家を建てる道路を敷くとなれば、木を切ったり池を埋めたりするのは人の営みとして避けられない事です。
しかし古い物、人の手になる物を壊すのは誰しも気の進まないもので、古木の伐採のお祓い・家の取り壊しのお祓いと、神主が呼ばれて祭典を行うこともままあります。
今日はいささか珍しい事例ではありますが、『牛頭観音』の碑のお祓いをすることになりました。
お祓いを終えた碑
『牛頭観世音』と文字が彫られているのが見えます。これはいわば牛の慰霊碑に当たるもので、聞けばこの付近は以前牧場だったそうです。“昭和29年”と建立年があり、歴史を感じさせます。
これと似たもので「馬頭観音」という石碑をしばしば見かけます。「馬頭観音」は特に江戸時代に広く信仰された仏様で、強い魔除けの御利益があるといいます。馬の守護神とも考えられ、馬が死んだ場所にこの石碑が建てられるようになりました。
実は「牛頭観音」という仏様はいないようなのですが、この「馬頭観音」にあやかって牛の為に建てられるようになったと言われています。