夏とはいえ、午後4時を過ぎた木津川堤防は川風があってかなり涼しい今日このごろ、
草むらで風に揺れるオレンジ色のヤブカンゾウが中々の風情を見せています。
「野に咲く花は風に揺れ 愛することも 愛されることも知らないで咲いているの」
昔々、森山良子が歌っていた「まごころ」のこんな1フレーズがふと頭に浮かびました。
ところで、この八重咲きのように見えている花の内側花弁は雄蕊の一部、または全部が
退化して花弁になったものです。
ヤブカンゾウは細胞の遺伝情報の発現と伝達を担う染色体が3セット(3n)と奇数なので
減数分裂をして配偶子(精子や卵子細胞)を造ることができない3倍体植物です。
したがって、この花が終わっても果実や種子ができず、繁殖はもっぱら匍匐根に依存しています。
これと良く似たユリ科の植物に一重の花を付けるノカンゾウがありますが、こちらは2倍体で
配偶子を造り結実します。
蛇足になりますが、漢方薬として使われるカンゾウは漢字で書くと「甘草」で、こちらは
マメ科植物で全く別のものです。
ヤブカンゾウ <ユリ科 ワスレグサ属> 多年草