一応、保護司をしている身としては欠かせないと、西川美和監督の『すばらしき世界』を観てきました。パチパチ!
とにかく、役所広司! いや、さすがですわ。
「しー、静かに、、、最後の映画が始まるんだ、、、、」
と言ってくれたら完璧でした(ウソ)
以下、ネタバレあり。反転させて読んでください。
主人公は元やくざで前科10犯、刑務所に6回トータルで28年もいた殺人犯ですから、、、、、まあ、多くの方の想像通り、出所後は360度偏見に囲まれて、生きづらくて仕方ないのです。
あなたは何者ですか?とみんな根掘り葉掘り聞いて、門前払いを食らわそうとする。そりゃあ、ハナから関わり合いたくない人もいるでしょう。(だから保護司も常に人員不足です、、、)
結局、「目の前にいるお前がお前だろ。体一つでいいよ」と言ってくれるのは、やくざ仲間とリリーちゃんだけ。
映画を見れば分かることですが、知って欲しいのは、社会で一番毒をばらまいているのは、「自分はそこそこ真っ当な人間だ」と思っている人たちなんですよね、、、、こんなとこでも悪人正機。
だけど、支援者は必ずいて、身元引受人の弁護士夫妻も、スーパー店長の町内会長も、みんないい人なんです。
大丈夫、大丈夫だよと支えてくれる。
「私が身元引受人になるのは趣味みたいなもんだから」
なんて言って、すき焼き食べさせてもらったら、そりゃ泣くわな。
主人公の三上は、出所後もふらふらと危なっかしい道を進むのですが、なんだかんだと更生し、作家志望の津乃田の人生をも変えていく。身近な人の自立は、その人の自立を助けるんです。
♪ささやかな幸せを祈ってる~と、六角精児のギターで梶芽衣子の歌を聞いて、、、、
誰もが、ああよかったと思い、でも、映画的にこれで終わるわけが無いと思っていたらの
ドーン!
ですよ。ああ、そりゃそうだよね。高血圧をどこで回収するかなんて、すっかり忘れていました。
いやあ、切ない。
カタギになって死ねたのだから、幸せな最後じゃないですか、とは自分には言えないなあ。
観終わった後に感想を語り合いたい映画でした。
保護司としては、やはり幼少期の母親からの愛について。
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