木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

「じじい世代」の退場を

2011年05月01日 | Weblog

天皇夫妻の被災地・避難所訪問。
「反天皇制」の立場からすれば、この行動も今回の震災の被害をあいまいなものにするものと批判の対象になるところではあるが、
ちょっと視点をずらしてみると、今これをやらなければ、皇室及び皇族、とりわけ天皇夫妻の存在意義はないも同然なのではないか。
後期高齢者の年令に入った天皇夫妻だが、皇居でじっとしているという選択肢はなかったと思う。
「日本国民の統合の象徴」と憲法で定められている天皇の立場を最もよく考え、理解し、実践しているのが、当然のことながら当事者である天皇夫妻である。
皇太子夫妻の全く足りていない部分を老いた両親が必死で補っている構図だ。
英国王子ウィリアムの結婚式もその様子をテレビカメラが追い、世界中で放映された。
彼の両親の結婚式では宮殿のバルコニーに出てきたところが印象的で、ウエストミンスター寺院内での結婚式にまでテレビカメラが入ったかどうか覚えていないが、今回の結婚式を見て、イギリス王室も結婚式を広く世界に披露し、それを楽しんでもらうことで「王室の存続」をはかる時代になっているのかとそんなことを思った。

原発事故の終息はいまだ見えず、汚染の広がりと被害は深刻さを増しているというのに、世論調査をすれば(そこには巧みな誘導があるとしても)、安全性を高めて現状維持という答えが一番多い。
今回の原発事故は、安全な原発など日本では不可能だという何よりの証明になったと思うのだが、これは震災のあまりの甚大さに呆然として「思考停止状態」になってしまった人が多いということなのだろうか。
今こそ原発は直ちに運転停止に入らなければならない施設だ。
停止に入っても冷却が進んで安定するにはまた数年かかる。
廃炉にしても放射性物質は放出し続けるわけで、その処理過程も実にやっかい。
使用済み核燃料にいたっては、今のところ万単位の年月をかけて、密閉し、地下に埋める方法しかない。そんなやっかいなものを増やすわけにはいかない。
原発を止めれば「電力が足りなくなる」という宣伝に惑わされている結果が先の世論調査に出ているのだろうが、自然エネルギー推進のNPO代表飯田哲也氏は、「日本の原発は運転開始以来40年たつものが多いので、いずれ近い時期に廃炉を迎える。今止めても同じ」と言っている。
原発の新規立地はまず無理なのだから、「原発なし」の社会を今から作っていくべきだ。
私などは、電気をふんだんに使える時代以前を生きてきたので、個人的には、節電はいくらでも可能だ。
今までの大量生産・大量消費の思考方法を変える時なのに、その時代を生きてきたいわゆる「じじい世代」ばかりが、どこでも発言の主導権を取っていて「原発ただちに廃止は無理」論をテレビや新聞で展開していて、実に腹立たしい。

コメント (2)
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