ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:茨城県の水戸納豆がどうして有名になったのか?

2024-07-29 07:09:32 | 日記

茨城県の名産品として「納豆」を思い出す方は、「水戸納豆」という固有名詞まで連想されるのでは
ないでしょうか。それほどに、茨城県の納豆は、水戸納豆として全国に知られています。水戸納豆の
特徴は、小粒で柔らかく、糸引きがよく、わらの香りがすることです。これが、水戸納豆が有名にな
った理由ですが、実は、歴史や地域の特性、製品へのこだわりなどの下支えが背景にあるのです。
水戸納豆の名前が知られるようになったのは意外に新しく明治になってからです。かつて、納豆が江
戸に出回っていたことを本で知った水戸の笹沼清左右衛門(現在の水戸天狗納豆の始祖)が、納豆を
水戸の名物にしようと製造に乗り出したのがきっかけでした。清左右衛門の納豆が本当に世に出るよ
うになったのは、明治20年代に鉄道が敷設されてからです。最初は水戸駅前の広場で売られていまし
たが、やがて駅のホームで、今でいうアイドル少年たちがお土産として売るようになると、汽車の窓
から奪い合うほどの人気が出たということです。
今回は水戸納豆の歴史と背景、そして、納豆雑学も紹介します。

<納豆とは>

納豆とは、煮る・蒸すなどして柔らかくした大豆を納豆菌によって発酵させた発酵食品です。一般的
に「糸引き納豆」と呼ばれるもので、日本の伝統食品の一つです。納豆はたんぱく質、脂質、カルシ
ウム、鉄などの栄養素を含み、納豆菌が作り出すナットウキナーゼやビタミンK2などの特有の成分も
あります。納豆はご飯と一緒に食べるのが一般的ですが、ほかの食材と合わせても美味しくいただけ
ます。納豆には独特の匂いと粘りがあり、好き嫌いが分かれることもあります。

<納豆のいわれ>

納豆の歴史は古く、縄文時代の終わり頃には既に納豆のようなものが食べられていたとも言われてい
ます。納豆の名前の由来には諸説ありますが、お寺の納所で作られた豆や、神様に納めた豆などから
「納豆」という説があります。納豆は日本だけでなく、中国やアジア、アフリカの一部の国々でも作
られていますが、日本の糸引き納豆とは異なり、調味料や保存食として使われることが多いようです。

<納豆の生産量ランキング>

納豆の生産量は、関東地方が全国の約70%を占めています。茨城県は納豆の最大の生産地で、全国の
約4分の1を生産しています。千葉県と埼玉県も納豆の生産量が多いです。

1位は茨城県で29,000 t( 25.0%)、2位は千葉県で18,000 t(15.5 %)、3位は埼玉県で | 14,000 t( 12.1 %)、
4位は群馬県で10,000t( 8.6 %)、5位が栃木県で9,000t(7.8%)、

その他が33,000t(28.5%)となっています。

<納豆の消費量ランキング>

(1)都道府県別ランキング:納豆の消費量は、都道府県や都市によってかなり違います。総務省統
     計局の「家計調査」によると、2020年の納豆の消費量ランキングでは、1位は長野県で、
     一世帯当たり約7パック、2位は福島県で約23.6パック、3位は栃木県で約23.4パック
     ・・・茨城県は5位で約22.1パックを消費しました。納豆の消費量は、東北や関東、九州
     地方で多く、近畿や中国、四国地方で少ない傾向があります。

(2)都市別消費量ランキング:人口あたりの消費量(kg) は1位が東京で23,000t(1.7㎏)、2位は大阪
     で6,000 t|(1.3kg)、3位は名古屋で5,000 t(1.4kg)、4位は札幌で4,000t(1.8kg)、5位は福岡
     で3,000t( 1.2kg)、でした。納豆の消費量は、東京が全国の約20%を占めています。人口あた
     りの消費量は、札幌が最も高く、納豆の好きな人が多い。福岡は人口あたりの消費量が最
     も低く、納豆の嗜好が弱いことがわかります。

 

<納豆の豆知識>

1.大豆が納豆になるには納豆菌の存在が必要です。納豆菌は枯れ草菌の一種で、土の中や稲藁、空
   気中などどこにでも存在しています。稲藁1本には約1,000万個の納豆菌が胞子の状態で付着し
   ていますから、稲藁の中で大豆が偶然発酵した可能性も非常に高かったのです。古くから納豆
   が食べられていた理由もここにありそうです。

2.納豆は大きく分けると三種類になります。
  (1)甘納豆:お菓子で、豆を砂糖で煮詰めたものです。
  (2)糸引き納豆:いつもご飯と一緒に食べているお馴染みの納豆です。
     ①丸大豆納豆:大豆を丸ごと煮て納豆菌で発酵させたもので、一番ポピュラーな納豆です。
       大豆の大きさによって、大粒納豆、小粒納豆、極小粒納豆などに分けられます。また、
       黒大豆や青大豆を使った納豆もあります。
     ②ひきわり納豆:大豆を炒って荒く挽き、表皮を取り除いてから煮て納豆菌で発酵させた
       ものです。青森、秋田、岩手などで江戸時代以前から作られていました。ひきわり納
       豆は、大豆の皮がないので、糸引きが強くなります。
     ③五斗納豆:山形県米沢地方の郷土食で、雪割り納豆とも呼ばれます。ひきわり納豆に、
       麹や塩を混ぜて樽に仕込み熟成させたものです。発酵・熟成して いるので独特の香
       りとうまみがあります。
     ④干し納豆;糸引き納豆を乾燥させたもので、干すことにより納豆の旨味や栄養が凝縮さ
       れ、一般的な納豆とはまた違った味わいを楽しむことができます。
 (3)寺納豆:別名、塩辛納豆とも呼ばれ、大豆と小麦と麹菌(味噌やお酒を作る菌と同じ)を一
     緒に塩水に漬け込んで熟成させるので、作るのに数カ月から1年かかります。出来上がると
     黒褐色の半分乾燥したものになります。糸引き納豆のようなネバネバはなく、塩味と旨味
     が調和した独特の風味があります。

3.世界の納豆

納豆は外国でも作られています。中国の「タチオ」は日本の寺町納豆や塩辛納豆に近いもので、塩気
の効いた味。その他、アジア諸国にはさまざまな大豆の加工品があり、タイは「トアナウ」、ミャン
マーでは「ペーポー」、アフリカでは「ダワダワ」と呼ばれています。しかし、それらは日本で食べ
られているような、ネバネバ納豆ではありません。主に調味料や保存食にして食べられているようで
す。ネパールの「キネマ」やインドの「バーリュ」などは、味や香りが日本の糸ひき納豆に近いよう
です。

4.納豆の粘り・ねばねば

納豆の最大の特徴といえば「ネバネバ」と「香り」です。ネバネバは納豆菌が大豆のたんぱく質を分
解してできたグルタミン酸とフラクタンという物質からできており、グルタミン酸は昆布などに含ま
れるうま味の成分の一つです。香りは納豆菌が作り出すピラジン類、短鎖分岐鎖脂肪酸、ジアセチル
などの化合物が主な成分です。

5.納豆の匂い

納豆のにおいは納豆菌が作りだすものです。納豆菌は大豆の成分を分解しながら増殖し、独特の粘り
やにおいを作り出します。においの主成分はピラジン類、短鎖分岐鎖脂肪酸およびジアセチルです。
製造後も日が経つにつれて少しずつ発酵が進みますので、においは徐々に強くなります。

6.容器の秘密

納豆の発酵は、納豆菌を接種させた大豆を容器に詰めてから始まります。容器は保温性が高く、酸素
を取り入れるために底に凹凸や蓋に小さな穴があいているものが多く使われます。発酵室で温度管理
をしながら約20時間発酵させると、納豆特有の粘りがでてきます。発酵が終わると熟成の段階に移り、
冷蔵庫内に置いて発酵で増えた納豆菌を休眠させていきます。

7.納豆のネバネバは酢水で洗い流せる 

  スポンジを使って水洗いはNGです。スポンジの中にネバネバが入り込みます。「ネバネバ成分は
  水溶性のため、『ぬるま湯に1~2分漬けておいて、流水で洗い流す』、『漬ける時間がない場合
  は、そのままぬるま湯で流し洗いする』ことですぐに汚れを落とすことができます。また、酢が
  ネバネバ成分を切る役割をしますので、ネバネバが付いた容器に酢を入れて、水を加えて酢水に
  して、つけておくと洗いやすいです。
  ちなみに、手で洗うのにどうしても抵抗がある方の場合は、(ゴミが増えてしまいますが)キッ
  チンペーパーなどを使用して流水で洗うと良いと思います。

8.納豆に含まれる様々な栄養素や成分

納豆は日本の伝統食品の一つです。主な栄養成分は、たんぱく質、脂質、カルシウム、鉄など大豆とほ
ぼ同じ栄養を含んでいますが、脂質代謝に欠かせないビタミンB2を大豆に比べ多く含んでいるのが特徴
です。納豆特有の成分として特に注目されているのがナットウキナーゼです。これは大豆を納豆菌で発
酵させることによって生まれる酵素で大豆には含まれていません。ナットウキナーゼは血管のつまりの
原因である血栓を分解する作用があると言われています。ほかにも納豆菌が作り出す成分としてはビタ
ミンK2があります。ビタミンK2はカルシウムを体内に取り込むために無くてはならない栄養素です。
このように「大豆」にはない栄養素も含有する納豆は手軽に食事に取り入れる事ができる優れた食品な
のです。

<大豆が納豆になるまで>

納豆は大豆が発酵してできたもの。この発酵を促すのに欠かせないのが納豆菌です。高圧力の釜で蒸煮
されふっくら柔らかくなった大豆の表面に納豆菌を接種させます。これを熱いうちに容器に詰め、発酵
室の中で温度管理をしながら発酵させていきます。室温40度の発酵室でおおよそ20時間発酵させる過程
で、納豆特有の粘りがでてきます。発酵が終わると熟成の段階に移ります。冷蔵庫内に置いて、発酵で
増えた納豆菌を休眠させていきます。納豆の出来は、発酵から熟成までの温度管理にかかっているとい
っても過言ではありません。

<水戸納豆が有名になった理由>

(1)茨城県は、水戸藩の時代から台風による水害を防ぐために、早生大豆を栽培するようになりまし
   た。早生大豆は小粒で納豆に適していました
(2)明治時代に水戸駅が開業し、水戸納豆が駅のお土産として、少年たちが販売するようになり、一
   気に知名度が広がりました。

(3)茨城県は専業農家の比率が高く、農本主義が徹底していました。納豆は農家の主食や保存食とし
   て重宝されました

(4)茨城県の納豆は、パック納豆だけでなく、わらに包まれた「わらつと納豆」も生産されています。
   わらつと納豆は、稲わらの中で直接大豆を発酵させる伝統的な製法で、わらの香りが染み込んで
   うま味が強いのです

茨城県の納豆は、歴史や地域の特性、製品へのこだわりが下支えとなり、有名になりました。農学者桜
井武雄氏によると、茨城県は専業農家の比率は60%と全国平均35%と比べて非常に高く、耕地面積が平
均1~2町歩という中監農家の率が高く、農産物では陸稲、サツマイモ、家畜はトリ、ブタが全国1、2位
など農本主義が徹底していたことも「水戸納豆」を有名とした下地となっていると分析されています。

<茨城県の納豆誕生秘話>

水戸藩は、那珂川の氾濫に備えて、台風が来る前に収穫できる早生(わせ)大豆づくりを奨励しました。
しかし、早生大豆は、台風の後に収穫する大豆に比べて粒が小さく、豆腐や味噌などの加工には向きま
せんでした。そこで、小さい大豆でもおいしく作れる加工品として注目したのが、清左右衛門の納豆づ
くりだったのです。県内では一般的だった小粒の納豆。明治時代に常磐線が開通し、旅行者から小粒な
納豆は米に絡みやすく、「豆がちっちゃくて、うまい!」と大評判に。お土産としても広まり、その名
が全国に知られるようになりました。

<茨城県の小粒大豆とは>

茨城県の小粒大豆の代表といえば、茨城県の育成品種「納豆小粒」(なっとうしょうりゅう)。茨城で生
産されていた小粒大豆から、納豆への加工に適した品種を選抜し、改良が重ねられ「納豆小粒」が誕生
しました。小粒で米に絡みやすく、糸引きが良く、独特の口当たりと風味豊かなのが特長です。

<水戸納豆ができるまで> (画像参照)

1.大豆の選別:原料の大豆を選別機にかけ、石などの異物や割れた大豆、形の悪い大豆を取り除きます。
2.洗浄:大豆の皮に付着している土や細かいゴミなどを洗浄します。
3.浸漬:大豆にきれいな水を吸わせます。気温や大豆の種類により浸漬時間を調整します。
4.蒸煮:豆を高圧の圧力釜で蒸しあげます。
5.納豆菌植菌:納豆菌を煮豆に噴霧して煮豆の表面に付着させます。雑菌の混入を防ぐために、煮豆の
        温度が70~90度くらいで植菌します。
6.発酵容器充填:発泡スチロール、紙カップ、などの発酵容器に移します。雑菌の混入を防ぐため、煮
         豆が熱いうちに充填を終わらせるよう注意します。
7.発酵:発酵室で16~24時間発酵させます。納豆のネバネバはここで生まれます。
8.熟成:発酵で増えた納豆菌を休眠させます。熟成は、通常5度以下の低温で行います。
9.包装・出荷:できた納豆を包装して出荷します。

  手間ひまをかけて、美味しい納豆が完成します。

<水戸納豆の紹介>

納豆といえば中粒以上が主流だった当時、「小粒で粘りが強く、風味豊かでご飯にからみやすい」水戸納豆
は旅行者達に大ヒットしました。水戸納豆には、老舗の「天狗納豆」や「総本舗水戸納豆」など、様々なメ
ーカーや商品があります。それぞれに独自の製法や味わいがあり、お土産にもおすすめです。

(1)水戸元祖 天狗納豆(天狗納豆株式会社)

①「極小粒わら納豆」:白髭の天狗が目印!創業明治43年の老舗の味。昔ながらの製法で作るわら納豆。
           わら納豆は、わらが納豆の水分を適度に吸収するため旨味が凝縮!粘りが強く、大
           豆に程よい歯ごたえがあります。

②「黒豆わら納豆」:黒豆特有の適度な歯ごたえと本格的な味わい。程よい歯ごたえのある黒豆のわら納豆。
          そのまま食べれば、黒豆特有の濃厚な風味と食感を味わえます。付属の「たれ」に
          「わさび」を添えると絶品の美味しさ!

(2)総本舗 水戸納豆(水戸納豆製造株式会社)

①「経木納豆」:経木(きょうぎ)とは、木材を薄くスライスしたもの。納豆を松の経木に包むことで自然
        な湿度を保ち、乾燥やべたつきを防ぎます。国産大豆を使い、昭和4年の創業以来変わらな
        い製法で作られています。

②「雪あかり」:宮城県産大豆ミヤギシロメを使用した白い納豆。名前の通り、豆の表面にうっすら霜が降
        りたような白い納豆。豆は通常の水戸納豆よりも少し大きめサイズで、食感の良さを楽し
        めます。

(3)だるま納豆(だるま食品株式会社)

①「わら納豆」:昔ながらのパッケージのわら納豆は茨城土産にぴったり。創業当時から販売しているわら
        納豆。極小粒大豆を使用した、本場水戸の「わらつと納豆」です。「わらつと」とは稲わ
        らを束ねて中にものを包むようにしたもののこと。わらの香りが納豆の風味をいっそう引
        き立てます。

②「だるま国産小粒」:大豆もタレも茨城県産。地元で愛される毎日のおいしさ。納豆の加工に適した品種
        として選抜・改良が重ねられた、小粒大豆「納豆小粒」を使用した納豆。地元茨城でも親
        しまれている納豆です。

(4)トーコーフーズ

①「豆殿」:希少な在来種の黒小粒大豆を使用した黒豆納豆。茨城県で100年続く納豆専門店が、試行錯誤の
      末に作り出したこだわりの納豆。素朴な甘みと旨みを味わえます。付属の「たれ」と「わさび」
      でそのままおいしく食べられます。

②「そぼろ納豆」:納豆と大根を秘伝のタレに漬け込んだ伝統の味。納豆と切り干し大根を合わせて醤油など
         に漬けこんだ「そぼろ納豆」は茨城県で昔から食べられてきた郷土料理です。素朴な風味
         とパリパリとした歯触りが癖になります。

納豆は、ご飯や味噌汁と一緒に食べるのが一般的ですが、他にも色々な食べ方があります。例えば、納豆をパ
スタやピザにトッピングしたり、納豆を使ったお菓子やドリンクなどもあります⁴。納豆は、自分の好みに合わ
せてアレンジして楽しむことができます。

是非、水戸納豆をご賞味あれ!

 

 

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茨城味自慢:県産のミニトマトはトップブランドの果実

2024-07-15 07:06:57 | 日記

茨城県は露地栽培とハウス栽培で、高品質でおいしいトマトを多品種栽培しています。この内、
ミニトマトの品種に関しては鉾田市が生産の中心で、JA茨城旭村トマト部会とJAほこたト
マト部会が中心となっています。春作と抑制作の2つの作型でほぼ通年で収穫し、年間300トン
以上を目指しています。露地栽培の旬は6月~8月の夏です。ミニトマトは高温多湿に弱いので、
あまり暑くない時期のほうが甘味や酸味が強くなります。そして、ハウス栽培での甘くておい
しい時期は夏から秋にかけてです。ミニトマトには赤や黄色、緑などの色や、丸いものや卵型、
イチゴ型などの形があります。品種によって味や糖度も異なりますが、一般的には糖度が高く
甘味が強いものが人気です。栽培に工夫を凝らしたフルーツトマトは、果物並みに糖度が高く、
8度~9度以上あります。露地もののミニトマトの産地は桜前線のように南から北へ移動してい
きますから、時期に応じてその時の旬の産地のものを選ぶとおいしいですよ。例えば、冬春ト
マトは熊本県や愛知県、夏秋トマトは北海道や茨城県などが有名です。ミニトマトはビタミン
Cやリコピンなどの栄養素が豊富で、美容や健康にも効果があります。美味しく食べる方法と
しては、生のままサラダやお弁当に入れたり、加熱してパスタやスープなどに使ったりすると
良いです。今回は茨城県産のミニトマトの紹介です。

<ミニトマトと普通トマト(中玉・大玉)との関係>

トマトは、南アメリカのアンデス地方が原産で、小さくて酸っぱい果実でした。その後、ヨー
ロッパに伝わり、品種改良されて大きくて甘い果実になる中で、突然変異によって種とゼリー
の部分の部屋の数が増え、大きくなったものが出てきて、それが現在の普通トマトの元祖と考
えられています。つまり、普通トマトはミニトマトの品種改良品種ではなく、その過程で生ま
れた突然変異品種なのです。

<トマトの生産量ランキング>

1.国別の生産量:1位は中国 62,764,671t  (34.7%),  2位はインドで19,007,000t (10.5%)、
         3位はトルコで12,841,990t  (7.1%), 4位がアメリカ 10,858,990t  (6.0%)
         ・・・ 27位が日本で714,600t  (0.4%)  (2019年)

2.国内都道府県別の生産量:
  (1)トマトの全品種を含めた生産量:1位は熊本県で132,500t  (18.27%)、2位は北海道
         で65,200t(8.99%)、3位は愛知県で49,200t(6.78%)、4位が茨城県で
         47,600t (6.56%)、5位は千葉県で32,500t(4.48%)でした。(2021年)
  (2)ミニトマト品種の生産量:1位は熊本県33,000t  (22.8%)、2位は北海道14,700t、
        (10.2%)、3位は愛知県13,900t(9.6%)、4位は宮崎県10,200t、(7.0%)
         5位は茨城県6,650t、(4.6%)でした。

  茨城県のミニトマト生産の特徴は、露地栽培ものがハウス栽培ものよりも多いことでした 。

   2020年度の統計では、露地栽培面積は1,200ヘクタールで、収穫量は15,600t、一方、ハ
   ウス栽培面積は300ヘクタールで、収穫量は4,500tでした。しかし、2020年以降にオラン
   ダ式コンピューター制御のメガ工場が稼働しましたので、現在の露地栽培ものは半分ぐ
   らいになっていると思います。そして、生産量のランキングも上がっているでしょう。

<トマトの分類>

  トマトは日本だけでも、約340種類が品種登録されています。ここでは果実の大きさや用途
  による分類を記します。

  • 大玉トマト:重さが200g以上になる生食用の品種です。皮が薄く甘みがあるのが特徴です。
          品種には、桃太郎シリーズや王様トマトシリーズなどがあります。
  • 中玉トマト:重さが40〜60g程度の品種で、水分ストレスを与えて栽培すると、甘さと酸味
          のバランスが良くなります。品種には、フルティカや湘南ポモロンなど。
  • ミニトマト:重さが15〜20g程度の品種で、お弁当やサラダに使われます。赤、黄色や緑な
          ど様々な色の品種があります。品種に千果やアイコなどがあります。
  • 加工用トマト:果肉部が多く加工に向く品種で、トマトジュースやトマトケチャップに使わ
           れます。重さは80〜100g程度で、形は楕円形で細長いものが多いです。品種
           には、サンマルツァーノやシシリアンルージュなどがあります。
  • 台木用トマト:根の特性に特化して改良された品種で、果実を収穫するための品種ではあり
           ません。大玉、中玉、ミニトマトを穂木として接ぎ木をして利用します。接
           ぎ木をすることで、台木の根と穂木の果実の両方の特徴を引き出せます。

<ミニトマトの品種>

  ミニトマトの品種は、日本だけでも約200種類あると言われています。色や形、味や糖度など、
  さまざまな特徴があります。色系別の品種名と特性を記します。

1.赤系ミニトマト:
    ①アイコ:コクのある甘さで、糖度は9〜10度。リコピンが豊富に含まれています。
    ②プチぷよ:はじける食感で、糖度は9〜10度。果実が大きくて収穫量が多いです。

2.黄系ミニトマト:
    ①イエローアイコ:甘くて風味が良いで、糖度は9〜11度。カロテンが豊富です。
    ②イエローピコ:甘くて控えめな酸味があり、糖度は9〜11度。果実が小さくて丸い。

3.黒系ミニトマト:
   ①ブラックチェリー:甘くて濃厚な味、糖度は9〜10度。アントシアニンが豊富。
      ②インディゴローズ:甘酸っぱい味で、糖度は9〜10度。果実が黒紫色で美しい。

4.緑系ミニトマト:
   ①グリーンゼブラ:甘酸っぱい味、糖度は8〜10度。ビタミンB6やカリウムが豊富。
   ②カプリエメラルド:甘くて風味の良い味で、糖度は8〜10度。果実が小さくて丸い。

<露地栽培の春作と抑制作の違い>

  ミニトマトは一年中栽培できますが、春作と抑制作では栽培方法や収穫時期が異なります。
  春作とは、冬に種まきをして春に収穫する栽培方法です。抑制作とは、夏に種まきをして
  秋に収穫する栽培方法です。

(1)春作は、冬の低温期に種まきをするため、発芽に時間がかかりますが、春になると生育
   が早くなります。そのため、春作は発芽から収穫までは約4ヶ月です。気温の上昇に伴っ
   て生育が早くなるため、茎が細くなりやすく、支柱やネットなどの支持が必要です。
   また、日照時間が長くなるため、花が多くつきますが、果実の着果率が低くなります。
   そのため、収穫量が少なく、果実も小さくなりやすいです。

(2)抑制作は、夏の高温期に種まきをするため、発芽は早いですが、生育は遅くなります。
   秋には更に気温が下がり生育が遅くなります。そのため、抑制作は発芽から収穫までは
   約6ヶ月です。気温の下降に伴って生育が遅くなるため、茎が太くなりやすく、支持があ
   まり必要ありません。また、日照時間が短くなるため、花が少なくつきますが、果実の着
   果率が高くなります。そのため、抑制作は収穫量が多く、果実の大きさも大きくなりやす
   いです。

<露地栽培とハウス栽培の比較>

1.農林水産省によると、2022年度の国内生産量は約10万トンで、そのうち約9割がハウス栽
  培でした。ハウス栽培は一年中収穫できるし、収量も高く、品質も安定しているため、ミ
  ニトマトの主流な栽培方法となっています。茨城県もハウス栽培のメガ工場が稼働しまし
  たので、ハウス栽培のミニトマトが多くなってきました。

2.ハウス栽培の平均収量は、1平方メートルあたり約10Kgです。露地栽培の平均収量は、1平
  方メートルあたり約3Kgです。ハウスの方が3倍以上収穫量は多いです。

3.収穫されたハウス栽培のミニトマトの平均単価は、1Kgあたり約300円で、露地栽培のミニ
  トマトの平均単価は1Kgあたり約200円です。当然ですけど露地栽培の方が安価で栽培でき
  ますが、栽培期間は春から秋と制約されます。

以上のことから、ハウス栽培のミニトマトは露地栽培よりも、収量は多いが、しかし、単価は
高いことがわかります。運転コストが高いのですね。

<ミニトマトの豆知識>

1.トマトの普及
   ミニトマトは南アメリカのアンデス地方が原産地です。コロンブスがヨーロッパに持ち帰
   ったとされます。日本には江戸時代に観賞用として入ってきましたが、食用での普及は昭
   和50年代後半ごろからです。その見た目のかわいらしさと美味しさから人気を集め、全国
   に普及するようになりました。

2.ミニトマトは、プチトマトとも呼ばれますが、正式にはミニトマトが正しい名前です。プチ
   トマトというのは、家庭菜園でミニトマトを栽培できる種の商品名です。

3.ミニトマトと普通のトマトではどちらが栄養価は高いか?
   ミニトマトです。普通のトマトは皮が柔らかく完熟で収穫すると崩れてしまうので完熟よ
   り手前で収穫します。ミニトマトは皮が固く完熟でも収穫出来るので、しっかり栄養を蓄
   えた状態で収穫します。具体的には、トマト(大玉)に対するミニトマトの栄養価はリコ
   ピンが約3倍、ビタミンCが約3倍、βカロテンが約1.7倍、食物繊維が約1.4倍含まれています。

4.栄養価と効能
   ①ビタミンC:風邪の予防や疲労回復に効果的です。ミニトマト10個で1日に必要なビタミ
          ンCの約半分を摂ることができます。
   ②リコピン:赤色の色素で、強力な抗酸化作用があります。シミやシワの予防や、生活習
         慣病のリスクを低減する効果が期待できます。
   ③クエン酸:糖質や脂質の代謝を助ける作用があります。エネルギーを生成し、疲労を回
         復する効果が期待できます。野菜類の中で含有量がトップクラスです。
   ④モリブデン:血液を作る効果があります。鉄分の働きを促進し、貧血の予防に役立ちま
          す。ミニトマト10個で1日に必要なモリブデンの約3割を摂れる。
   ⑤カリウム:余分な塩分を排出する効果があります。高血圧やむくみの予防に役立ちます。
         ミニトマト10個で1日に必要なカリウムの約2割を摂れる。
   ⑥葉酸:赤血球やDNAの合成に必要な栄養素です。妊娠中の女性にとって特に重要です。
       ミニトマト10個で1日に必要な葉酸の約2割を摂ることができます。

   ミニトマトは生で食べると美味しいですが、加熱するとリコピンの吸収率が上がります。
   一方で、ミニトマトは体を冷やす食材とされています。冷え性の方は食べ過ぎに注意です。

5.フルーツトマト
   ミニトマトの中に、フルーツトマトと呼ばれるものもあります。これは、水や肥料を抑え
   たり、塩分の多い土壌を活かすなどの工夫によって甘味を引き出したトマトで、糖度は8度
   から9度以上と果物並みの高さがあります。フルーツトマトは、ブランド化されているもの
   も多く、高級品として人気があります。

6. 新鮮でおいしいミニトマトの見分け方
   鮮度はヘタと実の表面の状態を見ます。ヘタが濃い緑色をしていて萎れがなく、実の表面
   にハリとツヤがあるものが新鮮なトマトです。美味しいトマトはずっしりと重みがあり、
   おしりの部分から放射線状に線が伸びている「スターマーク」のあるトマトが美味しいと
   いわれています。

7.色と栄養素
  ①赤色:天然色素「リコピン」の色です。抗酸化作用があります。
  ②緑色:クロロフィルの色です。美顔効果、デトックス効果がある成分です。
  ③黄色:ルチンの色です。毛細血管を強く丈夫にする作用があります。
  ④オレンジ:βカロテンが豊富。体内でビタミンAに変換されます。

8.10月10日はトマトの日
   トマトの栄養価値や美味しさをアピールし、トマトを使った料理の普及をはかり人々の健康増
   進に貢献することを目的に一般社団法人全国トマト工業会が2005年に制定した日です。10月
   は食生活改善普及月間であり「体育の日」もあって健康への関心が高まる月です。10と10
   で「トマト」と読む語呂合わせもあり、この日を記念日としました。

9.トマトに花言葉ってあるの?
   トマトの花の花言葉は「感謝」です。トマトをひとつ食べるだけで、さまざまな嬉しい効果・
   効能が期待されることから、「感謝」という花言葉になったようです。

10.トマトが料理を美味しくする理由
    トマトには旨味成分である「グルタミン酸」が含まれており、一緒に料理する食材の旨味を
    引き出します。さらにクエン酸等のトマトの酸味が肉や魚の臭みを消してくれる効果がある
    ためです。

11.トマトの保存方法

  • 常温で保存する:冷蔵庫で保存すると味が落ちる可能性がありますので、日陰で涼しい場所に
    置いて保存します。へたを下にして、一枚ずつ新聞紙などに包んで、重ならないように並べま
    す。この方法で約1週間は保存可能です。
  • 水に浸けて保存する:水に浸けると鮮度が保たれるという特徴があります。水に浸ける場合は、
    へたを取り除いて、水を替えないことがポイントです。水に浸けたミニトマトは、冷蔵庫で保
    存します。この方法であれば、約2週間は保存できます。

<県内で生産されているミニトマトの品種>
  茨城県で生産されている品種は、茨城県農業総合センター園芸研究所や常磐興産などの研究や
  開発によって生まれたものが多いです。

  • あまエル:JAほこたの部会独自のブランドで、営農指導員が畑での糖度検査と味の確認を受け
         てから出荷されるこだわりぶりです。甘くてL(エル)サイズが名前の由来で、糖度
         は約9度。ジュースやドレッシングなどの加工品も販売されています。
  • キストマト:JAなめがたしおさいが手がける、初恋の味がするミニトマトです。糖度は約10度
          で、色の種類も多く、果実は小ぶりで可愛らしいです。
  • 夏娘(なつっこ)トマト:丸種(株)の開発品種です。ナツメのような楕円形で、甘酸っぱい
          味が特徴です。糖度は約8度で、ミニトマトの中では大きめのサイズで、食べ応え
          があります。

<茨城県に日本最大級のミニトマト生産施設が稼働しました>
  メガ工場での栽培は水に栄養素を溶かし、根を浸す「水耕栽培」ではありません。コンピューター
  制御のテクノロジーを使った新しい栽培方法です。

 1.「たねまき常総」は、茨城県常総市内に日本最大級、約7ヘクタールのミニトマト生産拠点を完
    工しました。2023年2月に完工した大規模なミニトマトの生産拠点は、「オランダ・ボスマン
    社製の最先端ハウス」、「環境に配慮したトリジェネレーションシステム」、「1日約5トンの
    選果能力を誇る先進的な選果設備」の3つを導入した次世代型の園芸施設です。他にも最先端
    の環境制御システムを導入し、コンピューターによって、気温や湿度、CO2濃度などミニトマ
    トの栽培に必要な環境を24時間コントロールするのが特長で、年間約1000トンの収量が目標で
    す。現在150人ほどが働いているそうです。

2.「常磐興産」は、茨城県北茨城市にミニトマトの大規模農業施設を完成させました。温泉リゾート
   施設「スパリゾートハワイアンズ」を運営する同社は、石炭を採掘していた常磐炭鉱の跡地を活
   用しています。ITを活用したスマート農業で「赤いダイヤ(ミニトマト)」の生産に挑んでおり、
   面積約1万8000平方メートルのハウスで栽培・収穫しています。化石化した天然サンゴ砂を培地
   に使い、糖度と収穫量のアップを狙っています。年間300トンの生産を目指しており、2021年11
   月9日から出荷を開始しました。

<茨城県生産のミニトマトの特徴>

  茨城県のミニトマト生産量では全国5位ですが、ミニトマトの生産品種は多い県なのです。そして、
  生産量も平成30年度の統計では、ミニトマトの生産量は「約3万t」で、全国の約3割を占め、第1位
  だったのです。それだけ盛んでしたから、品種改良の技術も確かで、独自ブランドで「甘さ」「酸
  味」、「旨味」、「香り」、「食感」などの特徴が高められています。特に、「糖度」が高く、
  「果皮」が薄く、「果肉」がやわらかいのが特徴です。それだけではありません。茨城県のミニト
  マトは、「赤色」、「黄色」、「オレンジ色」、「ピンク色」などの色彩豊かなものがあります。
  また、「丸型」「ハート型」、「プチプチ型」などの形も様々です。

茨城県産のミニトマトはトップブランドの果実、是非ご賞味あれ!

 

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茨城味自慢:茨城県のオリジナル品種「春まいたけ」をご賞味あれ!

2024-07-01 07:10:51 | 日記

「まいたけ(舞茸)」は通年で購入できるお馴染みのキノコですが、天然物の旬は「秋季」ですよね。
それは正しいのですが、実は収穫の旬が6月中のわずか2週間という「春まいたけ」というのがある
のです。茨城県のオリジナルな舞茸です。「春に舞茸?」詳しいことを知りたいと思いませんか。
実は茨城県林業技術センターが、原木栽培で春まいたけの開発に取り組んだのです。その結果、秋に
発生するまいたけに比べてボリュームがあり、食感が良い、春まいたけの市場化に成功したのです。

現在、通年で皆さんが購入できる舞茸は、オガクズに栄養源を混ぜた培地を使い、冷暖房完備の施設
で栽培された「菌床栽培」が商業ベースで可能になったからです。その一方で、今でも広葉樹の丸太
に菌を繁殖させて林床へ埋め込み、自然の環境下できのこを発生させる「原木栽培」に取り組んでい
る農家さんがいます。原木栽培で作ったまいたけは、菌床栽培のものと比べて味、香り、歯ごたえと
もに天然物に近く、市場で高い人気があります。しかし、県内における原木舞茸の収穫時期が秋の9月
中旬~10月上旬の3週間に集中してしまうという大きな欠点があります。そこで、茨城県林業技術セン
ターでは、毎年春に発生するという野生のまいたけを山野から入手し、菌糸体を分離・培養し、栽培
化に向けた試験を繰り返して実施した結果、5月~6月に毎年まいたけが発生する「春舞茸」という、
とても珍しい性質を持つ舞茸の原木栽培を確立し、市場に出すことができました。まいたけの原木栽
培において、きのこを安定的に春季に収穫できる技術が確立できれば、競争相手のいない時期に全国
でも例のない新たな特産品として大きな期待が持てます。今回はこの「春まいたけ」を紹介します。

<春まいたけ誕生の背景>・・・報告書(2007年)の抜粋

平成15年6月、県北部の久慈郡大子町において、数年来、春にまいたけに似たきのこが発生している
との情報が寄せられ、当センター職員が現地調査をしたところ、このきのこは「まいたけ」であるこ
とが判明しました。

  1. 平成16年にほだ木(培養した原木)を林床に埋め込んだ試験区では、平成17年、18年、19年の
    春に3年続けて春まいたけの発生が認められました。
  2. 追試験において平成17年、18年にほだ木を林床に埋め込んだ別の試験区からも、5月に春まい
    たけの発生が認められました。
  3. 自然環境条件の異なる四箇所(コナラ林、マツ林、スギ林、ヒノキ林)の林床にほだ木を平成
    18年に埋め込んだすべての試験区から、次の5月に春まいたけの発生が認められました。
  4. 春まいたけの発生時期は、5月中旬~6月上旬を主としますが、一部は秋の9月中旬~10月上旬
    にも発生が認められました。
  5. 上記1、2、3、と同じ時期に、同じ林床に市販品種の菌を培養したほだ木を埋め込んだ試験区
    からは、秋の9月中旬~10月上旬に秋まいたけの発生がみられましたが、春季のきのこの発生
    はこれまでに一度も認められません。

 今後は「一部秋の発生」を完全に抑え、実用性を十分に確認したうえで、早期に現地普及に移し
 たいとこの報告書では結んでいます。現在はこの報告書が出てから17年が経過しています。

<まいたけが一般家庭に普及したのは「雪国まいたけ(株)」さんのおかげ>

日本には3,000~4,000種のきのこがありますが、そのうち食用になるのは、その1割の約300種。
さらにその中でも一般の生活者が買える食品として市場に出まわっているのは、わずか15種類ほ
どしかありません。その中でまいたけは新参者の部類に含まれます。八百屋やスーパーで売られ、
一般家庭の食卓に上るようになったのは、せいぜい30年ほど前から。確かに、私が子供の頃には
ありませんでした。

まいたけは「一種の薬」そして「高級食材」として扱われ、なんと「幻のキノコ」とまでいわれ、
今の「金」並みに高値で取引されていた時代もあったのです。このまいたけを1982年に創業した
「雪国まいたけ(株)」さんが、菌床栽培で育つ環境を再現することに成功して、大量育成が可
能になり、通年で安価に購入できるようになったのです!

<まいたけの生産量ランキング>

1位新潟県32,505t(65.4%)、2位静岡県5,180t(10.4%)、3位長野2,620t(5.3%)・・・
7位が茨城県241t(0.5%)です。(2020年)

キノコの二大ガリバー企業、新潟県の「雪国まいたけ」、長野県の「ホクト」の存在が大きい。
現在、滋賀県のタカラバイオが第3勢力として注目されています。

<まいたけの豆知識>

1.「まいたけ」とは:主に東北地方の深山の老木の根ぎわに生えるサルノコシカケ科のきのこで、
  いくつものカサが折り重なってできています。中には20キロや30キロの大きさに育つものもあ
  ります。山奥に生える一種の薬として珍重され、今では想像もできないほどの高値で取引され
  た過去があります。

2.茶碗蒸しにまいたけはNG!:茶碗蒸しにまいたけを入れてしまうと、茶碗蒸しが固まらなくな
  ります。プロアテーゼという「タンパク質分解酵素」が卵のタンパク質が加熱すると固まるとい
  う性質を壊してしまうのです。茶碗蒸しにまいたけを入れたい方は、茹でてから茶碗蒸しに入れ
  ましょう。この酵素の特徴を生かしてまいたけにつけこんだ肉は柔らかくなることも実証されて
  います。

3.選び方;カサの色が濃い茶褐色で、パリッとしていて肉厚なものが良品です。鮮度が落ちると
  カサが湿ったようにしなびてきます。軸は白くて張りがあり、かためのものを選びましょう。

4.保存方法:ラップに包んで冷蔵庫で保存し、なるべく3-4日で使い切るように心掛けましょう。
  また、水気がついていると傷みやすいので要注意です。冷凍する場合は、石づきを切り落とし
  小房に分け、袋に入れて冷凍庫へ(約1ヶ月保存可能)。使う時は、自然解凍、または炒め物
  にはそのまま調理することもできます。天日干しし、乾燥させたものは常温保存も可能です。
  まいたけは、冷凍することで旨味成分と栄養が増量します。冷凍して食べなきゃもったいない
  くらい冷凍向きなのです。

5.栄養と効用:
  ①ダイエットに役立つ:まいたけには「βグルカン」と呼ばれる不溶性食物繊維「βグルカン」
    が腸内環境を整えます。低カロリーで満足感が得られます。
  ②骨を丈夫にする:エルゴステロールがビタミンDを作ります。ビタミンDは、カルシウムの代
    謝をサポートし体内で骨や歯を作る働きをします。
  ③免疫力を上げる:まいたけ特有の成分「MD-フラクション」がNK細胞を活性化させて免疫力
    を高めます。細菌やウイルスに対する抵抗力が高くなります。
  ④肌荒れを予防する:「ナイアシン」と「ビタミンB」がたんぱく質や炭水化物、脂質などの代
    謝をサポートするので、皮膚や粘膜をきれいに保つ効果があります。
  ⑤脂肪を減少させる:「キノコキトサン」が体内の中性脂肪を減少させてくれます。また、
    「MX-フラクション」が基礎代謝をアップさせて筋肉質の体にしてくれます。

6.まいたけの食べ方:
  ①栄養素の流出を防ぐため水洗いはしない:ただし、天然のまいたけには土や虫などが付着して
    いる可能性があるため、食べる前に軽く水洗いしてください。
  ②60~70度の加熱で旨味成分が増加する:旨味成分グアニル酸は、60~70度での加熱を続けるこ
    とで増加します。そのため、低温で調理がおすすめです。

7.まいたけを食べる際の注意点
  ①生のまいたけを食べると、腹痛や嘔吐など食中毒のような症状を起こしたり、口の中にイガイガ
    感が生じます。必ず加熱してから食べてください。
  ②食べ過ぎは、下痢や腹痛の原因となります。1日のまいたけ摂取量は、30g~50g程度にとどめる
    こと。また、βグルカンは摂取しすぎると過剰な免疫反応が出る可能性があり、注意が必要です。

8.天然マイタケの種類:
   天然のまいたけは、ミズナラ、コナラ、オニグルミなどの大木の根本に発生します。種類は色で
   分けられ、シロフ→トラフ→クロフの順に市場価値が高くなります。

 (1)シロフ(白):早出タイプで、9月上旬~9月下旬まで発生。傘から軸にかけて、全体が白いマイ
     タケ。やわらかくてアクが少なく、煮込んでも煮汁が黒くなりません。
 (2)トラフ(茶):中出タイプで、9月中旬前半~10月上旬前半まで。一般的に、マイタケといって
     最初にイメージする人が多いです。傘が茶色くて軸が白い、シャキシャキとした歯応えが特徴
     です。
 (3)クロフ(黒);遅出タイプで、マイタケシーズン最盛期の9月中旬後半~10月上旬後半に発生傘
     も軸も黒い。食感、味、香り、すべてにおいてシロフ、トラフより濃厚で、天然物の中でも希
     少価値が高いです。

  こうした天然のマイタケは、全国各地で9月下旬頃から10月頃に収穫されますが、発生時期が短く流通
  量が少ないため値段も高め。「食べたい」と思ってもすぐに手に入るものではありません。食べられる
  のは菌床栽培や原木栽培の技術が発達したからですね。

<原木栽培は苦戦中>

キノコ類全体に言えることですが、原木栽培が減ってきています。理由は
(1)木を伐ったり移動したりするのが重労働である
(2)きのこが発生するまでの期間が長くかかる、つまり収益化が遅い(1~2年)
(3)大量生産には向かない
(4)原木の入手が昔より難しくなってきている(伐り手がいない)等があげられます。そのため、原木
   栽培から菌床栽培に切り替える農家さんも多いのです。

それでも原木しいたけ栽培の場合ですと、まだ一定数は専業で続けられている農家さんがいて、スーパーなど
でも原木しいたけを見かけることができます。それは原木しいたけはほぼ一年を通して収穫・販売できるとい
う点が大きいのです。一方、まいたけの場合は、原木栽培の収穫時期が1年のうちの約3週間しかないため、収
益化するのが難しく、大変希少な存在となっています。春まいたけへの期待はこの点からも大きいのです。

<通常の秋まいたけの原木栽培手順>

1.原木の調達・・・11~12月頃、木を購入したり自分たちで伐採する

2.原木の殺菌・・・原木を栽培袋に入れ高熱釜で殺菌し無菌状態する

3.植菌・・・舞茸の菌を砕いて原木にふりかける

4.培養・・・施設内に置き、原木の中に菌糸を張り巡らせる

5.伏せ込み・・・6月頃、栽培袋から取り出した原木を畑の中に埋め、保湿のために上に落ち葉をかけておく

6.発生・・・10~11月頃、まいたけが発生する

7.収穫・・・適度な大きさになったら収穫する

原木シイタケはコルクなどの木片に菌糸を張り巡らせた「種コマ」を原木に打ち込むのが一般的で、ホダ木の殺
菌工程はありませんし、多くの場合、培養も露地で行えます。そして、土の中に埋めずに発生させています。
ですから、シイタケやナメコなんかは、原木に菌を植菌するだけでできます。しかし、まいたけの場合は、原木
を煮沸消毒してから菌糸を上から降りかけて植菌するスタイルです。数ヶ月菌を培養する必要があります。まい
たけの方が雑菌や乾燥に弱くデリケートなのです。そして、原木まいたけは1年のうち、約2~3週間の間しか発
生しません。それでも3~5年ぐらいは発生し続けてくれるそうです。値段も菌床栽培された舞茸と比べると10倍
の値段で取引されています。

<春まいたけの現状>

(春まいたけの評判)
  秋に発生するまいたけに比べて、遜色のない姿形であること、柄部が太くてボリュームが多く,傘部が大きく
  ボリュームがあり、食感が良いと評判です。

(春まいたけの普及活動)
  平成20年に大子町で、平成22年に鉾田市で、平成23年には水戸市、常陸太田市、高萩、桜川市で生産者グルー
  プによる試験栽培が始まりました。大子町では,平成21年に初めて春にきのこが収穫できたため,道の駅「奥久慈
  だいご」において,平成21年5月31日に実物とパネル展示、マイタケご飯の試食等のPRを行いました。こうした
  イベントやPR活動は続けられており、県内においては認知度が上がっています。しかし、全国区にはまだほど
  遠いです。

(どこで購入できるのか?)
  1.道の駅「奥久慈だいご」:大子町では、春まいたけの原木栽培、収穫をしています。ここでは実物やパネル
     展示、春まいたけご飯の試食などのPRが行われています。
  2.ふるさと納税サイト:現在は安定供給が可能になり、茨城県高萩市のふるさと納税の返礼品目となっていま
     す。サイトで、原木春まいたけを寄付として選択することで、春まいたけを手に入れることができます。
     申し込みは5月末までで、6月のみの発送です。単位は500g、寄付金額12000円以上。
     (今年は終わってしまいましたね、紹介が遅くなりました。ごめんなさい!)

  うたい文句は「春に原木から栽培して取れる、非常に貴重なまいたけです。香りが強く、食感がしっかりとした、
  とても大きなまいたけになります。火を通しても食感がしっかり残って食べごたえ十分!!シンプルに炒めても
  よし!まいたけご飯にするもよし!」そして、「生産者よりおすすめの食べ方」として、まいたけを油で炒めて、
  醤油と七味をかけて食べるとより一層まいたけのうまみと香りを楽しめます。」と紹介しています。

 3.JAグループの高萩農産物直売所(要問合せ)

 4.今では、茨城県だけではなく、山梨県の丹波山村の丹波山倶楽部でも、春舞茸を栽培していることを知りました。
   ここは原木のきのこ栽培で有名なところです。舞茸は原木を土に埋めています。ですから、ここの舞茸は畑の土
   の中から顔を出すように生えます。まるで、野菜を収穫しているようです。
   (春舞茸の栽培方法も同じなのかは確認していません)

 春舞茸の栽培地域が少し広がっているのかな!でも原木栽培だから限界はあるのでしょうね。

茨城県の貴重な「春まいたけ」を是非ご賞味あれ!

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