ペドロ・アルモドバル・・・・。世界屈指の天才監督であり、ヒューマニストで愛の狩人で芸術家であり、そしてなんつっても世界有数の変態監督であり、エンターテイナーである。
「トーク・トゥ・ハー」は6:4で天才性が勝った。今作では4:6で変態性が勝った。結果すさまじいキワモノ映画になる寸前で、天才的なストーリーテリングがかろうじて歯止めをし、爆笑もできるエンターテインメントと化した!!
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この映画のストーリーは基本的には犯罪映画である。フィルム・ノワールといえばそうかも知れないが、一般的にノワールにつきまとうモノトーンな映像イメージとは異なり、アルモドバル流のサイケデリックな色彩のきらびやかさに酔える。
とはいえ、それだけではない。
ハリウッドの犯罪映画なら、「そろそろタルくなってきたからアクションシーン入れるか」とか「この辺で女優に乳出してもらわんと、客が寝るかな?」とか考えるところだ。アルモドバルも同じようにハリウッド的面白いシナリオスタイルを踏襲しつつ、彼が考えるのは「そろそろ楽しいゲイ描写タイムにするか・・・」というところだ。
ガエル・ガルシア・ベルナルのファム・ファタールな姿と演技は、世界中の全ての人に見せて回りたくなるほどの、面白さと危なさに満ちまくっている!!
・ガエルの高露出度ステージ衣装!!(陰毛のデコレーション付き)
・ガエルの濃厚フェラ&セックス(女役ガエルは上に乗る)
・濡れたもっこり白ブリーフをスケベそうに見つめているのはフェレ・マルチネスではない。アルモドバルだ!
・・・などなど、いちいちイヒイヒ笑える演出&芝居が盛り沢山
すごいよガエル!「モーターサイクル・ダイアリーズ (私の映評はこちら)」でのチェ・ゲバラ役も記憶に新しい彼は、スペインの変態巨匠と組んで演技の真髄を見せてくれた
アルモドバルはかつてアントニオ・バンデラスをやっぱりエロエロに飾り立てスターダムへの足がかりにさせた功績があり、ラテンのイケメンハンティングにおける目利きぶりでは定評がある。ガエルにすっかりぞっこん!!??そんな公私混同ぶりがにじみ出た本作は、ある意味で「オール・アバウト・マイ・マザー」や「トーク・トゥ・ハー」より強い作家性の臭気が立ち込めている。
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さっきと言う事が変わるけれど、この映画は、ミステリー・サスペンス・クライムといった要素を描くために、ゲイ描写を盛り上げ用に使ったというよりは、背徳、社会通念への反抗、愛の本質・・・といった深遠なるテーマを描くために、犯罪映画というジャンルを利用したといった方がいいだろう。
情熱ばかり先走り空回り気味の芸術映画も多いが、アルモドバルは見事なストーリーテリングで見るものを引き込み、いつのまにかアルモドバル独自のフィールドに引きずり込む吸引力をもっている。
本作のシナリオでもっとも面白いのは、映画監督であるエンリケが、旧友(っていうかかつての恋人)イグナシオが持ち込んだ小説を読むと、その小説世界が(イグナシオ主演で)再現され、そのストーリーの中で二人の少年時代が語られるとそれが再現それ・・・という二重三重のフラッシュバックである。
そこでは現実と信じたものは虚構に過ぎない。二人の少年時代の映像に切なさを感じさせておきながら、二人の仲を引き裂いたホモ神父の「本物」が登場し、感情移入していた物語に出てきていた神父は映画内映画の俳優でしかなかった。
もともとイグナシオ(自称)主演で再現された過去の映像を見せておきながら、エンリケはイグナシオに主演はさせないと言い出す。主演をしたいがため体を売るイグナシオ・・・だが我々は既にイグナシオ主演の「訪れ」を観てしまっている。この複雑な気持ちを図りかねていると、イグナシオがさらに意外な正体と隠された真実を語るどんでん返しによって、全ては愛と運命の迷宮を形作る歯車だったのだと気づく。
文章まとまってないけど、ストーリーテリングのテクニックとしては、単に何シーンかの時制を前後させただけ。過去作品でさんざんやってきた色調と性描写。にもかかわらずミステリーとして抜群に面白いストーリーを作り、運命の無常さ、愛の儚さをかもし出す。
アルモドバルという男を料理人に例えれば、そこらのスーパーで売っている安い食材と冷蔵庫の中の昨晩のおかずの余りを使って、一流ホテルに匹敵する超美味な料理を作ってしまう、やりくり上手なお母さんである。
やっぱ巨匠。やっぱ天才。やっぱ変態。
今、世界で最も安心して(?)観れる、ハズレなしの映画作家ペドロ・アルモドバル。今が彼の絶頂期であろう。観るべし!!
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
「トーク・トゥ・ハー」は6:4で天才性が勝った。今作では4:6で変態性が勝った。結果すさまじいキワモノ映画になる寸前で、天才的なストーリーテリングがかろうじて歯止めをし、爆笑もできるエンターテインメントと化した!!
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この映画のストーリーは基本的には犯罪映画である。フィルム・ノワールといえばそうかも知れないが、一般的にノワールにつきまとうモノトーンな映像イメージとは異なり、アルモドバル流のサイケデリックな色彩のきらびやかさに酔える。
とはいえ、それだけではない。
ハリウッドの犯罪映画なら、「そろそろタルくなってきたからアクションシーン入れるか」とか「この辺で女優に乳出してもらわんと、客が寝るかな?」とか考えるところだ。アルモドバルも同じようにハリウッド的面白いシナリオスタイルを踏襲しつつ、彼が考えるのは「そろそろ楽しいゲイ描写タイムにするか・・・」というところだ。
ガエル・ガルシア・ベルナルのファム・ファタールな姿と演技は、世界中の全ての人に見せて回りたくなるほどの、面白さと危なさに満ちまくっている!!
・ガエルの高露出度ステージ衣装!!(陰毛のデコレーション付き)
・ガエルの濃厚フェラ&セックス(女役ガエルは上に乗る)
・濡れたもっこり白ブリーフをスケベそうに見つめているのはフェレ・マルチネスではない。アルモドバルだ!
・・・などなど、いちいちイヒイヒ笑える演出&芝居が盛り沢山
すごいよガエル!「モーターサイクル・ダイアリーズ (私の映評はこちら)」でのチェ・ゲバラ役も記憶に新しい彼は、スペインの変態巨匠と組んで演技の真髄を見せてくれた
アルモドバルはかつてアントニオ・バンデラスをやっぱりエロエロに飾り立てスターダムへの足がかりにさせた功績があり、ラテンのイケメンハンティングにおける目利きぶりでは定評がある。ガエルにすっかりぞっこん!!??そんな公私混同ぶりがにじみ出た本作は、ある意味で「オール・アバウト・マイ・マザー」や「トーク・トゥ・ハー」より強い作家性の臭気が立ち込めている。
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さっきと言う事が変わるけれど、この映画は、ミステリー・サスペンス・クライムといった要素を描くために、ゲイ描写を盛り上げ用に使ったというよりは、背徳、社会通念への反抗、愛の本質・・・といった深遠なるテーマを描くために、犯罪映画というジャンルを利用したといった方がいいだろう。
情熱ばかり先走り空回り気味の芸術映画も多いが、アルモドバルは見事なストーリーテリングで見るものを引き込み、いつのまにかアルモドバル独自のフィールドに引きずり込む吸引力をもっている。
本作のシナリオでもっとも面白いのは、映画監督であるエンリケが、旧友(っていうかかつての恋人)イグナシオが持ち込んだ小説を読むと、その小説世界が(イグナシオ主演で)再現され、そのストーリーの中で二人の少年時代が語られるとそれが再現それ・・・という二重三重のフラッシュバックである。
そこでは現実と信じたものは虚構に過ぎない。二人の少年時代の映像に切なさを感じさせておきながら、二人の仲を引き裂いたホモ神父の「本物」が登場し、感情移入していた物語に出てきていた神父は映画内映画の俳優でしかなかった。
もともとイグナシオ(自称)主演で再現された過去の映像を見せておきながら、エンリケはイグナシオに主演はさせないと言い出す。主演をしたいがため体を売るイグナシオ・・・だが我々は既にイグナシオ主演の「訪れ」を観てしまっている。この複雑な気持ちを図りかねていると、イグナシオがさらに意外な正体と隠された真実を語るどんでん返しによって、全ては愛と運命の迷宮を形作る歯車だったのだと気づく。
文章まとまってないけど、ストーリーテリングのテクニックとしては、単に何シーンかの時制を前後させただけ。過去作品でさんざんやってきた色調と性描写。にもかかわらずミステリーとして抜群に面白いストーリーを作り、運命の無常さ、愛の儚さをかもし出す。
アルモドバルという男を料理人に例えれば、そこらのスーパーで売っている安い食材と冷蔵庫の中の昨晩のおかずの余りを使って、一流ホテルに匹敵する超美味な料理を作ってしまう、やりくり上手なお母さんである。
やっぱ巨匠。やっぱ天才。やっぱ変態。
今、世界で最も安心して(?)観れる、ハズレなしの映画作家ペドロ・アルモドバル。今が彼の絶頂期であろう。観るべし!!
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この記事面白い!!!です。(爆)
「これ、一回観たら、もうええわ・・・」
と思っていましたが、この記事読んだら
もう一回観たくなりました(爆)
サスペンス仕立てが面白かったです。
アルモドバル監督絶好調ですよね~。
ガエルは確かに美しいですが、あのゴツさはどんなもんでしょうか?
ガエルくんには驚かされました。
アルモドバル監督、その道をきわめていただきたい。
バッドエデュケーションで、天才:変態=4:6
と面白い数値化ですね。なんとなく納得してしまいました。
※TB「阿修羅城」間違えましたすみません。
>濡れたもっこり白ブリーフをスケベそうに見つめているのはフェレ・マルチネスではない。アルモドバルだ!
いやいや、ごもっとも(笑)。天才で、変態です。
才能がかなり光っていたと思います.
おかげで,彼の作品が始めて面白いと思えましたので(笑)