教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

ペスタロッチー賞

2005年12月01日 19時44分15秒 | 教育研究メモ
 2005年12月1日(木)13:30~、広島大学サタケメモリアルホールにて、第十四回ペスタロッチー教育賞表彰式が開催されました。ペスタロッチー(1746~1827)は、日本では理想的な教育者としてたびたび取り上げられてきたスイスの教育理論・実践家です。孤児の教育などにも従事しました。このペスタロッチーの名において、表彰しようという試み、だと思います。ペスタロッチー教育賞について詳しくはこちらで。
 今回の受賞者は、日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャンさんでした。アグネス・チャンといえば「ひなげしの花」。歌手としてしか知らなかったのですが、実はアメリカ・スタンフォード大学の教育学のPh.D.(博士号)を持っているのだとか。ユニセフでの活動を評価されての受賞です。表彰式では講演があったのですがチャンさんは、自分の体験をもとに、海外の子ども支援について中心に講演されていました。涙させられたり、クスッと笑わされたり…
 何にしても、非常に感動させられました。
 印象に残った言葉は、次の三つ。コメントは、単なる私の感想ですので、責任は私にあります。

「子どもが生きていく上で大事なのは、平和、そして親の生活力」
 もちろん、自身の命を失っては生きていけない。そして、子どもが最低限生きていくには、食事が必要。子どもに食事を与えるのは基本的には親だが、親がいても毎日食事を与えることができなくては意味がない。むしろ子どもに苦しみを与えることさえある。だから、子どもが生きるということに限定していえば、親の生活力が大事、といわなくてはならない。人間として親が大事、といえるようになるのは、その次の段階なのだろう。親は、いればいいのではないのだ。

「人が一番輝くときは、自分のことを忘れたとき」
 これはチャンさん自身のボランティア活動を振り返って、到達した言葉のようです。「どうして自分はもっと明るい性格ではないのだろう、どうして自分はもっと頭が良くないのだろう、どうして自分はもっと裕福な家に生まれなかったのだろう…」など、人は自分のことばかり考えてしまいがちです。でも、悩んでばかりでは何にもならない。自分で自分を苦しめるだけ。自分のことを悩むエネルギーを、もっと他のことに使ってはどうでしょうか。その際に、他人のために使うことができたら、それよりすばらしいことはないでしょう。

「人と仲良くなることとは、互いの違いを理解すること」
 チャンさんは、出身地である香港にいたときは、みんな同じになれればいいのに、と思っていたそうです。しかし、例えば、日本人は、香港人の「ごちそう」であるハトやヘビを食べる食文化はない。でも、日本人に、ハトやヘビを食べろと強要しても仕方ない。逆に、香港人に、ハトやヘビを食べるなと強要しても仕方ない。でも、この点で、日本人と香港人が友人になれないことはない。友人とつきあっていくには、自分との違いを含めてつきあっていかなくてはならないのです。ちなみに、ハトやヘビの話をしていたのは、チャンさんです(笑)。

 全体的に、話すのがうまいなあ、と思いました。さすがだ。
 表彰式の写真撮ってみました。ちょっと遠いけど。興味ある人はこちらへどうぞ。
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