四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その80)

2023年04月19日 05時46分28秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その80)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 4月26日(水)掲載分を、都合により4月28日(金)に変更させて
     頂きたくお願い申し上げます。勝手な変更で申し訳ありません。

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める 西洋シャクナゲ」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】23年4月4日上田城址公園桜祭りに行って来ました。ここは天守閣がないので
   濠と桜と石垣の景色に尽きるのですが、内濠に咲いている桜の花が満開、
   そして濠にひらひらと舞い落ちた花びら・花筏が圧巻でした。
   そして上田城址公園の「濠・桜・花筏」を詠んでみました。
☆内濠の水面に映る桜花 花筏組んだ姿はかなし
☆ひらひらと舞い落ちるさま美しく 桜の景色極上のごとし
☆圧巻は花筏こそ日本的 大和の国のわびさびあらわす
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 上田城址公園は、前にも書きましたが私の高校時代の通学の地でもあり、懐かしい
 場所でもあります。濠に沿う桜が満開で、しかも散り時とは風情がありますね。
 詞書にもありますように「濠と桜と石垣」に尽きる城址でもありますが、歴史の中で
 乱舞するつわもの達をはじめ、諸々思いめぐらすには適した景勝の地でもありますね。
 三首とも、上田城址公園の特徴をよく捉え、堀一面に展開される「花筏」に焦点を
 当て味わいのある歌に仕上げていると考えます。
 一首目と三首目を、この城の歴史を踏まえ視点を変えて詠んでみましたが・・・。
【ご参考】
 ★徳川をうちて破りし歴史をも 秘めて静もる濠の花筏

☆一本桜 産卵のごと散らしたり幼はピンクに溶けて駆けゆく
☆二つ三つ濡れた花びらつけたまま春の嵐の傘をたたみぬ
☆風ぬるきたそがれ時の妖しさに写す池面の花のひと枝
                         夕庵さん
【解説】
 一首、二首目とも、情景を良くとらえ、「産卵のごと」「春の嵐の傘」の表現が
 新鮮で、桜の散り際を情趣深く詠っています。このような視点は見習いたいと
 思います。

 三首目は、春の「たそがれ時の妖しさ」を「風ぬるき」の初句で導き、夕映えに
 浮かぶ
桜の一枝が池面に写る様子を詩情豊かに詠っています。

 「花のひと枝」と写生で締めた結句も含めて、見事な詠いぶりと考えます。

【詞書】私が幼少だった頃の母との想い出は、何か春のぼんやりした、夢かうつつか
    判別が
つかないような、でも断片的に春に須磨の浜辺で綺麗な貝殻を優しい
   母と探した
事とかが確かにあったのだと思い出します。

☆亡き母と春の浜辺に虹色の貝殻いくつ拾ひたりしか
                         みっちっちさん
【解説】
 須磨海岸は未だ砂浜も、海もきれいな状態が維持されているでしょうが、私も
 かつて出張先で徹夜続きのシステム開発の合間に、この浜辺へ気分転換を兼ねて
 訪れたことがありました。源氏物語を彷彿させる素敵な浜辺との印象があります。
 さくら貝や虹色の貝も探せば豊富にあったことでしょうが、お母様と一緒に探し
 ほほ笑みあった記憶はなにものにも代え難い、懐かしい思い出の一齣と思います。
 そんな想いが込められた、今は亡き、お母様との楽しい思い出を詠んだ歌は
 しみじみとして、胸を打ちます。

【詞書】クラムボンはわらったよ 亜麻色の髪の乙女を聴いて
☆月の夜
 川底の織り成す光の綾
 蟹達と共に眠る
                         自閑 (jikan314)さん
【短歌説明】
 本説 宮沢賢治 やまなし
  「小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈です。」
 本歌 新古今和歌集 巻第十八 菅原道真
  海ならずたたへる水の底までに淸きこころは月ぞ照らさむ
 詩人や歌人、作詞家は、新たな詞を発明して発表してきました。宮沢賢治の
 クラムボンは、
それは何?と誰も知りませんが、誰もがクラムボンを知っていて、
 童話の中で繰り返し出てきて、
幻燈の世界を醸し出しています。
 ドビッシーは、とても幻想的な曲が多く、川底の揺らめく光のイメージから。
 下記urlに亜麻色の髪の乙女を貼り付けていますので幻想的な曲をお聴きください。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/772ea85d0e6c80f90cb5317d760678e3/?st=1

【投稿外コメント】自閑 (jikan314)さんご自身の説明です。
  電信隊浄水池女子大学刑務所射撃場塹壕赤羽の鉄橋隅田川品川湾
 この短歌を見て、皆様の感想はたぶん「なんだ?これは!短歌じゃない‼️💢😠💢」
 では
無いでしょうか?地名漢字を並べただけのものでしょう。
 この短歌の作者が、斎藤茂吉(第七歌集たかはら 虚空小吟 昭和4年)と言ったら、
 たぶんみんな沈黙してしまうでしょう?誰も斎藤茂吉を批判出来ないから。
 茂吉が初めて飛行機で帝都東京を一周した時のものだそうです😉
 見たままを、臨場感そのままの詞で表現しています。こんな短歌が作れたらなあ😅と
 言う事で、
皆様に紹介します。こんな短歌は、新古今にも、
  うち湿りあやめぞ薫るほととぎす鳴くや五月の雨の夕暮(後京極摂政前太政大臣)
 があります。
【解説】
 「クラムボン」は、宮沢賢治の自然観や人間観を象徴する存在とも言われていますね。
 この歌の「やまなし」では、「クラムボンは水に映った太陽」との説もあります。
 また、
童話集『注文の多い料理店』に収録されている作品では、少年のジョバンニと、
 クラムという名前の犬と共に様々な冒険を繰り広げる物語もあります。
 この「クラムボン」と、ドビッシーの幻想的な曲「亜麻色の髪の乙女」、さらに
 菅原道真の
歌の「月ぞ照らさむ」を、「幻想的」というキーワードで繋げた、壮大な
 物語を一首の歌に
凝縮して詠みきる手並みに、今回も感動させて頂きました。

 また、斎藤茂吉が「飛行機で帝都東京を一周した時」の歌。写生のみに徹した歌を
 紹介
頂きありがとうございました。まさに「写生極まれり」ですね。大きな示唆を
 頂きました。

     「なにわ茨」

【詞書】主人が何と30年ぶりに学生時代の友人と出会い、たいそう楽しかった
   ようで、珍しく高揚
していました🎵それを見ていて、何年経っても、
   若き青春は「今、ここにある❗❗」と〜

☆懐かしき 友に出会うも 
  30年 口調は同じ 俺とお前と
☆雲海の 山に抱かれ 雨上がり
  桜散る路 クロと朝ン歩
                         クロママさん

【解説】
 一首目のお歌。ご主人が30年ぶりに学友にお会いになり、楽しく、懐かしい
 ひと時を
過ごされ珍しく高揚されていたとのこと。その高揚を我が事として喜べる
 お二人の様子が
歌に滲み、微笑ましく感じます。
 会った瞬間に時空を超えて「俺とお前」になれる関係性も
大切にしたいですね。
 ご主人と作者の深い絆も覗く良い歌と思います。

 二首目は調べの良い歌ですが語順を少し整理してみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★雲海のたなびく里に散る桜
     踏みつつクロと 朝の散歩に

【詞書】今朝、みっちっちさんのブログで葵祭という言葉を拝見して、私の初めての
    デートが葵祭であったことを思い出して、その後の三千院のデート、
    南禅寺のデートも思い出して詠んでみました。
☆鴨川の土手で行列見た記憶よみがえりきて初デートの日
☆誘はれて三千院の寂しさの中を並んで歩きし記憶
☆湯豆腐を高いと言ひつつ食べしこと思ひだしたり南禅寺にて
                         suisenさん
【解説】
 初デートの思い出は、一生の思い出として印象深く脳裏に刻まれていることと
 思います。初デートの歌としてすぐに思い出されるのは、栗木京子さんが20歳の
 ときに詠んだとされる次の歌があります。
  「観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生」
 青春の真っただ中に詠んだ歌と、思い出に刻まれた想いを詠むとの違いは
 ありますが、三首とも、ほのぼのとした温かな想いにさせられます。
 特に二首目の「三千院」は、「一念三千」という教えから、心のわずかな働き
 (一念)の中に、ご主人となられた方のあらゆる想い(三千)が詰まっていた
 ことを、問わず語りで伝えられたのではないでしょうか。そんな深淵な想いも
 感じられる歌になっています。

【詞書】4月16日の京都宇治の私が住んでいるあたりは、降ったり止んだり、降って
   いるのに
日が差したりで、わけの判らん天気でした。思わず「何匹狐が結婚式
   あげとんねん」と
ぼやいてしまいました…。
☆日曜日 照るや降るやがせわしなく 何組あったの?狐の婚礼
【詞書】凄いレースでした。4月16日の皐月賞です。キタサンブラックの子の
   ソールオリエンス
という馬が勝ったんですが、ゴール手前に、あれよあれよと
   三番手ぐらいに来て、
結果一着でゴール!何というえげつない足!なんちゅう
   レースや…!。
これで彼は18頭中ただ一頭が得られる「三冠達成の権利」を
   勝ち取ったわけです。

☆放たれた矢のようゴールの手前から皐月賞勝つ流星の足
【詞書】なんか凄かったですね。テレビで国際宇宙ステーションからみた、黄砂
   まみれの日本海
の様子は。まだもう少し来るらしいとか…。…うへえ…。
☆宇宙(そら)に居るISSから日本海
       黄色く見える黄砂に染まりて
                         ちがねやねこさん
【解説】
 一首目、この時期は気象も安定せず「狐の嫁入り」と言う、天気雨が多いですね。
 京都は盆地特有の上昇気流もありますし、この現象が発生しやすいのかも知れませんが、
 ユーモアの利いた分かりやすい歌になっていると考えます。
 二首目は、皐月賞を勝ち取ったソールオリエンスが、3連勝で第一冠を制した様子を
 興奮気味に詠んで頂き、臨場感に満ちた歌になっています。この分野は疎いですが、良い
 学びになります。
 三首目は作者の得意分野を歌にされていて新鮮です。ISSからみる日本海は黄砂まみれで
 「黄砂に染まりて」の状態であったことと思います。


      「ジャーマンアイリス」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆春霞花筏にも喜びが 清しと集う水面の春も
                         浅間山明鏡止水さん
★花筏ながれて何処まで行くのやら朽ちて消えゆく無念の情も
                         夕庵さん

☆亡き母と春の浜辺に虹色の貝殻いくつ拾ひたりしか     
                         みっちっちさん
★少年は小さな冒険企てて海に向いて叫んでおりぬ
                         夕庵さん
★少年は貝殻あまたポケットに夢も希望も詰め歩かんと
                         みっちっちさん
★去る人は日々に疎しと言うなかれ 右のポケット開けて待ってる
                         夕庵さん
★ポケットの多き上着で春の街歩けばいよよ楽しきことも
                         みっちっちさん

☆花筏ながれて何処まで行くのやら朽ちて消えゆく無念の情も
                         夕庵さん
【詞書】お城におられた、この上の姫君達も、桜を愛でられたのでしょうか。
   内濠の花筏には、どんな思いを持って愛でられたのかと思いを巡らせました。
★内濠の隅にただよふ花筏 このかみの姫愛でしや否や
                         みっちっちさん
★いにしえの姫の夢さえ散り果てて花筏によす恋の泡沫
                         夕庵さん
★白川をゆたにたゆたに花筏 舞妓の恋のたゆたふやうに
                         みっちっちさん

☆これほどの花もちたるか花吹雪 虚空と大地おおいなお舞う
                         ポエット・M
★子の名前忘れた母の手を引いて桜吹雪の路を歩みき
                         夕庵さん
★花吹雪見つめ笑みたる人の群れ 母のほほ笑み淡く顕(た)ちたる
                         ポエット・M

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆なりふりを構わず咲くや薔薇・さつき 五月をまたず路地をうめゆく
                         ポエット・M
【解説】
 観測史上最速タイで咲いた桜・染井吉野を始め、あまたの花が例年より10日以上
 早く咲き
競っています。それらは花々が「なりふりを構わず」咲いているかに
 見えます。温暖化の影響と
見ることもできますが、咲き急ぐ花たちの様子に
 梅原猛氏がかつて語った「混沌」の象徴的な
事象にも思えてきました。きな臭い
 世情に花たちも敏感に反応しているのかも知れませんが…。

 そんな世情でも、どっしり構え世の趨勢を、冷静に見つめていくことの大切さを
 改めて感じています。
そんな想いを感じ、花の美しさに見惚れつつも、浮かれない
 想いを込めて詠ってみました。


     「咲き競う つつじ」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (23)
  
7.折々の歌(2)
 
   尊さは貧しき歌に出で来たり
          花の香りを風に蒔く人   嵯峨吹雪

   男あり
    独り夜半の
       台所
      注ぐワインの
         音にて泣けり

        男あり
          闇夜に起きて
              魂の
             なきがらかくや
               ワインを飲めり

                帰らざる
                  河の流れに
                     泪橋
                    忍び来て泣く
                       空蝉女
         忍び来て
           胡弓の甘さ
              哀しさに
             おわらまぼろし
                 風の盆うた

      野良猫を
        自由猫だと
           愛おしむ
          「夢千代日記」の
              早坂先生


     「咲き初める ひらどつつじ」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
【投稿外コメント】
 自閑(jikan314)さんにご紹介頂いた桜に関する歌です。学びの一環として掲載致します。

  世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(在原業平 伊勢物語、古今)
  花にあかぬ嘆きはいつもせしかども今日のこよひに似る時はなし(同 同、新古今)
 京都で、この歌に合う所はどこかな?と探し、東山円山公園の桜がライトアップ
 していたので、見に行きました。
  もろともにあはれと思へ山桜花より外に知る人もなし(行尊 金葉)
 吉野の奥千本に行った帰り、宮滝に行けると言う誰もいない山道を降りると、一本の
 桜が咲いていて、ふと口に出ました。
  山里の春の夕ぐれ來て見ればいりあひのかねに花ぞ散りける(能因 新古今)
 印象派の絵画の様に感じます。合うかと滋賀の園城寺に行きましたが、大寺院で
 ちょっと違い過ぎました。
  さそはれぬ人のためとやのこりけむ明日よりさきの花の白雪(九条良経 新古今)
 後鳥羽院口伝によれば、良経は、この歌が自信作とのこと。大内の左近の桜の花見です。
  八重にほふ軒端の櫻うつろひぬ風よりさきに訪ふ人もがな(式子内親王 新古今)
 式子内親王は、大炊御門殿、今の京都裁判所と小学校辺りに住んでおり、隣に住む
 甥の惟明親王を花見に誘った歌です。京都裁判所の桜は、ソメイヨシノよりやや遅れる
 ので、京都御苑が散っていたら、見に行っては?
  桜散る木の下風は寒からで空に知られぬ雪ぞふりける(拾遺集 紀貫之)
 貫之と聞くと嫌悪を抱く方もいますが、花びらを空に知られぬ雪と表現した所が秀逸。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。なお、ブログの
   字数制限(コード30,000字)により、コメント等編集させて頂く場合もあります。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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