四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その78)

2023年04月05日 05時45分37秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その78)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める 姫りんご」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

☆幼子の手に溢れてるツクシンボ ほらっほらっほらっと這いつくばりてゆく
☆朝一番コップの水のやわらかさ春が来たのを喉が知らせる
☆薄墨の春霖がつなぐ一本の電話はやさしく耳をくすぐる
                         夕庵さん
【解説】
 一首目の「ほらっほらっほらっと」に幼子の得意げな様子が、余すことなく
 表現されていて思わず微笑んでしまいます。観察眼の利いた良い歌と思います。
 三首目、春の長雨「春霖」は、秋霖とは異なり明るい感じで、どこか心を
 ウキウキと
させてくれますね。さらに一本の電話がもたらす明るいニュースが
 詠歌から感じられます。
「薄墨の春霖がつなぐ」の描写が鮮やかと思います。

【詞書】私は海を眺める時「春の海」が比較的好きです。春の海は風も吹かず
    穏やかです。
そして太陽が水面に当たりキラキラと輝いている様は何とも
    言えない心地に誘われます。

    そこで拙者ブログで「訪れてみたい春の海」を特集していますが、詠んで
    みました。
特に宮島は故郷山口県に近いこともあって何回も訪れています。
 註)広島「宮島」
☆宮島の潮に誘われ大鳥居 鹿と戯れ桜に遊ぶ
 註)石川県「白米千枚田」
☆幾重にも重なる田んぼ千枚田 広がる絶景原風景も
 註)渥美半島「恋路ケ浜」
☆恋人の聖地名高い恋路ヶ浜 四葉見つけて幸せ浸る
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 「訪れてみたい春の海」の特集は、コロナ禍から解放された多くの皆さんの共通の
 関心事ですね。
三首の歌に詠まれた「宮島」「白米千枚田」「恋路ケ浜」は現代の、
 歌枕でもあります。

 二首目の「白米千枚田」は、「急斜面に1004枚もの小さな田が幾重にも段になって
 海岸へと
広がる絶景は日本の原風景」との説明を拝見しました。

 急傾斜を人力のみで耕し、土手を築き営々と稲作を行ってきた方々の、命をすり
 減らしての
営農の歴史を思い起こし、粛然とした想いにさせられます。

 そんな想いを込めて、ご参考として詠ってみました。
 註)石川県「白米千枚田」に寄せて
【ご参考】
 ★千枚を越える棚田のそれぞれに 削る命の重き歴史も

【詞書】満開の桜は、誰に教えられたか、自分で散り際を知るのか、悠然と散って
    ゆきます。
一年に数日しか咲かない、散り際も美しいそんな桜に惹かれます。

☆こぼれ来る朝の光に桜花 誰(た)に告げらるや 今ぞ散りそむ
                         みっちっちさん

【解説】
 咲き満ちて、朝のひかりを浴びながら静かに散っていく。己の使命を果たしたがごとく
 潔く散るその様は、見事と言うほかはありませんね。そんな散り際の見事さをも行間に
 詠み込んだ詠歌に共感します。
 開花から散り際まで、刹那とも言えるその間に受粉し実を結ぶ花の手際の良さにも
 感嘆する次第です。人はこの花の如くありたいと、しみじみと思うことがあります。
 そんな想いにもさせてくれる詠歌と思います。4句を少し変えてみましたが・・・。
【ご参考】
 ★こぼれ来る朝の光に桜花 咲き極まりて 今ぞ散りそむ

【詞書】数日前に私の住む兵庫県川西市水明台に群生している彼岸桜を見てきました。
   その折に詠みました三首を出詠させて頂きたいと思います。
☆猪名川の渓の桜を見下ろせば雲海の上(へ)に浮かぶ心地す
☆蜂が来て蝶々の飛びてゐる渓の菜の花は咲く桜の下に
【詞書】水明台の対岸の清和台には、お城のような大きな老人ホームが建っています。
   木の切り株を椅子にしたものを「切り株椅子」と詠いました。
☆水明台の切り株椅子に座り見るお城のやうな老人ホームを
                         siusenさん
【解説】
 川西市を流れる猪名川沿い水明台にはエドヒガン桜が群生しているとのこと。
 この桜は「存続基盤が脆弱とされている」とのことで、群生しているのは珍しい
 とのことですね。

 一首目に詠まれたように、里山を薄紅色に染めるエドヒガン桜の群生は、
 まさに「雲海の上(へ)に浮かぶ心地す」の錯覚に囚われるかも知れませんね。
 情景の描写が
生きている歌と考えます。
 二首目も含めて、春の長閑な景観が味わい深く詠まれて好感が持てます。
 
【詞書】黄色の道を行こう
☆黄色の道をあの娘の家まで行こうちょうど桜の咲いているよ
                         自閑 (jikan314)さん
【短歌説明】自閑 (jikan314)さんご自身の説明です。
 春の散歩は、様々な花に出会えるから楽しい。
 いつも拝見している方の、菜の花が綺麗と言う紹介で、川沿いの道を行ってみる事に
 しました。
菜の花の道と言う事で、黄色の道をテーマに短歌を書こうと。

 黄色の道と言うと、オズの魔法使い「Follow The Yellow Brick Road」的なウキウキした
 気分が良いなと。行き先は、艶の有る方が、もっと良いかなあと、虚構の恋の
 ストーリーにしよう。

【解説】
 詠まれている「黄色の道」は、「オズの魔法使い」の主人公のドロシーが、
 「北の良い魔女」に
「Follow the Yellow brick road(黄色のレンガ道をたどるように)」
 と教えられた
物語に寄っていると考えます。

 黄金の道の果てにあるエメラルド・シティは、まさに夢の国ですが、それを目指す旅は
 ドロシーに
とって自分と友の「自分発見の旅」ではなかったかと思っています。

 「虚構の恋のストーリー」も桜の咲く春を背景とすると、楽しい恋物語になりますね。
 黄色い道の先には、虚構でない新たな希望に満ちた展開が待っていることと思います。
 そんな
予感さえ感じられる歌になっていると考えます。


     「咲き満る 桜・染井吉野」

【詞書】短歌歴11年生になったので、短歌上達作戦を練っています。
    有松絞の30台の女性職人さんのブログに感動しました。職人魂です。
    3句の「するまいぞ」が雑ですね。「避けるべし」では緩いですが品があります。
☆詠草に言葉あそびはするまいぞ(避けるべし)
      有松絞りの職人に学ぶ
                         リコさんさん
【短歌説明】リコさんさんご自身の説明です。
 私は毎月8首を短歌会に提出します。彼女のブログを読んで創作というものに少し気を
 抜き過ぎていたように思いました。
 辞世の一首ではないので深刻になる必要はありませんが真剣な歌を必ず入れたいです。
【解説】
 自ら選んだ長い伝統を持つ「有松絞り職人」の道にひたすら精進する姿には人を感動
 させるものがあり、また学ぶもの大ですね。その姿を踏まえた作者の「創作に真剣に」
 と
言う、新たな「短歌開眼」の姿勢にも学びたいと思います。
 なお、私は「避けるべし」を推します。
 こんな視点で詠んでみましたがいかがでしょうか。
 【詞書】有松絞りの職人に感動して
  ★魂込めて絞りにむかう職人の 想いを我も歌に籠めたし

【詞書】一年前にもあったそうですが、この三つの赤い星が三角形を描いている…と。
   ベテルギウスと
アルデバランは見える場所がはっきりしてますが、火星は
   行ったり来たりだったりして、場所が
特定出来ない“惑う星”ですから、こういう
   機会はなかなかレアなんではないでしょうか。
呼び名なんですが「“黒い三連星”
   ならぬ“赤い…”いやいや、“連星”は違うわな…」とか
考えてました。

☆アルデバラン ベテルギウスと火星との赤星三角 西寄りの空
【詞書】関西テレビの「報道ランナー」で、京都橘高の吹奏楽部の卒業公演をスマホで
   見た時、部長さんの言葉に
感銘を受けました。「後悔はありません」の言葉の
   後に「思い描いたような三年間ではなかったの
ですが、思い描いた以上の三年間
   でした」と、満面の笑みでインタビューに答えていたのを見てて、
彼女がそう
   答えられるだけの努力や、乗り越えてきた思いなどを想像して頭が下がり
   ました。
・・・悩んで過ごしてきた三年間はきっと無駄ではないとエールを
   贈りたいです。

☆三年間 コロナ禍に居た高校生 「後悔はない」と吹部の部長
【詞書】いや、もうまんまです。今なら見えやすいということなので、「金星の斜め下、
   金星の斜め下…」と
つぶやきつつ10度ぐらいのあたりの空を見てるんです。
   しかし、空は晴れていても低い空は雲が
溜まってたり、霞んでたりで、見え
   そうな日にチャレンジしてみるんですが…。この機会を逃したら、
まあ
   ちょっとやそっとでは…。「水星の魔女(機動戦士ガンダム)」がやってる
   この時期だけに
見たいもんです。

☆水星が見えれば良いなと目を凝らす 角度の低ーい宵の西空
                         ちがやねこさん
【解説】
 いよいよ「宇宙の話」の本領発揮の詠歌になりましたね。貴重な示唆で学びと
 なります。
一首目は「赤い三連星」と命名しましょうか。

 二首目の京都橘高の吹奏楽部の卒業公演と、その部長の言葉は感動的でしたね。
 人は
艱難辛苦により鍛えられるの言葉通り、この三年の体験は濃密であり、それを
 乗り越えた故の
重みのある言葉であったと思います。作者のエールの籠った詠歌と
 なっていると思います。
三首目は「宵の西空」に見えるであろう水星への想いの
 籠った詠歌になっていますね。

 なお、最近皆様の活発な投稿で、blgの文字制限(blgコードレベルで30,000文字)
 ぎりぎりの状態が続いています。従って折角の説明、詞書ですが、一部割愛させて
 頂き
編集させて頂きました。事後で申し訳ありませんが、ご了承頂ければ幸いです。


      「咲き初める 八重桜」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆朝一番コップの水のやわらかさ春がきたのを喉が知らせる
                         夕庵さん
★ただ水を含めば ほのとやさしきは いまはの母の笑み偲ぶゆへ
                         みっちっちさん

☆濡れてなお妖しく光る夜桜に お七のすがた浮かびて消える
                         ポエットM
【詞書】夜桜は艶やかで妖しく、又、散り際も潔くお七の姿が浮かびますね。悲しい
   お七の物語は受け継がれ、舞妓さんはお七さんを偲んで、桜を愛でたのかも
   しれません。
★ はんなりと桜あかりのぼんぼりに舞妓のうなじ白く浮きたつ
                         みっちっちさん
★うなじをも朱く染めたるぼんぼりに 切なく想う秘めし恋路を
                         ポエットM

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆月影を浴びて散りゆく桜花  いのちの際の 凛々しさも秘め
                         ポエット・M

【解説】
 満月に若干の日はあるものの確かな月光が、散り始めた桜吹雪に降り注いでいます。
 あるか無きかの風に舞う桜の花びらは、月影と遊ぶがごとくリズミカルに散って
 いきます。
あたも命の際を従容と受け入れ、凛とした舞姿を演じる能のシテにも
 通じる凛々しさを
散る花びらに感じて、そんな姿を詠ってみました。


     「咲き満る 桜・染井吉野」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (21)
  
6.山岳無情(3)
 
   山がある故に登らんその自乗
          独り心で遠く泣くため  嵯峨吹雪

   敗戦の
     時さえ清く
        耀きし
       日本の山河よ
          今はいずこに

        春秋の
          峰走りをば
             輪廻とし
           悠久なれや
              白神山地

                哀しきは
                  古今かわらず
                     山里の
                   卯の花曇りに
                      鳴くホトトギス
         日も暮れて
           地図なき我の
               道遠く
             石の枕に
               星ふるばかり

      永遠の
        哀花を埋め
           吹雪くかな
          夢幻哀しき
             嵯峨たる孤峰


     「咲き初める 花水木」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
【投稿外コメント】
 自閑(jikan314)さんにご紹介頂いた桜に関する歌です。学びの一環として掲載致します。

  世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(在原業平 伊勢物語、古今)
  花にあかぬ嘆きはいつもせしかども今日のこよひに似る時はなし(同 同、新古今)
 京都で、この歌に合う所はどこかな?と探し、東山円山公園の桜がライトアップしていたので、
 見に行きました。
  もろともにあはれと思へ山桜花より外に知る人もなし(行尊 金葉)
 吉野の奥千本に行った帰り、宮滝に行けると言う誰もいない山道を降りると、一本の
 桜が咲いていて、ふと口に出ました。
  山里の春の夕ぐれ來て見ればいりあひのかねに花ぞ散りける(能因 新古今)
 印象派の絵画の様に感じます。合うかと滋賀の園城寺に行きましたが、大寺院で
 ちょっと違い過ぎました。
  さそはれぬ人のためとやのこりけむ明日よりさきの花の白雪(九条良経 新古今)
 後鳥羽院口伝によれば、良経は、この歌が自信作とのこと。大内の左近の桜の花見です。
  八重にほふ軒端の櫻うつろひぬ風よりさきに訪ふ人もがな(式子内親王 新古今)
 式子内親王は、大炊御門殿、今の京都裁判所と小学校辺りに住んでおり、隣に住む
 甥の惟明親王を花見に誘った歌です。京都裁判所の桜は、ソメイヨシノよりやや遅れる
 ので、京都御苑が散っていたら、見に行っては?
  桜散る木の下風は寒からで空に知られぬ雪ぞふりける(拾遺集 紀貫之)
 貫之と聞くと嫌悪を抱く方もいますが、花びらを空に知られぬ雪と表現した所が秀逸。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。なお、ブログの
   字数制限(コード30,000字)により、コメント等編集させて頂く場合もあります。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

コメント (28)
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