気仙沼市本吉町山田地区南部、山中での踏査を終えて集落道を下って行くと、丘陵下に耕作
放棄地があるので立ち寄ってみました。10年以上前から耕作されていないようで、周囲の桑
の木などが頭上を覆うかのように茂っています。
耕作放棄地は浅い谷の沢沿いにありますから、かつては田んぼだったものと思われます。
その丘陵側に、ニラ状の緑葉が地際に密生していて、歩み寄ると微かにニラのような匂い
がします。その葉を一枚千切って嗅ぐと、たしかにニラの匂いがします。
二枚とも2020.3.26撮影
葉の形や匂いがニラに似ているので、同じネギ属なのかも知れません。
ネギ属で国内に自生している野草を調べると「ヒメニラ」があり、この種名で改めて検索
すると、私の写真の植物と特徴が合致します。
北海道~九州に分布し、やや湿った草地や沢沿いなどに生えるとあるので、この場所も自
生適地なのでしょう。なお、雌雄異株とのことなので、雄花と雌花があるのでしょうが、
小さな花なので、私にはその違いを見出すことはできませんでした。
2020.3.26撮影
ヒガンバナ科ネギ属の多年草で、北海道~四国に分布し、草丈は10~15cm。雌雄異株。
低地~低山の明るい草地や、沢沿いの林内など、やや湿った場所を好む。
鱗茎は卵形で長さ10mmほど。葉は広線形で、1~2個が根生状に出てる。長さは10~30cm、
断面は三日月形。葉質はやわらかく、淡緑色。全体にニラ臭がある。
花期は3~5月、高さ5~10cmの細い花茎の先に、1~数個の花を上向きに付ける。
花は白~淡紅色で鐘状、花被片は6個あり、長さは5mmほど。花被の基部には薄い膜状の
総苞が付く。雌花は1~2個付き、雄しべはなく、花柱の先は3裂する。雄花は2~4個付き、
雄しべは6個、雌しべは小さく結実しない。
果実は球形の蒴果。
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