THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #06

2020年08月07日 | Motoharu Radio Show

第6回:ジャパニーズポップスの夜明け
M1. 笠置シヅ子 / ラッパと娘
M2. 笠置シヅ子 / ロスアンゼルスの買物
M3. ティーブ釜萢 / トーキョー・ラグ
M4. 江利チエミ / ロック・アラウンド・ザ・クロック
M5. 小坂一也とワゴンマスターズ / 冷たくしないで
M6. 雪村いづみ / 恋人になって
M7. 佐野元春&雪村いづみ / トーキョー・シック
M8. 弘田三枝子 / 寝不足なの
M9. 弘田三枝子 / 私のベイビー
M10. 弘田三枝子 / 砂に消えた涙
M11. かまやつヒロシとザ・サンダーバード / 恋の片道切符
M12. 藤木孝 / ママのツイスト
M13. 山下敬二郎とザ・コースターズ / ダイアナ
M14. 坂本九 / 花咲く街角
M15. 坂本九 / 上を向いて歩こう
M16. Nat King Cole / L-O-V-E(日本語バージョン)
M17. 佐野元春 / Bye Bye Handy Love(アルバム「トーキョー・シック」より)
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは。佐野元春です。今夜のテーマは「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」と題して日本の'50年代、'60年代のポップスを特集します。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。DJ、佐野元春でお送りします。
さて、今夜のMotoharu Radio Showはいつもとちょっと趣向を変えて日本の古いポピュラー音楽を特集してみたいと思います。日本の古いポピュラー音楽といっても範囲が広いですよね。この特集では'50年代から'60年代にかけてのレコードを取り上げてみたいと思います。これはちょっと自分の話になってしまうんですが、僕は1956年3月に生まれました。そしてこの1956年3月というのはエルヴィス・プレスリーがデビュー・アルバムをリリースした、正にその月に当たるということですね。まぁ僕の母が相当なエルヴィスのファンだったということは聞いていましたが、まさかデビュー・アルバムの発売に合わせて僕を生んだなんてことは多分ないと思いますが、この素敵な偶然? まぁ人が聞いたらそれがどうしたって話になるんでしょうけれども、ロックンロールが大好きな僕としては、ちょっと人に自慢したくなるようなエピソードです。そんなわけでエルヴィス・プレスリー、デビュー・アルバムが発売された年、そして僕が生まれた年、1956年。物の本によるとこの1956年こそロックンロール誕生の年である、そんなことが書いてありました。日本の場合は戦争が終わってほぼ10年目という節目でもありました。Motoharu Radio Show、今夜の特集は「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」と題して、戦後、日本のポピュラー音楽が欧米の音楽にどのように影響されてきたか、その辺も探ってみたいと思います。

・ラッパと娘
・ロスアンゼルスの買物
笠置シヅ子の1939年のレコード「ラッパと娘」と1948年の「ロスアンゼルスの買物」はいずれも服部良一のプロデュース。服部良一は洋楽のビートをはじめて歌謡曲に持ち込んだ日本のポップ音楽の先駆者。日本のポップス界の最大の功労者といってもいい。

・トーキョー・ラグ
戦後初期のスター、日系二世のティーヴ釜萢はかまやつひろしさんのお父さん。この方はのちにジャズの学校を作って雪村いづみ、平尾昌晃、ミッキー・カーチスなど多くのシンガーを育てた。

・ロック・アラウンド・ザ・クロック
1955年にアメリカでビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツは世界初のロックンロールのヒットを飛ばした。「Rock Around The Clock」。その曲を日本で真っ先にカヴァーしたのは江利チエミだった。

・冷たくしないで
小坂一也とワゴンマスターズがエルヴィス・プレスリーの「Don't Be Cruel」を日本語でカヴァー。1955年のレコード。このあとにやってくるロカビリー・ブームの火付け役になったレコード。

・恋人になって
1953年、一人の天才的歌手がデビューする。雪村いづみ。彼女は当時美空ひばり、江利チエミと共に三人娘と呼ばれて一世を風靡した。三人の中では一番垢抜けていて都会的な印象がある。アメリカをずっと巡業していたこともあってシンガーとしてもパフォーマーとしてもその表現力はずば抜けている。「この曲はまるでラップのように歌ってますね」と元春。

佐野元春 : そうですね、雪村いづみさん。僕のレーベルからレコードを出しました。作詞作曲プロデュースは僕。そして編曲は前田憲男さんが担当してくれました。ビックバンドには戦後の名だたるジャズ・ミュージシャンたちが集結してくれました。これは東京の歌ですね。二人で踊りながら歌ってレコーディングしたのを、とても楽しかったです。聴いてください、雪村いづみ佐野元春、曲は「トーキョー・シック」。

・トーキョー・シック

佐野元春 : 残念なニュースがありました。先日、歌手の弘田三枝子さんがお亡くなりになったということ。ぼくはちびっ子の頃、ちょうど6歳ぐらいでしたか、最初に憧れた女性シンガーが弘田三枝子さんでした。とにかく圧倒的な声とリズム感ですね。テレビの中で歌っている弘田三枝子さんにくぎ付けになりました。今思うと太陽のように明るいイメージ。子ども心に見ているだけで楽しい気持ちになった、そんな思い出があります。その頃学校の音楽の時間というと、なんか童謡のような退屈な音楽ばかり? 「金魚のお昼寝」とかそんな音楽ばかりでしたね。そんな中、弘田三枝子さんの歌は本当に僕のことを楽しい気持ちにさせてくれました。あの頃に戻って「どうもありがとう」そう言いたいですね。深くご冥福をお祈りいたします。弘田三枝子さん追悼。僕が選んだ3曲です。「寝不足なの」、「私のベイビー」そして「砂に消えた涙」。弘田三枝子3曲続きます。

・寝不足なの
・私のベイビー
・砂に消えた涙

佐野元春 : 弘田三枝子さん追悼。僕が選んだ3曲です。1曲目は「寝不足なの」、そしてこれはザ・ロネッツのヒット曲ですね。「Be My Baby」のカヴァー、もうこの時代に遡って僕がプロデュースしたかったですよね、「私のベイビー」。そして「砂に消えた涙」。弘田三枝子3曲聴いてみました。Motoharu Radio Show、 「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」続いてます。

佐野元春 : 1958年、東京で第一回目の日劇ウエスタン・カーニバルが開催されます。場所は東京・有楽町にあった元日劇ミュージック・ホールです。年に二回、当時のロカビリーのスターが集まってライヴをやりました。ロカビリー三人男といえば平尾昌晃、山下敬二郎、そしてミッキー・カーチスの三人ですね。それぞれバンドを持っていて熱狂的なライヴをやりました。当時このイベントは大盛況となってメディアは大きくこの様子を伝えました。空前のロカビリー・ブームですね。Motoharu Radio Show、 特集「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」。ではそのウエスタン・カーニバルに出演していたシンガー、かまやつ ヒロシ、藤木孝、そして山下敬二郎、3人のレコードを聴いてみます。

・恋の片道切符
・ママのツイスト
・ダイアナ

佐野元春 : さて、日本人アーティストでたった一人、アメリカ、ビルボード・ホット100で1位を獲得した歌手がいます。そう坂本九。1961年に出した「上を向いて歩こう」。この曲が「SUKIYAKI」というタイトルで海外でもヒットしました。ではその坂本九の曲を2曲。「花咲く街角」そして「上を向いて歩こう」。

・花咲く街角
・上を向いて歩こう

佐野元春 : 坂本九。1曲目、オリジナルはデル・シャノン、1961年のレコード「花咲く街角」。今聴いたのが「上を向いて歩こう」。
'60年代に入ると洋楽の日本語カヴァーは益々盛んになってきます。その動きを一気に加速させたのが草野昌一(しょういち)、またの名前を漣健児(さざなみけんじ)という訳詞家でした。'60年代ポップスの日本語カヴァーのオリジネイターといっていいと思います。当時、アメリカン・ポップスを中心に、なんと400曲以上の訳詞を手掛けたということです。特集した中でも弘田三枝子「私のベイビー」、「砂に消えた涙」ですね。そして坂本九、今聴いた「花咲く街角」。これは全部が漣健児さんの訳詞です。ではここで草野昌一、またの名を漣健児、彼が手掛けた曲を聴いてみます。「L-O-V-E」、ナット・キング・コール。

・L-O-V-E

佐野元春 : 「L-O-V-E」、ナット・キング・コール。今夜のMotoharu Radio Show、特集 「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」と題して'50年代から'60年代にかけての日本のポップスを特集しました。こうして聴いてみると新しい発見があっておもしろいですね。僕の興味はやはり自分がソングライターということもあって曲の中の言葉ですね。日本語がどんなふうにビートにフックしているのか、それを歌手がどう歌ってるか。そこに興味を持ちました。その点でいうと今日特集した中では二人の女性シンガー、雪村いづみと弘田三枝子、この二人のシンガーの歌は本当に素晴らしいなと思いました。そして訳詞家の漣健児さんですね。日本語を使ったポップソングの表現、日本語をどうビートに乗せていくか。いろいろな試行錯誤が見えてとても興味深かったです。さて特集最後に僕の歌も聴いてみてください。僕は'50年代ロカビリーの世代ではないんですがこんな曲を書きました。時が時ならもしかしたら僕もあの日劇ウエスタン・カーニバルのステージに立っていたのかもしれません。前田憲男さんの編曲でレコーディングしたオーケストラ・ヴァージョン。この曲を聴きながらお別れです。Bye Bye Handy Love。

・Bye Bye Handy Love

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show。楽しんでもらえましたか。特集「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」。どうでしょうか。どの曲もエレガント、そしてイノセント。懐かしいけれどモダン、そんな感じでした。素敵ですね。さて来週のテーマは「What is HIP?」、ファンキーでご機嫌な曲を集めてみます。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。次回の放送は来週8月14日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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