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ワーグナーの<トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死>はこれ以上ないほど陰鬱で深刻な音楽だ。
ワーグナーが楽劇として作曲した「トリスタンとイゾルデ」の物語は、西洋の騎士道・恋愛至上主義文学の根幹となったものだ。
「ロメオとジュリエット」など西洋の恋愛至上主義文学は「トリスタンとイゾルデ」から派生したものだ。
ユングの深層心理学で「アニマ、アニムス」の例証として挙げられるのが「トリスタンとイゾルデ」でもある。
この曲でワーグナーが提示したのが「トリスタン和音」と「無限旋律」
この初演の時は演奏会場はどよめきと怒号に包まれたという逸話が伝えられている。
どこへ帰着するかわからないまま無限に浮遊する「無限旋律」はまるで、
「愛」の不確定性と不安、そして歓喜の絶頂を目指すかのような趣がある。
昔、私の作曲の師匠と「トリスタン和音」について話したことがあった。
私は「トリスタン和音」のアナリーゼをして、ジャズとの関連を師匠に話した。
すると師匠は「こういう風にジャズで使うといいですね」とピアノで実演してくれた。
さすがにこの時は「目からうろこ」だった。
師匠はほんとに見識の広い、奥深く幅広い視点から「音楽・作曲」を教えて下さった。
<トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死>を聴くと数十年前の師匠との会話が鮮明に思い起こされる。
<トリスタンとイゾルデ WWV. 90 前奏曲と愛の死>
http://www.youtube.com/watch?v=b6U52Ek7L_4