教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

師範学校を超える師範学校長の功績

2008年08月20日 19時36分54秒 | 教育研究メモ
 このところかかりっきりだった論文の作業がようやく終わったので、本日より次の研究に頭を移していこうと思います。次に集中すべき目標は、9月末〆切の研究科紀要に書く論文。2年前に某学会で発表したまま未活字化状態でほっぽっている公徳養成に関する論文に、仕事の合間合間をみつけて少しずつ取り掛かりたいですね!
 ということで、久しぶりに研究を進めました。「大日本教育会・帝国教育会の群像」に記事を追加。今日は、川面松衛氏。この名前は何と読むのだろう… 長野・広島・新潟・千葉・埼玉・京都と、各地の師範学校教員(または校長)を務め続けた人です。手持ちの史料に従って広島・新潟・京都での活動を追っていったのですが、師範学校長としての活動は師範学校改革の動向と区別をつけにくい記述になりました。川面が校長在任中であった大正後期の京都府師範学校では、師範学校生徒に研究能力を身につけさせる実践などが行われていたことを知り、なかなか興味深いなあと思いました。川面自身が積極的に行った活動としては、やはり広島県私立教育会代議員としての全国連合教育会での活動や、新潟県女子教育会での活動でしょう。肩書きは師範学校長ですが、師範学校を超える(切り離されていたわけではありません)教育史上の功績ではないでしょうか。ちゃんと調べる前には全くどういう人かわからなかったのですが、調べてみるとこれはなかなか。非常に教育史的な関心をそそる人でした。
 広島県にもその存在感を残した人ですが、広島県会員であったかどうか、確信をもてる史料がありませんでした。そのため、ついに「その他会員」という得体の知れないカテゴリをつくってしまいました。新潟県・京都府の会員であったことはつかめるのですが、それぞれカテゴリをつくるほどの人数を調べられるかわからないんで… 東京府会員は大日本教育会・帝国教育会のお膝元なので、広島県会員は私が調べやすいのでとくに注意して調べています。
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