華道家 余田紫甫(志穂) 

いけばな嵯峨御流・華道家 余田紫甫の海辺の街での楽しいくらしと花を愛する日々

華展

2006年08月14日 | Flower
中央公会堂,嵯峨御流華道大阪司所創立85周年記念華展,テーマは 『花・水の都 』
真夏に華展を開くという事は想像したいたのよりずっとずっと大変だ。
静かに優雅に花を活けてるのが華道に対するイメージだと思いますが
その裏では力仕事もいっぱいあります。
この建物は重要文化財です。壁や床を傷つけると大事です。
会場に設置する長い竹や松の木はエレベーターに乗らず、一本づつ階段で慎重に慎重に運びました。
大切な花器の数々の扱いにも、とても神経使をいます。
その他、石、砂、花留め、どれも重いものばかり。
これはもうフィットネスと思って思いっきり汗をかいた。そして普段の体の鍛えを発揮できた!(笑)

そんな運搬中に下のホールではライブが行われていました。
独特な女性ボーカルが歌うスタンダードナンバーの”オーバーザレインボー”が聞こえてきた。
誰だろう?気になる、、周りにだれもいなくなったのを見計らって、、
眠そうにドアの前に座ってるライブスタッフに聞てみたら、なんとUAだった。これは贅沢なBGMだ。

それと設営前、めったに入れない特別室に入り、その美しさに目を奪われた。
見事な天井画(後で調べると「天地開闢」天之御中主大神が伊邪那岐、伊邪那美の2神が描かれている)
一見西洋の教会風の壁画だが、、古事記を描いている。
そして床は大理石。美しいステンドグラスをはめ込んだ窓から夕暮れ中ノ島を眺めた。
贅を尽くした室内をこんなじっくり見れたのは役得。

会場設置はプロの方達の手を借りて、竹林ができあがり、会場中央に滝ができあがり
海の周りの松の木が立ちました。
そこから自分達で砂浜をつくり、、貝を配したりして海の景色を作り上げ、
数々のガラスの花器にモダンな南国の花達
キングプロティア・棕櫚・アンスリウム・ヘルコニア・グロッパなどを活けあげて行きます。
しかし、海に対するイメージも人それぞれ、共同作品はむつかしいというのも実感しました。
私は準備に体力を使いすぎたみたいで、、作品を活ける時はかなり疲れていたのいうのが本音。

華展中にも体力勝負。中でも一番大変だったのは淀屋橋の橋の上・地下鉄の入り口に
立っての会場案内係。真夏の炎天下に何時間も経つって最近経験しただろうか?
気が遠くなるような暑さだったが、華展から帰って行く多くの人達が、足をとめて
『よかったです。』『ごくろうさまお疲れ出ませんように』『本当にいいモノを見せて頂きました』
と丁寧に丁寧にご挨拶をしてくださった。暑さも忘れて喜びを感じました。

他にも大盛況のお茶席の裏方、水屋を担当したり
準備から撤去までの4日間があっという間にすぎました。
その間、普段、接する事の出来ない先生方のお話が聞けたりして
それが何よりの収穫であり勉強になったような気がします。

私よりもずっとお歳を召した大先生たちの体力とお華に対する情熱を肌身に感じて
まだまだ若手の私が頑張らねばという気になりました。
今回の華展を通じて、華道の目的は花を活ける技法を学ぶだけではなく
日本の素晴らしい伝統を守る中から、礼義・礼節を身に付ける事でもあるのです。
道を極めるとはそういう事なのですね。
この道は私にとってまだまだ長そうです。そしてだから頑張れるんですね。

しまった!華展中ほんとに忙しくて、気がつけば作品の写真を写していなかった、、
自分の作品も他に素晴らしい作品もです。
何ヵ月後かにプロの方が撮影した写真集になるのでそれを待つとしよう。
華展来れなくてお約束しのに、、たごめんなさい。
そしてお暑い中、華展に来てくださったみなさま、本当にありがとうございました。