芥川の読者の中で、慧眼の士は、日本のマスメディアや、これに準拠して来た職業的文化人たちが、この25年超やって来た事は、日本国の国力を削ぐことであった事に、芥川と同様に気付いているはずである。
その結果が、今の日中韓の「一体なんなんだ」という問題に至っている事も。
以下の記事には、そのような有りようとは全く正反対の正論が在るのだが、前章と同様に、日本国の94%の世帯は、この記事を読んでいないのである。
昨日の日経新聞19面「大機小機」から。
赤字国日本の「不都合な真実」
10月の経常収支が1279億円の赤字になった。11月以降は季節的に輸出が低調となるので、来年1月まで経常赤字が続く見通しだ。
足元では日本は経常赤字国になっているのだ。2013年度を通してみれば経常収支は黒字を保つだろうが、それでも12年度に比べ黒字が大幅に減るのは避けられない。
ちょっと前までなら、「季節によるデコボコをならせば、依然として経常黒字が続いている」と指摘する向きもあった。ところが10月の経常収支は、季節調整後でみても593億円の赤字だ。1252億円の赤字だった9月に続き、経常赤字は2ヵ月連続である。今の形で国際収支統計を取り始めて以来、月間の経常収支が季調済みで赤字になったのは4回だけ。2ヵ月連続の赤字となると初めての経験だ。
経常収支は貿易・サービス収支に海外との所得のやり取りなどを加えた収支である。足元の経常赤字の最大の要因は、何と言っても貿易赤字の拡大だ。季節調整前の貿易・サービス収支の赤字は19ヵ月連続である。
円安でも輸出が伸びない。生産・販売拠点の海外移転が進み、円安でも国内からの輸出が増えにくい。海外景気がもたついていることで、輸出数量が増えない。
輸出に注目する説明が 一般的だが、貿易統計を虚心に眺めれば輸入急増に目を見張るはずだ。例えば10月の輸出は5・8兆円なのに対し、輸入は 6・9兆円。前年同月比の増加額は輸出が0・9 兆円なのに、輸入は1・5兆円にのぼっている。
輸入がうなぎ登りとなっているのは、原子力発電所の停止に伴って海外からの石油や天然ガスの購入が大幅に増加しているからだ。電力9社の合計でこれらの燃料費は、13年度には10年度に比べ3・6兆円も増加するとみられている。
石油や天然ガスの輸入増大は、中東など資源国に所得が吸い取られるというにとどまらない。燃料費が電力料金に転嫁される結果、企業には生産コストの上昇となる。
いわば原発停止に伴う電力税を課されるようなもので、産業の空洞化にも拍車がかかっている。これは輸出が思ったほど伸びない一因ともなる。 経常赤字のメカニズムはこんなところだ。日本は今や原発再稼働という「不都合な真実」に向きあう時期を迎えているのではないか。
(和悦)