演奏会をすませて、たくさんの人達に聞いて頂いて、喜んでいただくのは、音楽をする者にとっては、何物にも代え難い喜びだ。
しかし、それは聴衆の多少とは関係が無い。
心の底からの感動を伝えられたか・・・この一点だけだ。
心が打ち震えるような感動を伝えられたか・・・それだけだ。
何十人、何百人の方に聞いていただいても、感動の無い演奏は、少なくとも、自分には価値がない。
心に響かなくては、演奏する価値もない。
「心の底から感動しました、静かな深い感動でした、ありがとうございました」と直接に言って頂いた時は、ほんとに良かったな~と思う。
音楽や演奏は、技術だけではない、大切なのは「心」だ。
聴衆の心を響かせ、揺り動かすには、自身の心が振動していなくてはならない。
音鎖が共鳴するのは、自身が振動し響いているからだ。
しの笛の演奏会では、ハンカチで目頭を押さえて聞いて下さる方がいる。
そんな時、心が伝わったのだと、実感する。
楽しい音楽は元気が出て素晴らしい。
しかし、静かな感動はいつまでも心に残る。
涙がとめどなく溢れた演奏は生涯、心に残る。
何十人、何百人の聴衆に聞いていただくことは嬉しい、しかし、もっともっと嬉しいのは、演奏に涙を流して下さった、たった一人の聴衆だ。
深く心に響く演奏・・・心こそ大切なれ。
播州城山流 城山如水しの笛指南所