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砂の器(デジタル・リマスター版)

2005-11-13 11:23:11 | 映評 2003~2005
蓼科高原映画祭にて鑑賞。野村芳太郎という監督の作品は大好き。月並みだけどサスペンス系の映画が好きで、特に「事件」と「影の車」は好き。「張り込み」「ゼロの焦点」「鬼畜」「八墓村」「疑惑」「配達されない三通の手紙」・・・とどれも傑作なのだが、悲しいことに、すべてビデオでのお付き合いでした。
本作「砂の器」は一般に野村芳太郎の代表作とか最高傑作とか言われている作品であり、もちろん以前に鑑賞済み(ビデオで)。ただ個人的には上記の8作品に比べると評価はやや低い。
けれども今回、大スクリーンで観たら、なんだかんだで泣けるいい映画だと再認識した。例の「宿命」がかかる中展開される親子放浪のくだり。演出はすさまじくベタだが、音楽と映像の美しさという魔法にかけられ自然に落涙。
でもそのへんのやたら感傷に浸りすぎたところに、どこか作り手の自画自賛というか、セルフ感動してるような感じがする。上記8作の場合感傷に浸る寸前で我に返っているような、ぎりぎりのクールさがあったが、「砂の器」はそのあと一歩を超えている。だから泣けるのだが。
捜査会議で今西(丹波哲郎)が、和賀(加藤剛)の過去を説明する。彼の過去を説明し終えた時に今西は感極まって涙を流してしまう。我々観客は「宿命」を聞きながら回想シーンを見ているから泣けるのだが、会議の席にいる今西は泣けるのだろうか?陪審員制の裁判じゃあるまいし、あそこまで感情的になり冷静さを欠いているようにも見える捜査会議でいいのだろうか?

それでも日本中旅して回って真実に近づいていく今西の執念は、びりびり伝わってくる。今西の地理的な日本縦断と、和賀の時間的な日本の縦断がひとつの物語に溶け込み、日本を日本人を見つめ直しているような深さがある。
なんだかんだで感動しました。

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3 コメント

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Unknown (aq99)
2005-11-13 17:48:43
デジタルパワーいいですよね~。

その後が続いてないのが、気になります。

TVで再放送してる「まんが にっぽん昔話」もデジタルで綺麗になっています!

市原悦子と常田富士夫の声は、さすがにデジタル処理されてないでしょうね!
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原作 (kossy)
2005-11-14 12:27:20
映画も原作も中学生の頃読みました。

砂の器という意味と、一条ゆかりの漫画「砂の城」とをず~っと混同していました。そのうち映画『砂の惑星』が公開され、俺の頭はもうパニック。

とにかく崩れやすいものなんだ・・・

と、泥遊びに興じた子供時代に、最強の砂のお団子を作ってお団子チャンピオンになったことを思い出しました。

でも石を入れるのは反則なんです。
返信する
コメントどうもです (しん)
2005-11-15 02:22:48
まさかこんな旧作でコメントやトラバつくとは思ってませんでした・・けど、けっこう色んなとこで上映してるみたいですね



>aq99さま

わかんないですよ。むかしむかしはるか宇宙の彼方の物語は、デジタル技術で皇帝の声や4話からの主人公のお父さんの姿が3話までの主人公を演じた俳優の姿に変わったりしてますからね

デジタルで女の子の姿が市原悦子に変わってるかもしれません



>kossyさま

やしきたかじんの「砂の十字架」って歌があって、安部公房の「砂の女」って本があって、あと思いつかないや

砂のお団子はどんなにでかくても100%食えないのが悲しいですね
返信する

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