里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ユウガギク 集落跡に群生

2019-09-04 | 日記
大和町吉田地区北東部、標高250mあたりにはかつて嘉太神(かたいじん)集落があって、農家が
点在していました。ところが、隣接する陸上自衛隊王城寺原(おうじょうじはら)演習場で、沖縄
米軍の実弾射撃訓練を受入れることになったことから、その砲撃音対策として集団移転が決まり、
2000年には廃村となってしまいました。

県道から分かれて細い車道を下っていくと、右手に平坦な地形があって、一部に砂利が敷かれ
た場所があります。かつての民家跡と推測されますが、そこに白い野菊が群れ咲いています。
花や葉を観察するとユウガギクで、よく見かける野菊の中では最も花期の早い種です。




                              二枚とも2019.9.1撮影

ユウガギクを漢字表記すると柚香菊で、葉を揉むと柚(ユズ)の香りがすることから名付けら
れたようです。実際に葉を揉んでみると、特有の精油分らしき香りはするものの、それをユズ
とするには少し無理があるような・・

ユウガギクとノコンギクが似ているとして、その違いを細々と記している記事をよく見ます。
たしかに花の形は似ていますが、そもそも花期が違いますね。ユウガギクは8月の初旬あたり
からポツポツと咲き始めますが、ノコンギクは9月に入ってから咲き始めます。
それと草姿が全く違いますね。ユウガギクの枝はよく分枝し、横に開張するので全体が散漫に
茂りますが、ノコンギクは茎をしっかり立てて、上部で枝を分けます。




                              二枚とも2019.9.1撮影

キク科シオン属の多年草で、近畿地方以北の本州に分布する。草丈は50~120cm。
低地~山地の草地や道端、水路沿いや耕作地周辺などに自生し、日当たりを好む。
地下茎を長く伸ばして増え、茎はよく分枝し開張する。
葉は互生し、葉身は卵状長楕円形~長楕円形で浅裂~羽状中裂し、長さ7~8cm。葉の基部は
楔形で葉柄はない。葉質は薄く、両面に短毛がある。
花期は8~10月、茎頂や分枝した枝先に、直径2.5cmほどの頭花を散房状に付ける。
頭花は周辺に展開する舌状花と、中央部の筒状花からなる。舌状花は白~淡青紫色で14~16枚、
筒状花は黄色で、集合して半球状になる。総包片は短毛をつけ、外片は線形で短い。
果実は痩果で長さ2~3㎜の倒卵形、冠毛は付くが少数できわめて短い。


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