2010/12/14 OnAir - 2nd. Week - 湊 剛氏を迎えて #2
01.Elvis Costello:National Ransom
02.Elvis Costello:My Lovely Jezebel
03.Eagles:Hotel California
04.Ramones:Do You Remember Rock and Roll Radio
05.佐野元春:悲しきレイディオ
06.The Ting Tings:Great DJ
07.佐野元春:クリスマス・タイム・イン・ブルー-聖なる夜に口笛吹いて-
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■内容の一部を抜粋
「今年は僕がレコーディング・アーティストとしてスタートしてから30年目ということで番組でも特別企画をお届けしています。今夜は先週に引き続き僕がかねてからいろいろとお話を伺いたかった方をゲストにお迎えしています。1965年NHK入社。「YOU」、「みんなのうた」、「若いこだま」、「サウンドストリート」などNHKの主要な音楽番組を手掛けた湊剛さんをゲストにお迎えしてお話を伺っていきます」と元春。
・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月12月の「3PICKS!」は『The Union』、『National Ransom』、そして『We Walk This Road』。どのレコードも心に響くよいソングライティングと素晴らしいサウンドがあると元春。この中から今週は『National Ransom』。
・エルヴィス・コステロ
「新作が出るとつい聴いてみたいと思う、そんなアーティストの一人がエルヴィス・コステロです」と元春。前作から1年4ヶ月ぶりとなる新作『National Ransom』。今回のアルバムではカントリー色の濃い曲とロック色の濃い曲がうまく混じりあった内容となっている。プロデューサーはこれまでグラミー賞を受賞したこともあるTボーン・バーネット。エルヴィス・コステロとTボーン・バーネットはこれまで何回か一緒に仕事をしている。1986年の『King Of America』、1989年の『Spike』、そして前作でも一緒にやっている。どのアルバムもイギリス人であるコステロがアメリカのルーツ音楽をリスペクトした内容のアルバムとなっている。ここでプロデューサーであるTボーン・バーネットが相当大きな役割を果たしているといえる。セッション・メンバーはカントリー・ミュージック界からヴィンス・ギル、バディ・ミラー、そして個性的なギタリスト、マーク・リーボウ、そうしたミュージシャンたちが参加している。このあたりもTボーン・バーネットならではの人脈といえる。デビュー以来、'80年代、'90年代、'00年代、自分自身の音楽的ルーツを辿るように新作を作り続けているエルヴィス・コステロ。アメリカのロックとヨーロッパの音楽、両方のいいところを見極めようとしているところはさすが。新しいアルバム『National Ransom』からタイトル曲の「National Ransom」と「My Lovely Jezebel」の2曲。「My Lovely Jezebel」の作曲はレオン・ラッセルで、この曲にはピアニストとしてレオン・ラッセルがゲスト参加している。
・GreenPeople
環境問題に取り組むユースたちを紹介するレポート「GreenPeople」。毎週このコーナーでは環境を巡る社会活動を通じて様々なアクションを起こしている人たちを紹介。このコーナーの協力はNHKの環境特集番組「SAVE THE FUTURE」。
http://www.nhk.or.jp/savethefuture/mamoribito/index.html
今週はNPO法人「地球映像ネットワーク」。次世代を担う子どもたちのために美しい地球を守っていきたいという思いで1993年から世界各地の自然を記録した作品の上映を行っている。
http://www.nhk.or.jp/savethefuture/mamoribito/movie/motoharu1.html
・Motoharu Radio Show特別インタビュー
元春が湊さんに「サウンドストリート」がはじまった'70年代の文化状況について訊いた。湊さんの知り合いが亡くなった高円宮を知ってて、渋谷のよく行ってた焼き鳥屋で紹介されたことがあるそうだ。1979年頃のことで高円宮はロック好きだったことから、テレビ番組の企画を思いつくが、NHKで調べてもらったところ、音楽番組に皇室の方に出てもらうのは、、、という話になり、やめたほうがいいということになったという。高円宮はイーグルスの「Hotel California」の「もう僕たちは戻る道のないホテルにチェックインしてしまった」という歌詞に触れて、アメリカ音楽が商業主義に突入してゆく前の最後の曲だと話していたとか。それで思い出すのは'80年代にMTVでブレイクした音楽には大量消費文化という感じがして違和感があったと湊さんは話す。
・Hotel California
'60年代のロックは表現として実験精神があった。やがて'70年代に入りそれがビジネスとして成立した頃から退廃がはじまった。あるいはコマーシャリズムに迎合する音楽がややもすると幅をきかせるようになってきた。'70年代後半から'80年代というのはその傾向がどんどん広がっていった。そういう状況だと元春は分析し、湊さんも同調した。そういう状況の中で「サウンドストリート」という番組は何をやりたかったのかと元春は訊いた。ポップ・ミュージックをやってるアーティストは先進的な考え方、アプローチがあるので、若い世代にこれからの生き方、考え方を示唆してほしいと思っていたと湊さん。まだ考え方が固まってない思春期をターゲットにしていたとか。
甲斐よしひろさんの回はHな話題が多く、よく始末書を書いたそうだ。また新聞に「NHKで性教育をするのか」と叩かれたりしたとか。山下達郎さんの回は先輩に任していたから直接関わってなかったという。エノケンや笠置シズ子はマニアックすぎると思ったが、大瀧さん直系でもあるので、まぁ仕方ないかなと思っていたとか。坂本龍一さんには、「疲れていて眠いので喋らなくていいか」と言われたことがあるそうだ。「良い曲を選曲してかけてくれるのなら喋らなくてもいいが曲名だけ言ってくれ」と話したとか。そうしたことが何度かあったそうだ。元春の回は"I wanna be with you, tonight"というのが少し恥ずかしいと思いつつ聴いてたそうだ。しかしそれがだんだん定着していくと心地いいと思うようになったとか。それで思うのは、かたちがあると、うんと長く続くのだと気が付いたのだという。元春は当時のラジオ番組を聴いていて自分が聴いてみたいと思う番組がなかったことから、自分の聴きたい音楽はこうなんだと提案したのが「サウンドストリート」だったと話す。
・Do You Remember Rock and Roll Radio~悲しきレイディオ
・ツイッター
「さて、Motoharu Radio Showでは今番組を聴いてくれている全国リスナーのみなさんがインターネット上で楽しくコミュニケーションできるツイッターという仕組みを採用しています。ここに参加したいという方は今からURLをお知らせするので是非書き取ってください。番組からツイッターのお知らせでした」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/
1983年から1984年にかけて元春はニューヨークで一年間暮らした。当時、ニューヨークにはNHKの支社がなく、元春はNHKから派遣されたニューヨーク支部の製作者だというアイデンティティーで番組を作っていたという。だからいろいろな場所で取材したり、ライヴハウスで音源を録音したりするときはNHKの社員だと言ってやっていたという(笑)。本当はいけないこと、まずいことだと湊さん(笑)。「街のストリート・アーティスト特集」では、まだメジャー・デビューしてないアマチュアのバンドの音源を全国放送で流し反響が大きかった。元春が「サウンドストリート」で思い出すのそうしたことだという。
・Great DJ
・フィードバック
「Motoharu Radio Show。番組ではみなさんからの楽しいフィードバックを待ってます。番組専用のウェブサイトを用意しているので、是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのコメントを送ってください。みなさんからの楽しいフィードバックを待ってます」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/
「サウンドストリート」は1978年から1987年まで続いた。イギリスのグループ、バグルスは「Video Killed The Radio Star」でこれからはテレビからヒット曲が生まれると皮肉ぽく歌ったが、「サウンドストリート」はラジオからヒット曲が生まれた最後の時代だったという思いがあると元春。これからの時代、ラジオと音楽の関係についてどう思うかと元春は湊さんに訊いた。インターネットのサイマル放送、地デジの別チャンネルで聞くという環境が整備されたら、音楽をいい音でダウンロードして楽しめるようになると湊さんは話す。CDショップはなくなるかもしれないと。元春は音楽を流通する中間の場所として、かたちを変えてCDショップは残っていくんじゃないかと話す一方で、CDというメディアはノスタルジーとして残ってゆくか、パッケージに新たな価値を見出す世代が出てくれば復活するかもしれない、アナログ盤もそれは然りだと話す。
元春「湊さん、ラジオで好きな番組を作っていいよと言われたら、どんな番組を作りたいですか?」
湊剛「う~ん、そうだな。佐野くんをプロデューサーに仕立てて、あなたのセンスで人を選ぶ。まずDJを。あなたが選んでそれにすごく影響を与える若者たちがいる。サカナクションでもいいし、くるりでもいいし、そういう連中が一杯いて、ラジオを愛してる人たちがいるじゃない、テレビは出ないで。そういう人たちが佐野くんの次の世代の人たちと影響を受ける番組は携わりたい(笑)。ずっと若くいたい。それが願いかな」
・クリスマス・タイム・イン・ブルー-聖なる夜に口笛吹いて-
・番組ウェブサイト
「番組ではウェブサイトを用意しています。是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのメッセージを送ってください。待ってます」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/
・次回放送
今夜が今年最後の放送。来年は1月11日火曜日が最初の放送。
「もしよかったらカレンダーにチェックをしておいてくださいね」と元春。