は、おいしい食事の後の満足感に似ています。
ああ、ごちそうさまでした。

演目はこのとおり。



__
あ!ちはやふる,ってアニメも漫画もありますが、それとは全く別ものですよ。





関内寄席は桂歌丸3:降りた緞帳に意地(プライド)をみた。

2014-03-25 | 落語ラブ
おなじみ関内ホールの、関内寄席へ。

本日は桂歌丸独演会。
あの真景累ヶ淵の第4弾。勘蔵の死。



さて寄席の構成は
フルバージョンでは;前座(落語)、二つ目(落語)、色物(曲芸、漫才、鳴りもの、手品,物まね、紙切り、など)真打ち(落語時に講談)、お仲入り(休憩)、真打ち、色物、真打ち。
それぞれのプロフェッショナルが芸を披露します。

独演会の場合はいわゆるソロライブです。出演者も少ないので構成も少しシンプル。
前座、二つ目、真打ちでお仲入り。そのあと、色物、真打ち。という具合。

前座さんというのは落語会の院生。二つ目さんはインターン。真打ちに昇進して初めて一人前です。
前座さんは自分の出番が終わっても、それでお仕事おしまいという訳ではありません。
控え室では先輩芸人さんたちにお茶を入れたり、着物を畳んだり、舞台では、「めくり」をめくったり、師匠高座を整えたり…。
特に舞台の働きがよくわかるのは、寄席ではお仲入り(休憩)の前以外では緞帳が開演途中でおりることは滅多にないからです。

ところが、

前半二つ目さんが高座を降りたあと、お仲入りでもないのに緞帳がおろされました。
次は真打ち、今日は桂米丸師匠の出番です。

あれ?

ほどなく緞帳があがり、高座にはすでに歌丸師匠がスタンバイ。
この間は2,3分もなかったのですが「?」と思った人は少なくなかったと思います。

その空気を察した歌丸師匠が、おもむろにこう切り出しました。

「えー、実は、どうも腰の具合がここのところあまり芳しくなく、最近では立って歩くのもひどくつらくなりまして…」

おそらく、車椅子で舞台にあがり、前座さんのサポートで高座に着席。
そしてご開帳となったのだと思います。
「そういう姿をお客様にはいっさい見せない」という噺家としてのプライドと同時に「噺を楽しみにしているお客様に余計な心配をかけてはいけない」という配慮がそこに感じられ、頭が下がりました。

「内蔵などは大変調子よく、食欲もあるのですが…」

と話は続き、いつのまにか本題に。
気がつくと、そこは古典落語の世界。
会場に最近増え始めた若いお客さんたちにわかるように時代考証を加えながらの一席がはじまっていました。
親切と善意がちょっとしたタイミングの悪さで妙な案配に。時代は違えど、今に通じる人情の機微が大人の共感を呼びます。
最後は大岡裁きで全員大団円という、おおらかな人情話でした。
最後の下げは、しがない背負い小間物屋(行商の化粧品売り)だった主人公が、
めでたく大店(おおだな)の主人に収まることに収まることに決った時、修羅場をおさめたお奉行様にお礼を申し上げるくだり。
「こころあらたに、大店を背負って立つ所存にございます。」
するとお奉行すかざず、
「これこれ、そなたはもはや背負い小間物屋ではない。もう店を背負うことはなかろう。」
最後まで善意が通った一席でした。

そしてお仲入り。

後半はまず、色物。本日は大きなかわいい猫さんみたいな江戸屋猫まねき猫姐さんの、鳴き声ものまね。
いわゆる、ボイスパフォーマンス。小川のせせらぎまで再現してしまうんですよ。
表情たっぷりに楽しい演目。女性ならではの華やかさと暖かい高座で、みなさん思わす、ふふふふ。

そしてトリは再び米丸師匠。
今日のメイン。真景景ヶ淵の第4章。巡る因果応報に善意の人たちが絡めとられていきます。
籠が小塚原(江戸時代の処刑場)をぐるぐる迷う件は、本当に湿った風と真っ暗闇がそこにあるかのよう。
前半の明るい人情話とは正反対の、人の心が悪い方へ悪い方へと荒んでいく、これもまた人情話の有名なお話です。
さすがの米丸節にうっとり。

満場の拍手とともに緞帳がおりました。


(あ、一カ所文字がまちがっておりますなあ…お名前だからこれはいかんでしょう…)

次回の独演会は7月13日。


芝浜(しばはま)

2013-12-22 | 落語ラブ


芝浜は、古典落語の名作のひとつ。
落語を知らない人も、噺をきくと『ああ、これ、しばはまっていうのか。」というくらい、モチーフは色々アレンジされています。

暮れも押し迫って、借金の取り立てにビクビクしながらも一向に働く気のない亭主と、
亭主のやる気を彼の面子を潰さずにどうやったら起こす事ができるかと心を砕く女房の
やりとりで話ははじまります。

小三治師匠は江戸の下町の世話女房を実にきりりとそれでいて女っぽく語ります。

話の前半と後半で、みえっぱりで努力も苦労も大嫌い、困ったら誰かがなんとかしてくれると女房にも世間にも甘えていた亭主が
女房の機転でどんどん変わっていくさまを丁寧に丁寧に談じていく、まさに話芸の妙。

しずかな語り口ですが、余韻のある深い言葉選びと、それについては直接語らずに情景を連想させる演出はやっぱりすごい、としかいえません。

急に冷え込みが厳しくなった暮れの横浜でトリを飾るに相応しい噺でした。
凄いな、と思ったのは講座に上がって、そのまま噺に突入したこと。
実は中入り前の高座は枕が本題になりそうなくらい長くてびっくりしたのでした。
(柳家●太郎師匠にはよくあることですが、小三治師匠までも?と、おのろいた。それはそれで楽しいんです。いわゆるライブの醍醐味。)

柳家小三治独演会@横浜関内ホール

大入りでした。ここ最近、お客層の年齢の幅がぐっと広くなりました。

この日の演目
■元犬(もといぬ)…柳家禽大夫:人間になったワンコの噺.ワンコ好きにはたまらない。

■金明竹(きんめいちく)…柳家小三治:枕で師匠の歌った昭和歌謡がディ-プインパクト。フランク永井の「公園の手品師」でした。
 アカペラでフルコーラスしていただきました。you tube で本家フランク永井さんのバージョンを見つけたんですが、小三治師匠のテンポとちょっと違う…ような気も…
 いや、ある意味貴重な体験でした。師匠はさすがにいいお声です。

公園の手品師 フランク永井


■お中入り=15分=

■芝浜(しばはま)

*名作だけに実に多くの噺家さんが演じています。DVDなども出ていますから、聞き比べもたのしいですよ。

第2回寄席書き展

2013-11-23 | 落語ラブ
テーマはひとつ、表現は参加者の人数分だけ、それはそれは様々です。
往年の落語家さんのお宝展示も!!

仕掛人のなかむら治彦さんからお誘いただいて、素敵なみなさまとスペースを共有させていただいています。
ありがたいなあ。

頑張ります。

東京新聞ウェブ版はこちら


江東区森下文化センターにて。12月7日まで(月曜休館)
*画像をクリックするとウィンドウが開きます。


寄席描き展

2013-11-19 | 落語ラブ
テーマは一つ、表現は無限な楽しい展示会です。


ところで自分のところのディスプレイがあんまり雑だったので、ちょこっと手を入れました。

会期が長いので、また変えるかもしれません。
えーと、
自分では意識していなかったのですが、かなりマニアックなのだそう…。
一生懸命わかり易い題材を選んだつもりだったのですが。

落語が好きな方も、そうでない方もお時間がありましたらお立寄りくださいませ。

第二回寄席描き展
11月17日(日)~12月7日(土)
於:森下文化センター
9時~21時(最終日は17時まで、月曜定休)
●都営新宿線・大江戸線「森下」下車A6出口より徒歩8分
●都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線「清澄白河」下車A2出口より徒歩8分、など


関内寄席は桂歌丸独演会 2:笑点・大喜利は今年で47年目!

2013-03-25 | 落語ラブ
昨日のブログの続き。

演目はこちら


落語には噺に入る前に「枕」といって、お客さんとの間合いをはかり、これから始まる噺の世界に入りやすくする導入部があります。
これだけでも充分おもしろいので、中には「枕」で終始してしまう噺家さんもいるくらいです。

枕のおもしろさは高座での序列に比例すると、私は思っています。この話方次第で、お客さんの気持ちをグッ!と掴めるかどうか、演目を何にするかも決まって行くからです。
前座さんは噺を披露するだけで精一杯、手持の演目も少ないですからお稽古してきたことをそのとおりに黙々と演じます。
二つ目以降になると、噺家さんそれぞれに個性が出て来て、同じ演目でも解釈のちがいがその高座の味になってきます。
名人となると、もうそれは『神』
巧みにしかけられた演出に脱帽するしかありません。

さて、この日の前半。歌丸師匠の出番の枕は、笑点・大喜利裏話。

最近の寄席で、あるお客さんにこう尋ねられたそうです。

「師匠、笑点は生放送なのですか?」と。

「そうなると、今この時間(3月25日(日)16時)に私がここ(横浜・関内)にいたら大変なことになるわけでして…」
淡々と語る歌丸師匠に会場がドッとわきます。この瞬間、会場はすでに歌丸師匠の手中に入ってしまったわけです。

そのまま、笑点話でさらにお客さんは心地よくくすぐられるのです。

「笑点の生放送は年に一回です。」
会場がなんだろう?という空気になるのを見計らい
「24時間テレビ、愛は地球を救う、というチャリティ放送…」

ーああ!!と会場納得。

聞けば、笑点は何と放送47年。
第一回からの出演者で、今も現役はなんと!桂歌丸師匠ただひとり、だそうです。
ちなみに師匠は現在は5代目の司会者です。
「あと3年なんとか頑張ろうと考えております。」
「同じ番組に50年も出演していれば、必ずやギネスに載せてもらえるだろうと、信じておるわけです。」

そして笑点大喜利でのお題について。
お題は、構成作家さんたちが毎回考えて、本番10分前に伝えられるので、出演者一同必死で即興するそうです。
「毎回3本あるとして、放送回数をかけるとおそらく膨大な数のお題がだされていますね。」
「中でも苦戦したのは『純粋な日本の言葉を英語に訳すと?』というものでして…」
??
「つまり、海苔はblack paper」
「切腹は、body cut」
「格子戸にいたっては、check door」
「しまいには梅雨をsoup…汁」

ー会場は爆笑。

「そして良くあるお題が「問答(もんどう)」ですね。」

問答とはお坊さん修行から始まった言葉遊び。何何とかけて、何々と解く。その心は?というあれです。
「これも迷答、珍答ありますがこんなきれいな回答もありました。」

「「新聞』とかけて、『和尚さん』ととく」
「…そのこころは、『今朝(袈裟)きて、今日(経)読む』」
ー会場、拍手と笑い

「まあ、こんなに出来のいいのは10年に一度くらいかもしれません。」

そして噺の本題に。演目は「蒟蒻問答」

ニセ住職と、エリート修行僧との問答合戦のお話でした。


さすが。
____

前回の独演会ポスター



関内ホールのホームページはこちら。 http://kannaihall.jp








関内寄席は、桂歌丸独演会1

2013-03-24 | 落語ラブ
桂歌丸師匠の独演会。

名人三遊亭圓朝の傑作「真景累ヶ淵」全段上演のうち第二段です。

実際の上演は一部のみが殆どで、メインの因縁話の前後日談を含めて9段にもなる長編なので、全部上演する事はほとんどなかったそうです。
実に複雑な因縁話で、登場人物も毎回複雑に入り組んで、説明してもらわないとなかなか飲み込めません。
歌丸師匠はそこをたくみに、飽きさせず、原作の味をそこなうことなくぐいぐいと会場を引込んでいきます。
話は高座からのはずなのに、いつの間にか18世紀末の江戸の暗い夜を一緒に過ごしているような感覚になります。

去年の7月から夏の怪談話として始まったのを皮切りに、一段ずつできれば全話上演しようと決心されたとのこと。
寿命が先か、全話上演が先か、と前回茶化していらっしゃいましたが、ぜひ全話お元気で全うされることを心から願っています。










満員御礼、にぎわい座。今年でめでたく10周年。落語教育委員会、墨田の花火に対抗だ!

2012-07-30 | 落語ラブ
自宅近くに寄席があるって、けっこう幸せなことですね。



本日はこちら↓




私はキョンキョン(喬太郎師匠)殿下(喜多八師匠)が好きなんですが、
そこにもと相撲取り出身という異色の噺家の歌武蔵師匠がタッグを組んでいるわけで、これはもう、是非拝聴せざるを得ないじゃありませんか!!

歌丸師匠もお出迎え…。実はこちらの2代目館長さんです。先代の玉置宏さんに続いてこの寄席は館長さんにも恵まれております。

おかげさまで10周年。寄席だけでなく、地域の住民や近隣の学校の発表会や講演会、交流会などに幅広く利用されています。

こじんまりしたホールですよ。

場内はほぼ満席。(あ、この写真は帰り際に、お客さんがいなくなってから撮ったのよ。念のため)
ところが開園時間になっても幕は閉じたままです。あれ?
何となく微妙に遅れて呼び出しがはじまり、幕が開くとそこあるのは高座ではなく、
縁台に将棋をさすでかい人と小さい人が…。落語教育委員会って、こういう前説なの??

でかい方が歌武蔵師匠。小さい方が殿下こと喜多八師匠です。なにやら掛け合いコント、のようなものが始まりました。

話は一方的な歌武蔵師匠のつぶやきです。
ふとみれば、殿下は浴衣なのにステテコをつけておらず、あやうくモザイクが入る事態に…。いや実際に入ったわけじゃないけどね。
「あんた、なんでステテコはいてこないのよ?いや、だめだって!!みえるから!そっちのお客さんからまるみえだってば!!だから…!!エ?なに首に巻いてんの?」
殿下、だまって首に巻いているスカーフ?をとってひろげました…

…ステテコ…。

実は喬太郎師匠はこの日、上野浅草で三席。浅草は午後のトリというハードスケジュール。
おまけに墨田の花火大会で、移動に時間がかかり、桜木町にまだ到着できずにいたのでした。
前座さんだけではとてももたない、と急ごしらえのコントがはじまったというわけです。

観客は大喜びの大笑い。
そうこうしているうちにいきなり会場の後ろのドアから、
アロハをきてカートをひきずった白い頭の人が飛び込んできました。
キョンキョンだ!!(←喬太郎師匠)

こうして、やっと前座さんへ。
今年の9月に真打ちに昇進するという古今亭菊六(2012年真打昇進、現・古今亭文菊)さんの高座は
丁寧な語り口で、私は好きだなあ。(激応援)

その余韻のまま、次は殿下の高座。
さすがの自然体。前口上と本題の切れ目がまったく違和感ないのですよ。
羽織を脱がなきゃ、わからないくらい。(本題に入るときは羽織を脱くので、それが合図ですよ)
みかん伝道師を名乗る私にはとっても、興味深い一席でした。

中入り
キョンキョン、歌武蔵師匠と続きます。

トリの歌武蔵師匠が細やかにフォローしつつ驚嘆していましたが、キョンキョン師匠は本日4席目。
お客さんは寄席ごとに違うから、そのつど切り替えて何を話すか考えなきゃなりません。
枕を語りながら本題を組み立てるのは相当の集中力を要します。
これを既に3回こなしてきているので、なかなかモチベーションがあがらない様子…
この日も枕が長くなりそうで、
もしかしたら本題に入らずこのままオチがついてしまうかもしれないと思わせはじめ…

が、

きっちり始まったのが、

名作『孫帰る』


どんでん返しのごとく場内の雰囲気が一変。


さすがの喬太郎師匠でした。

このあとのトリは歌武蔵師匠。

「やり難い、やり難い」と連発しつつ、
でっかい身体をゆらしながら、口は悪いが心情は細やか。
この日の全体を総括する大役を見事に果たした一席でした。
楽しかったなー♪

三人三様のつばぜり合いにも似た迫真の高座。
いいなあ、いいなあ。


これだから寄席通いは止められないんですってば!!




*赤字は、勝手に私が書き込んだもの。いや-、ここで「オーイ、中村くん」をフルコーラス聞くとは思わなかった…。