月も下旬となりレンタル作品の枯渇が甚だしいために未見の山から漁り出してきたこの作品
実は先に書いた「蛇の道」との二部作でこっちの作品が二作目だったんですが
何せ極端に事前の情報入れない人ですから二作目の方を先に見てしまい
どこかフワッとした作品であんまり締まりが感じられなくて
オープニング哀川翔さん演じる新島が、なんと娘の仇と掻っ攫ってきた寺島進さんを拷問の末にたたっ殺してしまい
って寺島さんちゃんとしたクレジット位置に配されてるのに台詞なし、椅子に縛られて殴られ蹴られて撃たれて死ぬだけの役だったなぁ
これで娘の敵討ちが完了して
後は普通に暮していくだけ・・・の新島ですが、何か物足らない
今作での新島さんはリーマンで家族持ちで奥さんと亡き娘を偲んで暮しているという設定
奥さん役には中村久美さん、娘の死から6年後の世界観ですが
全仇を取った後には高揚感もなく、今ではなんと生きる目的も見失った新島さんに1人の男が近づいてくる
ダンカン演じる高校の同級生だった岩松が声をかけてきて
自分は貿易会社をやってるから転職してこないかって誘われる
そう哀川翔さんが闇で拳銃購入した時に顔写真を撮られてて、それが闇社日本出回っていたのを見ての勧誘だったんですねぇ
ダンカンさんの会社は表向きは貿易会社ですがその実態は組織傘下の殺し屋集団で
カレのここまでの実態を知って誘ってきたわけ
転職してきて早速殺しのお仕事が舞い込んできて確実に機械的にこなしていく哀川さんですが
ヤクザのボスである大杉漣さんの望洋感とこの組織の頂点である考古学に没頭してる菅田俊さんとかみんな死んでいくんですねぇ
そしてついにダンカンさんと雌雄を決することに
っていうお決まりの展開なんですが
新島はもう娘の敵討ちっていう人生の目標を達成しちゃってるから
今生きてるのはどーでもいい人生なわけですからいつ死んでもいいわけなんですよね
でもなぜか死神が彼には憑りついてくれんという
ある意味シニカルな展開の作品となっている作品だったんですね
大杉漣さんが思想チェック気味な質問を浴びせてきたり
ボスは考古学にしか興味がなかったりとシノプシスに遊びこころを入れていたり
死んだ娘のお化けをだしてきたりとホラーテイストを加味してたりと
なかなか掴みどころのない作品でした
そこいらを評して先にフワッとしたって書いておいたんですがねぇ
1997年製作、日本映画、大映作品
黒沢清共同脚本・監督作品
出演:哀川翔、ダンカン、大杉漣、菅田俊、寺島進、中村久美、梶原聡、阿部サダヲ、佐倉萌