教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

自作純邦楽曲その2 「糸竹協奏曲第一番 “焔”」

2010年03月27日 23時55分55秒 | 純邦楽
 混迷した仕事は、金曜日にようやくひと段落しました。結論までいってないので、まだ続きますが~…。
 さて、今日は自作2曲目の「焔」。初の大合奏曲でした。動画は前回と同じく、やっつけ仕事。この曲の詩は、曲が出来上がってから何度も聴き、演奏しながらつくったものです。手前味噌ながら、それなりに曲に合っていると思っています。曲と言葉との微妙なタイミングがあるのですが、今回の動画では完璧に表現する時間と余裕と技術がなく…(←言い訳)。詩の最後の一節、入れ忘れてるし(苦笑)。
 なお、例の舞台では、この曲を光源氏と藤壺との重要なシーンで使ってくださっていました。「…おぉ、そう解釈できるのか!」と、自分で書いた曲ながら正直驚きました。作曲した時期のことやそのときの感情など、改めて自分を見返す機会を得られました。自分の曲がさまざまに解釈されることにより、表現する世界が広がっていく、そういう貴重な一瞬を感じました。
 中途半端な出来の動画ですが、ご都合がよろしいときにでも聴いてみてください。今回の動画は、楽譜の出番少なめです。なお、動画が出てこないときは、しばらくしてリロードすれば出てくることがあります。動画が出てきたあなたはラッキーなのかもしれません(笑)。動画枠以下の文章は、例のごとく、旧HPに掲載していたテキストです。



炎が点火した。

ちらちらと赤い炎は 赤い光をあげて この世に在ろうと 必死に
強くなったり 弱くなったり

炎の中に 何かが映った 見ようと思えば 見えなくなって
炎はついに天を焦がした

ふと周りを 見渡せば あるのは闇 静寂
盛んに燃える炎 赤い光が周りを照らす
静寂は沈静を呼び 炎のたぎる力を抑え いましめる

再び炎を見やると くすぶりつつあった炎は 再び力を取り戻す
細かな火の粉をはぜて 右へ左へと揺れながら
興奮とともに燃えて 燃えて

火の粉が舞い上がった 炎に押し上げられて 空高く舞い
やがて そのひかりを弱めながら ふたたび 炎へと戻ってゆく

炎が見えるか

その赤はなにゆえか
その力はなにゆえか
その熱はなにゆえか
その光はなにゆえか

炎はゆらゆらと 生きている

(白石崇閃 2002年作曲 9分50秒)
(三絃Solo、箏Solo、琵琶1、箏2、十七絃1、笛1、尺八2、太鼓)
(初演 2003年6月、ぐるーぷ樹第29回和楽器コンサート、於広島市)

 この曲は、とにかくスピード感とメロディーを重視しました。
 冒頭で「焔」を揺らした後、三絃・箏・十七絃の3パートでスペインのワルツ調に、そしてくすぶり燃え上がります。さらに、笛・尺八・三絃の音をたっぷりと聴かせた後、再びワルツ調、そして最後の急展開。我ながら盛りだくさんすぎる曲を作ったものだと思います(笑)。演奏する時には、三絃ソロ・箏ソロ・十七絃・笛のパートは覚悟してください(笑)。
 楽しく個別・合奏の練習ができること、そして初心者でも合奏に参加できること、に特に作曲のねらいをしぼりました。笛・琵琶はめったに演奏者・楽器がいないでしょうから、笛はピッコロ等で、琵琶は太棹等で代用してもよいと思います。初演では、琵琶は太棹で代用しました。琵琶パートは琵琶といってもほとんどの音が三絃のオクターブで弾けますので、三絃でも大丈夫です。
 初演の経験上、箏1・2(solo以外)・十七絃は、二人以上いたほうが迫力が出てよいと思います。
 (動画枠以下の文章の執筆時期:詩は2003年6月の初演時のパンフレットで発表、以下はおそらく2004年ごろ)
コメント
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