夏の定番といえば今はひまわり、のようですが
昭和の小学生にとってはおそらくアサガオ。
夏休みの自由研究(当時はただの夏休みの宿題と言ってました)
観察日記といったら朝顔がダントツでした。
思えば黒い小さな種から、
双葉が種の殻を帽子のようにつけて芽を出し
双葉が枯れると入れ替わるように本葉がでて茎が伸びてツルをはり
蕾をつけて花が咲く。秋には種がたくさん取れてまた来年…
と思いつつ忘れちゃうんですけど…
植物の成長を間近に体験できたのは楽しかったなあ。
その時、
アサガオは早朝に咲くから朝顔、
昼間咲いているのはヒルガオ(昼顔)
夕方咲くのがユウガオ(夕顔)
夜咲くのがヨルガオ(夜顔)
…ってまるでガオガオ4姉妹みたいに教わったんですけど
ご存じないですか?
そもそも、
アサガオは日本の花、と思いきや実は中南米産。
それが中国に渡り巡り巡って日本にもたらされたのが奈良時代。
その当時は種子が漢方薬の下剤(強力な)になるということで栽培が始まったとか。
(胚芽の部分には毒があるので良い子は口に入れてはいけません)
色も青がほとんどで、時折突然変異種である白い花が出るくらい。
それが今のような色とりどりの品種ができるのは江戸時代に入ってから。
戦乱が収まり平和な時代が訪れると人びとの気持ちにゆとりができ、
アサガオへの関心も薬としての種子にではなく
花そのものの美しさへ移ります。
天下泰平の江戸時代には朝顔ブームがおきました。
世界にも類を見ないと言われるほど花の品種改良。
品評会も行われて色も形もとりどりの朝顔が紹介され
朝顔の定期市なども開かれるようになりました。
さてガオガオ4姉妹の話に戻ります。
結論から申し上げますと
実は4姉妹ではなかった!のです。
長女アサガオ、次女ヒルガオ、四女ヨルガオは
ヒルガオ科。そのうち長女と4女はサツマイモ属。次女はヒルガオ属。
この3姉妹はいわば両親が同じで父親似か母親似かという分類。
ヒルガオは地下茎で増えるので地面に近いところを這うように育ち、
アサガオ、ユウガオはツルを伸ばして育つので
巻きつくところさえあれば天地無用。
問題は三女、ユウガオ。
こちらはウリ科。一部の果実は食用。カンピョウの別名。
一人だけ養女だった!!って展開ですね。
よく見ると花の雰囲気は似ていますが、
葉っぱの形が全く違う。
植物学遺伝学で言えば赤の他人。
ユウガオ『私、私、アサちゃん達と違うの!私このうちの子じゃないんだ!』
アサガオ、ヒルガオ、ヨルガオ『ユウちゃんは私たちの家族だよ!だって全員揃えば夏の間24時間営業で花を咲かせていられるじゃない。力を合わせてこれからもがんばろうよ!』
<4姉妹抱き合って泣く>
ううむ…夏の花を咲く時間帯で名づけるセンスって、
昭和的…。