蓼科高原映画祭にて鑑賞。今さら言うまでもなく木下恵介監督の国産初カラー映画。映画祭最終日の朝10時からの上映で、前日映画祭の飲み会だったので、当初の予定では最終日は昼まで寝てるつもりだった・・・しかし、その飲み会である人物に出会ってしまった。その人は城澤勇夫さんという方で、今から55年前に小津安二郎監督の「麦秋」(小津映画の一口評はこちら)で、次男のイサムちゃん役で出演していた方である。あ・・・あのイサムちゃん・・こんなに大きくなって・・・と小津ファンにしか判らないマニアックな感動に浸ってしまった。
で、その城澤氏が「カルメン・・」にも出演しているというので、翌日はイサムちゃんと一緒に写真撮っちゃった記念で「カルメン・・」を鑑賞したのでした。ちなみに同時刻に別の会場で「麦秋」も上映していたのだけど、何回も観たしDVDも持ってるし、「カルメン・・」にしましょう、ということになった。「カルメン・・」だって過去に一度ビデオで観た事はあったのだけど、あんまし憶えてなかったし
さて問題の城澤氏は、盲目の作曲家の息子役として出演。出番も台詞も少なく、その点についてはちょっと残念。
にしても、こんなに面白い映画だったっけ・・・と改めて巨匠木下恵介の力を思い知らされたのでした。
軽井沢の緑の草原、青い空、浅間山の白い煙、高峰秀子の極彩色の衣装・・・とカラーを意識した色使いの面白さもさることながら、高峰秀子演じるカルメンが主題歌を歌い始めると馬や牛の群れがぞろぞろ集まってくる当時も今も過去にもない異様な演出(しいていえば、「ムトゥ 踊るマハラジャ」が近いかも)。盲目の先生が作曲した設定の童謡のような曲の異様な雰囲気。その曲をバックにしたオープニングタイトルでは、子供の書いた絵本のような絵がこれまた時代を感じさせるというよりどの時代にも当てはまらない。
クライマックスのストリップショーもまた、エロチックともコミカルとも華やかさとも違うどこか別の国の伝統儀式を見ている様な奇妙な感覚にとらわれる。
木下恵介という方は時代を超えていたとか時代に即していたとかそんなんでなく、どの時代にも当てはまらない、日本のどの時代とも違う別の世界を創造していたのではないだろうか?「永遠の人」における九州弁(熊本だったか?)フラメンコの音楽使用とあわせて、木下パラレルワールド作品とカテゴリ分けしてみる。「二十四の瞳」はこのカテゴリには入らない。
俳優陣ですが、みんな輝いています。
いちいち挙げていくとキリがないので、特に大活躍なされた笠智衆さんに限定して書きます。
笠智衆さんはこれまで見たどの作品よりも活き活きと演じておられます。この異世界ミュージカルに参加すべく、浅間山をバックに浪曲を歌い上げます。さらに私が知る限り笠智衆唯一のアクションシーンをこの映画で楽しむことができます。金儲けしか頭にない男と取っ組み合いをし、最後には華麗な背負い投げを決めます。しかも捨て台詞付き「校長たるものが、暴力をふるってしまった!! しかし!!私は断じて後悔はせん!!」まるで黒澤映画の三船敏郎です!!
聞くところによると笠智衆さんは亡くなる前、朦朧とした意識の中でうわごとのように「木下さんの現場に遅れる」と言っておられたそうです。それほどの信頼関係を築けたことがこの映画を観て分かった気がします。笠さんにとって木下組は一番気兼ねなく楽しく参加できる第二のHOMEだったのかもしれません。
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
で、その城澤氏が「カルメン・・」にも出演しているというので、翌日はイサムちゃんと一緒に写真撮っちゃった記念で「カルメン・・」を鑑賞したのでした。ちなみに同時刻に別の会場で「麦秋」も上映していたのだけど、何回も観たしDVDも持ってるし、「カルメン・・」にしましょう、ということになった。「カルメン・・」だって過去に一度ビデオで観た事はあったのだけど、あんまし憶えてなかったし
さて問題の城澤氏は、盲目の作曲家の息子役として出演。出番も台詞も少なく、その点についてはちょっと残念。
にしても、こんなに面白い映画だったっけ・・・と改めて巨匠木下恵介の力を思い知らされたのでした。
軽井沢の緑の草原、青い空、浅間山の白い煙、高峰秀子の極彩色の衣装・・・とカラーを意識した色使いの面白さもさることながら、高峰秀子演じるカルメンが主題歌を歌い始めると馬や牛の群れがぞろぞろ集まってくる当時も今も過去にもない異様な演出(しいていえば、「ムトゥ 踊るマハラジャ」が近いかも)。盲目の先生が作曲した設定の童謡のような曲の異様な雰囲気。その曲をバックにしたオープニングタイトルでは、子供の書いた絵本のような絵がこれまた時代を感じさせるというよりどの時代にも当てはまらない。
クライマックスのストリップショーもまた、エロチックともコミカルとも華やかさとも違うどこか別の国の伝統儀式を見ている様な奇妙な感覚にとらわれる。
木下恵介という方は時代を超えていたとか時代に即していたとかそんなんでなく、どの時代にも当てはまらない、日本のどの時代とも違う別の世界を創造していたのではないだろうか?「永遠の人」における九州弁(熊本だったか?)フラメンコの音楽使用とあわせて、木下パラレルワールド作品とカテゴリ分けしてみる。「二十四の瞳」はこのカテゴリには入らない。
俳優陣ですが、みんな輝いています。
いちいち挙げていくとキリがないので、特に大活躍なされた笠智衆さんに限定して書きます。
笠智衆さんはこれまで見たどの作品よりも活き活きと演じておられます。この異世界ミュージカルに参加すべく、浅間山をバックに浪曲を歌い上げます。さらに私が知る限り笠智衆唯一のアクションシーンをこの映画で楽しむことができます。金儲けしか頭にない男と取っ組み合いをし、最後には華麗な背負い投げを決めます。しかも捨て台詞付き「校長たるものが、暴力をふるってしまった!! しかし!!私は断じて後悔はせん!!」まるで黒澤映画の三船敏郎です!!
聞くところによると笠智衆さんは亡くなる前、朦朧とした意識の中でうわごとのように「木下さんの現場に遅れる」と言っておられたそうです。それほどの信頼関係を築けたことがこの映画を観て分かった気がします。笠さんにとって木下組は一番気兼ねなく楽しく参加できる第二のHOMEだったのかもしれません。
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