Amazonオーディブルで「空飛ぶタイヤ」上下巻を聴いた。
三菱リコール隠し事件を元にした小説。
走行中のトラックのタイヤが外れて母子死傷事件が起こり、整備不良が原因とされた
運送会社の社長が自社の過失ではないことを明らかにしようと必死に努力する。
序盤の赤松パートがストレスフルだったけど、自動車メーカーパートや銀行パートは
面白かった。
三菱重工(ではないけど)から独立した三菱自動車社員の間違ったプライド、エリート
意識、同じ財閥系列企業のヒエラルキー、社内での権謀術数等々。
弁護士が全然出てこなくてヤキモキしてたら、被害者遺族から運送会社に対して懲罰的
慰謝料請求の訴訟が提起されて、そこでやっと運送会社社長が弁護士にアクセスした。
でも、その弁護士は大丈夫か?と変な心配をして読んだ(大丈夫だった)。
最後はスッキリと清々しい気持ちで終わって良かったけど、それまでの鬱屈がすごい。
特に上巻の前半はつらい。
東京ホープ銀行の本店営業本部の人はずっとブレなかった。
はるな銀行はちょっとファンタジーが過ぎるような…。
ホープ自動車の狩野と学校のモンスターペアレントにはイライラさせられた。
PTAパートは要らなかったような…世間の風当たりの強さというより、単にモンスター
ペアレントが異常なだけだし、あそこで他の作品1本できちゃうよね(^_^;)
聴いてるときは楽しかったけど、聴き終えると、「文学性に乏しい」という理由で
直木賞に落選したことに納得してる。
確かに聴き終えて残るものがない。
たくさんの登場人物もそれぞれの立場でしかない感じだし…。
でも面白いから、十分か。
モデルになった運送会社は廃業、被害者遺族の代理人弁護士は請求金額を勝手に?高く
して、それに合わせた弁護士報酬をもらうために賠償金を1円も依頼者に渡さずに業務
停止の懲戒処分を受けるという現実のひどさにドン引きしてる。