「栗」といえば、ホクホクした甘さとカリウム、ビタミン、食物繊維などがバランス良く
豊富に含まれた栄養満点が魅力の秋の味覚。カリウムはりんごの4倍、ビタミンCは温州み
かんと同じくらい、食物繊維はさつまいもより多く含まれるので、高血圧予防や便秘改善、
疲労回復等の効果が期待できるといわれています。
「栗」は、ブナ科クリ属の落葉樹になる果実の総称です。世界中にいろんな種類がありま
すが、大きく分けて日本栗、中国栗、ヨーロッパ栗、アメリカ栗の4つに分類されます。
日本で栽培される栗のほとんどは、山野に自生するあの小さな芝栗を品種改良したものです。
その栗の生産量日本一が茨城県だということを、ご存知でしたか?2019年に全国で収穫
された栗の量は計15,700トンで、その中で1位は茨城県のシェアは20%。2位は熊本県の
シェア18%、3位が愛媛県のシェア9%です。実は2018年の茨城県はシェア27%でした。
この落ち込みは台風被害の影響です。そんなハンデがあっても日本一の座を15年間連続
維持しているのです。茨城県こそが真に栗の王国です。
でもどんなに威張っても、茨城栗の知名度は生産量の少ない丹波栗(京都)や小布施栗
(長野)、中津川の栗きんとん(岐阜)などに水をあけられてきました。その理由は県
で生産されたほとんどの栗が東京方面の市場に出荷されているからです。
茨城県のなかでも笠間市が栽培面積1位を誇る産地です。茨城県中央部に位置する笠間市
は、日本三大稲荷である笠間稲荷神社の門前町として、また笠間城の城下町として古く
から栄えてきました。現在は「笠間焼」の産地として知られ、約300人の陶芸家の窯元や
ギャラリーが点在するアートのまちでもあります。
そんな笠間を代表する農産物が栗です。甘みが強く味が濃い笠間の栗のおいしさは、全国
の名菓子店で選ばれるほど。年間を通して穏やかで昼夜の温度差がある気候や、通気性に
優れた火山灰土壌が香り高い栗を育むのだそうです。9月上旬~中旬の早めの時期に収穫さ
れる「丹沢」という品種から、10月上旬~中旬の遅めの時期に収穫される「岸根」という
品種まで、さまざまな栗が栽培されています。これに「大峰」と「筑波」を合わせた4つの
品種は、笠間の栗のなかでも特に甘くて、香りが高いそうです。例年ですと9月下旬から
10月上旬の週末には「新栗まつり」が開催されます。私は笠間に何度も通っていますので、
栗の生産量日本一を知っていましたが、全国区から見た知名度は低いのだと知ったのは最
近のことです。
<県もトップブランド化に力を入れている>
県も自覚しているようで、栗の都道府県別収穫量・出荷量がともに全国一位なのに「ブラ
ンドと呼べるものがなく、知名度も低い、これではいかん」と、新たにPR予算を計上して、
県産栗のトップブランド化を進めると、先日の地方版に報道されていました。具体的には栗
のマロングラッセなどの高級加工品を開発し、首都圏の富裕層をターゲットにした商品を置
く店に売り込む戦略、又素材の味がストレートに出やすいために品質が問われる「焼き栗」
を実演販売して、話題作りを進めるそうだ。アンテナショップでは目玉商品になるはずです。
これまでにも笠間市では毎年栗シーズンに「かさま新栗まつり」などのイベントや、周遊
マップつきの栗グルメガイド「笠間てくてく栗図鑑」を発行しています。掲載店で、1,000
円以上購入するとスタンプが1つもらえ、3つ集めると抽選で栗関連商品などが当たる用紙
が同封されているので、ぜひ参加してみては?
<栗のカロリーはどれくらい?>
国産栗のカロリーは生で100gあたり164kcal、ゆで栗で167kcalとなり、調理して甘露煮に
すると238kcalへ上がります。炊きたての白いご飯は168kcalなので、栗とカロリーがあま
り変わらないですね。
<栗の保存方法?>
家庭の冷蔵庫に保存する場合は、乾燥を防ぐためビニール袋に入れれば、3~4ヶ月は大丈
夫です。また、栗は冷やされるとデンプンが糖に変わるため、生の状態で冷蔵庫の中で一
ヶ月くらい保存することで甘味が増し、いっそうおいしく食べられます。栗の渋皮煮、栗
ごはんなどが人気の食べ方ですが、栗の渋皮煮を天ぷらにして食べるのも意外においしく
ておすすめです。
<いばらきの栗はココが凄い>
(1)マロングラッセ
皮をむいた大粒の栗をシロップをしみ込ませながら煮付けた「マロングラッセ」は、
砂糖でコーティングしたものを「マロングラッセ」、されていないものは「マロン
コンフィ」と呼ばれる。今、注目のスイーツブランドだ。マロングラッセは日持ち
も良く、幅広い年齢層の方に好まれる優しい味わいで贈り物にも人気です。
(2)厳選された貯蔵栗を集めた至極の栗『極み』
「極み」は、特に甘くて香り高い「丹沢」「筑波」「岸根」の3品種を厳選し、その
中でも大粒のみを貯蔵栗として冷蔵熟成させ、甘みを約3倍まで高めた、まさに究極
の栗といえる栗です。収穫してから1ヶ月ほど貯蔵するので例年11月頃販売されます。
(3)焼き栗
「極み」の焼き栗は甘くてホクホクと絶品。焼くことによって皮が程よくはじけ、皮
がむきやすくなりました。簡単で美味しく食べられ、電子レンジで加熱すれば焼きた
ての味が楽しめます。 冷凍した場合は長期保存がきき、手間がかからず、簡単で美味
しく食べられる焼き栗をどうぞご賞味下さい。おすすめ品です。
県は遅まきながら、知名度を上げようとブランド力のある製品作りに力を入れるようになり
ました。これからの頑張りで知名度が上がって、丹波、小布施そして中津川と並ぶブランド
力のある栗製品が生まれることを期待しています。皆さまも是非ご賞味あれ!