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年末ぎりぎりになって、ようやく大掃除を始めた老夫婦ですが、ほんの1時間作業をしただけで
腰が痛くなり、早くも休憩に入りました。お気に入りのアールグレイ・ティーを飲みながらの
おしゃべりタイムです。
妻: 今年の年末はお天気が良いし、暖かいお陰で掃除がはかどるわ。でも、クリスマスが終わ
ったと思ったら、アッという間にお正月よ。ア~ァ、またひとつ年を取るのね。
夫: 毎年この時期になると「光陰矢のごとし」を実感するよ。こんなに速いスピードで1年が
過ぎ去ってしまうとは、とても信じられないね。年々、加速しているんじゃないか?
妻: それだけ感じ方が変化しているのよ。どんどん時間が短くなっていくように思うわ。
夫: 随分前に聞いた話だけど、強く印象に残っていることがあるんだ。日本生命の報告だった
と記憶しているけど、10代から80代の人を大勢集めて実験をしたんだ。その実験は
「目をつぶってもらったうえで、自分が10秒だと思ったら手を上げる」という、とても
単純なものなんだけど、結果が興味深くてね。10代では12~13秒後に手を上げた。20代、
30代は10秒丁度に手を上げる人が多かった。ところが70代、80代は7~8秒しか経過して
いないのに手を上げた。
これを1日24時間に換算すると、10代は24時間を30時間ぐらいのゆったりとした時間感
覚の流れの中で過ごしているけど、高齢者は24時間を20時間ぐらいの感覚で、せっかち
に過ごしていることになるんだってさ。
この実験は年齢層別の時間経過の感じ方を明確に示してくれたよね。
妻: 面白い実験結果ね。高齢者にとっては退職後や子育て後に、ようやく手に入れた「ゆとり
の時間」なのに、実際よりも短く感じてしまうなんてもったいない話だわ。
夫: 確かに、そうだな。ただ、時間経過を実際よりも短く感じるのと長く感じるのではどちら
がいいのか、よく分からないね。感じ方の長短よりも、どういう時間の使い方をするか
のほうが大切だよ。変な言い方かもしれないけど、これまでは自分の時間を切り売りし
て過ごしてきたような気がしているんだ。折角、自由に使える時間ができたのだから、
豊かな老後にするためには有効な時間の使い方を考えなくちゃいけないね。
妻: 豊かな老後ね~。アッ、そう言えば、今月の始めに愛知県の香嵐渓へ行った時、紅葉に彩
られた香積寺さんを参拝したわよね。あの時、本堂の左側の建物の扉に1枚の張り紙があ
って、そこに書かれた言葉がとても気に入ったから書き写しておいたの。
ちょっと待ってね。取って来るわ。
ホラ、これよ。
老いてこそ人生
ていねいに生きる
ゆっくり生きる
やわらかく生きる
仏さまにまかせて
とても示唆に富んだ内容でしょ。
夫: なるほど、「老いてこそ人生」か。イイネ。時間の枠なんかにとらわれず、ていねいに、
ゆっくり、やわらかく生きればいいんだな。あたふたと、ギクシャクしながら生きている
自分が恥ずかしくなってきたよ。
妻: 新年になって新たな目標を考えるのも良いけれど、こうして年の瀬のひと時を使って、こ
れからの人生をどのように過ごすべきかを熟考するのも、後期高齢者の枠組みに入った
私たちには必要かも知れないわ。でも、あなたより私は6歳も若くて後期高齢者の新人だ
から、もう暫くは、今まで通り俗っぽく、シャキシャキと過ごすつもりよ。
夫: オイオイ、そんなところで線引きをするなよ。自分だけ若いつもりでいても、年は年なん
だから。自覚も大切だよ。だけどね、最近の事件報道を見ると高齢者の犯罪が目に付くと
思わないかい?心にゆとりがない人が増えているのかなぁ?
ここに書かれている言葉をもっとたくさんの高齢者に伝えたいものだね。
さてと、あまりおしゃべりしていると、日が暮れるぞ。そろそろ大掃除に戻ろう!
二人揃って「ドッコイショ」と言いながら立ち上がり、再び雑巾を持って玄関周りの掃除に取り
掛かりました。
この一年間、お付き合い頂き、ありがとうございました。
皆さまの御多幸をお祈り申し上げます。