四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その81)

2023年04月28日 05時21分00秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その81)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 今回の掲載日シフトにご協力を賜り感謝申し上げます。

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める シラン」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】拙者ブログに葛飾北斎の「富獄36景」を掲載しています。現在と当時の風景が
   余りにも違い驚きながら楽しんで詠んでいます。ご指導願います。
 註)「隠田水車」東京都渋谷区神宮前
☆富士が眺める原宿は 水車が回る庶民の暮らし
 註)「礫川雪ノ且」(こいしかわゆきのあした)東京都文京区春日二丁目・北野神社
☆礫川辺り一面雪化粧 指さす空に富士の冠雪
 註)「御厩河岸両国橋夕陽見」(おんまやがしりょうごくばしのせきようをみる)
   東京都墨田区本所一丁目
☆藍色が描く世界は濃淡で 北斎ブルーは庶民を虜
 参照
 https://media.thisisgallery.com/20208048
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 葛飾北斎が生き、「富獄36景」を描いたころの景観には隔世の感がありますね。
 一首目の、「隠田水車」にしても、原宿周辺は、当時田園地帯が多かったため、水車の
 ある風景が当たり前に広がっていたことと思います。北斎の絵には、水車とたくましく
 働く
農民の姿が描かれ、さらに遠くに聳える富士山の静寂が、農民たちの動きを引き
 立てて
いると感じます。そんな情景が歌にも上手く表現されていると考えます。
 なお、一首目をこんな視点で詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★江戸の御代(みよ)水車回りし原宿で 富士眺めつつ民は働く

【詞書】南朝は、歴史からはかなくなくなってしまったが、仏教の祈りは消えずに
   残るものだなあ。
☆南朝の桜は散ってしまえども
    残る吉野の蔵王の祈り
                         西BOOさん
【解説】
 はじめまして。「水曜サロン」へ出詠頂きありがとうございます。
 後醍醐天皇は吉野に朝廷を開き、この「南朝」と京都の「北朝」による南北朝の時代が
 はじまりますが、後醍醐天皇は、吉野に入ってわずか3年で亡くなってしまいますね。
 おっしゃるように、この時代は騒乱に明け暮れた哀しい歴史ばかりが目につきますが、
 「祈りは消えず」に残ったものと思います。
 こんな歴史を踏まえると、「南朝の桜」と「蔵王の祈り」の対句の深淵さを感じます。
 なお、歴史書によると、南北朝統一まで57年、その後さらに「後南朝」が65年と
 吉野での南朝の歴史は結構長く続いたようですね。
 これからも、出詠等含めて、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

【詞書】山崎方代の歌集を読んで
    こんなにも湯飲み茶碗はあたたかくしどろもどろに吾はおるなり 山崎方代
   私は思案ごとをしながら湯飲みの中のお茶を眺めています。方代さんの歌集の
   ぬくもりと、まるで私の横に方代さんが笑っているような感じがしたのです。
☆思案一つ湯飲みのなかにかき混ぜて春のテラスに「方代」と居る
☆満開の桜の雨の神隠しひとりの姉が逝ってしまいぬ
☆気がつけばいつから座っていたのやら春寒の夜の籐椅子ぬくし
                         夕庵さん                                                                   
【解説】
 「放浪の歌人」と言われた山崎方代は、吉野秀雄に「弟子」として可愛がられた歌人
 でしたが、今でも俳人「山頭火」と並んで人気のある方ですね。
 この歌で、湯呑茶碗を出したのは恋人とも母ともとれますが、お茶から立ち上る
 かすかな湯気も感じられる、限りなく優しい光景が
展開されていますね。
 一首目の歌には、そんな優しさが溢れる「方代」が覗きますし、「思案」もそれほど
 深刻なものではないと拝察いたしました。
 二首目は「神隠し」の不条理を詠いながら姉上様への哀惜の念が強く滲んでいます。

 三首目は、時間の経過を上手く掬い取り、物語性のある素敵な歌に仕上がっています。

【詞書】先日、京都へ行き、嵯峨野の竹林の清々しい風を楽しみました。すると前から、
   外国人の乗る人力車が三台やってきて、車夫の若者や乗客の外国人の笑顔に、
   見ている私達も楽しくなりました。
   三台目に可愛い笑顔の姉妹が乗っていて、日本の素晴らしさをいっぱい思い出に
   して欲しいなと思いました。
☆竹林の風渡りくる人力車 異国の子らの笑顔弾けて
                         みっちっちさん
【解説】
 嵯峨野の「竹林の小径」は、緑あふれる今の季節、観光客の方で賑わっている
 ことと
思います。
 子供達は大人とは異なり全身で、その喜びをあらわしますので、結句に詠まれて
 いるように「笑顔弾けて」の状態と思います。「弾けて」の表現が利いています。
 竹林の溢れるような緑に染まり、初めて経験されたであろう人力車の乗り心地の
 良さも含めて、日本での楽しい思い出が、彼女たちの脳裏に刻まれていくことを
 願い
たいですね。そんな願いや、祈りが、国と国のつながりの基本であることを、
 静かに
表現している良い歌と考えます。

     「白ツツジ」

【詞書】春風散歩 モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 
    KV299を聴いて

☆花がさいている
  鳥がないている
 風がとおくまでひゅるりふいてるよ
                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 北島三郎、千昌夫の与作を思いました。モーツアルトを聴きながら思う自体変ですが。
 与作の歌詞は、
 与作は木を切る。木霊は返るよ。女房は機を織る。気立ての良い嫁だよ。もう日が暮れる。
 女房が呼んでいる。藁葺き屋根には星屑が降るよ。女房は藁を打つ。働き者だよ。もう夜が
 明ける。だけです。何でもない古い山里の樵の風景ですね。機織りも今では民芸館でしか
 展示されていません。でもこれが、北島三郎だけで60万枚もレコードを売りました。
 と言う事で、モーツアルトの曲を聴いて、ただの春の情景をそのまま思って作りました。
 モーツァルトを下記URLに貼り付けていますので、春の散歩を感じて頂ければ幸いです😉
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/20231953c80cbb27238f8e09bd9137e7
【解説】
 モーツァルトと、北島三郎「与作」のコラボレーションで歌を詠む試みは、
 作者ならではのものと
感じます。
 しかし、ぴったりとマッチして上質な歌に仕上がっている所が凄いと感じます。

 モーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 KV299」を視聴
 させて頂きました。

 フルートとハープの絶妙なバランス、そして、その絡みと戯れ、さらに抑制された
 媚態とが
混然一体となって響いてきます。正に「神の降臨」を思わせる曲は、
 モーツァルト故と感じます。

 「与作」は北島三郎の歌によりヒットし千昌夫も、もち歌としていますが、厳しい
 山里の
労働を歌いながら、互いを思いやる夫婦の明るさが溢れていると感じます。
 そんな明るさと
慈しみに私たちは共感しつつ、さらに、モーツァルトの曲に宿る
 「神」の存在をも違和感なく受け
入れていくのではないかと思っています。
 心に響く素敵な曲は時空を、そして民族をも越えて響くものと改めて感じさせて
 くれます。
それを「春風散歩」の歌で掬い取り、自由律ながら、心地よい調べを
 織り込み短歌に
表現する作者の「技」も学ばせて頂きました。

【詞書】今年の花状況ははやいかな?と思いつつもいつもの時期を待ってしまいます。
   『ツツジ園』を楽しんで来ました🎵
   相変わらずいまいちの句(?)ですが、それも楽しんで投稿させて頂いてます。
☆ひと山を ツツジの色に
  埋め尽くし 明日(あす)は
    散りゆく 一時の夢
☆山覆う つつじの郷の
  鮮やかさ
    風に散るゆく 潔ぎ良さかな
                         クロママさん
【解説】
 謙遜されて「いまいち」とおっしゃっていますが、決してそうではありませんよ。
 「それも楽しんで」が、なにより大切と私も思います。
 今の時期『ツツジ園』は、鮮やかに咲くツツジに埋め尽くされていると思いますが、
 想像する
だけで、その見事さが目に浮かびます。
 その見事さも雨に叩かれ散りゆく定めにありますが、それでも精一杯咲いて私たち
 を
楽しませてくれますね。
 そんな情景を愛情をこめて詠んで頂いた二首の歌は、私たちの心を打ちます。
 一首目の語句を少し変えてみましたが、いかがでしょうか。「一炊の夢」は
 中国の故事「枕中記」
からとりました。
【ご参考】
 ★ひと山を ツツジの色に染め上げて
     明日(あす)は散りゆく 一炊の夢

     「咲き競う ツツジ」

【詞書】やっとオープンです。やっと「淀の3200メートル」春の天皇賞が京都競馬場で
    行われます!
また色々なドラマが繰り広げられることでしょう。わくわくします!
   (最近馬券は買わずに
テレビで見るだけなんですが)
☆待ちわびた 京都競馬場リニューアル 再び淀の夢紡がれる
【詞書】4月23日の午前2時過ぎに、あっ、忘れてたー!と外へ出て、しばらく見ていたん
   ですが、
なんか一瞬、金星くらい明るくピカッと光って消えたのがあったんです。
   たぶん流れ星
やったんやろなあ…。あとしばらく見てましたがだめでした。
   とは言え、少し早めの「夏の大三角形」を堪能しました。「こと座流星群」は23日の
   午前1時ごろが極大だったんですが、もう少し見えるかと思ったんですが…
   甘かったです…。
珍しく雨も降らず曇りでもなく、条件はよかったんですが…。
   なんか3月に逆戻りしたような寒さですね。皆さま体調には気をつけて…。
☆夜も更けて2時過ぎの空とにらめっこ 「一瞬、ピカリ」がたぶん流星
                         ちがやねこさん
【解説】
 少し早めに星空のロマン「夏の大三角形」を堪能されたとのこと。努力の甲斐があり
 夢が叶いましたね。

 眠気に打ち勝ち、星空をワクワクしながら見つめる、作者の少年のような眼差しを
 思い浮かべ、
私まで嬉しくなります。

 そんなワクワク感が滲む二首目は、宇宙に詳しい作者、ならではの詠歌と思います。
 たとえ一瞬で
あっても「こと座流星群」と確信されされている所が秀逸と考えます。

 なお、一首目の「淀の夢紡がれる」の表現も良く利いて、歌を締めています。

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆思案一つ湯飲みのなかにかき混ぜて春のテラスに「方代」と居る
                         夕庵さん
★生き放題死に放題てふ方代と居たるあなたの心の温し
                         みっちっちさん
★事件・事故のニュースを聞けば背な寒し明日の命はそうケセラ・セラ
                         夕庵さん
★世は無情なれど逝きたる父母よ 我が現身(うつしみ)にその檄聞こゆ
                         みっちっちさん

☆満開の桜の雨の神隠しひとりの姉が逝ってしまいぬ
                         夕庵さん
★花散らす雨は落涙 しめやかに逝きたる人を偲ぶ涙ぞ
                         みっちっちさん
★幼子は大声上げて泣き叫ぶ うらやましいなあんなに泣けて
                         夕庵さん
★声あげて紋白蝶を追ふややの土踏まずなき初めの一歩
                         みっちっちさん
★ユーチューブ飽きもせず見る三歳児 ウルトラマンは君のヒーロー
                         夕庵さん

☆なりふりを構わず咲くや薔薇・さつき五月をまたず路地をうめゆく
                         ポエット・M
★颯と咲く花に浮かるる浮世さへ君逝きたれば花ぞなかりき
                         みっちっちさん
★残されし吾の奢りか寂しさは 君逝く卯月花溢るるも
                         ポエット・M
★君逝くも道の小花の青さやか 我が道ひとつしかと歩かむ
                         みっちっちさん

☆なりふりを構わず咲くや薔薇・さつき五月を待たず路地をうめゆく
                         ポエット・M
★咲き急ぎ散りゆく際の不条理においとけぼりの夜の春愁
                         夕庵さん
★春愁を秘めて見上げる夕空に ひとひらこぼし散る花水木
                         ポエット・M

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆葉桜になりたる並木を風ぬけて 一年生の かばん駆けゆく
                         ポエット・M
【解説】
 桜並木の桜吹雪も終わり、既に葉桜の季節を迎えています。一年生もようやく学校に
 慣れ、
元気に通学する姿は見ていて微笑ましいものです。そんな一年生たちが友達同士
 で駆けて
いる姿は、正にかばんが駆けているかの錯覚に囚われます。そんな様子を
 詠んでみましたが、
「ただごと歌」の感が否めません。
 体よりも大きく見えるかばんは、かなり軽量化も進んでいるとは言え、さぞかし重い
 のではと
感じてしまいますが、彼らのはつらつとした横顔が救いでもあります。


      「西洋シャクナゲ」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (24)
  
7.折々の歌(3)
 
   尊さは貧しき歌に出で来たり
          花の香りを風に蒔く人   嵯峨吹雪

   繊細で
     憂鬱と
       我が歌を
      テレビで評す
        歌人の教授

       確かなる 
         詠い方だと
            我が歌を
              評し給いし
                短歌研究博士

              「に」は止めて
                  「、」でいこうよ
                      長嶋さん
                       「巨人軍は永久、
                          不滅です」。と
         子を抱く
           君の瞳の
             愛(かな)しさよ
                 聖母マリアも
                   かくやとばかり

      子を見つむ
        君の瞳の
          愛(かな)しさよ
              慈母観音も
                かくやとばかり


     「咲き初める なにわ茨」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 【チョウキチさんからの質問】
   海ならずたたへる水の底までに淸きこころは月ぞ照らさむ  菅原道真

  初歩的質問ですが、この「海ならず」はどう解釈すべきでしょうか。月と
  どういう関係性を
持たせているのでしょうか。
 【ポエット・M】第一次回答をさせて頂きます。
  先ず、「海ならず」は 「海よりもさらに深い水」、
     「月ぞ照らさむ」は 「水が清ければ水底まで月の光がとどく」と解釈
  しました。
これらを前提に、この歌の意訳をさせて頂きますと、
   「海よりもさらに深い水を湛える水底にも、水が清ければ月が照らすように、
     
いつか無実の罪が晴れ、私の澄んだ心を光が照らしてくれるだろう」
  となります。
  故なき罪で大宰府へ流される菅原道真公が、大宰府へ赴く前に詠ったと言われる
  詠歌です。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。なお、ブログの
   字数制限(コード30,000字)により、コメント等編集させて頂く場合もあります。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

コメント (14)
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