木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

未来世代への罪

2011年05月28日 | Weblog

今週の福島原発事故。
初期段階の深刻な状況が、ここへ来て次々明らかになっている。
冷却水を循環させるための電源が失われたところからかなり早い段階で「メルトダウン」が起こって、放射性物質が大量に大気に拡散した可能性がでてきた。
このことは原子力発電に反対していた少数の専門家が指摘していたところだが、住民の被爆災害を少しでも少なくするために「最悪」を想定して20キロ、30キロ圏内に住んでいる人達、特に子供、妊婦、若い世代の避難を急ぐべきだったのにそれをしなかった。
どころか「炉心溶融までは起こっていない。放射性物質の放出はただちに健康に影響を与えるレベルではない」というメッセージを政府・東電は繰り返していた。
この3月11日から数日の間に大気に出た大量の汚染物質を知らないで内部に取り入れたであろう子供達の今後が心配だ。
正しい情報を伝えなかったがゆえに政府・東電は未来世代への罪を犯した。
今回の震災、特に原発事故が「日本の第二の敗戦」であるとみるならば、あの第一の敗戦の時にも子供達は国家権力によって見捨てられ犠牲になったし、今回も子供達は見捨てられた。
太平洋戦争時、子供達は空襲、飢餓、病気にさらされ、果ては保護されるべき親を失った。究極の犠牲は中国に置き去りにされた「残留孤児」だったか。
私たち民が第一、第二の両敗戦で学ぶべきは軍隊は国民を守らないし、国家は国民を守らないということだ。
今無政府状態が続いているように私には思える。
それならば現場の、現地の人間が立ち上がるしかない。
1号機の海水注入中断をめぐる官邸、原子力安全委員会、東電のバトルは、早い段階で炉心溶融が起こっていたことを考えれば、悪者の代表にされた斑目、別名デタラメ委員長がつぶやいたように「何だったのか」ということになるのだろうか。
原発事故と水俣病被害の共通点。
原発もチッソ化学工業も国と企業が一体化で、その操業による負の側面を無視した。
その汚染の実態が明らかになっても御用学者と裁判所を動員してその「罪」を封印した。
そして地域経済に大きい影響を与える「企業城下町」であるがゆえに地元が分裂、沈黙させられた。
そして被害者への差別。福島の原発事故による被害はこれから5年、10年後に、ガンや未来世代の遺伝子損傷への恐れとして秘かに広がっていくことになる。

コメント (2)
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