二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

酔耀会(鍼灸手技療法勉強会) 平成23年 1月 

2011年01月27日 | 酔耀会(すいようかい)
酔耀会の勉強会も今年で6年目(7年目か)になります。勉強に対する熱も年々増して来て、そして人数も徐々に増えていってます。

ということで、今まで会費なしでやっていたのですが、本日の参加人数も14名でしたし、今後増加することも考え、資料作成や場所を貸して頂いている宮川先生にもお代を払わないといけませんので、今月より月1000円の参加費を参加して頂いている先生方に払って頂くことにしました。

1ヶ月、日々臨床で悩み、考えてきたことを勉強会を通じて学び、情報交換をし合えると考えると1000円は安いですよね。

ここの勉強会は一つの統一した手技や思想、あるいはカリスマ先生が中心に勉強している場所ではなく、いろいろな手技や方法、考え方の先生がテーマや発言に対して意見を交換し合う場なのです。「批判はしない」を約束にしていますので、これが上手く長続きしているんですよね~珍しいパターンかもしれませんね。

本日も雪にもかかわらず、福井からも2人勉強会に参戦。んん~情熱に頭の下がる思いです。

☆ 内 容 ☆

・論文考察 「不妊症に対する鍼灸治療は効果がないのか!?プラセボ効果なのか!?」

【豊島先生】
酔耀会では私とともに不妊症を勉強している豊島先生が、ツイッターの記事にて、東洋医学会に所属するあるドクターが掲載した「あくまでも鍼はプラセボのようである」という記事を見つけ、「これはどういうこと?」と愕然として、その根拠としているシステマティックレビュー(英語論文)を訳して検討しました。内容を見てみると、論文の中に出てくる実験の目的、治療方法、治療経穴、治療者がどのようにトレーニングしたか、などなど疑問点や問題点が多々ある論文だということが分かりました。しかし、これが論文として認められていることも事実。しかし、考察の方法や一方的な思考方法で事実と違った捉え方になることもあります。
逆に考えれば、鍼灸治療が批判されることはいいことです。その掲載したドクターの意図がどうであれ、批判される材料にされることは、そこにある可能性の裏返しでもあると考えます。だから鍼灸医学・医療を志す人は勉強しないといけないのでーす
端的に言えば、このドクターが掲載している論文で鍼灸治療が不妊症に効果がないとか、プラセボだとかは言えないということです。私も不妊症の鍼灸臨床において確たるものを掴むべく日々精進です。

・症例報告 「高齢患者に対する”ぜんしん体操”の実施とその効果の一例」

【松邑先生】
軽度の認知症など様々な愁訴のある81歳の女性に対して、週2~3回往診で全身の指圧・マッサージを行い、途中から”ぜんしん体操”の下半身の部分を指導し行い、下肢の筋機能の強化を図った症例。指圧・マッサージとともに運動を行うことで歩行距離が延び、少しずつであるが生活の質も向上してきていました。松邑先生は指圧やマッサージを中心に行っている先生で、そんな中、しっかり考察し報告できる患者さまがいるということは貴重な存在なんですよね。患者さまのご家族も喜んでいます。患者さまやご家族に喜んでもらうこれが治療目的の主であり、私たちの仕事の生きがいです。今後も、指圧・マッサージの患者さまの身体所見をしっかりとり、松邑流をつくっていって欲しいと思います。

・症例報告 「メニエール症候群に対する鍼灸治療(積聚治療を考える)」

【大内先生】
耳鳴りと難聴を主訴として来院された52歳の女性の症例。以前に突発性難聴を2回起こしステロイド療法で治癒。今回、ステロイドでも効果なく、なんとか改善したく、そして、補聴器はつけたくないとのことでご来院。様々な東洋医学的、西洋医学的所見をとり、その中で迅速に改善するべく、試行錯誤した治療経過をまとめて頂きました。その一方法として積聚治療を行ったところ耳鳴りなどの体調が改善されたとのこと。その治療方法に対しての議論で盛り上がりました。いつも思うのは、時々的外れな話もあるのですが、いろんな意見が出て、その中には発掘した古代遺跡のように勉強になることが多いんですよね。まだまだ勉強することはたくさんあるということです。

・実 技「筋肉を触ろう!~筋肉の触診~」

【粟 先生】
本日の筋肉は比較的深いところに存在し、肩甲骨や頸部の動きに重要な、肩こりなんかにも関連する「肩甲挙筋」。頸部の側面から肩甲骨の内上角に付着し、頸椎の5・6番辺りで筋線維が交差している筋肉なんですね。意識して触ってみると、患者の体を触診するときに非常に明確に触知できるわけです。強さとか位置とか、教科書とは少し違うところも生身の体だと勉強できるわけですね。



本日の勉強会も8時半に始まり、終了は翌午前1時。あるメンバーのご家族は、この酔耀会のことを「午前さまの会」と呼んでいるようです。確かにその通りですけど

「聖人の学問をしようとするときは、その志を一時も忘れてはいけない。昼も夜も貫き通せ。若い時から老人になるまで貫き通せ。宴会で缶を打ち鳴らして歌うのもまた学問である。日が暮れて安息するのもまた学問である。」 ~『言志四録』より~

来月も、楽しく頑張りまっせ 

二葉鍼灸療院 田中良和
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酔耀会(鍼灸手技療法勉強会) 平成22年 12月 

2010年12月22日 | 酔耀会(すいようかい)
12月15日(水)、毎月恒例、酔耀会が開催されましたので参加しました。

この日も午後8時30分~午前1時と長丁場でしたが、時間が短く感じられる熱気あふれる勉強会とりました。

☆ 内 容 ☆

・臨床報告:積聚治療を考える
        
【大内先生】
鍼灸診療における治療方針(証)を決定する方法として脈診ありますが、これは会得するまで鍛錬が必要であり、術者の感覚が非常に研ぎ澄まされなければならず難しいのです。その点、日本で発展した腹診は分かりやすいし臨床にも応用できるという観点から、今回は積聚治療を臨床にどう使っていけばよいか考察をして頂きました。特に経絡積聚治療という、ある先生独自の方法についてです。いろんな意見が出て面白かったですが、お腹は臓器が詰まっている場所でもあり、胃腸もあり、非常に大切な場所です。腹診に関しては漢方治療では重要視されています。当院でも重要視していますが、さらに認識を深めさせて頂きました。質疑応答が飛び交ったので積聚治療の症例報告は次回ということでした。

・書籍抄読:代替医療のトリックを読んで

【太田(信)先生】
前回、さわりだけお話して頂いた抄読を、今度は内容を充実させて発表して頂きました。この本は、鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法などについて、科学的根拠があるのか?…根拠がない治療方法である!ということを書いた書籍です。書籍に鍼が出てくるということは、それだけ世界的にも認識があるのか、広まりを見せている治療でることを示すものであるとも思います。この書は、ほぼ否定、批判です。しかし、鍼灸師としては読んでおくべき本でしょうね。分厚いですが…笑。まあ、欧米諸国はいいものは取り入れるのが早いのですが、彼らは常に対比、批判によって自分の有意性を追求する文化を持っています。私が正しいと!。一面では必要なことなんですが、日本や東洋では類比や共通性を探ることで、新しいものを生みだしていく文化があります。難しい話になってしまいました。でも、刺激的な発表でした。

・症例報告&不妊症考察:より効果的な不妊症に対する鍼灸治療を目指して

【田中良和】
最近、1ヶ月の治療で妊娠され、心拍が確認された症例報告をご紹介。その後、当院では生体制御療法(黒野式全身調整基本穴を使用した太極療法)をベースに治療を行うのですが、その際、併用療法として、妊娠効果を高めるため下肢や上肢の要穴を選んで、鍼をしたりパルス治療を行います。その際の、経穴(ツボ)を選ぶ考え方として、素問や霊枢など東洋医学の古典にはどう記載してあるか、東洋医学的な考察を行いました。この観点からはあまりアプローチしていませんでしたので、今後、さらに検討し、高度生殖医療あるいはその前の段階での妊娠をより効果的に助けるお手伝いができるように勉強していきたいと思います。また、次回は科学的見地から、卵子の発生から発育、着床までの流れを勉強し紹介できればと思っています。

・実 技:筋肉の触診~筋肉を触ろう!~

【粟 先生】
本日のメニューは、大・小菱形筋。僧帽筋の下にあり頸椎や胸椎から肩甲骨につく、働き者の筋肉です。先日来からの浅い部分の筋肉から少し深いところへ進んできました。ここでも、「ここが境い目か!?」「ここの部分の経穴は何だ?」「この筋肉に対して、鍼はどんな方向に打つ?」「指圧する時、効果的に押さえる時はこうする」など、いろんな意見が出てきます。非常に勉強になります。


本日も1ヶ月の臨床や鍼灸医療に対する思いや悩みなどをぶつけあえ、有意義な時間を過ごさせて頂きました。
”学問を始めるときは、もちろん文字の書かれた所を読んで学ばなくてはいけない。学問が上達してくれば、字の書かれていない書、すなわち天地自然の理を読み取るようにすべきである”(言志四録より)

さまざまな書物からの学び、また日々の臨床は文字の書いていない人体という小宇宙(天地自然)からの学びなんだと思います。その二つの間で、悩み、もがき、疑問を抱きながら、答えをみつけていくのが私たちの仕事なのでしょうね。
それは全て「患者さまのため」ですね。そんな熱い熱いハートを持った鍼灸マッサージ師の集まりが酔耀会なんですね。仲間に感謝です 

二葉鍼灸療院 田中良和
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酔耀会(鍼灸手技療法勉強会) 平成22年 11月 

2010年11月24日 | 酔耀会(すいようかい)
11月17日(水)、毎月恒例の勉強会に参加しました。

午後8時30分に開始、そして、やはり終了は午後1時。
本当に皆さん勉強熱心です。そして、一緒に勉強して、仕事のこと、将来のこと、ウフフなこと いろんなことを語り合う仲間が増えてくるということは嬉しいことです。勉強していても、どこからか力が湧いて来るんですよね~

☆ 内 容 ☆

・症例報告:特効穴の効果について(深谷灸法―臂臑)
        ~突発性発音障害(嗄声)に対して・これは蛇足??~

【宮川先生】
体調管理のために通院している72歳の女性。受診日の朝に原因不明で声が出なくなる。喉のひきつる様な違和感の他は、咳や痰、痛みといった症状なし。まずは鍼灸院でみてもらおうと来院されたようです。東洋医学的所見などから、八綱は陰表実裏、気血津液は(陽虚)痰飲、臓腑は肺腎虚と弁証を立て、それに見合った経穴の治療と、臂臑(経穴)にお灸を20~30壮、熱さを感じるまですえました。お灸の終了後、声は普通に出るようになりました。この症例に対しての中医学的な解釈、臂臑の意味、声帯癌や反回神経麻痺や声帯ポリープなど器質的疾患との鑑別が大切であるなどの考察でした。私は中医学的な考えを治療には反映しませんが、必ず学ぶ点はあると思いますので、宮川先生にはこれから中医学をしっかりやって欲しいと願うのでした。

・症例報告:頻尿を主訴とする鍼灸施術の一症例

【藤田先生】
44歳の男性。主訴は夜間頻尿。太り気味の体格。いつごろかは不明であるが、尿が夜間頻繁にしたくなり、2時間おきに目が覚めてしまうので、体がつらい。東洋医学的所見や症状から、脾虚・陽虚、水分代謝に関わる肺・脾・三焦が関与し、排尿や尿生成の腎・膀胱も考慮に入れながら治療方法を選択。水分代謝に関わる臓腑の機能を高める事を目的としたが、うまく効果を得ることができなかった。夜間に尿意のため目が覚めるのか、目が覚めたら排尿したくなるのか、など問診が正確なのか、自分がこうではないかという先入観はなかったか、もう少し患者の発症までのストーリーを詳しく聞くなどの問診について方法が指摘されました。頻尿に関する器質的疾患の鑑別、多くの所見から様々な方向から原因を追及することも指摘されました。あと、患者さまは医者嫌いなのですが、うまく病院に行ってもらっては?!なんて話もありました。

・抄 読:「代替医療のトリック」を読んで

【太田先生】
本日は、実技に時間がかかったので、この本の中に出てくる鍼治療に関する部分の触りだけ話して頂きました。このサイモン・シン、エツァールト・エルンストが書いた著書は、代替医療に関して科学的に効果が証明されているのか、本当に効果があるのかどうか検討した本です。全日本鍼灸学会でも反論の記事が書かれています。ようは批判書ですね。私も内容をまだ読んでいませんので(早速、買いましたが)、来月の太田先生の発表が楽しみです。


・実 技:筋肉の触診 ~筋肉を触ろう!~

【粟 先生】
本日は背部表層筋である、僧帽筋、広背筋、脊柱起立筋(最長筋・腸肋筋)などの触診とその確認、そして、腰方形筋や前鋸筋、上腕三頭筋など関連筋との筋連結を確認しました。これが意識して触ると臨床でも違ってくるのです。頭だけではなく、筋肉を触りながら実技をやっていると、表層の筋ということもあり、筋の縁が見えてくるんですよね。不思議です。筋肉なんて分かっている!と思っていますが、なかなか深いのです。


酔耀会の勉強風景の写真は初公開なので~す


 皆で筋肉を触りながら芸術作品をつくっているところです


 芸術作品名「生贄のM」…完成図


 モデルさんです

”一年の計は穀を樹(う)えるに如(し)くはなし、十年の計は木を樹うるに如くはなく、終身の計は人を樹うるに如くはなし”(管子)

一年の計を立てるなら穀物を植えるがいい。十年の計を立てるなら樹木を植えるがいい。終身の計なら人物を育てるのが最も良い。という意味。

人が集まり刺激し合うということは、その道の終身の計と同じだと思うのです。よき仲間を持ち刺激し合いながら成長していくことこそ、そこに人という大きな財産が出来てくるんでしょうね。

来月も頑張ろう~っと

二葉鍼灸療院 田中良和
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酔耀会(鍼灸手技療法勉強会) 平成22年 10月 

2010年10月26日 | 酔耀会(すいようかい)
10月20日(水)、恒例の酔耀会へ行ってきました。

この勉強会も発足してから今年の12月で確か、まる5年が立ちます。早いものです。当初5人で始めた勉強会も、今では全員参加で13名にもなりました。それも、私を含めピチピチの若手鍼灸マッサージ師がほとんどです。

ということは、未熟だから勉強しないといかんという自覚のある若手が多いということですね。常に自分を直視し、謙虚でいること、そして、患者さんの喜ぶ顔を見るため、声を聞くため、自分の足らない所を常に把握し、努力すること、そんなことが患者さんの身体を預かる私たちにとっては責任であり使命であるのでしょう。

来年からは6年目に突入。志高い皆が地域に喜ばれ、そして不況に負けない治療院になっていくべく努力しているのであるざ~ます。

☆ 内 容 ☆

・第6回(社)日本鍼灸師会全国大会in京都 参加報告:不妊症に対する鍼灸治療

 【豊島先生】
10月10日・11日に行われた上記大会の11日に参加。これだけのために聴講しに行った、臨床特別講演「不妊症に対する鍼灸治療」~妊娠100例から参加者が選ぶ症例報告~についての報告であった。鍼灸の不妊治療では経験の豊富な、福島県の三瓶真一 先生、京都府の中村一徳 先生が各々、様々な形で妊娠に至るまで関わった50例ずつの中から会員がどうしても聞きたい3例ずつをピックアップして症例報告を行うという講演でした。三瓶先生の治療院の場所は田舎にあり、不妊カウンセラーの資格もあり、患者さんの精神的な要因にまで深く入っていかれる治療スタイル。中村先生は京都の街の中に治療院があり、産婦人科や大学などと提携しデータを重視する治療スタイルだとか。その両先生に共通していたのは、現代医学的、東洋医学的観点から身体を診ているが、決して特別な治療方法はしておらずオーソドックスな治療穴を使用していたとのことでした。また、データを重視する先生の研究意欲は分かるが、あまりにも自身のデータに科学的根拠を強引にくっつけてしまうところが、少し?だと感想を述べてました。私も行きたかったのですが、ねんりんピックがあり行けなかったので、たいへん勉強になりました。

・症例報告:肩関節治療に対する鍼灸マッサージ施術の症例

【元茂先生】
本日は、福井からの両先生が発表。元茂先生は、72歳の女性で、左首から腕にかけての痛みと、右肩の痛みを主訴に来院された方の症例報告でした。5年以上前にやっていたバレーボールで右肩を痛めて以来、現在、水泳をやっているのだが、水をかく時に右肩が痛み、1週間前から左の首から腕にも症状が出てきた。11月に出場するマスターズに向けて調整するため来院しました。耳鳴りや水泳している時に足がつりやす症状もあるとのこと。12回の治療経過で、現在も通院中。症状は良好な経過を辿っている。病態把握をもっと深く捉えることが肝心であると指摘があった。治療方法はたくさんあるが、なぜ、ここが痛くなるのか、なぜこの症状が現れるのか、それらを問診と身体所見や症状から的確に把握し、重症疾患や潜在的な内臓疾患がないかを鑑別することが大切だとの指摘もありました。左の首から腕だと狭心症などの心疾患ですね。ここに鍼灸やっとけは楽になるだろうではなく、考えて、悩んで治療することが自分の臨床能力をあげ、患者さまのためにもなるんですね。だから、症例報告を行い、皆に指摘を受けることは必要なので~す。次回も頑張ってね!

・症例報告:中心性網膜炎(中心性漿液性網脈絡膜症)に対する鍼灸治療

【吉田先生】
福井からもう一題。聞き慣れない疾患でしたが、目の疾患で中心が見づらくなったり、暗く歪んで見えたり、小さく見えたり、色が違って見えたりという症状が出現します。目の画像を映している網膜に、網膜を栄養する脈絡膜から水のような成分が流れ込み症状を発症するようです。3~6ヶ月で自然治癒するが、再発傾向も強い。過労や睡眠不足、ストレスなどが引き金になるという疾患です。症例は36歳の男性。鉄工所勤務。6年ほど前から眼科にてこの疾病と診断。1年に1回ほど発症するが通常数カ月で改善するが、今回はなかなか改善されないことと、頭痛や頸肩部のコリもあり来院されたよう。過労やストレスがこの疾病の引き金であることから鍼灸も効果があるのではといことで治療を開始。約2カ月の治療で目の症状は改善。いつもより早期の回復。頸肩部のコリはまだ残るので治療を継続されているとのこと。試行錯誤し、悩みながら治療を行い良好な結果が出ました。病態の考察こそなかなか難しいですが、鍼灸治療が何らかの症状回復の支えになったことは確かだと思います。適応なのか、どうかは、一例では分かりませんが、改善する症例もあるということは治療を行う自信になります。まあ、根本的には生活習慣を患者さま自身が改善していくことが大切なのですが…その指導をお願いしま~す、吉田先生!

・実 技:筋肉の触診 ~筋肉を触ろう!~

【粟 先生】
本日のメニューは、広背筋の触診です。その名の通り筋肉の面積はとしては身体で一番広い面積を持ちます。腰から背中に始まり、肩関節(上腕)の内側に終わる筋肉です。野球の投球動作において、コッキング後期あるいはフォロースル―期に大きな力を発揮する筋肉です。薄い筋肉ですので、胸腰筋膜部分の触診は難しいんですね。でも勉強していると臨床の時に体の内部を意識しやすいんですね。次回は、今までやってきた背中の筋肉の触診の総おさらいと、その機能的関係、そして経穴などの確認に決定しました! 

※最後に、12月12日(日)に石川県鍼灸マッサージ師会 青年女性部主催で行う「こころ」と「からだ」のための講演会の報告と、協力のお願いを私(青年女性部長)から。


やはり、終了時間は1時近くなのですね~エキサイトしますよ。そして、眠たくないんですね。交感神経緊張状態ですか~。身体には良くないのかな

”学問を為す効能は、人の気質を善く変化させるところにある。そして、それを実践するのは立志に他ならない”
『言志四録』より

皆さん、臨床後、遠い所から近い所から、患者さまが良くなって、幸せになってもらうために勉強に集まる。これは立志に他なりませんね。そして、常に刺激を受けながら良き変化をしていく。進化とも言えるかな。

酔耀会のメンバーは、そんな志を持つメンバーばかりなのであ~~~~~る 

二葉鍼灸療院 田中良和
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9月 酔耀会(鍼灸手技療法勉強会) 参加

2010年09月28日 | 酔耀会(すいようかい)
9月15日(水)、酔耀会の勉強会に参加しました。

本日も午後8時30分に始まり、終了は午後1時過ぎ。みんな情熱家ですな~。これがまた議論が白熱するんです。それだけ熱い熱い人が集まっているということですね。

☆ 内 容 ☆

・東洋療法推進大会in石川 一般口演 発表練習&最終チェック
【松邑先生】 脳性麻痺による知的障害者に対する指圧治療の一例
【豊島先生】 下肢有痛性筋痙攣の鍼灸治療
          -太衝穴と曲泉穴への円皮鍼刺激の効果について-
【宮川先生】 鍼鎮痛による疼痛抑制の著効例~第三度熱傷に対して~
【田中良和】 後腹膜腫瘍 術後の体調管理としての鍼灸治療の1症例
【粟 先生】 胸郭出口症候群が疑われた一症例 ※都合により欠席

それぞれ時間を計測しながら、内容は何度かこの勉強会で行ったものであったのでよしとして、発表とパワーポイントの最終チェックを行いました。細かいところを直し、5日後きっちり発表できるように確認しました。

・症例報告:不妊症の一症例
【石田先生】

当初は肩こりや頭痛、冷えなどの主訴を治療していた36歳の女性。実は不妊治療歴が5年あるということでした。当勉強会で、田中、豊島が不妊症について発表していたのも参考に、それも考慮に入れながら鍼灸治療を行ったところ、5ヶ月後、妊娠することができたという症例。石田先生がもっとも気づかったのは「冷え」。やはり、この症状の改善は、妊娠しやすい体づくりの大切な要素でしょうね。

・便秘の特効穴
【安井先生】

西洋学的な便秘の概要、よく効くとされる便秘の経穴、棒灸を使った施術方法、そして便秘の症例を何例か示して頂きました。便秘ってありふれた症状ですが、便はためておくものではなく、体に不必要なものを体外へ排出するための手段です。それが腸内に長く停滞すれば、それだけ腐敗が進み、体に悪い影響を及ぼします。鍼灸治療で改善しやすい症状の一つです。それが全てではなく、食事や運動に気をつけることも大切です。

・様々な腰痛の診断と治療
【宮川先生】

腰痛に関しては問診が最重要であり、それによりほぼ、整形外科的か非整形外科的腰痛か診断でき、画像診断の有効率は20%ほどだとか。そんな話を日本医師会雑誌に記載された腰痛に関してまとめたものを発表して頂きました。


本日の酔耀会は12名の参加。ここのところ増殖中

本日も、金沢医療技術専門学校、太田先生のお友達で石川県の某鍼灸接骨院で働く仲間が見学で参加しました。来月から来るか来ないかは本人の自由です。でも、切磋琢磨できる仲間が増えるということは非常に嬉しいことです。

勉強したい、患者さまのことを真剣に考える鍼灸マッサージ師がまだまだいるということですね。ここの勉強会の特徴はみな治療方法が異なるということ。これは珍しいことであるそうな。批判せずまず聴く、そして、その後、議論するのです。

これがまた勉強になるんですね~。

「言志四録」に曰く
”我れは当に人の長処を視るべし。人の短処を視ること勿れ。短処を視れば、則ち我れは彼に勝り、我れに於て益無し。長処を視れば、則ち彼は我れに勝り、我れに於て益有り”

人を視る時は長所を視るようにして、短所は視るべきではない。短所を視ると、自分は相手より勝っていると思い、努力しなくなるから、自分の特にならない。長所を視れば、相手が自分より勝っていると思い、それに近づくように努力するから、自分には有益である…という意味です

信念を貫き通すことは大切ですが、常に体の現象や、自分の技量、診方に対して、謙虚に疑問を持つ姿勢も大切なのですね。治療する者にとっては。一つの診方(観方)が全てではないんですね。
そんなことを意識できるだけでも、いい勉強会だと思いますね 

二葉鍼灸療院 田中良和
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8月 酔耀会(鍼灸手技療法勉強会) 参加

2010年08月30日 | 酔耀会(すいようかい)
8月18日(水)、酔耀会が開催されましたので参加しました。

暑い日が続いていますが、酔耀会のメンバーも日頃の臨床に、勉強に、心の中が熱く燃えたぎっていますので、この暑さも打ち消されてしまうくらい…だと思います

☆ 内 容 ☆

・症例報告:爪白癬に対する灸治療の症例
【太田(和)先生】
84歳 男性。大学での臨床経験からの症例。9年間も交通事故の後遺症による後頸部のコリを治療していた方でした。後頸部の治療もしていますが、今回はそれに4年前から内科医に爪白癬と言われ薬を処方されるが効果なく現在にいたり、太田先生がそこに注目し、爪白癬も治療していきましょう、ということで爪へのお灸を開始しました。手術は絶対にしないとのこと。写真も添付してあり、爪も相当変形していました。1年間行ったが大きな変化が得られなかった。
爪白癬に関しては灸治療が有効であるという報告も多々あります。しかし、今回は年齢的に84歳と高齢であり、爪の成長が遅いこと、高度な爪の変形があることで効果がみられなかったのではということでした。質問では「皮膚科に行っていないので、本当に爪白癬だけだったのか疑問」ということが言われ。なるほど、そうだと思われた。爪白癬だけで治療院へ来院する患者さまもあまりおりませんので、頭の隅においておけばいいかな~と、私は思うのでした。

・症例報告:腰部脊柱管狭窄症(LCS)と診断された症例に対する鍼灸治療
【豊島先生】
66歳 男性。左下肢の疼痛を主訴に来院。タイヤ交換で腰部から左下肢にかけての突っ張るような痛みと軽度のシビレ感を発症。20m歩行で痛み増強、しゃがんで休むと歩行可能となる(間欠性跛行)症状があり、整形外科では第4腰椎のすべり症が起因となる腰部脊柱管狭窄症と診断され、治療を受けるが改善されず鍼灸治療が効果があると考え来院。症状と体表所見などから、痛みやシビレ感の原因が各筋のトリガーポイントと腰部脊柱管狭窄症が混在しているものと把握して、太極的観点と局所に対し鍼灸治療を行った。8回の治療でほとんど痛みやシビレ感が消失した。
LCSと専門医で診断されてくる患者さまのうち、ツッパリ感様の痛みを訴える人は、実はトリガーポイントがある原因筋を治療することにより劇的に症状が改善する場合が多いということです。また、福島県立医科大学医学部整形外科 准教授の紺野慎一先生の資料を紹介、画像でLCSと診断するには限界があり、画像所見と症状パターンの一致もみられないということであり、問診が重要となるということでした。
そんなことを頭に入れ、日常臨床で最も多い腰痛や膝痛など疼痛疾患を診ると臨床の幅が広がり、比較的早期に効果が出るということでした。豊島先生の着眼点はなかなか鋭い所があるのですな~これが。


・学会発表練習:「後腹膜腫瘍」術後の体調管理としての鍼灸治療の1症例
【田中良和】
8月29日(日)に名古屋市で開催される、第28回生体調整機構制御学会での発表のための最終チェックということで、タイムを計測しての練習をさせて頂きました。内容が濃いので、どうしてもスライド盛りだくさんとなってしまい、時間(発表時間10分)をオーバーしてしまいます。アドバイスを受け、なんとか10分以内で収まりそうです。ありがとうございます。本当に練習の場があるということは、自分だけでやっているより「気づき」が多く、有り難いものです。これで自信を持って発表できそうです。

・実技:筋肉の触診 ~筋肉を触ろう!~
【粟 先生】
本日の触診する筋肉は、腸肋筋、最長筋、多裂筋。この脊柱周辺の筋肉が展開する場所は、兪穴といって、多くの重要な経穴(ツボ)が存在する場所でもあります。触りなれているようで、筋肉の起始・停止、筋肉の深さなどを意識しながら触っていくと、いつもと勝手が違う難しさがあります。それだけ、まだまだ半人前ということですな。意識して筋を触ることが大切であり、それを繰り返していけば、箸を使う時無意識に使うように、触診する時も無意識にそれぞれの筋を触ることができ、それが経穴(ツボ)を正しくとることができる大切な要因なのかもしれません。来月は広背筋です。予習しておこう!


勉強会が終わってみれば、午後1時過ぎ。
あまり遅くならないようにしていますが、何かと議論が白熱してしまいまして…
いいことですね

”満月はいけないという。我々はともすれば満足しようとし、欠けるものがあれば、それを満たそうと必死になる。しかし、満ちてしまえば後は欠けていくのが天の道理である。
自分に与えられた福を享受し尽くさないで、後に残しておく。あるいは、勢いや幸いをすべて使いきらないで、他に及ぼしたり、自ら不足をつくり出す。そうすれば、決して満ちることなく、福が保てる。これが「惜福の工夫」である。” ~幸田露伴の言葉~

私たちの仕事は一生勉強です。満足なんてのはないんですよね。与えられたものへ感謝することは大切ですが、満たされてしまうと、成長が止まってしいそうですね。衰退していくのか

来月も頑張ろうっと

二葉鍼灸療院 田中良和
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7月 酔耀会(鍼灸手技療法勉強会)

2010年07月31日 | 酔耀会(すいようかい)
7月21日(水)、本日も酔耀会が開催されましたので参加しました。

みな診療後にも関わらず、やはり勉強が始まると、議論が熱くなり終了は…午前1時を過ぎていました。本当にここに集まる同志は、鍼灸マッサージに熱い人ばかりです。

さて、今回から福井県の吉田先生のところ、と言っても、お父様が院長をされ併設されている日光治療院で勤務されている元茂先生も今月の酔耀会から参加しました。
福井県からさらに奥に入った大野市から通っているとのことです。昨年、学校を卒業された先生なのですが、「勉強したい」という意欲に脱帽ですね。そりゃ~金沢まで通ってくるわけですからね。かわいい女性ですから少し帰りが心配でしたが…。
これから皆で切磋琢磨していきましょう

☆ 内 容 ☆

・症例報告:右肩痛・腰痛に対する鍼灸施術の一症例
【藤田先生】
75歳の女性で、右肩痛と右臀部痛を訴えて来院した症例。中医学を治療の中心で行う治療院に勤務しているので、治療もそのようになります。藤田先生も学校を卒業したばかりなのですが、一所懸命、患者さんの苦痛を取り除くべく努力されています。症例報告を聞いても、よく考えて治療していると思います。ここで大切なのは、整形外科的診察もしっかり行うこと。その辺りは、この勉強会においてもいつも話していることなのです。ここが大切。どんな治療方法でもいいのです。患者さんから苦痛を取り除くことができれば。しかし、それに至るプロセスは誰に聞かれても分かりやすく説明できるように診察し、病態把握しておかなければいけないのでした(治療効果をあげるためにも)。先月から続けての発表でたいへんだったと思いますが、これがすべて自分の臨床の肥しになっていくのでした!

・症例報告:「頸椎症・椎間板ヘルニア」に対する治療
【安井先生】
41歳の女性、首の痛みを主訴に来院された症例でした。安井先生は経絡治療を中心に、患者さまに必要と思われる手技を適宜加療されています。東洋医学的に体表観察や脉診、腹診などは、私はまだまだ勉強不足ですので、非常に勉強になります。柔道整復師の免許も持っていることもあると思いますが、東洋医学的だけではなく広い観点から患者さまを診ているところはスゴイと思いますね。安井先生は勉強会発足当初からのメンバーですから、勉強会をする中で、発表が変わってきたな~と思うのです。皆それぞれ何らかの形で他のメンバーから影響を受けているんでしょうね。これはいいことだと思います。

・学会発表練習:「後腹膜腫瘍」術後の体調管理としての鍼灸治療の1症例
【田中良和】
8月29日(日)に名古屋市で開催される、第28回生体調整機構制御学会での発表のための練習をさせて頂きました。前回、さわりだけ話をさせて頂きましたが、今回は症例報告の全体を発表しました。いい質問もあり、症例報告がうまく改善されました。次回は、パワーポイントで実際にスライドをつくり、時間を計っての発表練習をさせて頂きます。んん~忙しいがやり甲斐ある!って感じですね。でも、このように発表練習ができる場があるということに感謝、指摘してくれ仲間がいるということに感謝ですね。

・実技:筋肉の触診 ~筋肉を触ろう!~
【粟 先生】
本日の触診する筋肉は、腰方形筋。この筋肉は胸腰椎の側屈や伸展に関わる筋肉で、体幹の奥にある筋肉です。いわゆる姿勢保持にも重要な筋肉です。この筋肉は奥にあるので、体表からは触れづらいのですが、その触診の方法や周辺筋肉との関連をみました。意識すること、再確認すること、本当に体を触ることは大切です。な~んと、翌日、腰方形筋・腸腰筋などに原因があると思われる患者さまが新患でご来院。これはまさしくって感じで、しっかり筋を確認し鍼をしました。「えっ、楽になった」そんな言葉を頂きました。筋肉をしっかり把握し、その筋肉のどの線維に痛みの原因があるのかを触診することは重要です。


私たちのような仕事は他の仕事よりも、さらに日々勉強であり、一生勉強です。一生青春でもあるんですけどね

~学問の心構え~
『聖人の学問をしようという時は、その志を一時も忘れてはいけない。昼も夜も貫き通せ。若いときから老人になるまで貫き通せ。宴会で缶を打ち鳴らして歌うのもまた学問である。日が暮れて安息するのもまた学問である』(「言志四録」より)

すべて学びです

これからも磨いていくど~

二葉鍼灸療院 田中良和
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6月 酔耀会(鍼灸手技療法勉強会)

2010年06月26日 | 酔耀会(すいようかい)
6月16日(水)、毎月恒例の酔耀会が開催されました。

毎月、活気あふれる会になっています。勉強に飢えているいやいや、ちょっと言い方が違いますね~ 鍼灸医療の向上、患者さまの苦痛を少しでも取り除いてあげたく勉強に燃えている若い先生方が多いということでしょう。私も含めてね…

☆内 容☆

・第59回(社)全日本鍼灸学会学術大会 参加報告
【太田・石田・豊島・宮川・田中:学会参加者】
今年の学会への参加しての報告が行われました。皆、それぞれ違う意見があり、同じ意見もあり、各々が聴講してきた演題と印象に残ったことなどを発表してもらいました。太田先生には今学会でのポスター発表のことを話して頂きました。次回は茨城県の筑波で開催されます。遠くなりますが、できれば酔耀会の皆さん全員が主席して頂けると嬉しいですね。

・症例報告:嗅覚障害の症例
【石田先生】
33歳、男性、ニオイも味も分からないという症例でした。18歳の頃より症状を有する慢性的な患者でした。鍼灸治療を行ったのですが(3回)特に症状に変化なく、患者は鍼をするとすぐに変化が現れると思いこんでいた様子。その辺りの患者とのコミュニケーションの取り方、治療方法などが議論となりました。また、患者の性格や心の状態を捉えることが大切ではないかという話も出ましたね。

・症例報告:身体機能低下に対する鍼灸施術の一症例
【藤田先生】
83歳、女性、下肢全体の圧痛、夜眠れないことが主訴の症例でした。要介護4、車イスでの生活をされています。糖尿病、骨粗鬆症、慢性貧血、高血圧、脳梗塞後遺症など多くの既往や現在進行形の病態があり、治療院の形態上、高齢者が多くなる藤田先生ならではの症例です。鍼灸治療により、主訴は改善されていないものの、その他の随伴症状が改善され、生活の質(QOL)も良好になっており、患者自身も喜んでいる。であるから、主訴の改善、消失にこだわらず、身体状況を診ながら治療を継続して、体調を整えていけばいいのではという結論でした。まだ経験の浅い先生ですが、しっかり治療をしているな~と感じました。

・症例報告:初めての不妊症に対する鍼灸治療
【吉田先生】
34歳、女性、妊娠し子供が欲しいという症例でした。第2子希望。夫は38歳。第1子はタイミング療法にて妊娠した。鍼灸治療を行いまだ2週間と日が浅いため、妊娠については何とも言えないが、足の冷えの改善、便秘の改善があったことから、鍼灸治療が身体に対し何らかの作用を及ぼしたと考えられました。酔耀会でも、私と豊島先生が不妊症に力を入れており、第1子を出産していれば可能性は高いのでは!?と以前、話していたので、現在、温めることを中心に治療を継続しているとのことでした。ご主人が、安静時の腰痛や血便などの症状があり体調が悪いのに病院へ行かないことから、心配がストレスになっているようです。それに加え機能性不妊といってもご主人の方に原因があるのではないかとの話もでました。実は、不妊の原因が男性にある割合は4割~5割あるんですよね。ご主人も治療をできればベストなんですが…。

・実技:筋肉の触診 ~筋肉を触ろう!~
【粟 先生】
本日の触診する筋肉は、大・小菱形筋。筋肉と言うとグリグリ触ってしまう傾向がありますが、その人の筋肉の付き具合や体形により、強く押しすぎると奥の筋肉を触っていることが多いのですね。起始、停止、筋肉の形、走行などを頭でイメージしつつ触ると、この菱形筋もそんな強く触ってしまうと、把握できません。いや~本当にいつも勉強になるし、患者さんへの触れかたや、意識の仕方が変わってきますね。

・症例報告:大腿骨内踝骨壊死症の症例
【太田先生 鶴来】
鍼灸治療の症例ではありませんが、臨床で経験した1例と、他の接骨院での症例の2例を紹介して頂きました。大腿骨内踝の部分が壊死を起こし、それが炎症を起こし、膝痛の原因になるというもの。鍼灸院でも膝痛は多く、以外に多くの方がこの疾患かもしれないということです。特徴的な症状と、長期間、症状の軽減が見られない場合や、突然症状が悪化する場合に関しては、変形性膝関節症とともにこの疾患を疑い、専門医に早く送った方がいいのではないかと思うということでした。


午後8時30分に開始された勉強会は、本日も午後1時で終了と相成りました。本当に酔耀会のメンバーは活発に意見交換をして、活気があふれています。吉田先生なんかは、これから福井まで帰るんですからね~情熱的です

「”勇敢な人”とは、確固たる信念のもとに自分の意志を働かせ、善行が習慣になるまで厳しく鍛練した人のことを言います」(『品正論』より)

仕事、勉強、これにしかりでしょうね。酔耀会のメンバーは皆、”勇敢な人”です 

二葉鍼灸療院 田中良和
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4月 酔耀会(鍼灸手技療法勉強会) 参加

2010年04月30日 | 酔耀会(すいようかい)
4月21日(水)、酔耀会がありましたので参加しました。

この日より新たな酔耀会のメンバーが参加しました。今年から、金沢医療技術専門学校(アイシス)に教員として明治国際医療大学卒業後に赴任し、生徒を教える立場になった太田先生です。

神戸出身のなかなか明るく熱心な先生です。関西人ですから、トークも軽快
この雰囲気を醸し出せるのが、私には羨ましい~って感じですね。
これから、また、切磋琢磨していきたいと思います

☆内 容

・症例報告
 【石田先生】
 60歳 男性 主訴は「下腿前外側の痛み」。病院での診断では「脊柱管狭窄症」。間欠性破行あり(10分ほど歩行すると痛みが出現)。痛みが出ている患部と、腰部へ鍼灸治療を試みる。そこに脈診による本治法も行い経過を観察。本年の3月はじめから10回ほど治療を行うが、なかなか痛みとシビレがとれないという症例でした。まず脊柱管の狭窄があっても治る可能性があるものと、難しいもの、いわゆる、治療に対する適応・不適応を見分けなければいけないという意見がありました。また、整形外科で診断されているけれども、本当に脊柱管の狭窄が原因で出現している痛みなのか?!という質問もあり、症状を検討し、筋肉をもっとしっかり診る(トリガーポイント)必要があり、それが症状改善に繋がるのではないかという意見もありました。そうです、筋肉をしっかり診て、その場所、方向、深さなどもしっかり把握できると痛みに関する疾患の改善度が増すのです。

・筋肉を触診しよう!(実技)
 【粟 先生】
 今月から新しく開始するコーナーです。粟先生と豊島先生がある本を見て、また日頃の臨床などの話の中から、「筋肉がどのくらいの深さで、どのような形で付着しているなど、本当にしっかり筋肉を触診できているだろうか?」という話になり、「体表の筋肉でも鍼灸マッサージ師でしっかり触診できる人がいるか?自分たちは?」との問題提起から、今月より筋肉触診の実技を行うことになりました。筋肉の起始・停止部分での筋肉の形状や、他の筋肉との関わりなどは、以外に軽視されがちですが、整形外科疾患がどうしても多くなる鍼灸マッサージ師にとっては非常に重要なことなのです。体の正常な状態を把握することで、痛みに苦しんでいる人との違いや、治療効果を向上させるヒントが得られるんです。
本日は、僧帽筋上部・中部・下部線維を予定していたのですが、僧帽筋の起始・停止、ランドマークとなる場所の確認などを行い、いろんな体位での筋肉の変化を見ていたら、上部線維だけで時間となってしまいました。大事なことですから、粟先生にはこれから数年?!かけて筋肉に対して皆が自信をもって触診できるまで頑張って担当して頂きたいと思います。

・足のむくみに効く・水系点
 【安井先生】
 安井先生が所属する東洋はり医学会での例会からの情報を教えて頂きました。足のむくみ(足首周辺からふくらはぎ)に対して、腸脛靭帯の後面で大転子付近から大腿中央の間の反応点へ、鑱鍼やラッパ鍼、ヘラ鍼を使用し擦過する手技を行うものです。巨刺的な考えで行われます。それがどうしてかは分かりませんが、何かにいきづまった時の、情報としては頭に入れておいて損はないと思います。簡単な症例も2例出されていました。鍼灸治療は体を元気な状態へ戻す本来の自然修復力を高める治療です。体は摩訶不思議なものです。ですから、鍼灸治療もいろんな方法があってもおかしくありません。

・鍼灸所見の臨床的意義と客観化~六部定位脈診について~ 解説
 【豊島先生】
 第55回全日本鍼灸学会 金沢大会のシンポジウムで行われたものを、小川 卓良 先生の論文を中心に解説、自分が考えていることを発表して頂きました。小川先生の脈診との出会いや脈診で本当に体の状態が分かるのか、脈診は有用性があるのか、脈診の検証はどするのか、経絡治療論争について、などを解説。豊島先生自身は脈診はするが、それを主にした治療は行っていないが、時として、経絡治療的観点で治療を行ったときに著効を示すこともあり、その辺りで脈診というものをどう捉え、活かしていったらいいかという話でした。脈診は理論を求めるのでなく、有用性を求めることが必要、脈を診ながら診察することが非特異的効果を増長する(スキンシップ・手当て)、脈状診は病態の把握に有用であり、六部定位脈診は、本治法の経穴(ツボ)を選ぶのに便利、と結んでいます。鍼灸治療の世界は科学的根拠で全て説明するのは難しいので、患者さまがどう改善するかという観点が大切です。しかし、科学の進歩は目覚ましく、その部分へも目をやっていないと、鍼灸治療は世の中に広がっていかないのも現状です。要はバランス感覚です。

・鍼灸医療の現状について~報 告~
 【田中良和】
 先日、名古屋の師匠のところに行った際のお話をさせて頂きました。平成21年度厚生労働科学研究費補助金特別制度「漢方・鍼灸を活用した日本型医療の創設のための調査研究」という、厚生労働省による統合医療推進のための「統合医療の科学的検証」が始まっております。国際医療福祉大学大学院の黒岩教授を中心としたチームで行われており、本年、2月25日に長妻厚生労働大臣へ提言書が提出されました。この提言書を提出するにあたり議論が行われたようですが、このメンバーに鍼灸学術団体、鍼灸大学等、鍼灸師は一人も入っていません。まったく蚊帳の外に置かれています。これが医療の中の鍼灸師の現状です。これを理解しておかないといけないし、それに対しどう対処していくか広い視野でものを観ていないと、鍼灸医療はたいへんな状況になる可能性がありますよということです。東洋医学研究所所長、生体調整機構制御学会の名誉会長である黒野先生は即座に対処されました。インターネットでもニュースで出ていたので知っていましたが、「君はこれをどう考え、どう対処したんだ?」「そんな低い認識でいいのか?」という教えを頂きました。酔耀会の若い先生方に現状を知って頂き、そこから新たな何かが生まれればという思いで報告させて頂きました。


毎月、第三水曜日は、深夜まで勉強の情熱が続くので、翌日、寝不足になるんですよね。でも、気持ちは引き締まっているのでした

≪学問の真髄≫
”学問の「学」とは先見の残した教えを今に比べ合わせることであり、「問」は師や友に問いただすことであるというのは、誰でも知っている。しかし、「学」といって、これを必ず我が身をもって実行し、「問」といってこれを必ず我が心をもって反省するという人は、果たして何人いるだろうか。” 『言志四録』より

よき仲間とこれからも切磋琢磨して、人間として、鍼灸師として向上し、一人も多くの患者さまに笑顔と健康な人生を送って頂きたいと常に願っているのが酔耀会のメンバーなのでした 

二葉鍼灸療院 田中良和
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七心鍼灸指圧院 松邑先生 新装開院!!

2010年04月09日 | 酔耀会(すいようかい)
酔耀会(鍼灸手技療法勉強会)のメンバーである松邑先生が、4月6日(火)、治療室の場所を、同じ建物の隣の部屋へ移転し新装開院いたしました

名称も「七心指圧院」から「七心鍼灸指圧院」へと変更しました。今までは指圧を中心に診療を行ってきましたが、ここ数年間、多くのことを勉強し、勉強会に暇をみつけて足を運び、鍼灸治療にも自信がついてきたご様子

治療室の広さも少し広くなり、窓も広く、日当たりも良くなったので、来て頂く患者さまも気分良く治療を受けることができると思いますね



 ベッド① ベッド② 診療スペースです

お祝いがてら、前日、診療が終了後、酔耀会メンバーからの花(ブリザーブド・フラワー)を持って松邑先生を激励に行ってきました。


 幸せを呼ぶ黄色を基調にした花たちです

小松市で開業されていますので、その近辺で、痛みなど身体の悩みでお困りの方は、どうぞ、新装 七心鍼灸指圧院 へ、ご連絡ご相談くださいね。
新装開院を期に、ご近所で七心鍼灸指圧院を知らなかった方がございましたら、ぜひ治療受けてみてください 

☆ 七心鍼灸指圧院 ☆
 院 長:松邑健司
 住 所:小松市符津町ラ5-1
 電 話:0761-44-3915


二葉鍼灸療院 田中良和
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3月 酔耀会(鍼灸手技療法勉強会) 参加

2010年03月20日 | 酔耀会(すいようかい)
3月17日(水)、酔耀会が行われましたので参加しました。

本日、体調を崩していた先生も久しぶりに参加され、酔耀会のメンバーがほぼ全員参加して勉強会が行われました。1名は多忙のため欠席でしたので11名ですかね。この勉強会を始めたのが3年前の1月だったと思います。

その時は5名でしたので、徐々にネットワークが広がってきていますね。今は福井県からの参加があります。福井の先生も「この勉強会は面白いし、得るところがたくさんあるので、まったく眠くならない」と言っていました。

まあ、それだけ皆、情熱があるということですね

☆内 容

・本当!?気の測定器~
 【石田先生】
気とはいったい何なのか。それは鍼灸師にとっても永遠の問題でしょう。工学博士である、ひろせ ゆきお氏(金沢学院大学知的戦略本部長・同大学院教授 兼 金沢大学大学院特任教授)がアクタスという雑誌に出していた記事を紹介し、気について少しばかり議論。ひろせ氏は、気の要素の一つが遠赤外線と考え、体から出る微弱な遠赤外線を増幅して測定する装置を試験的に開発し、今後の展開(ビジネス)として、予防医療用あるいは美容・健康維持・増進ツールとして活用できるのではと考えているようです。気はあるでしょうが、それを臨床的に証明できないので、確信を持って患者さまに説明できないのが現状です。患者さんにも分かるような、安価な装置が開発されれば面白いと思いますね。

・鍼灸の保険診療について
 【藤田先生】
鍼灸の保険治療について患者さまにどう説明したらいいか、また、書面で説明するためには、こんな感じがいいのか、という藤田先生の日頃の悩みを「相談」という形で勉強会に提出。本当に臨床現場は経験が浅い藤田先生ですから、全てが勉強。こんなこともオッケーな勉強会です。日頃の悩みや、好奇心のあること、疑問など、何でもありの勉強会です。全部勉強ですから。私も含め鍼灸マッサージ師会の保険審査委員が3名いますから、その意見も取り入れ患者さまに分かりやすい説明ができれば、それがまた信頼に繋がるというものです。この話題をきっかけに、保険の事情や状況も皆と議論したのでした。

・美容鍼について
 【安井先生】
東洋はり医学会に所属する安井先生です。その例会に出席した際に講師の先生が、日頃、接触鍼として臨床で使用していた方法を美容目的として応用できる可能性について発表があり、その概要を説明してもらいました。また、それを自身の臨床現場でも少し興味を持って追試してみたところの実感を話して頂きました。実技も交えてですから非常に面白かったですね。顔の鍼についてモニターになった女性の感想を聴くと、年齢に関わらず、肌の艶や弾力性が増し、化粧ののりが良好であったようです。1回の持続効果は2~3日のようです。鍼は不思議なもので、さするだけでも効果がある時が多々あるのです。美容に限らずです。鍼治療の生きる道はいろんな所にあるんですね。(私は美容鍼はしませんが…するかも

・皮膚について考える
 【宮川先生】
昨年の京都で開催された全日本鍼灸学会でも講演をして頂いた、傳田光洋 氏(資生堂ライフサイエンス研究センター主任研究員)の書かれた『皮膚から考える命、こころ、世界 「第三の脳」』から、その研究の一端を紹介して頂きました。皮膚に関する不思議、皮膚では実は様々な反応が展開され、思考回路があるのではないかというくらい緻密な機能があることが分かってきています。皮膚は体液を流出させないため、異物の侵入を防ぐばかりでなく、多くの機能があるのです。色も認識します。そんな意味で皮膚は「第三の脳」であるということなのです。ちなみに第一の脳は、脳脊髄であり、第二の脳は腸管です。鍼をさす時、まず接触するのは皮膚です。皮膚に様々な機能があるなら、それは鍼灸やマッサージの効果やメカニズムを考える上で頭にいれておかなければいけません。次回もさらに深いところを紹介して頂けるということで、楽しみで~す。

・不妊症に対する鍼灸治療
 【豊島先生】
36歳、女性の症例報告。約1年半ほどの鍼灸治療(顕微授精など高度生殖医療も受けている)を行ったが(週1回)良好な結果が得られなかった。体調はすこぶる良くなり、卵のグレードなども改善されたが、なかなか妊娠まではいかない。途中でドロップアウト。1年後、違う主訴で来院し話を聞いてみると、最終治療の翌月に生理痛がひどくなり、不正出血も認めたため病院で検査してもらったところ「子宮内膜増殖症」との診断で処置を受けたとのことであった。この病変が長年のホルモン剤により急激に起こったのか、どうして起こったかは不明であるが、これは子宮体癌の前駆症状ともされているため、気をつけなければいけないという話でした。決して不妊治療歴のある人の全てというわけではありませんが、注意する必要がありますね。また、子宮内膜症や筋腫など子宮内膜に何らかの病変がある場合は着床しにくい印象を豊島先生は得ているようでした。私のところも不妊症の患者さまが多いので参考になりました。

・「つわり」に対する鍼灸治療の経験
 【田中良和】
「つわり」は病気ではありませんが、ひどくなると妊娠悪阻にもなり、著しく生活の質を損ないます。妊娠周期におけるマイナートラブルであるとしても、改善できれば、妊婦さんにとってはいいことでしょう。34歳の妊婦さんの症例報告。5週目から「つわり」が始まり、最初は食べることもできないくらい気持ち悪かったが徐々に改善。吐くまではいかない。現在、24週においては食べることはできるが、他の人の食事のニオイを嗅ぐと気持ち悪くなる。夜、気持ち悪くて目が覚める。24週から鍼灸治療を開始(3回の治療)。治療中は今まで感じたことがないほどスッキリするのだが、帰ると元に戻ってしまうという状態で治療はドロップアウト。どんな治療方法が良かったのか、あるいは、「つわり」は治療しないほうがいいのか、治療できる時期(リスクマネージメント)についてなど議論しました。ここでもなかなかいい意見が出たので、今後に繋げていきたいと思います。


ということで、充実した勉強会でした。が、情熱が溢れれば溢れるほど議論が白熱してきます。内容とは関係のないことまで飛び交います。そこがまたいいのですが…。

そんなこんなで終了はいつも午前1時近くになるのです。

『中庸』に曰く、「博く学び、審らかに問い、慎んで思い、明らかに弁別し、誠実に実行する。人がこれを一回するなら、自分は百回行い、人がこれを十回するなら、自分は千回行う。果してこの方法を実行すれば、愚者であっても必ず賢者になり、柔弱であっても必ず強くなる」。

継続は力なりですね。そして、少しでも多く学ぶことを心がけることこそ、大きな力となり自分に返ってくるのですな~。

でも怠けてしまうのが人間の習性。そこのところは私も人間のようです。
その点、ワクワクするような勉強会があり、そこに向けて勉強できる環境があり、それを議論し合う仲間がいるということは、本当に感謝ですね 怠け癖も少し抑制されますしね

二葉鍼灸療院 田中良和
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2月 酔耀会(勉強会)

2010年02月20日 | 酔耀会(すいようかい)
2月17日(水)、今月も早いもので、もう第三水曜日が来ました。でも、勉強会があるとリズムが出てくるんですよね。発表に向け勉強することが自然になってくるからです。

終了時間はと言うと、午前1時ごろでした 今年はまだまだ寒いので、外の気温はマイナスでしたが、酔耀会の活気は赤道直下のように熱く、気持のよい空気が充満しているのでした~

☆内 容

・筋筋膜性疼痛への鍼灸治療~トリガーポイント療法のヒント②~
 【豊島先生】
前月に引き続き、内容はトリガーポイントです。今回は、トリーガーポイントを捉える(触診)に至るまでの段階の説明でした。患者の姿勢の診方から、問診、徒手検査などから、トリガーポイントが存在する可能性のある筋肉を絞り込むまでの手順という内容でした。鍼灸マッサージ師は慢性疼痛を扱う場合は頭に入れておかなければならない考え方ですね。これが全てではありませんが、体を動かすのは筋肉(腱・筋膜)ですから、その触診をできなければ身体を診ること、治療点を絞ることができないということです。有名な鍼灸治療の先人たちの著書をみると、あるいは、話を聞くと、実はこの身体のトリガーポイント(硬結・コリ)の部分へのアプローチを行い、素晴らしい治療成績を収め、後世まで名を残しているのではないのか?!というのが豊島先生の考察でした。


・脊椎矯正法について
 【安井先生】
様々な分野の勉強会や交流会に参加する中で得た情報の中で、人間の身体の屋台骨となる脊柱の変位を矯正する方法を、古流柔術活法や柔道整復術を中心に簡単な説明と実技をしてもらいました。全て簡単にできる技術であり、鍼灸治療などで、どうしても効果が上がらない場合などは併用してみてもいいかもしれないというお話でした。安井先生の姿勢は、患者さまをまず楽にするということ。そのためには自分の持っている資格の範囲でいろいろな効果的な方法を行うということです。この脊椎矯正法は、昔、自然と野球部でやっていた動きもあり、面白い内容でした。これを直接やらないにしても、その脊椎矯正を行う考え方などは、臨床の場で活かせるものだと感じました。

・バイ=デジタル=Oリングテストについての意見
 【宮川先生】
バイ=デジタル=Oリングテストについての考え方や方法を宮川先生の意見も交え考察してもらいました。そのテストを変形させて使用するやり方などの話もありました。使う使わないは別として、いろんな情報を得ておくことは損ではありません。次回の酔耀会では、皮膚についての大作の発表を用意してあるということで、来月が楽しみで~す。


・ホスピタビリティの実現~医療者としての取り組み方~
 【田中良和】
診療に際しての医療人としての在り方、治療院経営をしていくうえで大切な考え方など、最近、経営書の多くに書かれている「ホスピタリティ」ということを中心に、心臓血管外科医であり、葉山ハートセンターの院長を務める、須磨久義 先生の取り組み方について発表させて頂きました。須磨先生は、36歳に心臓バイパス手術の新手法を導入し、世界に高く評価された先生であり、手術の成功率は90%という世界一の実績を持ち「神の手を持つ男」と称されています。心臓血管外科医としての信念、生い立ち、病院づくりなどの内容を紹介させて頂きました。先生は「最高の技術と、患者を思う心、そして病院の皆にとって居心地のいい環境の3つがそろったら、医療におけるホスピタリティが実現できる」と言われております。最高の技術を得る努力をすることは当たり前、そして何よりも大切なのは患者を思い、いたわる心であると言われています。そして、患者に限らず、スタッフがワクワクしながら働ける環境が大切で、そこに病院にも医師やスタッフにも温かい血が通った環境ができ、患者が本当に必要な医療が実現されるということです。再度、自分の鍼灸院経営や臨床現場への反省と課題がみつかったように感じました。


本日、豊島先生のところへメールがあり、福井市のほうから、この酔耀会へ勉強に行きたいという熱心な先生が参加されました。高速を飛ばし約1時間あまり。診療後にお見えになるわけですから、その情熱に脱帽ですね

福井の先生は接骨院を中心にやっていたのですが、鍼灸治療も本格的にやっていきたいということで、全日本鍼灸学会の支部集会で豊島先生にこの勉強会の話を聞いていて…ということでした。
仲間が増えるということは、こんな嬉しいことはありませんねこれからも切磋琢磨していける朋友がたくさんできることが何よりの財産でござ~る

「学ぶ心さえあれば、万物すべてこれわが師である。語らぬ木石、流れる雲、無心の幼児、先輩の厳しい叱責、後輩の純情な忠言、つまりこの広い宇宙、この人間の長い歴史、どんなに小さいことでも、どんなに古いことでも、宇宙の摂理、自然の理法がひそかに脈づいているのである。そして、また、人間の尊い知恵と体験がにじんでいるのである。

これらすべてに学びたい。どんなことからも、どんな人からも、謙虚に素直に学びたい。すべてに学ぶ心があって、はじめて新しい知恵も生まれてくる。よき知恵も生まれてくる。学ぶ心が繁栄へのまず第一歩なのである」
~『道をひらく』 松下幸之助 著 より~

常に勉強じゃ~、一生勉強じゃ~、そんな生きがいに感謝
やったるで 

二葉鍼灸療院 田中良和
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1月 酔耀会(勉強会)

2010年01月25日 | 酔耀会(すいようかい)
1月20日(水)、大寒だけど温かい日でした。午後8時半から午前1時前、またまた皆さん熱心に勉強しました。1ヶ月の臨床でのことや、業界のことなど、深夜まで話が尽きませんでしたね。

☆内 容

・左下肢痛の一症例(症例報告)
 【石田先生】
酔耀会に参加して早々ですが、左ふくらはぎの痛み(肉離れ)を訴えて来院された患者への症例報告をして頂きました。ミニバスケをやっている40歳の男性の症例でした。バスケの途中、ジャンプした時に傷め、近所の接骨院へ3回ほど通院。良くはなってきているが、もう少し改善したいとのことで鍼灸治療を求めてご来院されたようです。腰痛もあったので、その治療と、ふくらはぎへの治療(1回)を行ったところ、安静時の痛みは消え、足を着地した時や歩行時に痛みがまだ残るまで改善しました。来院した時には熱感がなく、逆に冷えと痛覚過敏があり、相応に処置をした。自分が行った鍼灸治療や治療計画は適切であったか、もっと効果を出し患者の苦痛を取り除くことができなかったか、と考察されていました。初回で、これだけ効果が出ればいいんじゃないかと思いますが、向上心をもって臨床に臨むことは大事なことだと思います。また、逆に鍼灸治療で効果が出たが、それが本当に鍼灸治療による効果であったのか、常に考察する謙虚さが鍼灸師には必要だと思うのです。

・筋筋膜性疼痛への鍼灸治療~トリガーポイント療法のヒント~
 【豊島先生】
トリガーポイントについて、今までの復習を行い、痛みの患者に対し、様々な徒手検査で鑑別を行った後、一つの原因・所在追求(痛みの)の手段としてトリガーポイントという考え方、捉え方が大切だということの話でした。「痛みがある場所に痛みの原因があることは少ない」「どこが痛いかではなく、どう動かしたら痛いかが重要」などのワンポイント考察があり、今回は”日頃なにげなく患者さまがとっている姿勢”に注目し、トリガーポイントの痛みの考え方(短縮痛)で捉えると、座っている、寝ている、立っている時の「いつもの姿勢」において、どこの筋肉を伸ばした姿勢をとっているか観察することにより、トリガーポイントのおおまかな場所の把握がでるというものでした。これ、よくよく意識してみると、面白いのです。これがすべてではありませんが、疼痛疾患を多く扱う鍼灸マッサージ治療院では、知識として必要な考え方なのです。

・胸郭出口症候群が疑われた一症例(症例報告)
 【粟 先生】
前回、行った症例報告をさらに詳細に検討。これは来月の加賀・三策塾で症例報告として発表して頂くので、その前の前座として、酔耀会にて検討しました。しっかり鑑別も行っているが、ここが原因だ!というようなはっきりした原因が見当たらないため、質問のしどころ満載の症例報告でした。ただイメージだけで鍼やマッサージをするのではなく、「ここは、こういう目的で治療穴を選ぶ、治療場所を選ぶ」ということを意識して粟先生は治療しているので、発展的な質疑応答ができるでしょう。勉強してあるとできるんですよね、発展的な市議応答が。日々の臨床の「今」ここの判断力を養うためにも、このような症例検討会は重要なのです。来月の三策塾にはいい発表ができると思います。


・ガン治療の現状から鍼灸医療を含めた代替医療の流れを考える
 【田中良和】
現在、日本ではガン患者、死亡率ともに増加しています。また今後もさらに増加すると予測されています。しかし欧米、とくにアメリカでは1990年以降、ガン患者、死亡率ともに減少しています。アメリカがガン治療で歩んできた歴史をみていき、そこから、なぜ日本のガン患者が減らないのか考えてみました。また、そのアメリカでのガン医療を巡る流れから、代替医療に関する取り組みや政策をみていき、日本の代替医療の現状、厚生労働省の動き、そこから私たち鍼灸マッサージ師は、どこをみて、何を「今」やっておかねばならないかなど、ガン治療から代替医療、鍼灸医療までを少し考察してみました。


毎月、メンバーの皆の心意気が高く、そして、貪欲に学ぶ姿勢が出てきていると思います。それぞれの立場で、何でも質問し、何でも言い合う、これが酔耀会のいいとこなんですよね。

私も遅れをとってはいけませんので、志を高く保ち、鍼灸治療で一人でも多くの方々を健康に導けるように勉強していこう と、いつも酔耀会に出席して思うので~す。

”しっかりと志を立てて、これを達成しようと求めるならば、薪を運び水を運ぶといった日常の平凡な行動の中にも学ぶべきものがある。ましてや書物を読んで物事の道理を求めようとするのであれば、なおさらそうである。
志が立っていなければ、一日中読書をしたとしても、それは単なる暇つぶしにしかならない。それゆえに、学問しようとするなら、まず志を立てるより大切なことはない。(言四志録)”

志を立てて、次回も楽しく、実践に活かせる勉強をしていきます 

二葉鍼灸療院 田中良和
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平成21年 12月 酔耀会(勉強会)  

2009年12月19日 | 酔耀会(すいようかい)
12月16日(水)、毎月恒例、酔耀会(若手鍼灸マッサージ師の勉強会)が開催されましたので参加しました。

雪がちらつく中、皆、その雪をものともせず、鍼灸に対する情熱の炎で雪を融かしての参加でした。 先日、青年部の親睦会を行ったのですが、その際、酔耀会の話をしたところ今月から新たに2名の先生方が参加されることになりました。
一人は、金沢市額谷町で今年開業された、たいへん積極的に動く行動力と優しい中にしなやかな感性を持つ石田先生、もう一人は、石川郡野々市町で企業が経営する鍼灸院に今年から務める藤田先生。彼は今年学校を卒業したばかりであり、実は私の元患者様なのです。私の治療を受けていて「この仕事だ」と思ってくれたかどうかは分かりませんが、無事、鍼灸師になることができ仲間となりました。私としても本当に嬉しいですし、応援していきたいと思います。負けないように頑張らないといけませんがね

☆内 容

・湿潤治療について
 【松邑先生】
前回の宮川先生の全鍼師会の報告で、賠償請求で一番件数の多いのが”若い女性のお灸の痕”によるものだという報告を聞いて、医道の日本に載っていた皮膚科の先生がすすめる湿潤治療を題材に、その対処法を話して頂きました。非常に安価で簡単にできる処置方法ですので、もしお灸をして痕が残りそうな時、あるいは、若い女性で痕が気になる人にはいいかもしれません。簡単に言うと潰瘍になった部分を消毒し乾燥させるのではなく、残っている組織や細胞成長因子や接着因子など潰瘍を治癒に導く滲出液を保ち傷を治そうとする方法です。この方が傷がキレイに治るということです。松邑先生は、両足の三里、上巨虚に多壮灸を行い灸痕をつくり自分の足で実験されていました。まだ、その途中段階で大きな違いが分かりませんでしたが、次回、どうなったか見るのが楽しみです。これはリスク管理の方法の一つだと思いました。

・内臓痛・消化器機能・消化器症状に対する鍼灸の効果〈抄読〉
 【宮川先生】
全日本鍼灸学会で発表され、雑誌に載ったもの(別刷)をまとめたもの。内臓痛や消化器機能・症状に関する鍼灸の効果について、これらをMEDLINEや医学中央雑誌に関してインターネットを利用し検索した報告のまとめを話して頂ききました。結果、鍼灸医学に関して世界ではEBM(科学的根拠に基づいた医療)が模索されているが、日本に関する世界的に参考にされている鍼灸治療に関する文献はほとんど見当たらないとのことでした。NIH(米国国立衛生研究所)や世界で参考にされているものは、欧米や中国の文献によるものだということでした。これは2001年の報告ですので、8年経った現在、少しは改善されていると思うのですが、状況はそんなに変化してないのが現状だと思います。日本にも鍼灸大学がいくつか存在するわけですから、協力して、世界に、多くの優れた日本の鍼灸治療を発信して欲しいと思いますね。

・症例報告 ある慢性疼痛患者への治療経験
 【豊島先生】
症例は、40歳 女性。左下肢痛を訴え様々な医療機関を受診したが改善されず、自身でインターネットを検索して調べたところ、筋筋膜性の疼痛では?と思い、その治療を専門に行っている石川県小松市の整形外科病院へ秋田県から治療に来ていました。下肢全体の痛みは軽減したが左足関節の痛みがとれないため鍼灸治療を併用したいということで、トリガーポイントや線維筋痛症をよく勉強されている豊島鍼灸院へ来院しました。また、治療期間も秋田へ帰郷のため3ヶ月と限られていました。治療結果としては、左足関節自体の痛みはほとんど変化がないものの、3ヶ月経過時点で最も気になる訴えが、右大腿部のつっぱりや肩こりになりました。歩行状態も改善され、初診時に「せもてもショッピングセンターで買い物ができるくらいになりた」という願いも達成できました。また、本人の自覚ありなしに関わらず生活の質(QOL)が改善されたとのことでした。初診時の治療計画において、慢性疼痛などの難しい痛みに関しては、治すという立場をとるよりもむしろ、患者様本人が「何ができるようになりたいか」「どのような人生を望むか」という観点から考慮して目標設定を定め、それに向かって一緒に取り組んでいく姿勢が大切だという考察でした。痛みは治すことができれば、それに越したことはありませんが、病気は慢性になればなるほど様々な要因が関わり合い複雑になってきます。「痛みの中に人生がある」状態ではなく、「人生の中の一部分として痛みがある」という状態に持っていき、精神的面からも社会復帰できるように支援していくことが大切であるということでした。また、良好な結果を得られた要因の一つは、患者様の質問に現代医学的知識をもって答えることができたこと、科学的な見地や脳を含めた身体全体を考慮して診て説明できたことなどが考えられたようです。これは大事なことですね。

・症例報告 尺骨神経亜脱臼に対する鍼治療の一症例
 【田中良和】
症例は、52歳 男性。左薬指がうまく動かせないということで来院。3年前ほどからこの症状を持っており、当時は頸部からくるものということで整形外科で治療を受けていたということ。3ヶ月前に転院し尺骨神経亜脱臼と診断。手術をすすめられたが怖くなり断り、ビタミン剤による投薬治療を行っていたが改善しない。発症当時は手のシビレなど肘部管症候群のような症状もあったが、現在は、小指・薬指がうまく使えず(伸展障害)、母指の対立運動がうまくできない。母指と小指・薬指が接触できず、無理にすると母指球がつってくる状態。最近、来院した患者様であるので、まだ5回ほどしか治療していないが、箸を使うとき、字を書いている時、しづらかったのが改善してきた。朝、手の使いづらさを感じていたが、それも意識しないようになってきた。これからも経過を観察して、治療効果が向上するように模索していきたい。整形外科医師からは、初診から少し時間が経っているので、今、手術をしても良くなるか分からないと言われているようです。痛みがどこから来ているのか、何が原因なのか、鍼灸治療でどこまで改善可能なのか、患者様は何を改善、何をしたくて治療院を訪れているのか、その辺りを初診のあるゆる診察から理解し、ともに協力してこれからも治療を継続していく必要がある症例であると思います。必要であれば手術をすすめなければならない時もあります。


本日も、新たなメンバーを加え、午前1時くらいまで勉強。 毎度のことながら鍼灸医療に対する高い意識を持つ仲間、患者様のために自己を高めようとする強い意識を持つ仲間がいることに感謝です。

”聖人の学問は、自己の徳を高めるためにするものだから、自ら道を体得することを貴ぶべきである。雑駁な知識で自分を飾ってはいけない。近頃の者は、ほとんどが他人に見せびらかすために花嫁衣裳を作るような学び方をしている。 『言志四録』”

患者様の立場からすれば、痛みがとれたり病気が治れば何でもいいのです。が、私たちは「だから何でもしていい」わけではありません。ここが鍼灸マッサージ師の多くが勘違いしているところでもあります。鍼灸治療は奥が深いのです。人間の身体機能の神秘も奥が深いのです。それを一生涯かけて勉強していくことが必要なのだと思います。

そんな意味でも、刺激し合いながら鍼灸道を追求できる仲間が近くにいることは感謝以外の何者でもありませんね

二葉鍼灸療院 田中良和
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平成21年 11月 酔耀会(勉強会)

2009年11月20日 | 酔耀会(すいようかい)
11月18日(水)、酔耀会の勉強会に参加しました。何かと慌ただしい日々が続いていますので、先月からあっという間にこの日が来た感じがします。

この勉強会のいいところは、テーマに沿って勉強しながら、日々の臨床などで思っていること、考えていることを出し合うところなんです。参加されている先生方の悩みを皆で共有し、それぞれが自分の血肉として明日の自分の臨床に活かす。
勉強会に参加したものしか分からない、ちょっとした患者様の診方や治療法のポイント、大きな気づき、自分の課題などなど、皆、治療方法、治療体系の違う先生が集まって勉強しているところの利点とでも言いますか、夜遅くまで勉強すると何かを掴める勉強会だと感じます。

≪内 容≫

◎第54回日本生殖医学会学術講演会 参加予告
 過敏性腸症候群の症例検討
  ~豊島先生~
 22日・23日、石川県立音楽堂とANAクラウンプラザホテル金沢で開催される上記学会に、不妊症の患者様を多く診療し、生殖医学会会員でもある豊島先生が参加(私も参加します!)されます。自身の臨床で参考になりそうな、また、鍼灸治療がこの分野で活かされるために何を勉強したらいいかなど、これから参考になりそうな発表を抄録集の中から一部紹介されました。私も不妊症の患者様を診療しているわけなんですが、豊島先生とは共通するところもあれば、違うところもあります。であるからなおのこと、身体の診方、考え方、治療方法など勉強になるところや刺激になるところも多いのですよね。
 症例検討では、過敏性腸症候群の高校生 女性の症例。中学生の頃から下痢がひどく、すぐにトイレへ駆け込む生活が続いているとのこと。様々な医療機関へかかったが効果がなく鍼灸治療を希望して来院。鍼灸治療を行ったところ、下痢に少し変化が現れ、本人にも「これだけ下痢が止まっているのは珍しいこと」との声があった。まだ来院されて3週間ということでしたから、さて、この患者、どのように診て、どう治療方針を今後立て、どう治療していったらいいか、他の先生方の考えを聞くという質問を投げかける形の症例報告でした。過敏性腸症候群は程度により個人差がありますが、鍼灸治療で効果の出る症候群です。

◎全鍼師会大会in北海道 参加報告
  ~宮川先生~
 全日本鍼灸マッサージ師会が開催している全国大会が今年は北海道で行われました。若い先生方の代表として視察してきた宮川先生の参加報告でした。来年は石川県で開催されるので、石川県から多くの先生が参加されたようです。9月、10月というのは、いろんなイベントがあり忙しい時期なだけに、今年よりさらに来年は忙しい年になりそうです。おそらく酔耀会の先生方も実行委員となる運命にあると思いますので…

◎アポトーシスとネクローシス(炎症)
  ~田中良和~
 以前、「抗がん剤による末梢神経障害(シビレ)はなぜ起きるの?」と聞かれたとき、あいまいにしか答えることができなかったので調べていました。現代医学でもどうして末梢神経障害が起こるのか、また、その治療方法は明確ではないようです。それを調べていくうちに分子生物学や細胞生物学など細胞レベルで展開されている現象を理解することが必要かなと感じ、アポトーシス(自然死・プログラム死)とネクローシス(炎症・壊死)についての最新の研究などを参考にまとめさせて頂きました。ガン自体は、核の遺伝子が障害され、体の新陳代謝(古い細胞と新しい細胞の入れ替わり)の一部分であるアポトーシスの機能が失われたり、テロメアと言って細胞分裂の限界を取り決めてあるシステムが破たんすることや、ミトコンドリアが障害され、酸素を利用してつくるエネルギー活性が失われることによって起こります。アポトーシスとネクローシスは全く別の反応ではなく様々な関係性があることが最近の研究でも分かってきています。それらの機序などを理解し、抗がん剤による末梢神経障害(シビレ)に関して考察させて頂きました。
鍼灸治療も身体に異物を刺入する刺激です。身体局所でも反応が起きるし、脊髄から脳へ刺激が伝わります。身体に触れるということは細胞レベルで必ず変化を起こしています。そういう意味でも、生体の恒常性維持に不可欠な細胞を死に追いやるシステム(アポトーシス・ネクローシス)を理解することは大切だと思います。


この日も、いろいろ多くのことを討論しあいました。時間はあっという間に過ぎていきます。翌日は少し眠いけど、いろんな意味で臨床のモチベーションがあがるんですよね。

12月5日に石川県鍼灸師会と石川県鍼灸マッサージ師会の、初めてとなる青年部合同懇親会(飲み会)があるのですが、その確認を最後にし終了しました。一応、わたくしが鍼灸マッサージ師会の青年部長なるものを仰せつかっているので、反強制的に酔耀会のメンバーは出席となるのでした~

”火を他人に乞うてもらうより、自分で火打石を打って火を起こしたほうがいい。他人が汲んだ水をもらうより、自分で井戸を掘ったほうがいい” 『淮南子』

自分の足らないところを他人のやったことから学ぶことは大切だけど、本当に自分から求めて学問しないと、それは本当の自分の力にはならないのでしょうね。
さ~て、鍼灸に対する熱意は誰にも負けんぞ~っていうくらいの心意気で充実した一日を過ごさないとね 

二葉鍼灸療院 田中良和

コメント (4)
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