第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その125) 短歌の投稿を歓迎します!!
☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
また、被災され避難を余儀なくされている皆様にお見舞い申し上げます。
☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
第二部 「ネット短歌」 :返歌専用です。
「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。
「咲き初める 椿『古金襴』」
「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」
【詞書】源氏物語や紫式部日記・紫式部集には和歌(巻名歌等)が沢山
ありますが、その和歌の返歌を口語短歌で提出します。返歌は源氏物語の
内容や進行に合わせてではなく、短歌に沿った言葉・単語や自然・地名
からヒントをもらい詠みます。今週は源氏物語巻名歌から1首、紫式部集
より1首の計2首提出しますのでご指導よろしくお願いします。
註)源氏物語巻名歌・10松風(まつかぜ)
歌の背景
光源氏三十一歳。明石の君の一行は上洛し大堰に住むが、源氏は
あまり訪れない。明石君はかつて源氏から贈られた琴を奏し、
明石君の母の尼上はその音を耳にして、わびしさを歌に詠む。
〇身を変へて一人帰れる山里に 聞きしに似たる松風ぞ吹く 明石の尼君
「返歌」
☆訪ねしは 秋の愁いに かこつけて 明石の君に こころ届ける
註)紫式部集・10
〇もみぢ葉を さそふ嵐は はやけれど木(こ)のしたならで 行く心かは
「返歌」
☆街並みは 秋の風情も 華やいで 色づく景色 もみじに染まる
浅間山明鏡止水さん
【解説】
今回は「明石の母、尼君」「紫式部の友」が詠まれた歌への返歌を、それぞれ
一首ずつ詠んで頂きました。
一首目は、明石君の母、尼君の歌ですが「尼姿となって一人帰ってきた山里に
明石の浦で昔聞いたことがあるような松風が吹いている」と、娘が光源氏を
待ちわびる寂しく辛い想いを、思いやりながら詠っていますね。
その歌への作者の返歌は「こころ届ける」として、娘を想う母の心情が表れて
いるとも読めますし、光源氏が明石君を思いつつ「訪ねてきましたよ」とも
解釈できますね。いずれの解釈でも、明石君への思いやりが滲む温かな歌と
考えます。
二首目の元歌は、紫式部の友の詠んだ歌ですが「紅葉を誘う嵐は激しいけれど、
この都ではないところへは行く気にはなれません」と解釈できます。しかし、
この歌への返歌として、作者は「街並みは秋の風情も華やいで」と友の意図を
かわして詠んでいます。しかし、友の想いをおもんばかり、「木の下=都」で、
もみじ葉を眺めたいとのあなたの思いは私も同じですよ、との想いを込めた
返歌にしてみました。いかがでしょうか。
【ご参考】
★もみぢ葉を木の下でこそ眺めんと 君の想いは吾の思いに
【詞書】ブログ友のクリンさんの記事で、江戸川乱歩の「押絵と旅する男」を
読ませて頂いて、又コメント欄での朗読の紹介から、佐野史郎さんの朗読を
聞きまして、その世界に惹かれました。
又、亡き母は押絵とか陶器、掛軸、色々なものを残しており、いつまでも
捨てられずにおります。そのことで三首出詠いたします。
☆不可思議な押絵に生くるおもひびと 妖しき乱歩の世界に惹かる
☆妣(はは)作の押絵の女(ひと)の白き顔 たおやなる目は何語らむや
☆断捨離の最中なれど妣(はは)のもの しばし眺めて 又箱の中
みっちっちさん
【解説】
今回は「妖しき乱歩の世界」「亡き母」について詠んで頂きましたが、
いずれも調べが良く、心楽しく鑑賞させて頂きました。
特に、三首目は、断捨離という行為の中で、亡くなったお母様の遺品に
向き合う心情を趣き深く表現しています。
物を手放すことの決断と、それにまつわる感情の葛藤が無理なく表現
されています。物を手に取り、一時的に思い出に浸るものの、最終的には
また箱にしまうという行動が、前に進もうとする作者の意志とは裏腹に
過去とのつながりは捨てがたく、保っていたいとの思いが示されています。
淡々とした言葉の中にも、愛情と哀しみが込められていて心に深く響く
歌と考えます。
【詞書】春の到来を詠ませて頂きました。
☆お水取り 過ぎて 春の温かさ 桜開花はもう目の前に
【詞書】南天を植えたことを詠ませて頂きました。
☆枯れかけた白南天を 庭に植え 気分は正に花咲か爺さん
【詞書】卒園・卒業シーズンを詠ませて頂きました。
☆弥生月 卒園・卒業 別れ月 金沢発の特急のごと
西BOOさん
【解説】
「桜開花」「花咲か爺さん」「弥生月」と、春を先取りしたテーマで
味わい深く三首を詠んで頂きました。
一首目、「お水取り」は、春の訪れを告げる風物詩として長いこと親しまれて
きました。天平勝宝4(752)年に始められ、現在まで途切れることなく続けられ、
今年で1273回となることこと。正に、歴史と伝統に裏付けられた悔過法要
ですね。
この歌は、春の訪れと、それに伴う自然の変化を美しく表現しています。
「お水取り」は前述しましたように、春の節目を象徴する行事であり、
その後の温かさが、桜の開花を予感させるとの情景が素直に描かれています。
総じて、季節の移り変わりと、それを待ちわびる心情がワクワク感とともに
伝わってくる爽やかな歌と思います。
「ラッパ水仙 白」
【詞書】松花堂には竹林が多く、水琴窟の音と竹の葉ずれが、絶妙の
バランスで楽しませてくれました。
☆ひそやかに水琴窟は音澄みて 地底の楽も春を奏でる
【詞書】食事の後片付け 春のやわらかい水で洗っていると何だか
気持ちがほぐれて楽しい気分になります。
☆ほとばしる水に茶碗を濯ぎつつ 裡なる鬱もさらり流して
【詞書】サツマイモを見ると子供の頃母がよく作ってくれたお粥に
サツマイモを入た甘みと塩味を懐かしく思い出します。
☆早朝の厨に甘藷の粥を炊く 亡母の味して腹満ち足りぬ
夕庵さん
【解説】
「水琴窟」「やわらかい水」「甘藷の粥」をテーマに、それぞれ情趣豊かに
詠って頂きました。
特に、一首目の松花堂庭園は、華やかな寛永文化の中心となって活躍した
文人僧・松花堂昭乗ゆかりの庭園とのこと。「水琴窟の音と竹の葉ずれ」の
コラボレーションは、風情とともに「和の極み」でもありますね。
この歌は、自然の静けさと春の訪れを結びつける繊細な情景描写が優れて
いますし、「水琴窟は音澄みて」と表現することで、静かでありながらも、
生き生きとした春の訪れを感じることができます。また、締めの結句も
効いています。
二首目、三首目は、何れも下の句の詠いぶりが見事です。
【詞書】YouTube短歌:春の河 スメタナ『わが祖国』より
「ブルタバ(モルダウ)」を聴いて
☆その河は静かに流れ
ゆっくりと春を告げながら光輝く
自閑さん
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
「我が祖国」は、ベドルジフ・スメタナの代表的な管弦楽曲で、1874年
から1879年にかけて作曲された6つの交響詩からなる連作交響詩。第2曲
ブルタバ(ドイツ語名モルダウ)が特に著名です。初演は1875年4日4日、
プラハ国民劇場だそうです。スメタナは、以下の詩をこの曲で述べている
そうです。
「この曲は、ヴルタヴァ川の流れを描写している。ヴルタヴァ川は、
Teplá Vltava と Studená Vltava と呼ばれる2つの源流から流れだし、
それらが合流し一つの流れとなる。そして森林や牧草地を経て、農夫たち
の結婚式の傍を流れる。夜となり、月光の下、水の妖精たちが舞う。岩に
潰され廃墟となった気高き城と宮殿の傍を流れ、ヴルタヴァ川は聖ヤン
(ヨハネ)の急流 で渦を巻く。そこを抜けると、川幅が広がりながら
ヴィシェフラドの傍を流れてプラハへと流れる。そして長い流れを経て、
最後はラベ川(ドイツ語名:エルベ川)へと消えていく。」ハプスブルグ
家の支配から民族独立しようとするチェコ人の気運の高まりと共に、
この曲は演奏されたそうです。
以下のURLに、我が祖国の曲を貼付しておりますので、雄大な流れを
感じて戴ければ幸いです。
https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/29b14d7f72771964c9b8427905176005
【解説】
スメタナ『わが祖国』の「モルダウ」は、私も好きな曲のひとつですが、
改めてユーチューブの曲をしみじみ視聴させて頂きました。
詠まれた歌は、静かに流れる大河を題材に、春の訪れを鮮やかに描写し、
清流、生命の息吹、そして光輝く水面を想像させ、私たちに希望と活力を
与えてくれます。詠歌からスメタナの曲の旋律を思い浮かべることもでき、
五感を通して春の訪れを表現した、美しい歌と考えます。
なお、『わが祖国』は、チェコ音楽の代表作として世界中の人々にで
愛されていますが、スメタナの民族主義的な音楽は、チェコ国民の
アイデンティティの形成に大きな役割を果たしと言われていますね。
優れた音楽は人々を鼓舞する力となることを、改めて痛感しました。
【詞書】日本時間今朝6時45分頃に、MLBドジャースの大谷翔平選手の通訳
だった水原一平氏の違法賭博に関わる一連の事柄について、大谷選手
自身が会見を行いました。大谷選手は、自身は賭博には一切関わって
いない事や、それに関わる送金を自分ではしていない事、韓国での
開幕戦初日の後に聞いた事など、時にはメモに視線を落としながらも
はっきりと話しました。質疑応答が無いことに不満を表す人やマスコミ
もありましたが、まだ警察等の調査中で、大谷選手サイドでも全て
判っているわけでもないでしょうから、それは仕方ない事かな?と
私は思います。最も信頼していた、通訳以外の幾つもの仕事をこなして
いた水原氏の裏切りとも言えるこの一件は、アメリカのファンをはじめ、
日本全国に衝撃が走りました。きっと開幕戦があった韓国のファンの
方々も同様かと思います。口さがない人々は、「大谷選手自身が(違法
賭博を)やってたんだよ」「永久追放だ」など言ってるようですが
(数年前の選手は罰金だったかと)勝手な騒音などお構いなしに、捜査は
進んでいることでしょうから、いつか真相が明らかになるだろうし、
なってほしいものです。
☆真相は未だグレーの霧の中
晴れてやロスの青空の様に
【詞書】次期戦闘機の第三国への輸出が閣議決定されたそうです。協定
を結ぶ15カ国に限るんだとか…。世の中には“横流し”なんていう
言葉もあるんやけどなあ…。協定外のどっか他の国に売り飛ばされ
たらどうすんねん?!…なんてことが頭をよぎります。その昔某企業
がソ連(そのくらい前です)に、スクリューを売った…なんて叩かれて
ましたが(大川興業がそれについてはパロディソングを歌って
ました。オチが可笑しかった「上手いなあ」って…)、日本が作った
武器が人を大勢殺したりする可能性を想像した事あるんでしょうか
ね?…もっとも、その辺に売っててラジコン飛行機とかを好きな人
とか普通に買えるモーターか何かの機械が、ウクライナVSロシアの
戦争で攻撃か偵察かに使われたドローンに使用されていたとか何と
かいう話も聞いたことがありますから、悲しいかな人間は何だって
武器として利用するのか、と暗鬱とした気持ちになった事があり
ますが…。これだけあちこち戦いが尽きないと、“黒い幽霊団
(ブラックゴーストfrom「サイボーグ009」”って本当に有るん
ちゃうか…と、危惧してしまいます…。
☆にんまりと“死の商人”達ほくそ笑む 「次期戦闘機の輸出」の決定
【詞書】26日0:00頃。…せっかく「2355」(NHKのEテレの番組です。
25日のこの回は「ISS通過中」という歌が流れました)が0時になる
直前に満月である事、月面の“SLIM”が今このあたり(画面で
示してくれてました)に居る事を言って、「月に思いを馳せて
みては…」みたいに言ってくれたのに……晩から雨が降ってて、
何かその瞬間にやたら音が大きく聞こえた気がしました…。
アメリカでは、芋虫も動き出す季節という意味だかで、
“WORM MOON”と言うそうです。…あの時間に晴れた夜空で
綺麗に満月が見られた場所があったんでしょうか…?
☆「2355(にさんごご)」のラストで
「今夜は満月」と聞く窓の外 めっちゃ土砂降り
ちがやねこさん
【解説】
今回も、「水原一平氏の違法賭博」「次期戦闘機の輸出」「ISS通過中」と
最もホットなテーマに切り込み、手際よく詠って頂きましたが、時事詠から
多くの学びを得ることができました。
特に、二首目は、かつてから日本国政府が採ってきた武器輸出規制及び、
運用面の原則「武器輸出禁止三原則」を、国会の決議を経ずに閣議決定
のみで、なし崩しにうやむやにすると言う暴挙とも言える事柄が、背景に
あります。
この歌は、膨大な国家予算が原則をないがしろにしたまま国会決議を経ず、
“死の商人”の為に使われる危険性をはらんでいることにユーモアを交えつつ
警鐘をならしています。このような直截な指摘を詠う意味は大きいと
考えます。
三首目、土砂降りで、せっかくの「WORM MOON」が眺められずに残念
でしたね。月面での“SLIM”の「つつがなき」ミッション遂行継続を
祈りたいと思います。
☆落ち椿 踏まず避けゆく人のいる 森の小径に揺れる木洩れ日
ポエット・M
【解説】
この歌は、いつも訪ねる観音崎公園での寸景を詠んでみました。
この公園は、藪椿が森のそこかしこに植えられ、暮れから色鮮やかに咲き
始め、既に落花を迎える木々も数多あります。落ち椿は森の小径を紅に
鮮やかに埋めていますが、多くの方はそれを避けて逍遥しています。
そんなさり気ない優しさを示す人々と、小径にそそぐ木漏れ日の揺れている
情景を詠んでみました。
色鮮やかな落ち椿を、踏まないように避けて歩く人の繊細な心遣いが嬉しくて、
何とか詠んでみましたが、少し平凡な感も否めませんね。
「咲き初める 日本桜草」
「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(32)
「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め、小説、
短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。に
13.「短歌の章」 安房の海山(1)
如月の海の潮騒さやけくて
菜種黄に咲き春早き安房
汐満ちて渚の岩に波あがる
この静けさのうつつにぞ居る
空の青かくばかりなりしか 仰ぎ見て
たまきはる命たしかむとす
【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
チョウキチさんよりコメントを頂きましたので掲載致します。
「世の動き」
歌にも世の動きを取り入れると生き生き感が出て新鮮に感じます。
ポエット・Mの返答コメント
いつも、「水曜サロン」を見守って頂き、また心の籠った歌評も頂き
ありがとうございます。
おっしゃる通りですね。短歌も世情を抜きに詠むことは出来ませんので
世の動きをウオッチしつつ、そのもとで暮らす人の想いに寄り添いながら、
その一人一人の在り方に学び、感じながら歌に紡いでいくことが求められて
いると感じます。
「生き生き感が出て新鮮に感じます」との、チョウキチさんのコメントを
嬉しさと共に、励ましと受け止めさせて頂きます。一行の詩という、ささやか
でありながら、長い伝統の中で磨かれ、継承されてきた文学に「水曜サロン」
に集う皆さんと共に、学びつつ取り組んでいきたいと思っています。
「咲き競う 雪柳」
【運営にあたって】
(1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
(2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
場合もありますのでご容赦願います。詞書は一首200文字程度にまとめて
頂きたくご協力願います。
(3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
(4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
(5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
(6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
(7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
了