5年ほど前のことになりますが、木津川堤防の土手に突然セイヨウヒキヨモギが大量に
繁殖し始め、初夏の土手を黄色一色に染めました。
当時、植物愛好家の一部には植物の多様性が損なわれるのではないかと心配する人も
いたようですが、こういった新参者の帰化植物は、一時は爆発的繁殖を遂げるものの
その後、定着を果たすと減少に転じ、数の上では既存の生態系と折り合った一定のところで
落ち着くようです。
画像の1~3枚目はセイヨウヒキヨモギで、4枚目以下は最近になって少し目立ち始めた
ヒサウチソウという植物ですが、この2種は以前、花の形状からゴマノハグサ科に
分類されていましたが、何れも自ら光合成を行う一方、ヨモギ属の植物の根に寄生してそこから
養分を吸収するという半寄生植物であるところから、現在では同じ生態をもつハマウツボ科に
移行しています。
セイヨウヒキヨモギ<ハマウツボ科 セイヨウヒキヨモギ属> 1年草帰化植物
ヨロッパ原産の帰化植物、1973年千葉県で生息が確認され、その後、主に全国の河川敷に
急速に広がった品種
ヒサウチソウ<ハマウツボ科 ヒサウチソウ属> 1年草帰化植物
地中海沿岸原産、1982年愛知県名古屋市で初めて生息が確認されました。和名は
綺麗な黄色と思って拝見していたら帰化植物なんですね。
綺麗だねと喜んでばかりいられないのが悩ましい所です^_^;
山野草を知り始めて間もない頃、見たことのない花を見つけて大喜び。花後かしら?と思うほど地味な色でヤセウツボと知りました。
翌年見たら倍々に増えていてびっくりしたことを思い出します。
全国的に大きな川の河川敷は、まるで帰化植物の標本園のような生態系が広がっていますが
城陽市の木津川河川敷も同様です。
ただ、こういった植物達にも栄枯盛衰があって、以前はすごい勢いで繁殖したセイタカアワダチソウなどは
増え続けた結果、自家中毒状態でほとんど姿を見かけなくなりました。
ハマウツボ科の植物には半寄生のものと全寄生のものがありますが、この2種は半寄生型です。
ヤセウツボは葉緑素を持たない全寄生型で、考え様によっては最も進化した状態かもしれません。
この植物の先祖は、少しズルをして他人の根から栄養分を分けてもらっている内に
光合成という仕事を放棄しても生きられることを憶えたのかもしれませんね。