音の四季~風の彩

作曲家、しの笛・龍笛奏者、ジャズピアニスト、城山如水の徒然日記。
オカリナ、フルートの事も・・・・

平清盛  権力の果ての闇

2012年12月01日 | 日常雑感

大河ドラマ「平清盛」もいよいよ終幕に近づいてきた。

安徳帝を即位させ、福原遷都を成し遂げて権力の頂点に立った清盛が目にしたものは、果てしない暗闇だった。

追いかけても追いかけても、果てしがないのが権力欲。

あらゆる権力を掌握して自身が権力の頂点に立った時、見えるのは誰一人いない果てしない暗闇。

いつ誰に権力を奪い取られるか知れない、いいようのない恐怖。

独裁権力者が見る最終の風景といえる。

権力、金、権威、地位・・・あらゆる欲望の頂点に立った者が見るのは果てしない暗闇。底知れない暗闇だ。

なぜなら、欲望には限りがないから、欲望の果ての暗闇もその深淵に果てがない。

これは人間の欲望の性(サガ)ともいえる。

芸術においても学術分野においても、求めるものが権威・地位などの欲望であった場合、その頂点には果てしない暗闇が待ち受けている。

芸術の頂点を極めて早逝する天才は多い。

ノーベル賞的天才的物理学者が司祭となり、宗教家に転向する例もある。

人間の欲望の頂点には、立った者にしか見えない暗闇があるのだろう。

こうした人間の業を抉り出すような、大河ドラマ「平清盛」の緊迫感は古今に類を見ない強烈なものと言える。

画面が汚いとか、リアルすぎて面白くないとか、視聴率が最低だとか、話題には事欠かない「平清盛」だが。

これほど心理描写に深く切り込んだ歴史ドラマは久しぶりだ。

緊迫感を盛り上げ、そこはかとない無常感を醸し出す、吉松隆の音楽も絶妙に素晴らしい。

おそらく後世に残る見事な「平家物語」であろうと思う。

まさに現代の権力闘争、欲望の氾濫の果てを見せてくれるドラマであろうと思う。


自分自身の座右の銘は、昔から「祇園精舎」なのだ。

  祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり

  娑羅双樹の花の色、 盛者必衰の理をあらはす

  奢れる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし

  猛き者も遂には滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ



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