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現代は即席の時代、即効を求める傾向が強い時代でもある。
ところで、しの笛のお稽古でも、即席、即効を求める人達もいる。
何事も「石の上にも三年」という故事があるように、じっくり取り組むことが後のちの好結果を生む事になる。
現代の人は、せっかちな人が多いように思う。 忙しい世の中で、しようがないとも思うが。
しの笛は 誰でもすぐに音が出せる。 しかし曲を吹けるようになるには、また時間が必要だ。
そして曲が吹けるようになったら、今度は人の心に響く演奏ができるようになるのに、さらに時間がかかる。
この過程は一カ月、二か月・・・というような期間ではなく、一年、三年、五年、十年・・・という期間と言える。
だから上達を焦る人達には、しばしば苦痛となる。
あるいは、未だ得ざるを得たりと思って、途中で投げ出してしまう人達も多い。
これは見ていて、たいへん残念なことだ。
焦らず、急がず、ゆったり構えて取り組んでいけば、年数が経てば誰でも、その人なりの完成を見ることができる。
笛の音も、曲の歌い方も、その人の人生経験により生涯変わり続ける。
人生が深まるにつれて、音も深まり、歌い方も深まり、表現も深まり幅も広がる。
芸術・芸能も一般世間においても、結局、勝ちを納めるのは兎よりも亀のほうだ。
焦って急ぎ、目標を達成したと勘違いして投げ出す兎のような人達より、コツコツとだが歩き続けた人が最後はやはり高みに到達している。
焦って、即席に身に付けようとしても、薄っぺらいものしか身に付かない。 仮に身に付いたと思っても、それは勘違いでしかない。
大切な事は、回りの景色をゆったりと眺めながら歩く心得で取り組むことだろう。
回りに見える景色の中に、自身を豊かにしてくれるものが たくさん有る。
それにより豊かになった自身の心が、演奏を豊かなものにする。
それは音色や表現に見違えるばかりの深みと幅をもたらす。
一年、三年、五年、十年・・・と吹き続けたら、次は新たな一年、三年、五年、十年、が始まる。
しの笛は生涯の友となる。 心を豊かにし、心に寄り添ってくれるよき友となってくれる。
焦る人、急ぐ人には教えようがない。
笛に限らず、すべての事で最後にゴールにたどり着くのは結局、兎ではなく亀なのだ。
播州城山流 城山如水しの笛指南所