『沈黙の春を生きて』を見る。
ベトナム戦争の際、ジャングルに潜んでゲリラ活動をする南ベトナム解放戦線の戦士達をあぶりだそうと、米軍が空から撒いた「枯葉剤」。
深いベトナムのジャングルを枯らした枯葉剤には猛毒のダイオキシンが含まれていて、それは枯葉剤を浴びたベトナムの人達、米軍の兵士の身体を蝕み、子々孫々に被害を与えている。
ベトナム帰還兵だったアメリカ人の夫を肝臓ガンで亡くしたことをきっかけに「枯葉剤」に向き合い、ドキュメンタリー映画『花はどこへ行った』を作った坂田雅子さんのこれは2作目の作品。
福島原発事故以前に公開された前作『花はどこへ行った』を見た時には「枯葉剤」の問題としてだけ見ていたが、今回の作品を見ている間、放射能汚染の影響を考えないわけには行かなかった。
日本に原爆を落とし、ベトナムには枯葉剤を撒き散らしたアメリカと言う国。非道の国。
枯葉剤を浴びた親から生まれた子供達に現れた障害。
四肢欠損、皮膚障害、知的障害、視覚障害等々。
枯葉剤を製造したダウケミカル社やモンサント社といった化学メーカーは「人体に影響はない」と宣伝していた。
前作では障害を持って生まれたわが子の面倒を見る母親達の諦念の中に生きる姿に心打たれたが、今作では、ベトナム帰還兵の娘であり、手足に欠損障害を持って生まれたヘザー・A・モリス・バウザーが、ベトナムへ行き、同じ枯葉剤被害者を訪ね、話を聞く姿を追う記録映像である。
ヘザーの諦念とは違う、表現力、発信力が伝わってくる映画になっていたと思う。
『花はどこへ行った』という作品がヘザーにたどり着き、『沈黙の春を生きて』を生んだ。
坂田雅子さんは、長野県須坂市から原発反対の声を上げ続けた坂田静子さんの娘でもある。
奇しくも母と娘は同じ道を行くことになった。それぞれ別の道から入って、行く道が重なった。
大阪ダブル選の怪?快?
三十年程前、大阪府下の市に住んでいた。その時には大阪が地盤沈下しているという認識はなかったので、こんにちどれほど大阪が没落しているのかはわからないのだけれど、うーん、この結果はと考え込んでしまう。
タレント候補を何人も政界に送ってきた大阪人だが、小泉旋風の結果から何も学ばない人達が多いんだなあという気がした。
だいたい橋下は府知事に立候補する時、自民党に求められて立ったはずだ。だから彼は自・公から生まれた鬼っ子にすぎない。
「公務員たたき」が鬱屈した人々の気を晴らしての人気だと思うが、府や市の職員の側にも不祥事がいろいろあるようだからこれが効果がある。
市長選では独自の道を行くはずだった共産党が自党の候補を下ろしての平松候補応援だったが、おそらく平松陣営で最も活動したのは共産党だったのではと思う。
自民党は元々橋下と親和しているし、民主党も公明党も自分達の議席確保しか考えていない。だから橋下と本気で戦っていない。
橋下はおそらく大阪市長の任期を全うせず、国政へと考えているのではと思うが、橋下と維新の会を箱根越えさせない、と考える政界関係者もいる。そうあってほしい。
大阪の人には気の毒だけど、自分で選んだリーダーだ。高い授業料を払ってもらうしかない。