@片親を失くし真に相談できる人がいない生活環境は、子供にとって人生で味合う悔しさ、辛さが身に染みる思いだ。特に学生時代の「いじめ」と大人の「いじめ」共に誹謗中傷、窃盗、暴力、行き過ぎた行為など子供も大人も変わらない。「いじめ」という言葉が罪のある「虐め・苛め」で加害者の認識が変わることを信じたい。
『望郷』湊かなえ
都会から離れた島に生まれ、育った人々。 島を憎み、愛し、島を離れ、でも心は島にひきずられたまま―― 閉ざされた“世界”を舞台に、複雑な心模様を鮮やかに描く湊さんの連作短編(全六編)。
「みかんの花」父の招いた事故で「人殺し」と家族が罵られ姉が家を飛び出る。それもみかんが欲しいと立ち寄った青年と駆け落ちという噂が。だがその青年の消息はない。街を捨てた姉は一人で努力し、有名作家となり一時帰省する。
「海の星」親子三人の家族、父が突然帰宅しない消息不明となった。その日から母は一人散策を繰り返した。息子は今日の食卓にと釣りを始めると一人の「おっさん」から魚を貰い親しい仲になった。ある時「おっさん」が正装し訪れると母に「もう父は死んだ」と言ったことで家族付き合いが決裂。実は「おっさん」は父が海で死んだことを知らせ、その墓参りをしようとしたが家族の早合点で「おっさん」の意思が、母が死ぬまで遂に伝わらなかった。
「夢の国」幼い時から一度でも良いから行ってみたい場所があったが、結婚し、子供が出来るまで許されなかった。それは昔ながらの家風と祖母の時代の風習がそのまま残った躾が余儀なくされたことだった。だが、時が立ちその念願の場所にきて感じたことは決して「夢の国」ではなかったということだった。
「雲の糸」いじめられっ子が故郷を離れ、努力の末一躍有名な歌手になる。今までいじめをしていた男から自分の会社の50周年記念行事に参加して欲しいと要請されると、参加できなければ過去を暴き、姉の仕事にも影響が出ると間接的に脅迫される。参加すると嫌なことばかりで後悔する。故郷をさったのは自分が母に対しての思いが自分を苦しめていた。
「石の十字架」台風で自宅が浸水し始め瀕死の状態になる。昔引っ越してきたばかりの一人の女の子と仲良しになり、ある日伝説にある山に登ると石に刻まれた十字架を見つけた。その友情がこの台風の危機にその仲良しになった女の子の連絡で浸水し閉じ込められた家(昔の友)に救助を出したことで命拾いとなる。
「光の航路」学校のいじめ問題、先生となった昔被害者意識を強烈に持っていた父を失くし、相談できなかった本人の思い。地位権力による親の姿勢にもよるが、被害者から加害者呼ばわりされることで逆に被害者となり被害者を責めるケースもある現実はなんとも防ぎ難い。唯一いじめを受けた生徒に父(教師)のしたことは「常に生徒を観て、相談相手になる事」だという事だった。
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