教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

教員制度改革の方向性

2021年06月12日 11時38分25秒 | 教育研究メモ
 立教大学の中原淳さんが『教育新聞』の特集記事インタビュー(2021.6.10付)で答えたことが大事なことだったので、引用します。

 日本の教師は極めて優秀です。真剣で真面目な教師が多いので、子供のためにやったらいいことは、無限に出せます。しかも、このやったらいいことは、一度始めてしまった場合、良くてやっているのだから、後から取り下げにくい。そうすると、どんどんリソースがなくなってきます。
 そうした「増やす改革」はもう限界にきているので、「減らす改革」をやっていかなければなりません。正直に言うと、今までは先生たちの真面目さと勤勉さ、そして頑張りに甘えてきたのだと思います。教員の長時間労働は、民間企業だったら、労働基準監督署に摘発されるレベルではないでしょうか。


 中原さんは、長年教師の職場の問題を研究対象とされて実績を積み上げてきた人で、いま中央教育審議会の「令和の日本型学校教育を担う教師の在り方特別部会」で委員をされています。「教員のウェルビーイング実現が一丁目一番地」だという方向性のもと、発言されています。本当にその通りだと思います。やりがいや外部人材活用などを強調することではなく、教師の働き方そのものを問題にしなければ、これからの教員制度は立ち行かず、すなわち教育制度そのものも立ちゆきません。言葉だけ・呼びかけだけのごまかしではなく、具体的な制度改革とその施行のための行政・運営体制の整備までにつながることを期待しています。
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