気仙沼市本吉町山田地区南部、山麓の林道終点付近からヒバ林内に入って行くと、下草や
低木が少なく楽に上って行けそうです。東側に小高い尾根があるので、これを辿るべく斜面
を登って行きます。尾根筋の手前にコケや落葉の少ない礫地があって、ここに小さな常緑の
葉が点々と生えています。初めはイワウチワかと思ったのですが、葉縁にはっきりした鋸歯
がないのでイチヤクソウの仲間でしょうか。
二枚とも2020.3.26撮影
植物図鑑でイチヤクソウの仲間と見比べると、マルバノイチヤクソウがよく似ています。
葉の横幅が2.5~3cm、長さはそれより短めで2~2.5cm、この特徴がマルバノイチヤクソウ
のそれと合致します。イチヤクソウが低山に多いのに対し、こちらは深山~亜高山に自生し、
かなり希少な種とあります。
この自生地では5~6株が島状に点在していて、合わせて20株ほど生えています。
周囲を探し回りましたが、他には生えていませんでした。
2020.3.26撮影
ツツジ科イチヤクソウ属の多年草で、北海道~九州に分布し、草丈は15~20cm。
山地~亜高山の林縁~林内に自生する。
地中に細長い地下茎を伸ばし、所々で3~6枚の葉を根生する。根毛が発達せず内生菌根と
共生することで栄養を得る菌根植物。そのため移植栽培はほぼ不可能。
葉身の長さ1.5~2.5cmで、長さより幅の方がやや長い扁円形。先端は円いかやや凹み、縁に
低く波打つような鋸歯がある。葉質は厚く、葉表には光沢がある。葉柄は長い。
花期は6~8月、葉の付根から赤みを帯びた花茎を伸ばし、5~10個の白花を下向に付ける。
花茎には披針形で膜質の鱗片葉が2~3個付く。
花冠は5裂して直径10~13mmの広鐘形。雄しべ10本、花柱は長く突き出て湾曲し、柱頭は
小さく5裂する。萼片は5個で、先は丸い卵状円形。
果実は蒴果で、直径5~6mm。種子は長楕円形で翼状の突起がある。
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