MOMENT

レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、店舗型レンタル店の残日録。

地図のない町

2023-06-01 20:08:34 | 邦画
ピカンテサーカスから未パッケージの日活映画がDVD化されてリリースされてるうちの一本
ついに今年も6月に入りまして、明日から新作DVDがリリースされるってことで
ノロノロ大型台風が沖縄周辺をウロウロしてるのと
梅雨前線が列島から南下して、本日は束の間の嵐の前の静けさで東京は曇りながらも日中は雨粒一つ落ちてこないのでフラゲ兼ねて都心に出ては見たものの
ゲテモノ洋画一本だけBlu-rayを購入し後はこの旧作ともう一本邦画を購入してきましたので早速、
ってか天気の良いうちにって事で新作レンタルのフラゲも5本ほど・・・
 
って事で早速この作品から
ってこれって中平康さんと橋本忍さんで船山馨の原作を脚色されていたのね
まずは1960年の作品ですから橋本忍さんが黒澤明さんから離れてこう言った作品に参加されていたのにも驚きましたが
なんと音楽は黛敏郎さんだし、助監督に西村昭五郎さんと
かなりスタッフが豪華すぎるのに驚かされる
そして南田洋子、吉行和子、葉山良二に当時日活と業務提携していた民藝の連中がかなり出演されててそれも結構重要な役で
特に滝沢修の大悪党ぶりに安部徹さんがかすんでしまっていたのには・・・
 
戦後焼け出されて住むところを無くした人々が寄せ集まって都会の片隅で集落を作ってバラック小屋で生活しているいわゆる公共の土地を無断占拠しているとこに
自分は医療ミスで、土地のヤクザに集団レイプされて婚約破棄された心と体に傷を負った妹とともに
この町に住みつき、土地のに人々を看ている小さな診療所に勤め出した若き医者を葉山良二さん
区の方針でここに団地を作ることになり、私有地であるのは診療所だけで後は公共の場所の無断占拠っていうことで妹をレイプした梓組が工事から全般を請負い
彼らの立ち退き騒動へと発展していき
 
ヤクザが全良な市民を暴力と脅しで立ち退かせようとするって言うどこにでもあるようなお話が展開されていく中で
これがヤクザ映画なら最後に敵の親分を殴り込んで殺すからって言う寸法ですが
生憎ヤクザに抵抗していくのは善良なる小市民だけで
若き医師が大親分を殺害すべく煩悶しつつ最後は実行に・・・と、行動を決意しさぁ実行に
って言うところはさすがに橋本・中平脚本でして実にサスペンスフルかつスリリングな運びの映像表現でしたが
親分にたどり着いた時にはすでに親分の背中には医療メスが刺さってこときれていたって言う寸法
 
ここまでかなりクライマックスとしてスリリングに手に汗握らしといて
今度は一体誰が殺したって言う方向に向かうと言うツイストが実に上手い
まぁ一応はめでたし?って言う寸法で終わるものの
いっちゃん怖いのはつねに大人しく冷静な小市民だったって言うオチもうまいよね
 
佐野浅夫は一体善玉だったのか悪玉だったのか、こういった手合が一番タチが悪い
 
劇中映画は中平康さんご自身の「狂った果実」ですよね
 
1960年製作、日本映画、日活作品
船山馨原作、橋本忍共同脚本、中平康共同脚本・監督作品
出演:葉山良二、吉行和子、南田洋子、宇野重吉、小沢昭一、山内明、滝沢修、安部徹、梅野泰靖、下條正巳、高野由美、佐野浅夫、浜村純、嵯峨善兵、三崎千恵子、中西妙子、稲垣隆史、玉村駿太郎、弘松三郎、潮京以子
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イニシェリン島の精霊

2023-06-01 05:05:38 | 洋画
これもFox系のサーチライト作品という事でディズニーさんがDVDの二次使用権を有してるので
レンタルはなく、ディズニー系での配信とセルのみって言う寡占状態
確かにディズニー作品を寡占にするのはまぁ許せるとしても、マーベル作品やFox作品をレンタルから締め出すのは考えものでしかない
物理的でなく精神的に劇場に足を運べない人もこの世間にはたくさん?いるわけだし
ってことで私はセル店でディズニー配給作品のBlu-rayやDVD見るとパブロフの犬みたいに反射的にレジに持ってってしまうようで
この作品も今月前半頃に購入していたもののレンタル枯れ時って事で日の目を見たって感じでしょうか
 
しかし、アイルランドの小さな孤島であるイニシェリン島を舞台にして
2人の男の対立というか友情というか男たちの葛藤を描いたこの作品が
なんとかほど面白く見られた作品だったっていう事で
個人的には拾い物の作品だったと言えるかな
先に書いたようにアイルランド孤島イニシェリン島っていうのが肝なのね
映画の時代設定が1923年の4月1日からの数十日のお話ってことは、このアイルランドの小さな島は実に平和な村であるわけですが、内地であるアイルランドでは内戦の真っ只中であり
劇中妹さんの手紙にもあるようになんとか停戦の兆しが見えてきた時でもあるわけで
 
ってことでイニシェリン島に暮らすパードリックはある日、突然昨日まで親友であったコルムから絶縁を告げられ
長年友情を育んできたはずだったコルムが何故突然そんなことを言い出したのか理解出来ないパードリックは、なんとかコルムとの仲を取り戻すべく事態を好転させようとするがコルムは頑に彼を拒み続ける
パードリックの賢明な妹シボーンはなんとかしようと試みるもののこれも目的が果たされず、コルムから“これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす”と恐ろしい宣言をされてしまい
コルムはなんと指の切り落としを実践してしまう
そしてついにコルムは左手指輪4本迄も切り落とし、その指を食い物と勘違いしたロバまでが死んだことで
パードリックはコラムの家に火を放つのであった
 
まぁアジアの住民ですから詳細はわからないまでも、この戦禍に見舞われない小さな島でのたった2人の男同士のこの争いが
時代背景としてのアイルランド内戦の寓話であるってことだけは理解できるわけでして
そういう小さなことから取り返しのつかない永遠の未来へと続いていくだろうと言う寓意までをも読み取れる訳で
これを当該の国の人が見ればもっとこの作品の寓意が読み取れるんだろうけども
私自身もそれなりに感じ取れるって事で
ラストシーンの2人の語らいが実に意味深長だったなぁ
何せこの内戦が今日の北アイルランド問題の根幹をなしてることからも推察できるってことですよね。
 
2022年製作、アイルランド・イギリス合作映画
マーティン・マクドナー脚本・監督作品
出演:コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、ケリー・コンドン、バリー・コーガン、パット・ショート
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