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いじめの陰湿化と教育現場の荒廃に対して、文部科学大臣が社会全体で教育現場を支援していく対策を打ち出した。
スクールカウンセラー、心理学者、警察OBの活用・・・などであるようだ。
スクールカウンセラーの制度などはアメリカなどではすでに50年前くらいから導入されていて、日本では遅すぎた感がある。
アメリカでは、生徒の悩み、いじめ、家庭環境、学習意欲、などの心理的・精神的問題は教師だけでは解決できないことに早くから気づいて、臨床心理学の専門家を中心として学校カウンセラー制度を早くから導入していた。
日本の学校においても教師は仕事が多すぎることもあり、また、教師がカウンセリングの専門知識を持ち合わせていないことから、生徒の心理的・精神的指導には無理があることは以前から指摘されていた。
そういった専門的カウンセラーがいないことに加えて、現代ではいわゆるモンスターペアレンツと呼ばれる利己的な親が教育現場に介入するなどにより、教育現場は荒廃の極に達していた。
モンスターペアレンツの圧力は教師の心理まで蝕んだ。その結果、生徒の校内暴力を容認し、さらに隠蔽するまでに教師を追い込んだ。
学校における生徒の心理的・精神的悩みや問題の相談は、臨床心理学・精神科の専門家によるスクールカウンセラーが行うべきものなのだが、それをモンスターペアレンツと教師によって行おうとしたところに間違いがあった。
生徒が心理的・精神的悩みを抱えていても、学校には救いの手を差し伸べられる専門家がいなかった。
いじめは生徒へのアンケート調査などで解決できるような問題ではない。
ここに教育委員会の、いじめ問題解決への無能力が見て取れる。
したがって、今回の文部科学大臣の教育現場荒廃に対する対策は一部、正しいところがある。
警察OBの活用による校内暴力の早期摘発、早期排除も、もっとはやくから検討されるべきだった。
そして教育委員会とは別組織による第三者委員会への駆け込み寺を設置することも当然の措置である。
ここで忘れてはならないのは、学校内のいじめ、教育現場の荒廃は、実は大人社会の縮図であり、大人社会の非情な人間疎外・精神荒廃と同じ根を持つものである、ということなのだ。
教職者、公務員、警察官など、人と倫理を守るべき大人が犯罪を多発させているのが現代社会の様相だ。
大人の社会では自殺が多発し、一見豊かに見える社会で精神が荒廃し、精神の崩壊が進んでいる。
この状況は大人社会の縮図である学校教育現場にそのまま投影される。
そして教育現場は荒廃し崩壊している。
自分の先輩の教育者は、その現状に憤慨し激怒に近い様相で語ってくれた。
ともかく、日本では臨床心理専門家によるカウンセリング制度がないがしろにされている。
学校はもちろん、大人の社会でも同様だ。
アメリカでは面白い女性の話がある。
「私は3人の精神科の先生にカウンセリングを受けてるの。一人は話よく聞いてくれて慰めてくれる先生。もう一人は励ましてくれる先生。もう一人はイケメンの先生なの」
日本でも、これくらい精神カウンセリングが一般的になることが必要だろうと思う。
しかしカウンセリングを受けられるのは経済的に余裕のある人達であり、総ての悩める人達が専門的カウンセリングを受けられる制度が普及していくことも急がなくてはならない課題である。
そういった制度的対策は急がれなくてはならない。
しかし制度的な問題でも解決されない病根は、現代社会を覆う「生きる力」の衰弱なのである。
これは子供も大人社会も同じなのだ。