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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 [監督:デビッド・フィンチャー]

2009-02-24 23:48:29 | 映評 2009 外国映画
個人的評価: ■■■■□□
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)]

「ファイト・クラブ」で逃げ去るチンピラにブラッド・ピットが「Run! Forrest, Run!」と「フォレスト・ガンプ」のジェニーの台詞を吐きかけた・・・・という割とどうでもいいところを覚えている。フィンチャーはガンプが好きだったのか?ガンプを茶化していたのか?どっちだろうと長年疑問に感じていた(わけでもない)ことの答えが見つかった。
フィンチャーはガンプが好きだった。
ガンプの脚本家エリック・ロスの脚本で新作を撮るくらいなんだから。
変わった男の一代記で、中々一緒になれない運命の恋人がいて、戦争で友だち失って還ってママに会うとか、すごくガンプだ。

ま、ともかくアカデミー13部門ノミネートでうち3部門受賞の話題作。
大作らしく見応えばっちりで、俳優たちも印象深くて、無難にまとまっていて、そこそこ楽しめる。
とはいっても、「だんだん若返る男」というワンアイデアをブラビ&ケイブラで強行突破しただけのヒネリの足りない映画という感もなくはない。
ドンドン若くなっていって、最後は赤ん坊になって死ぬんだろうなあ・・・という予想の通りの展開。
ケイブラとブラピの実年齢が一致したところで、あの時計を直して逆廻ししなくしたらブラピは普通になるんだ~、とか、愛すれば愛するほど若返り速度が速くなる・・・とかそんな漫画っぽい特殊設定でもあれば、もう少し楽しいストーリーになったと思われる。

じいさんモードの少年時代は見た目のインパクトと内面とのギャップが面白くて引き込まれる。
船で世界に出て行くあたりからつまらなくなる。ティルダ・スウィントンとのロシアでのエピソードなどなんの面白みもなく、ストーリー上の必然性も弱く眠気を誘う。
眠気覚ましに戦争シーンとなるが、なんであんなボロ船がドイツの潜水艦と互角以上の戦いができるんだ??と疑問が拭えず、双方一門ずつの機銃を真っ正面から撃ち合うだけの戦闘も単調で盛り上がらない。

そしてブラピの特殊メイクが薄くなってきて、ヒロイン役をケイト・ブランシェット閣下自らが演じ始める戦後篇。この辺からやっと運命のロマンスが動き出して、ようやく物語に興味が沸いてくる。
ただしガンプのジェニーのように転落しまくるヒロインと違い、ケイブラ閣下の演じるデイジーは役者の雰囲気もあってか地に足がついた感があり、落ち込んだり挫折したりはするかもしれないけど道を踏み外したりはしないだろうなぁ・・・という妙な安心感がつきまとう。緊張感や不安がなく、話はゆるくなった気がしなくもない。
それでもついに2人が結ばれるシーンのオトナの台詞・・・
「抱きたい?」
「もちろんだ」
・・・はぐっとくる。いろいろあって待って待って待ってやっと躊躇わずに相手を求める言葉を吐く2人に感動した。

しかしその後はブラピ様の若返りショーの様相を呈す。若いブラピは同性から見ても息をのむ美しさだが、心情があまり語られず、見た目のインパクトばかりで内面の変化は見えてこない。
(特殊メイクとCG技術でここまでできるのなら、クリント・イーストウッドとかロバート・デ・ニーロでリメイクしてほしいと思ってしまった。)
外見は少年化しつつ認知症が進行した子供ブラピをケイブラ様が育てる。前に「雨トーク」の「熟女好き芸人」の回で「黒木瞳さんに育てられたい」と語っていた上島竜平(だったかな)を思い出した。そうか、若返り願望と熟女好き願望の両方を満たす映画なんだな。
年老いたケイブラに抱かれる赤ん坊というビジュアルは感動するに決まっているが、この映画の基本設定上当然行き着くゴールでしかなく、期待通りにして予想通りでしかない印象を残して映画は終わる。

せめてあとひとヒネリ・・・と感じる映画だった。

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