白樺小舎便り(しらかばごやだより)

北信濃の田舎暮らしの日々

とんくるりん

2024年10月24日 20時34分42秒 | 日記
   芸術の秋、食欲の秋、物思う秋、色々な秋がある。暑い日々の中をヨタヨタと走り続けてふと気づけば空気が乾き、樹々の葉が濃い緑色を失い始めている。この春から夏、僕は何を実らせてきたのだろう?無心に柔らかい葉を食し続けていた青虫がふと頭を上げて不安げに辺りを見回すように、心の中の深いところの湖を覗き見る。
 実りの秋とは言うもののつまるところひとつ歳をとったというだけのことではないのか。
というように妙にシニカルでセンチメンタルな気持ちになったとき、ふとそば博物館に行ってみようと突然思った。
 『うん、秋の博物館、いいじゃないか』
秋に博物館は妙によく似合う。戸隠にあるそば博物館とんくるりんは戸隠のメイン通りへ行く途中にある。いつもは横眼で見て通り過ぎるだけだった。今回は違う。じっくりとそばと戸隠の歴史について深く学ぼう。
とんくるりんとはそば粉を挽く水車のこと。実際に水車があって少し動いては止まり、を繰り返していた。建物に入ると土産物品コーナーがあり、奥にそば処がある。
そば博物館は別途二百円を払って入場する。
少し薄暗い場内にそば道具やそばと戸隠の関わり、歴史などが展示されていた。

土産物を買ったりそばを食べる客はたくさんいたが博物館には僕ら夫婦だけ。落ち着いた良い空間だった。
 
もちろんそばも食べた。僕は迷いなく合格点を与えた。